Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Liszt 『巡礼の年』"Annees de pelerinage"Bertrand Chamayou

2015-05-29 19:28:44 | ボルドーへの旅
昨年8月の末、ボルドーでフランス語教師二人の家に一週間滞在した後、
ボルドー市内のシャンブル・ドット、三部屋しかない民宿のようなところに移動した。
私と同世代のマダムと彼女のママン、二人で二匹の猫と共に美しい家と庭を維持していた。
小振りのプールのある庭には花々が咲き乱れ、
4階建ての建物、一階は玄関脇にグランドピアノのある客間。
廊下を進むとキッチン、庭園を臨むリビング・ダイニングへと誘われる。

2階にはマダムとママンが住み、私の通された部屋は3階だった。
同じ3階にもう一部屋と更に4階に一部屋。


朝食も滞在客全員で一つのテーブルを囲む。
季節が夏の終わりだったこともあり、
いつも朝食は外にテーブルがセッティングされていた。


夜もマダムとママンは滞在客の帰りを玄関脇の客間で待っていた。
ここでひとしきり、その日の出来事などを話し、
各自の部屋へと戻って行く。

ある晩、私はこの客間に置いてあるCDに目を留めた。
Liszt "Annees de pelerinage"Bertrand Chamayou
リスト『巡礼の年』の中の曲は金子三勇士君の演奏で、
何曲かに馴染んでいた。
ママンとこのCDのことで話が弾む。
「オーベルマンの谷」をリストが作曲するきっかけとなったとされる
セナンクールの小説「オーベルマン」
ママンから「原作も素晴らしいからぜひ読んでみて。」と言われる。
作家が20歳の時にヨーロッパ各地を放浪した旅の書簡形式の物語、
と聞いているが、フランス語の原書などとても読めるとは思えない。
以前に日本語訳された書籍を探したが既に絶版となっていた。

このCDで演奏しているピアニストにもエッジの効いたジャケットから、
興味を持った。
Bertrand Chamayou、現在34歳、今、フランスで最も旬なピアニストだそうだ。
フランス版「ELLE」の今月号でも彼の特集が組まれていた。


一度演奏を聴いてみたいものだと思っていたら、
何と5月初めの音楽祭のために来日してサントリーホールで演奏していた。
生演奏を逃したのならせめてCDを聴き込みたいと、
このアルバムを取り寄せることに。
3枚組のCDのセットと丁寧な解説書が付いている。
アルバムの雰囲気を伝える美しいモノトーンの写真も添えられている。
「第一年スイス」のCDをセットしつつ、
フランス語のタイトル、一曲ごとに手書きで邦題を書き込む。

今までリストの曲、ハンガリーの演奏家か金子三勇士君の演奏でしか、
しっかりと聴いたことがなかった。
初めて聴くシャマユの演奏は新鮮。
円熟し、洗練された味わいがある。
そして現代的でもあり、いかにもフランスのピアニストらしい。

しかしアルバム3枚の「巡礼の年、第一年スイス、第二年イタリア、第三年目」
通して聴くことでどっぷりとリストの世界観に入り込む。
通して聴くことで見えてくるもの、感じ取れるものがある。

新作「ベルトラン・シャマユ/シューベルト:さすらい人」
も早速オーダーしてしまった。

アメリカン・アイドル シーズン14 TOP4→3

2015-05-22 00:04:33 | アメリカンアイドル
今まではTOP3に与えられる特権だった「アメリカン・アイドル」における一大イベント、
"Home Coming"、凱旋ツアーが今回からはTOP4から行われた。
それまで番組の収録に缶詰になっていたコンテスタント達が、
プレイベートジェットで故郷に帰り、リムジンが迎え、
家族の友人の待つ家に帰宅、その後、地元でパレードとコンサートをする。
今までのコンテスタントの中で「優勝したい」ではなく
「凱旋ツアー」を志望動機としていた人もいるほどだ。

里帰りをした後は皆、表情が明らかに違ってくる。
出発点に戻ることで自分の環境の変化を実感し、
地元の期待を背負っていることを自覚する。

今回の課題は三曲。
ボーカルコーチのスコットの選んだ曲、故郷を想う曲、審査員の選んだ曲。

レイヴォン、ジェイソン・デルーロ"Want to Want Me"
旬の曲がレイヴォンにぴったりフィットする。
赤のジップジャケットとTシャツ、黒のパンツにハット。
目の輝きが違う。観客ともしっかりコネクト。
この日の番組のスタートに相応しいパーフォーマンス。
私はだんだんこの人とエリック・べネイの若かりし頃が重なってきている。
レイヴォンのツイッター、エリックもフォローしていることに先日気づいた。
ハリーからも「君のアップテンポな曲の中でベスト。」と褒められる。

クラーク、U2"Beautiful Day"
しっとりとしたジャズも行けるし、R&Bしかり、そしてロックも充分に歌える。
声量は豊か、いろいろな技術も備えているけれど、
弱音の時に音がいつも不安定に感じる。
前回の件で視聴者にどう受け止められたのか、本人も不安が残っているのでは。
たくさん撮っているはずの映像の中であえて反抗的な部分が強調されてしまったこと、
番組に対してもわだかまりが彼の中であるのかもしれない。
どことなく今までの優勝する気迫、オーラが薄れてきている。

ニック、ブルース・スプリングスティーン"Because the Night"
ギターを手に歌う姿、外見が明らかに変わってきている。
シェイプアップされて自信が漲っている。

ジャックス、The Who"My Generation"
この人のハスキーな声とロックののり方が好きだ。
名曲を自分の曲にしている。

里帰りの様子、一番先はニック。
コネティカットへとプライベート・ジェットで向かう。
街を挙げての応援の様子に「自分のためではない、
応援してくれる人のために優勝したい。」
Andy Grammer"Back Home"
もうアメリカでは結果は出ているはずだが、
もしかして優勝はこの人かと思わせる人気ぶり。

クラーク、テネシーのナッシュビルへと向かう。
コンサートはクラークが在学していたリー大学の聖歌隊と共演。
「僕には夢がある。一生音楽を続けたい、これからも応援してほしい。」
オーティス・レディング"The dock of the bay"

レイヴォンの故郷はバージニア、リッチモンド。
ニュースに出演して司会者も巻き込んで歌ってしまう。
出迎えた母、姉、甥と共にリムジンに乗り、母校へと向かう。
歓迎を受けて、弾けて無邪気に踊っているレイヴォン。
「人を元気付けて笑顔の輪を広げたい。」
雨の中をパレード、リッチモンド市長、シーズン5のトップ3だった
エリオット・ヤミンに迎えられる。
エリオットは度々来日もしていて、
2009年のビルボードライヴ東京のコンサートには私も行っているが、
日本での人気の高さに驚いた。
レイヴォン、地元のコンサートでは母に捧げる曲として、
"Believe"を歌う。
テレビでレイヴォンが歌った時は客席から気丈に声援を送っていたお母さん、
地元では感極まり泣き崩れている。
車の中で喜びを語る母の言葉に素直に頷くレイヴォン、
幼い甥とふざけるレイヴォン、家族と一緒の姿に彼の優しさが出ている。
スティーヴィー・ワンダー"As"
とても良いアレンジだったが、最後のサビの部分が省略となり、
私の中ではもっとしっかり聴きたかったという心残りが。

ジャックスはニュージャージー、やはり地元での人気は凄い。
ニックのコネティカットと共にNYCで仕事している人の中には、
ニュージャージーから通う人も多い。
東京においてのそれぞれ埼玉、千葉といったところだろうか。
Evanescence"My Inmortal"
ピアノの前でドレス姿で歌うが、謙虚さと自信が溢れている。

審査員が選んだ曲のトップはクラーク。
Weekend"Earned It"
最近は盛り上げ方のパターンが定型化していると思っていたクラーク、
停滞している状態からやっと本来の調子を取り戻した。

レイヴォン、Joe Cocker"You Are So Beautiful"
"You are so beautiful to me"という歌詞、要するに「大好きだよ」
愛の中にはいろいろな要素がある。
その切なさだったり、慈しみ、愛することの喜びだったり、
様々な感情が凝縮されていてレイヴォンの曲の深め方、
技法、表現力共に最高だと思ったのだが、ジェニファーは「変化に乏しい」
かつて妻を亡くして数か月後に友人の勧めでアメリカンアイドルに応募した
ダニー・ゴーキー、TOP5で番組を去る時にこの曲を歌っている。
それはもう明らかに亡くなった妻を想って歌っていることが、
手に取るようにわかり観客達は涙したことを思い出す。

ジャックス、Paramore"Miseny Business"
ラフな服装で雰囲気を変えているが、最初の二曲には及ばない出来栄え。
やはり三曲歌うのはたいへんだ。

ニック、エドウィン・マッケイン"I'll Be"
全く知らない曲だっただけにまるで本人のアルバムのための曲のよう。

結果発表、ニックとクラークが決まり、残るレイヴォンとジャックス。
レイヴォンは脱落が決まった時にジャックスの健闘を讃え、
一方ジャックスはレイヴォンの手を挙げて「彼に拍手を!」
ジャックス、ほんとうに優しい。
この番組は勝ち進む内に人柄も磨かれていくようだ。

レイヴォンはステージから降りてお母さんの元へ駆け付ける。
スコットがハグしようとするがハーフハグに留め、
一目散に母親のところに行き、がっつりハグ。
最後まで私の期待に応える姿を見せてくれたレイヴォン。
選曲も好みの曲ばかりだったので次回からが寂しくなる。

ところで、今回の凱旋ツアー、
里帰り映像、今まではもらい泣きするシーンが必ずあったのに、
今回は一度も涙を誘われる場面がなかった。
3人から4人になったことでドキュメンタリー部分が浅くなったからなのか。

今週の土日でトップ3から2、そしてファイナルへと続く。
ファイナルでは応援するアーティスト、ナイル・ロジャースが、
現在のCHICのメンバー達と出演したと聞くだけに楽しみ。

金子三勇士、キシュマロシ村へ凱旋公演

2015-05-19 21:43:36 | ピアニスト 金子三勇士
アメリカのオーディション番組「アメリカンアイドル」では、
候補者が最後の4人に絞られ、その4人が各自生まれ故郷へと
凱旋公演を行う"Home Coming"の様子が週末に放映された。

ちょうど時同じくしてピアニスト・金子三勇士、
6歳から13歳まで祖父母と共に暮らしたハンガリーのキシュマロシ村へと向かった。
ハンガリーの首都ブダペストや地方都市でコンサートツアーを行っていた金子三勇士、
子供時代を過ごしたキシュマロシ村でのコンサートは、
ことさら感慨深いものになったようだ。

雪が深く、まず出掛ける前に雪かきをするのに数時間かかったこと、
近隣に子供がいないので動物が遊び相手だったこと、
当時は救急車を呼んだとしても到着まで数時間掛かるような田舎だった、
月に一度、街に降りて行き、高崎に住む母親に電話するのを楽しみにしていた、
日本から来た少年を給食のおばさん達が可愛がり、
ハンガリー独特の美味しい料理をたくさん大盛りにして食べさせてくれたこと、
リスト音楽院に入学してからも、
初めはお祖父様が車で往復何時間もかけて送迎していたが、
その時間を練習に充てるべく、13歳からはブダペストで一人暮らしが始まった、
そんな話を折に触れ思い出深く聞かせてくれていた。

キシュマロシ村、まず三勇士の公演のためにポスターが作られ、
村に一つしかない公会堂にはグランドピアノがレンタルされる。
そこに集まった人々の前で三勇士は演奏し、村長から名誉村民賞が授与される。

子供時代に一緒に過ごした友人は、その頃の写真を持ってやってきていた。

三勇士の母校の小学生達はピアノの近くに寄り、周りやピアノの下で生演奏を体感する。
その小学校には金子三勇士の写真が廊下に卒業生として飾られているそうだ。
写真でしか見たことのなかったピアニストの演奏を直に聴くまたとない機会。


感極まり涙する三勇士の写真は地方紙の紙面を飾った。
現地での熱気が伝わってくる。


金子三勇士、プラハを案内する番組の放映が既に予定されている。
5月24日(日)BSフジ  20:00〜20:55 
欧州音楽紀行第2弾「〜偉大なる音楽家が愛した歴史と芸術の都・プラハ〜」

キシュマロシ村在住のライターによる金子三勇士のインタビュー(2011年3月)
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/e/63aea5eca7f0511d8de7163916bd35e4

India、卒業おめでとう!

2015-05-17 19:06:54 | エリックベネイの日々&KyteVideo
Eric Benetの娘、Indiaが遂にUSC、南カリフォルニア大学を卒業した。

家族の絆を大切にするエリックべネイ。
ミルウォーキーに住む姉リサの息子、カーティス、
サンディエゴ在住の姉ジェニファーの息子などインディアの従弟達も卒業式に招き、
共に式典に参加、インディアを祝福している。


インディアは高校生の頃からデビューしたいと言っていて、
アメリカンアイドルにも挑戦してみたいと投稿していたことがある。
エリックは自分が大学を中退した経験から、
「この業界でやっていくのは難しい。まずは学位を取ってから。」
と譲らなかった。

エリック・べネイの来日毎にインディアに「あなたは一緒に来ないの?」
と尋ねてきたが「東京も日本もずっと行ってみたいと思っているの。
でもお父さんが学校を休んで行くのは認めてくれないから。」
なんてお返事を貰ったこともある。

「さあ、君の人生はこれからだよ。」とキャプションを付けて、
エリックは下記の写真を投稿。
晴れて大学を卒業したインディア、
これからは自分の好きな道へと進んで行ける。

アメリカン・アイドル シーズン14 TOP5→4

2015-05-16 18:11:21 | アメリカンアイドル
今回のテーマは一曲目、審査員の故郷の歌、二曲目、自分の魂を込めた歌。
今までは里帰りの凱旋ツアーができるのは3人だったが、
今シーズンからは4人、したがって今回勝ち残った4人が地元へと帰り、
歓迎のシャワーを受けることができる。

クラーク、Stevie Wonder"Living for the City"
大好きな曲をクラークが歌うという期待を込めて見つめていたが、
グルーヴ感が全く出てこない。
後ろに控えるバックコーラスもバンドも最高なのに。
ピアノを一瞬弾くのが返って中途半端な印象に。
服装はボーカルコーチのスコットの抱えるスタッフからアドバイスを受け、
ダーク系のシャツとパンツも曲の雰囲気に良く似合っている。
ハリーはリズムのポケットがなかった、リズム感に奥行きを感じない、
とコメント。

ジャックス、Alicia Keys"Empire State of Mind"
ピアノを前に歌い始める。
ジャックス、凄く良くなっている。何かが変わった。
お父さん子の良い娘、というところから大人の女性、
人間的な彼女本来の魅力がぐっと前面に出てきた。
初めて彼女の歌に惹きつけられる。
体調が万全ではなかったようで声が掠れていたが、
アーティストの中にはこういう時に辛さをバネに
それを良いパーフォーマンスへと昇華できる人がいる。
それができたジャックス、本物であることを証明した。

ニック、Matchbox"Bright Lights"
今回トップ5全員はボーカルコーチ、スコットの本拠地であるナッシュビル、
プライベートジェットで案内される。
ニックをどう売り出すか、スタッフ達とミーティングする様子が映る。
「今までは小さなバーで自分で観客を集めるのに必死だったのに。」
と自分のために一流のメンバーが策を練ってくれることに感激している。
選んだ曲はニューヨーク賛歌、
自信が漲っていて、それが歌に表情にとにじみ出る。
本気で優勝を狙っていることがひしひしと伝わってくる。

ボトムはレイヴォンとティアナ。
結果はティアナの落選。
ティアナは純粋に歌うことの好きな素朴で良い子なのだと思う。
しかしアイドルとして勝ち進む内に歌以外の部分、
営業的なこと、歌手として売り出すためのコマーシャル的な部分、
自分をアピールしたり、期待された役割を演じたり。
だんだんと重荷になってしまったのではと思う。
客席からティアナのお母さんが娘の健闘を讃え拍手を送る姿が映る。

レイヴォン、レディ・アンテべラム"Need You Now"
女性が失恋の辛さと孤独感を切々と語る曲。
心の奥底から歌うレイヴォンの姿に涙が出た。
審査員からは大げさになりがちな曲、もっと押さえてこそ醍醐味が出ると。
しかしハリーは「誠実な若者が心を込めて歌うバラードほど素晴らしいものはない」
と絶賛。ハリーは一度認めると相手に一直線なのかと微笑ましい気持ちになる。
5回ボトムに入った人がここまで残っているのは番組史上初めての快挙。

クラーク、Josh Turner"Your Man"
ボーカルコーチ、メンターにも止められるが、
妥協してまで優勝したくないと自分の選曲を貫く。
今まで優等生で来たのに急にどうしてしまったのか。

以前、トップ5まで来たコンテスタントが選曲のたいへんさ、
著作権の許可が下りなかったり、アレンジが時間通りに収まらなかったりで、
決まるまでに5曲近く、変更を重ねたという苦労を語っていた。
自分を表現できる曲を次々と否定された結果、
もうこれしかないと意地になってしまったのだろうか。

この曲の渋さに惹かれ、ギターソロに芸術性を求めたのかと思うが、
観客の共感を得るパーフォーマンスとはとても思えず、
クラークの独りよがりのステージになってしまう。
次回のクラークの結果に暗雲が立ち込めてくる。

クラークは紹介されたリハーサル風景から自分を誤解しないで欲しい、
と話し始める。
今回はコンテスタント達が予定外のコメントを話す場面が多い。
これは対抗する番組"Voice"などの影響だろうか。

ジャックス、Christina Perri"Human"
今まで親子関係ばかり強調されてきたが、
父との絆ばかりでなく、もちろん恋愛も経験しているだろうし、
そういうジャックスの女性らしさが押し出されてきて、
この曲を歌うジャックスに親しみを感じた。
審査員から、全体を通して歌えてなくても、
人の心を打つ場面を一つでも作ることが大切だとのコメント。
確かに声が出ていなかったりする部分もあったが、
全部を完璧に歌い切れなくても、一瞬でも人を引き付けることができれば、
それはパーフォーマンスにマジックを掛けることになる。

スコットのスタジオにスティーヴン・タイラーが登場する。
感激するジャックス、ファイナルでの共演もその場で決まった。
スティーヴンの曲を本人と向き合って楽しそうにデュエットするジャックス。
こんな嬉しいサプライズが彼女を変えていったのかもしれない。

レイヴォン、ジャスティン・ビーバー"Believe"
母に捧げる、母との思い出を歌うレイヴォンにリハーサルから、
もうボーカルコーチもメンターも涙目になっている。
バラードだけではなく審査員達のアドバイスも聞き、
アップテンポの曲も歌ってきた。
そういうすべてのステージ経験が集大成となり、この曲へと繋がっている。
見ていてレイヴォンの強い想いに圧倒され涙。

客席の母親とレイヴォンはアイコンタクトしている。
お母さんも泣いてないでレイヴォンを見つめながら踊っているところがいい。
コンテスタント席ではクラークが両手を上げて讃える。
それが私には「負けたよ」と映った。

審査員達も三人とも感動を隠せない。
ハリー「この曲を作るのに15人程の人が関わっているはずだが、
全員が納得しているはずだ。」と称賛。
司会のライアンに促されて客席から母がレイヴォンのもとに駆けつける。
固く抱き合う二人。
ボトムからいつも這い上がってくるこの人の姿にはほんとうに励まされてきた。
今は優勝も夢ではない。

ニック、ラスカル・フラッツ"What Hurts the Most"
リハーサルではゲストメンターのジェイ・ディ、
自分の曲だけに思わずギターを取り伴奏。
スコットとジェイからギターは持たずボーカルに集中するようアドバイス。
どんどんシェイプアップされてきているニックだが、
どうしても力み過ぎている印象が拭えない。

TOP4が決まった。
イタリア系、アフリカ系、アングロサクソン系。
今晩放映される4人の里帰り映像、出身地、環境も違うだけに、
それぞれがどんな表情を見せてくれるかが楽しみ。

楽屋にて

2015-05-15 18:50:54 | アメリカンアイドル
イタリア・ミラノでライヴを行ったCHICのメンバー達、
次々とアメリカン・アイドル、フィナーレへ出演のため帰国、
とステータスを出している。

フィナーレでどのような形でCHICがパーフォームをするのか、
トップ11となのか、5となのか、あるいは一人のコンテスタントとなのか。
楽しみは尽きない。

一方、結果もメンバー達がツイートしている可能性が高いので、
10日遅れで日本の放映を見つつ、ワクワク、ドキドキで決勝を見守りたいので、
ツイッターに関しては封印している。

写真は「アメリカン・アイドル」フィナーレのステージの楽屋にて。
CHICのフォラミがこんなコメントを付けて写真を載せていた。
"Couldn't believe my eyes when I saw a #juicing station back stage!!!
How did they know I needed this in my life?!
#givinglife @americanidol 🍆🌽🍅🍏🍊🍋🍐ー 場所: The Dolby Theater - Hollywood!"

ご自由にジュース、スムージーをお作り下さい、
とマシーンと野菜、果物が用意されている。
健康志向のカリフォルニアらしい。
これにはフォラミも感動している。

アーティストの楽屋での食生活は意外に不自由がある。
親しくなるとそんな話も聞かせてくれるし、楽屋の様子を見る機会があるが、
例えばビルボード東京はビュッフェのコーナーを作り、
そこから摘まむようなスタイルだったし、
ブルーノート東京ではメニューの中からアーティストの好みを聞きつつ、
1stと2ndの合間に短時間で食べられるワンプレートの物。
それでもクリスマスなど特別な時期には、
メインのアーティストとクルー達に楽屋で特別ディナーを振る舞ってくれていた。

食事ができるライヴハウスではなく、コンサートホールの場合、
ツアー先、地方都市では現地の会場でお弁当が用意されているのが一般的だが、
都心の会場では反対にマネージメントが調達するものと解釈してか、
食事を当てにしていると準備されていなかったりする。

アーティストの中にはカフェインを控えている人も多い。
頭の中の演奏と手の動きが一致しなくなるからと話してくれた人がいる。
来日したアーティスト、緑茶にはカフェインが入ってないと思っていて、
暑さから冷やした緑茶を飲み過ぎ、
演奏中に手が震えてきてしまい、初めてのことだけに驚いた、
と言っていた人もいた。

全米を巡るツアー、エリックべネイは飛行機よりも
荷物を持っての移動、時間待ちの負担が少ないツアーバスを好むが、
本人が食材を調達してサンドイッチを作ったり、
ホットティーを自分で用意していた。

咳や風邪で熱があっても舞台には立てるが、
お腹にきてしまったらどうしようもないとのこと、
ステージ前にはカフェインばかりか生物、お腹が張る豆類も控える、
などそれぞれに工夫、苦労もある。
歌手の人に関してはとにかく良く水分を取って、
喉を常に潤すように気を配っている。
しかも温かい飲み物に拘っている人もいた。

フォラミも普段愛用している生ジュース、
楽屋でまさか飲めると思わなかっただけに嬉しくてこんな投稿をしたのかと。
それにしてもアメリカでの長寿番組、
国民的アイドルを生み出し続けた番組だけにさすがの心遣いと私も驚いた。

アメリカン・アイドル シーズン14 TOP6→5

2015-05-04 16:17:22 | アメリカンアイドル
今回のテーマは「アンセム」、応援歌、賛歌。

今シーズン、ツアーのアナウンスがないと思っていたら、
なんとトップ5のみのツアーになると知る。
ということは今回選ばれた5人のみのツアー。
トップ11から10はなくて9へと絞られたので、
おそらくこの11人全員のツアー、
プラス補欠要員が2人位の規模かと想像していたので、
番組がどんどんダウンサイズされてきているのがわかり、
来年の存続を案じて心配になる。

ジャックス、9・11から生還した消防士の父との深い絆を語る。
アメリカで消防士の存在は特別、ましてや9・11の後では更に神格化されている。
その時の怪我から引退した父、仲間や友人を亡くして自分を責めていた父にとって、
ジャックスの活躍は心の支えになっているという。
Jets"Are You Gonna Be My Girl"
ジャックスはステージ上での動きが自然で板についている。

右手のギターはバンドのリーダーのリッキ―・マイナー、
左手はオリアンティーのように見えたが特に紹介はない。
リッキー・マイナーはずっとこの番組のバックバンドを仕切り、
7年ほど前にハリウッドの音楽業界で仕事を続けて来た経験などを語る、
自叙伝を発表し、我らがエリック・べネイも出版記念パーティーに参加している。

一方、JAXはアメリカン・アイドル シーズン5のツアーを見ているそうだ。
お気に入りはキャサリン・マカフィーだったとのこと。
その時のジャックスは6歳?今、会場にいる6歳の子供の中から、
今後の優勝者が現れるかもしれない。

今回、席に座るコンテスタント達の表情は心なしか固い。
トップ5に入ってツアーに行けるかが掛かっているからだろうか。

ニック、Maron5"Harder to Breath"
この人はバンドを従えてのパーフォーマンスが良く似合う。
かつての優勝者、デビッド・クックのようにバンドを組んでのデビュー、
そんなことも想像する。
コンテスタントの席ではレイヴォンとクエンティンがスタンディングで歓声を送る。

クラーク、11歳で老人ホームに家族で歌いに行った時に、
人を歌で喜ばせることに感動を覚えたそうだ。
その後、大学時代にバンドを組んで歌っていた時に本気で歌手を目指そうと志した。
Beatles"Yesterday"
弦楽四重奏をバックに誰もが知る曲を美しさはそのままに、
胸がキュンとなるようなクラーク独自のアレンジも連発する。

感情移入し過ぎると歌い終わった時にすぐに現実に戻って来れなくなる、
ライヴでコンサートで何度か、アーティストがそうなる場面を見てきた。
歌手であり、演奏者であってもそれは同じ。
クラークもそれだけ深く集中して曲に入り込んでいる。
ドレッシーなスーツも良く似合っていて、この人はこういう線でも充分やっていける。
ただ一つ、残念だったのは最後の歌詞の"Yesterday"という部分、
弱音の優しさを大切にする予定が巧く音として乗らず、余韻を深められなかったこと。

ティアナ、大家族で育ちホームレスも経験したという。
Katy Perry"Party in the USA"
髪型をドレッド(ブレイズ)に変えてイメージチェンジ。
ショートパンツにバスケットシューズ、鮮やかなカーデガンが良く似合う。
元気一杯のの外見にもかかわらず、ここのところ以前の弾けるようなきらめきがない。
プレッシャーからだんだんと意気消沈してしまったのだろうか。
コンテスタントの席ではボトムに入ってしまったクエンティンとレイヴォン、
またしてもスタンディングで応援している姿が見える。

クエンティン、レイヴォンとしっかりハグしてからステージへ。
母と姉二人とニューオリンズの9区、治安の悪い地域で育った。
家族の強い絆を語る。姉二人もクエンティンのようにとってもお洒落。
Doors"Light My Fire"
昔のロックの名曲、音域が広く歌うのが難しい曲を自分の色に染めた。
プリンスのような雰囲気もありで、最後の音もしっかり決めた。
ステージの上で伸び伸びと振る舞っていて臆することもない。
コンテスタント席ではレイヴォンがただ一人、
クエンティンを見守りながら、笑顔で踊っている。

レイヴォン、教会でずっと歌ってきた、母と姉との三人家族、
自分を犠牲にして家族のために生きてきた母に優勝することで恩返ししたいと。
Sam Smith"I'm Not the Only One"

前回からもうまるで別人になっている。
自分の殻を破って心の内を歌に込めることで
人の気持ちを動かすことのできるシンガーへと進化している。
ライアンが彼のことを特別に気に入っている様子だ。
審査員達の評価もすっかり変わり、彼を絶賛している。

4回もボトムに選ばれながら、自分を失わずにコントロール、
努力と共にメンタルな面でも強さも見せる姿は多くの人の共感を呼ぶはず。
いまや番組を通して最も成長した人。
審査員のキースは歌の歌詞に掛けて「君は"The only one"になれるよ。」
レイヴォンの優勝も夢ではなくなってきた。

二周目、ニック、Rod Stewart"Maggie May"
バンドとのコンビネーションも呼吸がぴったり調和しているが、
やはりいつも強烈な印象を残すのに今一歩、何かが足りない。

ティアナ、Brayan Adams"Heaven"
シルバーに輝くロングドレスと同色のアイシャドー、
アップにしたヘアが可憐、いつもとは違う姿を見せる。
しかしもはや歌には輝きがなくなっている。
席に座っている時も笑顔が消えている。
今の状況が続くことで重圧に耐えかねている心の重さが歌にも出てきてしまう。

クラーク、ジャスティン・ビーバー"Boyfriend"
パーカッションを脇にギターソロで歌うが、原曲の良い所も消してしまい、
オリジナリティーも感じられず、
ここのところ、絶好調だったクラークらしくない。

ジャックス、Dido"White Flag"
シルバーのアクセントのある白いドレスで白いキーボードを前に歌う。
脇ではチェロがバックアップする。
この番組の求めるアイドルとしての資質を彼女は充分に備えている。
実は私は彼女の良さが余りわからない。
嫌いとか、良くないとは思わないけれど、特に気になる存在ではない、
そんな感じ。

クエンティン、Florence + the Machine"Shake it Out"
過去の失敗を悔やみつつ、でもそれが自分でもある、という歌詞。
先週の自分のしたことを歌っているようだ。
余りにタイムリー過ぎて番組の意向で無理に歌わされているのかと疑いたくなる。
"Shake it out, shake it out"のリフレイン、
「やってしまったことは気にしない」と自分に言い聞かせているようだ。
ハリーからの質問「今はオートチューンで音の外れた部分も直せるが、
自分の曲を出すとしたら、それを使うか?」に対して、
「いや、自分らしさはそのままに使うよ。」と答える。
これが前回の出来事を比喩してお互いに話しているのかと想像する。

レイヴォン、Fleetwood Mac"Go Your Own Way"
自分をさらけ出すことで観客の共感が得られることを知ったと話す。
スコットがライアンと共に解説する間、アップテンポな曲に備えて
レイヴォンがウォームアップしている姿が見える。
全体を通して良い感じで歌えているが、
このままでは高得点を得られる技に欠けるのではと思ったら、
最後のハイノート、シャウトが素晴らしかった。
クエンティンまで「最高だ!」"Give it up!"と叫んでいる。
歓声が鳴り止まない。
クエンティンを「"Give up!"(降参だ)って叫んでた?」
とからかうライアン。

ハリーから「デビューしてCD発売する際に
新鋭プロデューサーを付けたとする。
意見が自分と食い違った場合はどうする?」と質問がある。
「自分の信念を基本に相手の意見も取り入れる。」と答えるレイヴォン。
ボーイ・ジョージがメンターで出演した際にアドバイスを聞かなかった、
あの時の気持ちは今も変わらないのか、ハリーは確認したかったのだと思う。
今は違うという気持ちをレイヴォンは公言することができた。

この後、二人に対してのハッシュタグ、"#save 〇〇"
のツイート、得票数が多かった方がトップ5として決まる。
待っている間の二人の姿、並んでいるとほんとうにカッコイイ。
ツアーでこの二人が一緒に歌えたら素敵だったのにと残念。
レイヴォンからボトムに選ばれて歌う時の気持ちとして、
「脱落かどうかは考えない。全身全霊を掛けて歌に集中するのみ。」

発表が近づいた時にクエンティンは小声でレイヴォンに何か言っている。
聴き取ろうとして耳を寄せ、聞き返しているレイヴォンに
クエンティンが"Congratulations"と言うのが聞こえた。
その直後に発表があり、レイヴォンのトップ5入りが決まった。

最後まであきらめずに優勝までも今は視野に入れているレイヴォン、
ボトムに選ばれても必ず投票で勝ち抜いてきたことが、
視聴者への感謝や自分に対しての自信にも繋がってきた。

一方、クエンティンはどこかでこの番組に添うことを諦めてしまった、
それよりも自分らしくありたい、と思ってしまったのでは。

今回、6人の子供時代を振り返る映像を通して観たが、
どの人もどういう育ち方をしたにせよ、まじめな子供時代を過ごしてきた、
そんな姿が良く出ていた。


スズランの日/Jour des muguets

2015-05-01 19:03:13 | 私の日々
「フランスでは5月1日をスズランの日としていて、
相手の幸せを願ってスズランの花束を贈る習慣がある」
ともう30年以上前から話だけは聞いているが、
実際にその時期にフランスに居たこともないし、
周囲のフランス系の場所や人においても、
特にそれらしきイベントの雰囲気を感じたこともない。
むしろメーデー、労働者の日としてマニフェスタシオン、
デモや街頭演説をする日のイメージの方が強い。

取り立てて騒ぎ立てるほどのことではないが、
昔からの伝統として残っている、
日本の菖蒲湯や柚子湯の習慣のようなものではと思ったりする。

スズランは大好きな花、
4月中旬からフラワーショップで切り花や鉢植えが置かれていると、
思わず手に取りたくなる。
強い香りの花々が年々苦手になってきているのに対し、
ほのかな香りで見た目も清々しいスズランの姿に惹かれる。

子供の頃、たぶん小学校低学年だったと思うが、
祖父母の家に遊びに行っていた時のこと、
祖母宛に小包が届いた。
開けるところを見守っていると、
箱の中からスズランの花が出てくる。
子供心に小包から花が出てくる様子はマジックを見ているようで目を奪われた。
自分の記憶の中では何か品物が入っていて、
その上をスズランが覆っていたように覚えている。

それにしても今のように送った荷物が翌日に届くような時代ではない頃、
花が瑞々しいままで送られてくる、
いったいどのようにしてそんなことができたのか、
祖母になぜ北海道に知り合いがいたのかなど、
いろいろなことが不思議に思えてきた。

母にそのことを尋ねてみると、
送り主は祖父の仕事関係の方の奥様でお里が北海道、
そして私が切り花だと思っていたのはスズランの苗だったと教えてくれる。
なんて素敵なんだろうと思って見ていた私に対して、
毎年恒例の贈り物だったからか、草花があまり好きではなかったのか、
祖母の受け止め方が淡々としていたのも記憶に残っている。

苗が届くといつも庭に植えていたそうで、
祖母も亡くなり、その方とのお付き合いも途絶えて、
花が送られて来なくなってからも、
毎年、しばらくはこの時期にスズランが咲いていたそうだ。
それがいつのまにか花が咲かなくなり、
同じ場所に何回か、余所から取り寄せたスズランを植えてはみたけれども、
根付くことはなく、その内に諦めてしまったと母から聞いた。

スズラン、名前の響きも可愛らしいし、
漢字で書くと鈴蘭となるが、この字体にも美しさを感じる。
フランス語では"muguet"、はて英語では何だったかしらと思い、
辞書を引いてみる。
"lily of the valley"と出てきたのには驚く。
それならバルザックの「谷間の百合」、英語のタイトルの"The Lily of the Valley"
はスズランのことを勘違いして違訳してしまったのかと。
映画や小説のタイトル、今とは違い情報量の少ない時代、
様々な間違った訳のタイトルや字幕がある。
フランス語での「谷間の百合」のタイトルは"Le Lys dans la vallee"になっていて、
これを読んで納得する。
英語にするのならどちらかと言えば"The Lily in the Valley"
この方が正しいニュアンスだったのかも知れない。

百合の花は聖書の中でもシンボルとして「野に咲く百合の花を見よ」
などと引用されるが、これは百合ではなく、アネモネの花だったという説もある。
白い百合の花と鮮やかなアネモネではまるでイメージが異なってくる。
花にまつわるエピソード、誤訳についてのエピソードには事欠かない。
そもそも見たこともない植物を翻訳するのだから。

スズランの季節は初夏の訪れを象徴している。
肌寒い日々は終わり、着る物も食べる物も変化していく。
梅雨に至る前の一年で最も心地良い時期。