シネマトリックス

面白かった映画、つまらなかった映画、見なかった映画は空想で・・今はたまののんびり更新です。

元祖ストーカーの話とも言える・・「アデルの恋の物語」

2005-08-25 23:02:22 | Weblog
75年フランソワ・トリュフォー監督作「アデルの恋の物語」

イザベル・アジャー二を初めてスクリーンで見た作品だ。なんてキレイな人なんだろう・・でも、恋する男にまったく相手にされず、追いかけに追いかける。

こんなキレイな女になびかないなんて・・でも、きっと「うぜ~~~んだよ!」っていう性格だったのかもしれない。人間、顔じゃないってことでしょうか。

アデルはヴィクトル・ユーゴーの愛娘、(つまり実在の人間ってことらしい)軍人のイケメンに一目惚れ、たぶん、ちょっと相手がかまってくれたので「ふたりは恋人」って思いこんだらしい。すごく純情だったんですね。時代背景的にも男性とつきあうってこと自体、限られているわけだから、そうなっちまうのかね~~

とにかくアデルは彼を追いかける・・父親であるユーゴーには「彼とは婚約しました」とか「うまくいっています」と手紙を書いては彼を追うための資金を送ってもらう。

だから、アデルは彼を追い回していられるのよね・・

「彼」を演じるのは、いかにもって感じの冷たく美しい横顔の男。なぜか鼻がすごく高い男が苦手な私としては「ふ~~ん」

彼は思わせぶりなわけでは決してなく、「もうやめてくれ!」みたいにクールなのにアデルはまったく受け入れない。受け入れたくないのだろうが・・

ラスト、ついに正気を失ってしまい、乞食同然の姿になったアデル・・あんなにも恋焦がれた彼が目の前に現われても、その存在を認めることもできず歩き続ける・・

そして「これがアデルの恋の物語である」と出る。

「恋」ね~~まったくの一方的な想い、そこにはコミュニケーションはゼロ、思い込みと、希望と夢がごっちゃになって、ついにアデルの心の均衡は壊れちゃう。

この映画は名画座で見ました。もうすぐ大学生ってところで、たぶん制服で見に行ったと思う。当時私は忘れらない恋人への想いでいっぱいで、結構アデルに感情移入した。いっそ、おかしくなった方がましかしら・・と思ったものだ。

でも何年かがたち新しい恋がドアをたたいたとき、あ~よかった!生きていて・・って思ったものだ。そんなものだ、人生は・・