Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

原田泰治「ふるさと心の風景」展

2009-11-13 00:44:59 | 私の日々
知人が大手町・逓信総合博物館で原田泰治「ふるさと心の風景」観てきたと、
彼女の買ってきたポストカード集2セットを見せてくれた。

山間の村落、奥深い雪景色、紅葉に色づく森林に囲まれた畑を耕す家族の姿、
段々畑に咲く蓮華と茅葺の家。
夕焼けの空を背景に漁をする人と子供達、
朽ちかけた蔵の前に広がる沼を一面に覆いつくす蓮の花々。
置き去りにされたような古いバスと日傘を差し子供を背におぶった女性の絵はシュールだ。

満開の桃の木の下に菜の花が咲き、新緑の後ろには連峰がそびえる。
何とも懐かしい想いにかられ、説明を読むと、父の生まれ故郷の景色だった。
一つ一つの作品の中に小さな宇宙が閉じ込められているかのようだ。

開期が11/13までと聞き、一昨日に行ってきた。
東京駅からも歩けるが、大雨なので大手町まで地下鉄に乗る。

その日の朝、私はfacebookで、Pが出したこんなステータスを読んだ。
「5歳の少年が、2年半の癌の闘病をした。
そして、彼の家族は来週にクリスマスを祝うつもりだ。
今年のクリスマスは迎えられそうもないから。
少年の願いは、できるだけたくさんのクリスマスカードを受け取ること」

お馴染みのメンバーたちが、早速、カードを送ると書き込んでいた。
私も、そうすると書き込む。
手元に鳩居堂で買った歌舞伎風のクリスマスカードがあった。
中に書く内容は迷ったけれど、差し支えない事に留め、
住所を書き始めた。"Fountain"と書いてしまい確認すると文中では"Foountian"
と書かれている。
修正液で書き換えようかと迷っていたら、未知の人物Jからfacebookに書き込みが。

「この情報が正しいか確めもせずに流していいの?
みんなも簡単に信じていいの?
ソースを確めてみた。正しい住所はこれよ。」
リンクが張ってあった、そして杖をつきながら家の中を歩く少年の映像も、
この事を紹介するニュースの映像も、詳しい記事も添付されてある。
住所は私が間違えた"Fountain"が、正解だった。
そして、"Viewcircle"は、正しくは"View Circle"

Jに「リンクで確認した。少年の姿を見ることもできて良かった。
今日の午後、郵便局へ行く。少年と家族のために祈る。」と返事。
Jからも返事のコメントが来る。
その間、オンラインになっているPは沈黙している。

家にもとんでもない宛名書きの航空便が届く。
そしてアメリカに住所を間違えて送った郵便は戻ってくる。
多少の間違いがあってもだいじょうぶかとそのまま送る事にする。

郵便局に行き、「綺麗な切手を貼りたい。」と言うと、
先日カミュラ宛てに送った時は「花尽くし!」と花々の切手を貼ってくれたが、
今回は「お祭りシリーズの記念切手、こんなのどうですか?」と見せてくれる。
男の子に喜んで貰えそうな賑やかな祭りの様子。お願いして投函した。

Jのコメントはもっともだと思う。
私は手紙を出すだけで失うものは何もないけれど、
もし、間違った情報で送られた人に迷惑がかかることがあったら、
たいへん申しわけないことになる。

夕方、雨の中、逓信総合博物館に行く。
迎えてくれたのは、郵便局で手紙に貼ってもらった10月の記念切手、祭りの絵だった。
原田泰治の作品の数々は郵便切手、記念切手として使われていることを知った。
作品展、実際に絵を観ることができて、また一つ一つの作品に描かれた場所、
その場所でのエピソードの説明書きがあり、日本各地の風景が展示されている。
会場の隅でビデオが上映されていた。
ハワイのノースショアにも作品を描きに出掛けている姿が紹介された。

原田泰治は少年と同じように杖をついていた。
子供の頃に患った病の名残だと聞く。
少年に送る封筒に貼られた祭りの切手の原画を観るという今日の日の偶然と同様、
あの杖をつく少年がずっと元気で大人になって欲しいと願った。