シネマトリックス

面白かった映画、つまらなかった映画、見なかった映画は空想で・・今はたまののんびり更新です。

今この映画を取り上げるのは・・「シベールの日曜日」

2005-01-29 20:11:05 | Weblog
今日の1本は「シベールの日曜日」
ぐっと古い作品で1962年、監督はセルジュ・ブールギニョン。おフランスの映画です。

これを見たのはサヨナラ、サヨナラと言っていた淀川長冶さんが解説をしていた日曜洋画劇場で。たぶん小学校高学年だったように記憶している。

見終わったあと、あまりにも衝撃が強すぎてその夜よく眠れなかったような・・

白黒の墨江のような美しさ、カメラは名匠アンリ・ドカエ。彼はアラン・ドロンの「サムライ」でも撮影担当です。

インドシナ戦争で記憶を失ったピエールは看護婦のマドレーヌと同棲中。なんとなく内気で孤独な印象の男。ある日、偶然12歳の少女フランソワーズと出会います。

フランソワーズもなんだかの事情で家族から見放されており、とても孤独。

彼女は超美少女です!ものすご~~~く可愛らしいの~~

ふたりは日曜になると連れ立って森に出かけ、いっしょの時を楽しむようになります。
寄宿舎の先生には父親ってことになっていたと思う。

この森での描写がなんかめっちゃくちゃ神秘的で、ふたりで一本の木にナイフをさし、そこに耳をおしつけて木の中の音を聴くなんてシーンがあったな~

マドレーヌは彼の行動に不審をいだき、ある日曜ふたりを尾行するが、その様子を見たとき、いわゆる性的ものは皆無であることにほっとする。

しかし、周囲の他の大人はふたりを理解することができず、悲劇のラストへとつっぱしていく・・

フランソワーズと名乗っていた少女がピエールに「あなただけに教える・・私の本当の名前はシベール・・」と告白するシーンではゾクゾクって感じだ。

ある意味記憶を失い大人の男としての確固たるものをも失っていたピエールのほうが子供で、シベールのほうが成熟した大人の女性に見える。

この映画はファザコン気味だった私にとっては数年間ナンバーワンだった。でも今この映画を「いいよ~すごくきれいだし、見てね~」と言うには抵抗がある。
一部のロリコンの方たちにとって熱烈な人気のある作品だけに、美少女が大人のおっさんに恋をすることが変に正当化されちゃうような、危険があるからね。

もちろんお互いに好きなら、年齢差は関係ないけど、この映画を観て、妄想をかきたてられ相手の意思を確認しないまま突き進む大人がいるとすればすごく危険なことかも・・

奈良で小さな女の子を誘拐して殺してしまったやつのように、映像と現実の区別もつかない危険な人間も多いからね。

なので、この名作もきわどい魅力で取り扱い注意になりそう・・
それは残念なことだ・・本当は孤独な心ってものを扱った最高に美しい映画なんだけど・・