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恐竜時代に思いを繋ぐ草

2016-01-26 07:00:45 | 日記
数少ないこの時期の緑

 一面の雪景色、リンゴ畑がある丘と丘を繋ぐ坂道には、茂った枝と絡まる蔓が
風を防ぐので、そこだけ雪の少ない場所がありました。
周囲が白一色なので、普段は目にも入らない幾何学的な形のくすんだ緑の葉っぱが
妙に目立っていました。

 毎週火曜日はウォーキングの途中で目にした山野草を取り上げていますが、今週は
チャセンシダ科 トラノオシダ です。

 地味な草にこんなに立派な名前があるとは思いもしませんでした。
日本全国の身近な場所に生えている草です。
20センチほどの葉が石垣から顔を出しているのを誰でも見た事があるでしょう。
いわゆるシダの代名詞的な存在ですが、実は知名度も認知度も共に低い存在です。

 縁遠いのは人間ばかりではありません。
近年野菜や牧草や高山植物、果ては木の皮まで剥いで食べまくる鹿の食害が報じられています。
その鹿ですらこの草には余り食い気を示しません。
他に食べる物が無い場合に、しょうがない少し齧るか、時々そういった食べ跡が
見られる程度です。
 そんなシダですが、あの時代には主役の食料でした。
そうです、ジェラシックなあの時代です。

1日に食べる量は300kg

 御存知の通り中生代の地球上には巨大なシダが繁茂していました。
これを恐竜達は主食にしていました。
 体長33mにもなるスーパーサウルスの仲間は、細くて長い首で頭を支えていました。
だから重さを抑えるために口にはほとんど歯がありません。
むしり取ったシダを、まるで鶏の様に、胃に飲み込んだ石でこすり合わせて消化をしたのです。
 後の時代に現われたサイにそっくりなトリケラトプスには頑丈な首がありました。
その為この種には臼歯に似た形状の歯が備わったと言います。

 さて一匹の恐竜が1日に食べる植物の重さは何と300kg。
その勢いには、さすがに我が世の春を謳歌していたシダも危機感を持ったのでしょう。
毒を持つ種類が増えたと言います。
 恐竜の大絶滅の一因には、有毒なシダ類の存在とする説もあるのです。
そのDNAは現在のシダにも引き継がれ、強力な化学物質を持つ種類がいくつかあります。
お馴染のわらびでさえ大量に食べると発がん物質の影響を受ける様です。

 日の差し込まない坂道の一画で誰にも顧みられずにひっそりと根を張る一株のシダ。
実はこれ、恐竜時代に思いを繋ぐタイムトンネルだったのです。
コメント
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