ところでラオスは古くはベトナム、カンボジアと並んでインドシナ3国といわれている国である。今はアセアン10カ国の一国であり、経済指標では最貧国とされている。人口は691万人(およそ愛知県ぐらい)。
最貧国となれば、ユニセフの広報による栄養失調や不就学の子どもが多いと想像するが、それとは事情が異なる。少数民族(49民族)が多く、近代化、工業化が遅れて自給自足的暮らしが多いと理解したほうがよいだろう。
首都ビエンチャンでも商店は少なく、露店や市場による売買が多く見られる静かな都市である。このところ中国系のショッピングモールができたというニュースを目にしたが、大量消費の社会ではない。航空交通の国際線はベトナム、タイなど東南アジアと思われる。
ラオスの他国との関係について触れてみよう。隣国であるタイとの交流は昔から行われている。それは上座部仏教(以前は小乗仏教といった。タイ、ミャンマーも同じ)が暮らしの隅々まで行き渡っているという文化の共通点がある。また政治的にはベトナムとの関係が深く、経済的にはタイ、ベトナム、中国と関係がある。
ところでラオスのサッカーのレベルに触れてみることにしよう。
サッカーはラオスでレベルの高い選手は、タイでプレーするという。とはいってもぼくの推測ではレギュラーを確保しているとは限らないだろう。ラオ・プレミアリーグ発足時は、多くはタイでリーグを経験した選手によると伝えられている。
ラオスのFIFAランキングは172位、アジアで36位だから、世界的には最下位クラスに位置している。ちなみに代表監督と技術委員を日本サッカー協会から派遣している。
参考までに得点王になった本田和雄選手の日本でのサッカー選手歴は、22歳までアマチュアのリエゾン草津(現J2ザスパクサツ群馬)でプレーをし、その後セルビアで2年半、ハンガリーで9年プレーをし、14年からのラオ・プレミア発足からラオスでプレーをしている。
他の日本人選手も一人Jリーグの仙台に所属していた伊藤檀選手がいるが、他はJでの選手経験がない。
ラオ・プレミアムは、プロといってもサッカーだけに専念できる環境でないかもしれない。仕事をしながら選手生活をするのは、日本ではJ3、JFLの企業以外のクラブ選手が多く見られる。それらの多くのクラブにはブラジルの選手が在籍している。おそらくブラジルでは実績のない選手であろう。それでも日本で得る収入はブラジルより高額であろう。
ところでラオスではどのぐらいの年俸なのだろうか。これは推測の域を出ないが、プロといってもクラブはサッカーの会社ではないので、現地の安定したサラリーマンぐらいあるいはせいぜい2倍ぐらいと思われる。とすると月2~3万円で生活できると思われるので、そのぐらいかあるいは5~6万円ぐらいだろうか。日本の貨幣価値からすると取るに足らない金額と思われるかもしれないが、現地の生活費からすると余裕のある金額である。
日本選手の彼らは、金銭というよりサッカーをしたい、サッカーで輝きその社会に貢献したいという情熱があるのではないだろうか。前述した伊藤檀選手の場合現在39歳だが、アジアの17カ国を渡り歩いてプレーしているという(「テイスト・オブ・ラオス」から)。
このことから推測すると、ラオスのレベルは日本との比較では地域リーグの平凡なクラスと思われる。平凡なクラスというのは、地域リーグの力のあるクラブはJFLへ昇格を目指して全国大会へ出場するが、そのレベルでない都道府県の地域リーグに参加しているぐらいかと思うのだ。これとて地域によってリーグのレベルの差は大きい。
なにはともあれ日本のサッカー選手が、日本での実績がなくともかなりの人が外国でプレーしているということだ。
東南アジアだけでも50人から80人ぐらいと推定されている。実態が知られていないが、世界中ではヨーロッパも加えると100人を超えると思われる。
あらためて日本のサッカー選手が日本にとどまらないところでプレーしている、サッカーが世界のスポーツであることグローバル化時代であることをつくづく感じる。
Jリーグ発足20年を過ぎたが、当初はあまり想像できなかったことだ。ぼくの関心事なので、それぞれの人生と国の文化・生活にもふれた詳細な実態を知りたい思いが募るのだ。
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