イタリアより

滞在日記

サンタ・キアラ聖堂に思う

2012年02月06日 | アッシジ

サン・フランチェスコ聖堂と向かうように立つサンタ・キアラ聖堂

☆電線のように見えるのは、クリスマスのイルミネーションです(^^)

コムーネ広場からマッツィーニ通りをまっすぐ行くと、サンタ・キアラ聖堂に着きます。アッシジの観光では聖フランチェスコ聖堂見学後、コムーネ広場を経由してここまで歩いてくるのが一般的なコースになるかと思いますが、私も二日目、この聖堂の見学をしました。今日は中国人の観光客が沢山居て、とてもにぎやかです(^^)


アッシジの山から取れる淡い桃色の石で作られた聖堂は西日が当たると薄紅色に輝きます


この聖堂に祀られているキアラは、フランチェスコの愛弟子にあたる女性です。18歳から亡くなる59歳までの41年間を聖フランチェスコと共に生き、その教えを忠実に守った聖人として、女性ながら「もう一人のフランチェスコ」とも呼ばれます。キアラがフランチェスコに心を傾けたきっかけは、16歳の時、先の聖ルフィーノ大聖堂で聞いたフランチェスコの説法でした。もっともそれ以前にも、信仰のために彼が全てを投げ打って家を出たことも見聞きしていただろうし、又当時のそんなフランチェスコの生き方は、10代の多感な少女に少なからずの衝撃を与えたことは容易に想像のつくところです。

フランチェスコは、この時28歳。清貧の中に身を置き活動を始めてから2年後のことでした。自身の信仰心の迷いの中、命を懸けてローマ教皇に謁見し、自らが創設した修道会の組織を認めてもらった直後で、それ故に、自然と共に生きる素晴らしさ、清貧の中にある幸せを説く彼の姿は自信に満ちて、16歳のキアラにはさぞかし神々しく思えたことでしょう。

聖堂から望むアッシジの町

映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」では、キアラは貧しい家の娘で、持参金も期待できないとフランチェスコの父親が言う場面がありますが、実際は裕福な貴族の令嬢です。当然結婚の話も出ますが、キアラはこれを嫌ってついにフランチェスコの元に走ります。キアラが18歳の時でした。それからのキアラの一生は、ただただフランチェスコとその教えと共にあり、一切の迷いなく神への信仰にその生涯を貫いています。

しかし、キアラの生涯を知れば知るほど、下世話な話だと承知の上で思うのは、彼女のフランチェスコへの思いです。きっかけは神の教えだったに違いないでしょうが、フランチェスコの深い優しさに触れ、共に清貧の中に生きるうち、淡い思いも抱いたに違いなく、尊敬はいつしか特別な敬慕の情に変わっていったのではないかとも思うのです。勿論それは神の元に浄化された愛であって、なんら恥じることのないものであったと思いますが、しかしそんなキアラの気持ちにフランチェスコが気付かない訳がなく、やがてフランチェスコは、キアラが過ごすサンダミアーノから少しづつ遠のくようになっていくのです。

聖堂の中では、ちょうどシスターとおぼしき人達が掃除をしていて、ちょっと落ち着きませんでしたが、それでもキアラの腐ることがなかったという奇跡の遺体を前にすれば、神への信仰とフランチェスコへの深い愛に生きた彼女の生涯には圧倒される思いでした。(でも…シスターが掃除をしているキアラの遺体は変…確か、炭化して顔面は黒いはずなのに綺麗なお顔…何かの事情で公開できなくなったなら、それはそれでいいのに…)

こうして私は世俗の感慨にもふけりながら、この後オリーブの木立の中をサンダミアーノに向かうのですが…。

【余談】


サンタ・キアラ聖堂前:○印が銀行。矢印の階段を下りて行くとトイレです。

町巡りでどんなに言っても切実になるのがトイレです。アッシジの町にはメインストリートに結構有料トイレがあって、さほど困ることはないのですが、問題はその有料料金です。どこのトイレにも両替機がなくて、50セント硬貨が一枚必要になります。バールで飲み物でも買って小銭を~と考えますが、飲みたくもない、食べたくないものを買ってまで、と思うのです。それに飲み物を飲んだら又トイレ~という悪循環(笑)

今回、私のサイフには見事に小銭がありませんでした。そこで思いついたのが銀行で両替をしてもらうこと。幸い、上の写真のように、サンタ・キアラ聖堂前には銀行があって、おまけにすぐそばにトイレまで。石造りの一見銀行のようには思えない建物にはしゃれた回転式のドアを押して入りました。中には、一人お年寄りがいて、なにやら窓口で相談をしている様子です。耳に入ってくる「ペンシオーネ」という単語から推測すると、どうも年金の通帳記入に来ていたようでした。係の男性もお年寄りもほんとにゆっくり~のんびり~。私も行内に入った以上、出る訳にもいかず、40分近く待ってやっと応対して貰いました。5ユーロ札を出して、50セント硬貨が必要だから両替をして欲しいと言うと、黒縁めがねを掛けた、ダビデを気弱そうにした、それでもよく見るとイケメン銀行マンは、気軽に1ユーロ札と50セント硬貨を4枚混ぜて換えてくれました。もしかしたら、「バールで買い物をして小銭をつくれ~」みたいなこと言われるかと、ダメ元で臨みましたが、アッシジはやっぱり優しかったです(*^_^*)
コメント (7)
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