シネマトリックス

面白かった映画、つまらなかった映画、見なかった映画は空想で・・今はたまののんびり更新です。

拡大ロードショーはここから始まった「エクソシスト」

2005-01-22 20:30:37 | Weblog
今日は「エクソシスト」73年、監督はウイリアム・フリードキン(近作はふるいません)。
この人、この映画の公開当時はるかに年上のジャンヌ・モローと結婚していました。フランス版の監修は彼女がやったらしい。2年で離婚したけどね・・

この映画の前、どんなにヒットした映画も今でいうところの「単館ロードショー」だった。映画館ごとにかかる映画の質が決まっていたよね。みゆき座は女性、文学路線、日比谷映画はアクション、有楽座は大作(ポセイドン・アドベンチャーみたいな)といった具合に。

でも「エクソシスト」から都内の多くの映画館が拡大ロードショーとして、この映画を上映しました。この作品は興行の形態を変えたといえるよね。

ストーリーは今さら書くまでもない。ハリウッドの人気女優の一人娘リーガンに奇妙な変化が・・奇行、わいせつな言葉をはき、暴れるようになる。母親のクリスは医者にみせるが、肉体レベルでは何の疾患も認められない。
どんどん悪鬼のように変貌するリーガン、ますます凶暴になっていく。
最後にクリスがとった方法はイエズス会の神父によるエクソシズム(悪魔祓い)
神父2人とリーガンにとりついた悪魔との壮絶な戦いが!!!

この映画の好きなところは最初のイラクでの発掘シーン。後に悪魔と戦うメリン神父(マックス・フォン・シドー)が悪霊バブズの石造のはしっこを見つけ、迫りくる戦いの予感に息を呑むシーン。まるでドキュメンタリーのよう。マックス・フォン・シドーは当時40代なのに、メイクと体の動きで完璧な老人を演じていた。

私が感じるこの映画の怖さは、恐怖の対象として「罪悪感」を描いていること・・

カラス神父(ジェイソン・ミラー、結構早く亡くなってしまった。スピード2に出てたジェイソン・パトリックのパパ)が母親を孤独のうちに死なせてしまったことに深い罪悪感を抱いている。
悪魔はそこをついてくるんだよね~
あ~イヤな性格~そこが怖い・・

キリスト教徒ではない私にとっては神を冒涜する言葉に対して「ひえ~~~こわい~~」という実感はないのよね。こんなちっこい部屋の片隅で少女をイジイジいたぶって最後には殺すことで自分の実力を誇示するなんて、姑息じゃ~んと思っちゃう。
だから、そういう意味での怖さはあまりないな。
それより人間の感じる孤独感や罪悪感の描写のほうがリアル・・そして怖い・・

気づいている方、いますかね?この映画1箇所だけ編集ミスがあります・・
クリスとカラス神父が最初に会うシーンなんだけど。

それから、この映画のすごいところは音楽を使っていないところ。「チューブラー・ベルズ」があるじゃ~んとおっしゃるでしょうが、作品中は1回しか流れていない。あとはエンドロールで流れるだけ。
効果音だけで緊迫感をガンガン盛り上げる。

すでに古典に入ってしまったけど、今観てもシャープな冷たさは色あせない。
クルクルまわる首とか、グリーンのオエオエ~などはご愛嬌。
そんなものより、どんどん人間として崩れていく娘をもったつらさのほうが全然怖い。
ちなみに最近公開されたディレクターズカットはあまり面白くありませんでした。
スパイダー・ウォークは気色悪かったけど・・