波打ち際の考察

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波屋山人

学力調査に反対する朝日新聞社は、子ども達ではなく教職員組合の方を見ているのか

2009-04-20 22:12:45 | Weblog
(すみません、べつに朝日新聞に文句はありません)

近々3回目の学力調査があるらしい。
今年も全国の小6と中3の学力が調査される。
私の生まれ育った町は、周辺地域の中で明らかに学力が低いところだったから、教育関係者は冷や汗をかいているかもしれない。

「学力調査」は、メディアによっては「学力テスト」と言われているけど、正式な名称は「全国学力・学習状況調査」。
今後どのようにすれば効果的な教育を行うことができるか学力や生活習慣を調査するみたいだけど、一部のメディアは反対の論陣をはっている。

学力調査に不安を感じる人が多いのは当然だ。
新しいことを受け入れる時、ついつい否定的な姿勢になることも多い。
だけど、学力調査に反対する様々な根拠を見ていると、論調から何かを隠しているように見えることもある。

「ほんとうは、一部の教師たちが、自分たちの能力アップを求められたり評価されるのを嫌って、保身を試みているのではないだろうか」

学力テストにもいろいろ問題点はあるのだろうけど、問題があれば改善を行えばいい。
柔軟な教育を受けてきた者であれば、問題解決の道筋を見つけられるはずだ。
「視力検査のときに前もって記号を覚えておこうとしたり目を細めたりする子がいるから意味の無い視力検査は廃止すべき」と言う人はいるのだろうか。

大事なことは教職員の既得権益を守ることではなく、子ども達がより良い教育を受けられるように環境を整えて行くことではないだろうか。

西日本新聞などは、教師がきちんと頑張るべきだ、ということを指摘している。
東京支社の稲田二郎記者は3/1の朝刊で「競争しなければならないのは、大人の側です。結果を求めて『競争に勝て』と過度なプレッシャーを子どもにかけるのでははなく、いかに子どもを伸ばすか、施策、指導法を競ってほしいのです」と書いている。

だけど、朝日新聞の論調は、頭を使ったり新しい価値観に基づいて行動したりすることが億劫な、保守的な教職員の利益を守ってあげようとしているように見える。
なんとか学力テストに否定的な考えが世の中に広がらないかと努力しているように見える。

目先の点数アップは学力調査の目的ではない。
新聞社の人たちは「子ども達を追い上げるような点数競争につながる学力テストは無意味」と言う前に、下記のようなことを指摘すべきではないか。
「点取り競争のような単細胞な教え方で点数を上げようとすることは非効率的。せかしたり怒鳴ったり命令したりすることを避け、その上できちんと知識や能力を子ども達に伝える方法を模索するのが教師の役割だ。学力調査では教師の教える技術や能力の向上が求められているのではないか」

なぜか、朝日新聞の論調では教師の責任や教師の能力アップの必要性について触れられていない。
自分たちの平穏な日々を乱されたくないと感じている、保守的な教職員組合の人たちと協調してもいいけど、それがほんとうに子ども達の環境の整備につながるだろうか。

日教組の人たちも、理想の教育があるなら自分たちで学校を作ってみればいい。
不平不満を抱えながら公務員を続けていても体にわるい。
筑波大学(東京教育大学)の同窓会(茗渓会)が設立した茗渓学園中学校・高等学校は、すばらしい学園になっている。
日教組中学校・高等学校も、人気になるかもしれない。

もし、学力調査を潰したいなら、難しくない。
教師たちが、わざと強権的な、子ども達のおしりを叩いて追い回すような古いスタイルの教育方法で点数アップを試みればいい。
それが社会問題化して「やっぱり学力調査なんかを行うからだ」という声が高まる。
メディアを味方につければ、「教師のレベルが低いからあんな指導法しか行えなかった」と批判されることもない。

だけど、それで元の木阿弥になったところで、教育の未来は明るくない。
公立中高と私立中高の格差がますます広がり、公立と私立で教員の能力の差も広がる。
私立に行ける都会の子・金持ちの子と、田舎の子・貧乏な子との格差が広がる。
「そんな格差社会を作らないために、政府は何か対策を考えないといけない」と言うのは無責任。

自分が解答例を示せないのに、相手の解答例を否定ばかりするのは知的ではない。
センター試験で6~7割の得点だった人が多い教員に比べ、センター試験で8~9割得点している人が多い朝日新聞社の人は、知識も能力もある人が多いのだから、ここは一つ、教員および子ども達のために、斬新な解決策を提案していただければと思う。
(私の生まれ育った町でも、一番成績の良かった男はT大から朝日新聞に進んだ。そこそこの成績の男は某教育大を出て中学教師になった)

それにしても不思議なのは、私の周囲の知的な人の多くが学力調査に否定的だということ。
もちろん朝日の人も含めて。。。


http://www.asahi.com/edu/news/TKY200904200097.html
■学力調査、揺らぐ目的 21日に3回目2009年4月20日
<写真>廊下に設けられた「学力アップコーナー」。毎日、放課後に補習が行われる=大分県豊後高田市の市立高田中学校
 小6、中3を対象にした文部科学省の全国学力調査は21日、3回目が実施される。過去2回不参加だった愛知県犬山市が参加に転じ、初めてすべての国公立校で実施される調査。しかし「全国レベルで子どもたちの学力を分析するため」という目的を外れ、学校現場ではよそに負けじと「点数競争」が始まっている。成績の公表をめぐっても揺れる現場。1回に50億円以上が投入される「国民的調査」への疑問はふくらむ。
・大分―点数アップ、廊下で補修
 大分県北部、人口約2万4千人の豊後高田市。15日の放課後、市立高田中学では、職員室前の廊下で生徒たちが英語のプリントと格闘していた。机を15台並べたこの場所は「学力アップコーナー」。新年度とともに毎日補習が行われている。生徒は各学級から出席番号順に毎日5人ずつ参加。403人の全校生徒が、国語、数学、英語の補習を月1回受ける。
 担当教員は、県教委が始めた「学力向上戦略支援事業」で配置された。学力調査の成績を市町村が自ら公表して「学力向上推進計画」を提出すれば、定数より多い教員の配置が認められる。数値目標も求められており、「学力向上」とはそのまま点数アップを意味する。県の昨年度の結果は小中とも全国37位。県教委の担当者は「市町村に競争させてでも成績を上げたいというのが本音」と漏らす。
 3人分の配置を受けた豊後高田市は、科目ごとに数値目標を設定した。例えば、昨年度の正答率が49.5%だった中3数学の活用問題は、今年度51%、11年度は55%を目指す。数値目標は、テストと同時実施の生活習慣などを問う質問にも及ぶ。「将来の夢や目標を持っていますか」との問いについて、小6で昨年度83.3%だった肯定的な答えを今年度は85%、10年度は87.5%、11年度には90%に伸ばしたいという。
 同市教委は「目安がないと目標が学校や保護者に明確にならない」「点数競争が目的ではない」と強調する。
 しかし、学校現場には疑問も多い。ある中学の教員は「学力調査の日までは、新学年の教科書より、当日点数が上がる復習に重点を置く。プリント学習も繰り返す。授業が面白いはずもなく、子どもは疲れた表情です」。小学校の教員も「市教委は校長に、校長は教師に平均点を上げろと言う。とにかく点数がすべてで息苦しい」と言う。
・鳥取―成績開示、補助で誘う
 学力調査をめぐり、文科省は都道府県別の成績は公表しているが、市町村別や学校別の成績は明かさず、都道府県に対しても名前がわかる形で公表しないよう求めている。「『ランク付け』が進み、過度な競争意識を招く」という考えからだ。
 しかし、知事の中には「税金を使って得た情報を教育関係者が独占するのは許されない」と唱える「公開派」が出てきた。鳥取県の平井伸治知事もその一人で、全国で初めて、請求があれば今年度分から各市町村、各学校の成績を開示できるよう県条例の改正に踏み切った。市町村教委には反発が強かったが、結局、19の自治体すべてが学力調査に参加することにした。
 県教委が参加の“誘い水”にしたのが「とっとり学力向上支援プロジェクト」(予算額4千万円)。「学力調査の結果を地域で共有し、学力向上を目指す市町村教委の事業を支援する」といい、09年度から1件につき200万円まで交付する。
 境港市教委の根平雄一郎教育長は「成績開示に対する考え方は、県とはねじれた状態のまま。学力調査への参加は苦渋の選択だった」。「お金は欲しいが、ひも付きの予算は使いたくない」と県のプロジェクトの申請は見送った。
 鳥取市教委の中川俊隆教育長も「学校別の結果がネットなどで流れ、序列化を招かないか心配だ」と語る。同市教委は2月、文科省に対し、学校別の結果を県教委に提供しないよう直訴した。
・私立―「得るものない」参加率5割切る
 様々な事情を抱えながらも国公立では「全校参加」が実現したが、私立はそっぽを向いている。参加率は初回の07年度から62%と低調だったが、08年度は53%、さらに今年度は48%(小学校46%、中学48%)と半数を切った。
 東京都のある私立中は過去2回は参加したが、今回は当日に授業参観があるため不参加に。校長は「4月は行事が詰まっている。参観日は前から決め、保護者にも伝えていた」。さらに「担任からは、学力調査の採点結果が出るのが遅すぎるとも聞いている」と続けた。
 東京都の別の私大系列の中学も今回からやめることにした。中高一貫校で学習内容を先取りしており「うちの学校の進度に合っていない」(校長)。教員にも「結果から得られるものがない」という意見が強かったという。
 入試の偏差値がトップクラスの渋谷教育学園幕張中高(千葉市)は、初回から続けて今回も参加する。しかし、小河文雄教頭は懐疑的だ。「基礎学力をみる問題では生徒たちはみな正答率が高く、調査の意味を持たない。参加すべきかどうか、毎年校内で議論になる」


コメント
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