Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

ESNAVI、初来日

2015-06-17 12:49:04 | その他のライブ
初来日のエスナビ、ライヴ会場は不規則に毎日のように変わる。
それでもそれゆえに各地に近い、仕事帰りでもその場所なら、
と多くのファンが駆け付けている。

私が観戦した場所は六本木のHard Rock Cafe。
ミュージックフィーも無料。
この場所で2ショウという緩い感じなら、
まだ怪我が全快してない状態でも気楽に参加できる。

ハードロックカフェ、何と30年振りだろうか。
目の前に現れたその建物の景観に仰天する。
まるでアメリカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー、
ドライヴウェイにあるダイナーのようだ。
周りの建物が全くなくなっていてこの場所だけが、
更地の中に忽然と存在している。
周囲は地上げされてしまったが再開発が頓挫してしまったのか、
その辺の事情は全く想像もできない。


エスナビ、ショウタイムの少し前ににこやかに店内に入ってくる。
気軽に観客達に挨拶をしてくれる。
時間通りにステージに登場した彼女の第一声を聴くなり、
ぐっと惹きつけられる。
ぶれない巧さと彼女の声の持つ暖かい響き、
そしてやはり性格のおおらかさが歌にステージマナーににじみ出る。

自分のアルバムにカヴァー曲を取り混ぜた形でショウは進んでいくが、
例えば「渋谷を歩いていてね、この曲が聞こえてきたの。
懐かしいから歌ってみることにした。
皆も一緒に歌ってね。」
とボビー・コードウェル"What you won't do for love"
また「今日は暑くなったわね。そんな時にはこんな曲を。」
と"Summer Time"

1stと2ndで共通していたのは登場の時に皆が"Esnavi!"と掛け声を挟む
定番の曲"Planet E"
「皆、"Think about it!"という部分は返してね!」
と"Think About It"
自分のアルバムからケーブルテレビのテーマソングとして使われた曲など。

2ndの途中でイントロが演奏された瞬間に観客は一斉に立ち上がる。
何と"Uptown Funk"
周りはアフリカ系アメリカ人、あるいはコケ―ジョン率高し。
皆、一緒に歌って踊れる人ばかり。
場内の盛り上がりはピークに達する。

最後のアンコールも隣のテーブルのアフリカンアメリカンチーム、
おそらく関係者かと思われたが"Uptown Funk"をリクエストし、
二度もこの曲をパーフォームしてくれる。
どこまでもサービス精神旺盛のESNAVI、
後でこのことをツイートすると「だって皆の熱気がこの曲を、
二回歌うように仕向けたのよ(笑)」とお返事が。

パーフォーマンス終了後にサイン会があるとのことだったが、
ブースを設けてではなく、自主的にテーブルを周ってくれた。
事前にスタッフが二手に分かれてアルバムの販売をしてくれていたので、
既にアルバムは購入済み。


記念撮影では最初に彼女に向かって左の位置に私が立ったのだが、
フラッシュがきちんと作動してないとのこと、
撮り直し分で私が右に立つと「左にしてくれる?」と譲らないのが可愛い。
彼女なりの2ショットの正しいあり方を決めてるのだろう。


今日から週末まで各所でのステージが続く。
まだエスナビ未体験の方はぜひ足をお運び下さいませ。

Thomas Enhco 7/30 2nd @ Cotton Club Tokyo

2014-08-14 11:51:54 | その他のライブ
姪が幼かった頃、
「Aちゃん(おばちゃんとは未だに呼ばせてない)王子様ってほんとにいるの?」
と聞くので「うん、いるわよ。」と答えると、目を輝かせて「今度会わせてくれる?」
と言うので「そのうちにね。」と返事をすると、それ以来「いつ?」と度々聞かれた。
その姪もまもなく結婚することも決まり、私達の間で王子様の話も出なくなって久しいが、
もしあの時の姪をコットンクラブに連れてきてトーマに会わせたら、
きっと「この人が王子様なんだ。」と簡単に信じたと思う。

端正な顔立ちと貴公子然とした態度。
それでいて優しさ、謙虚さ、礼儀正しさがある。
音楽はあくまでも繊細で聴いていて気持ちが穏やかになる。
雰囲気と気分に合わせてアドリブの演奏も入る。
ディズニーのテーマと「愛の賛歌」を組み合わせたオリジナル、
遠距離恋愛をテーマにしたという曲は、
Thomas Enhco自身の経験も元にしているのかと思った。

私は今回が初めての鑑賞。
日本でサポートする方が既に多くいらっしゃるので、
新参者の私としては演奏についてのリキャップなど真におこがましく、
個人的な感想に留めたい。

ライヴに行く前からファンページを追っていると、
フランス各地のコンサートで生半可ではない忙しさだ。
コットンクラブで待っている旨等を書き込むと度々、ツイートや返事をくれる。
日本に着いてからも浜松、名古屋、軽井沢。
京都の予定はその日になぜか急にキャンセルとなり、
ところが代わりに四国へと飛び、ライヴを行った。
私がずっと応援して来ているアーティスト達もツアー中のスケジュールは過密だが、
トーマス(仏語読みだとトーマ、あるいはトマ)・エンコの多忙さには驚かされた。



それでも随所で日本を楽しんでいる様子が伝わってくるのが見ていて嬉しかった。
好きなアーティストが日本に来ても和食も食べなければ、日本の美しい部分も、
全く知らずに帰るというのはいつも残念な気がしていたからだ。
軽井沢の山の風景、白糸の滝、飛行機から見える富士山の写真。
スウィーツが好きで素朴な和菓子を食べている写真も。

演奏後のミーグリ、自己紹介をするとちゃんとわかっていてくれた。
フランス人のアーティストと話すのに最初から最後までフランス語で通したのは、
今回が初めて。
それだけトーマがファンとのミーグリを楽しんでいて、
優しくわかりやすく語りつつ、
私の話もしっかり聞こうとしてくれたからだと思う。



日本も和食も大好きで富士山に関しては何と山頂までも登ったことがある、
とちょっと自慢そうに話してくれた。
サインは最初に名乗っただけなのにきちんと私の名前にsanを添えて書いてくれる。
言ってもスペルが一字抜けていたりすることも多々あるだけに感激。

一緒に行った友人はお嬢さんも一緒。
ここからは英語の会話になる。
お嬢さんがピアノを習っていたと話すと、ピアノのイラストと共に、
彼女の名前にはkunが添えられている。
たぶん日本の大人の女性はsan、若い女の子はchan、男の子はkunと覚えたのが、
どこかですり替わったかと思われる。
それにしても心遣いとお茶目な一面が見えてくる。

あれだけ疲れているのに最後までファン達に温かく接してくれたトーマ。
その後もフランスに帰ってからも相変わらず超多忙なスケジュールをこなしている。
一度だけ翌日に何か所も移動するたいへんさ、早朝の出発に対して、
ちょっとこぼすような書き込みがあった。
それがまたとても人間的な感じがして親しみが増す。
少女から年長者まで愛されるキャラクター、
Thomas Enhco、まさに王子様と呼びたくなる要素がたっぷりだ。


RIP Bobby Womack

2014-06-30 09:12:45 | その他のライブ
Bobby Womackの訃報を受けて、2013年2月に書いた"Bobby Womack Unsung"
再び掲載させていただきます。

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"Unsung"(世に知られていない、充分に評価されていないの意)
昨日アップしたブログのアイザック・ヘイズの逸話、
今日見るとyoutubeの映像が既に消去されている。
いくつか残っているとMichikoさんから教えていただいた旧シリーズの内、
スライ&ファミリーストーンズ、アトランティックスターも消えてしまっていた。
これでは動画が観られる内に少しでもエピソードを書き留めておきたいと思い、
残っていたボビー・ウーマック分に慌てて目を通す。

ボビー・ウーマックの生涯は"Across 110th Street"の歌詞そのもの、
「生き残るには強くなれ、生きるか死ぬかを選ぶのは自分だ。」
栄光と挫折の繰り返し、絶望から音楽を通して何度も立ち上がっていった姿に感動した。
ボビーにとって音楽は至福であり、苦難から脱出する手段でもあった。
最後のソウルマンと言われるボビーだが、
いろいろなジャンルの曲にソウルフルなテイストを加えたという点で、
最初のソウルマンだったとも言われる。
ソウル、ポップ、R&Bのシンガー、ソングライター、プロデューサー、ギタリストだった。

ボビー・ウーマックはオハイオ州クリーブランドで5人兄弟の真ん中として
1944年に生まれる。
父は聖職者で両親は教会のコーラスで歌っていて子供達も加わる。
その後、他のコーラスとも組みゴスペルグループとして演奏活動をするようになる。
ツアーではやはりゴスペルを歌っていたアレサ・フランクリン、
マーヴィン・ゲイ、サム・クックとも一緒になった。
50年代終わりに兄弟5人で独立することになり、このことは父を悲しませる。

ウーマック・ブラザーズではヒットがなかったが、
グループ名をヴァレンティノズに変えた後、アルバム"Do It Right"の中の
"I'm Looking for Love"がヒットチャートに上る。
「急に女の子たちに追いかけられるようになってびっくりしたよ。」
とボビーは懐かしそうに笑う。
"It's All Over Now"はローリングストーンズがカヴァーしヒット、
初めてボビーは多額のチェックを手にした。

64年、サム・クックがダウンタウンLAのモーテルで射殺死体となって発見される。
サムの謎の死に衝撃を受けながらも彼の家族を慰めている内に、
サムの未亡人、バーバラへの同情が愛に変わる。
サムの死から4か月後、21歳になったばかりのボビーは29歳のバーバラと結婚した。

このことはファンや業界のひんしゅくをかった。
多くの人からのバッシングを受け、仕事も追われた。
過激に反応したサムの身内からバーバラと共にホテルの一室に呼び出され、
危険な状態にまで追い込まれたが、バーバラの機転で事なきを得た。
スランプからコカイン、最初は少しだったが、だんだんと依存するようになる。

他のアーティストに楽曲を提供しながら3年が過ぎた頃、
"California Dreaming"でボビーは返り咲いた。
「木の葉はブラウン、空はグレー、こんな冬の日はカリフォルニアを夢見る」
この時のボビーの気持ちそのままのような曲。
「とうとうサム・クック未亡人の夫ではなく、『ボビー・ウーマック』
として人から認識されるようになった。」

1971年、ボビーは5年連れ添ったバーバラと別れる。
その別離を基に書いた"That's the Way I Feel About Cha"
この曲でボビー・ウーマックは70年代ソウルシンガーとしての立場が確立された。
後にジョージ・ベンソンがカヴァーしてヒットする"Breezing"など
精力的に楽曲を制作していく。
左利きのギタリストとしてもボビーは独特の持ち味を出している。

1972年、初めて映画のテーマ曲"Across 110th Street"を書き、
自分でも歌った。
この曲は後にタランティーノ監督の映画「ジャッキー・ブラウン」
リドリー・スコット監督の作品「アメリカン・ギャングスター」でも使われる。
実体験に基づく重みがこの曲に彼の声に込められている。

カントリーソングだったジム・フォードの"Harry Hippe"
これを最初にカントリー調に歌い、そこにソウルなフレーヴァーを添えて
自分の曲にしていく映像が挿入されている。
ヒッピーな生き方をするハリーの歌、これを人々はボビーと一緒に組んでいる弟、
ハリーのことを歌ったのかと思ったそうだ。

1974年、またしても悲劇がボビーを襲った。
ある晩、弟のハリーが突然訪ねてきたガールフレンドと争いになり刺殺されたのだ。
場所はボビーの自宅で病院に搬送される途中にハリーは息を引き取った。
ラジオのインタビューがオンエア中にこの知らせを受けたボビーは、
その晩の演奏はとてもできないと中止し、ツアーもキャンセルした。
クリーブランドの両親をLAに呼び寄せ、悲しみを分かち合い、
共に過ごすことでお互いの傷を癒そうとする。

その後、ボビーはドラッグにますますはまっていった。
カントリー&ウェスタンのアルバムを制作したが、
レーベルからは評価されなかった。
1975年、ボビーはハリウッドをドライブしていて、
歩いていた女性レジーナに声を掛ける。
メキシカンレストランで語り合った後に
いきなりプロポーズし、2人は結婚。
2年後に子供を授かるが突然死という不幸にみまわれる。
これも夫婦でコカインさえやってなければ避けられたとボビーは話す。

70年代でキャリアが終わったかに思われたボビー、
81年に"If You Think Your Lonely Now"
妻と電話で喧嘩になり、電話を一方的に切られる様子を歌にした。
アルバム"Poet"は高い評価を持って受け入れられる。
デビッド・T・ウォーカー「彼はいつも困難からそれを歌にして立ち上がっていく」

3年後、アルバム"Poet Ⅱ"をリリースし、
パティー・ラヴェルとのデュエット"Love Has Finally Come At Last"
はR&Bチャートのトップ10入りする。
ツアーではアルトリーナ・グレイソンと組み、この曲を歌った。
映像が素晴らしい。
私生活でも妻との間に娘と息子を授かり、
前妻との間の息子ヴィンセントも二人を可愛がった。

しかしながら90年代に入り、
レーベル間の争いに巻き込まれ音楽活動に支障をきたす。
また21歳だった息子ヴィンセントは自殺してしまう。
抑うつからのピストル自殺だった。

20年間ドラッグを用いそれを隠すこともなかったボビー、
「とうとうドラッグに自分の人生を乗っ取られてしまった。」
ジーナとは離婚、「2人ともドラッグ漬けで
このままではお互いにダメになると思った。」とジーナ。
「自分は強い人間だと思っていたけれど、今度ばかりは打ちのめされ、
とてもステージには立てない。
もう何もする気になれないと感じた。」とボビー・ウーマック。

映像は2011年のレコーディング風景へと変わる。
15年振りでボビーは新しいアルバムの制作へと挑んでいる。
ある女性との間に二人の幼い息子もできた。
家族と音楽が彼を支え、糖尿病や二回の前立腺癌の手術も乗り切った。

別れた妻や子供達とも家族としての交流は続いている。
前妻のレジーナ「彼が私を必要とすることがあれば、
喜んで手助けをするわ。だってずっと私達にそうしてくれて来たんだから。」
ボビーも「今までかかわった女性のことは肉体的には一緒にいなくても、
決して縁を切ったつもりはない。何かの時には力になるつもりだ。」

「音楽を通して人と触れ合うことができる、
人の心の中に自分の魂が生きることで、
自分も生かされ、生き残っていくことができる。
音楽はすべてを一つにすることができるからね。」とボビー。

昨年の来日後も癌で手術をしたと聞く。
あらたな病も見つかったと今年になってニュースが入ってきたが、
ボビーは負けないはずだ。
あの時はボビーのことを何もわかっていなかった。
このドキュメンタリーを観た後で
昨年のボビー・ウーマックの来日を迎えたかったと思っている。

ACROSS 110th STREET by Bobby Womack at Billboard Live Tokyo 1st show 2012/02/23

Alfredo Rodriguez & The Invasion Parade 4/16@Blue Note Tokyo

2014-04-18 00:30:06 | その他のライブ
昨年の7月末のクインシー・ジョーンズ、東京国際フォーラムでのコンサート、
ラテン系独特のリズム感、力強さが印象に残ったアルフレッド・ロドリゲス。
ブルーノート東京には3年振りの登場だそう。

今年の初めに観たキューバのピアニスト、ゴンザロ・ルパルカバ
GONZALO RUBALCABAとは、いろいろな意味で対照的だった。
ゴンザロのユニットはキューバの民族色が濃かったのに対し、
アルフレッドのグループはあくまでも前衛的。

ピアノもゴンザロはYAMAHAだったのに対し、アルフレッドはスタインウェイ。
そこに更にもう一つのキーボードを重ねている。
片手だけでリズムを刻んだり、弱音の繊細さを聴かせる。
ゴンザロが突き抜けたラテンの熱風なら、
アルフレッドは天才的な超絶技巧。

英語でのMCがあり、日本語でのお礼も交える。
演奏の瑞々しさと共に謙虚な人柄も感じた。
アンコールも入れてたった4曲、一曲が長いが飽きさせない。
携えてきたNEWアルバムのジャケットそのもの、
色彩豊かな音の洪水のようなステージだった。

1.THE INVASION PARADE
2.QUIZÁS, QUIZÁS, QUIZÁS
3.GUANTANAMERA
EC.EL GÜIJE

終了後のサイン会と記念撮影。
英語が皆、それほどわからないようでスペイン語が自然と交じる。
寡黙でスタイリッシュなステージだったのに、
個人的に相対すると皆、素朴な人柄で写真に笑顔で応じてくれた。



Alfredo Rodriguez(p) アルフレッド・ロドリゲス(ピアノ)
Jorge Vistel(tp) ホルヘ・ヴィステル(トランペット)
Ariel Bringuez(sax) アリエル・ブリンゲス(サックス)
Reinier Elizarde(b) レイニエ・エリザルデ(ベース)
Henry Cole(ds,per) へンリー・コール(ドラムス、パーカッション)

Lee Ritenour & Friends 3/28 2nd @ Blue Note Tokyo

2014-03-30 12:24:54 | その他のライブ
セカンドショウの整理券を取るためにブルーノートに着いたのは5時40分頃。
ファーストの入場が始まりロビーが落ち着くころを狙った。
来場を担当者に告げソファーに腰掛けると場内では5月に来日する
我らがEric Benetのプロモーション映像と曲が繰り返し掛かる。
既にフライヤーも置かれていた。

5月の来日へと一気に気分が盛り上がる。
整理券の発行時間が早まり受付に行くと、私の顔を見たフロントのSさん、
「いよいよ5月はべネイですね。」と笑顔で挨拶をしてくれる。
思いっきりべネイ漬けに浸るブルーノートのスタートとなる。

この日のライヴの正式なタイトル:
LEE RITENOUR & FRIENDS featuring ABRAHAM LABORIEL, PATRICE RUSHEN,
AKIRA JIMBO with special guest NAOKO TERAI

リー・リトナーとパトリス・ラッシェンは2007年の東京ジャズフェスティバル以来。
寺井尚子も8年程前に東急セルリアンタワーのライブハウス、JZ・BRATで観て以来。
もちろんお目当てはこの三人だったのだが、
ベースのアブラハムの存在感、ドラムスの神保のグルーヴ感にも圧倒された。

少しのMCを挟みつつ、ほとんどクラシックのコンサートに近いテンポで、
計算された中にアドリブが心地よく盛り込まれて進行していく。
メンバー全員のお互いへのリスペクト、
そしてべったりではない距離感から生まれる緊張感が良い。
リー・リトナー、終始笑顔を絶やさず客席にも目配りをしている。

寺井尚子、このチームに入っても全く遜色なく、ぴったりと息の合った演奏、
それでありながら彼女独特の繊細さと大胆さが共存している。
力強い演奏をしている時もひたすら所作が美しい。
寺井はいつもヴァイオリニストではなくフィドラー(バイオリン弾き)、
エンターテイナーとしての姿勢を貫いてきた。
日本女性がこのメンバーの中にゲストとして招かれ、
卓越した演奏を聴かせることに感無量となるが、
それは偶然の産物ではなく、リー・リトナーとの共演を重ねてくる中に
それぞれがお互いの良さを引き出すことが可能になった、そういう歴史を感じる。

1.WES BOUND
2.JIMBOMBA
3.SPAIN
4.WALTZ FOR CARMEN
5.CANTALOUPE ISLAND
6.RIO FUNK
7.CAPTAIN CARIBE

時間が経つのが短く感じられた。
それだけに全く隙のない進行だったのだと思う。
パトリスが一曲位歌うのかと思ったが、今回はキーボードとピアノに徹している。
ピアノはYAMAHAではなくスタインウェイ、やはり静かに語るように奏でる部分が引き立つ。
紹介の中でリー・リトナーがパトリスのことを「バークリー音大の博士なんだよ。」
と説明したので後程確認したところ、名誉博士号を授与されている。
おそらくバークリーにおいて特別講義などといった形で授業を行うこともあるのでは。

余談になるが同席した青年達、話を聞くと2人とも20歳。
一人は音大のジャズ科でドラムス専攻、もう一人は一般の大学のジャズ研究会でのギター奏者。
二人が私世代の音楽に精通していることに驚いた。
神保や寺井のように彼らが来日アーティストと共に、
日本の代表として演奏する日も遠くはないのかもしれない。

外に出るとブルーノートがこの日から3日間だけ桜色にライトアップされている。
これは友好のしるしとして日本からワシントンに桜の苗を送った日を記念して。
ワシントン、ポトマックリバー沿いの桜ももう蕾が開き始めているそうだ。


この日はかなり気温も上がり暖かい一日となった。
帰路タクシーに乗ると、所々で桜が既に花開いている様子を見ることができた。

Lee Ritenour(g)
リー・リトナー(ギター)
Abraham Laboriel(b)
エイブラハム・ラボリエル(ベース)
Patrice Rushen(p,key)
パトリース・ラッシェン(ピアノ、キーボード)
Akira Jimbo(ds)
神保彰(ドラムス)
Naoko Terai(vln)
寺井尚子(ヴァイオリン)

Rolling Stones 3/6 @ 東京ドーム

2014-03-12 00:05:01 | その他のライブ
水道橋駅に着いたのは5時半頃。
その時から普段にない雰囲気に驚く。
超大箱、国内では2007年の埼玉アリーナ以来。
東京ドーム、着席の収容人数は50,000人とされているが、
これは野球を観る際の数字だそう。

コンサートの時には球戯場となっているグラウンド部分も、
アリーナとして椅子が入り、その他にも立見席、
またこのローリング・ストーンズの三日間には、
急遽売り出された見えなくても音と雰囲気を体感できる席もありで、
推定80,000人程の観客がドームめがけて押し寄せたと思われる。

3/1のマサ小浜スペシャルで知り合った青年にTシャツを頼まれて、
安請け合いしてしまったものの1日目に行った方のブログから、
物販は1時開始、4時過ぎの時点では2時間待ちと知り、
申し訳ないがお断りすることに。

例えばニューオリンズのエッセンス・ミュージック・フェスティヴァル、
ルイジアナ・スーパードームの場内で売られているグッズは公認、
場外での販売は各種業者の作ったものとなるが、
今、東京ドーム、場内でも場外でも公認のグッズが売られているそう。
したがってどうしても関連グッズが欲しい方はチケットがなくても購入可。
しかし、鑑賞と物販をセットで考えているファン達も多いようで、
この日の水道橋周辺には早速買ったTシャツを着用、
タオルをスカーフのように巻く人々が溢れていた。

前の週に行っていた友人から"Angie"がなかったと聞き、
がっかりしていたところ、3/4のセットリストに発見。
聴けるかもしれないと期待が膨らむ。


30分ほど遅れての開始。
場内全体に満ちる静寂と興奮のこれから始まる瞬間。
メンバーの登場と共に総立ちとなる。

3/6のセットリスト:
Jumpin'Jack Flash
You Got Me Rocking..
It's Only Rock'N’ Roll (But I Like It)
Tumbling Dice
Ruby Tuesday
Doom And Gloom
Respectable (Fan song vote, with special guest Hotai)
Honky Tonk Women
-Band Introductions
Slipping Away (with Keith on lead vocals, featuring Mick Taylor on guitar)
Before They Make Run (with Keith on lead vocals)
Midnight Rambler (with Mick Taylor on guitar)
Miss You
Paint It Black
Gimme Shelter
Start Me Up
Sympathy For The Devil
Brown Sugar

ENCORE
You Can’t Always Get What You Want (with the Senzoku Freshman Singers)
(I Can’t Get No) Satisfaction (with Mick Taylor Official (micktaylor.com))

ミック・ジャガーの輝きとエンターテイナー魂。
凄いものを観たというしかない。
およそ70mほどのステージ、50mほどの花道を走る、スキップする、
各所、左右、前後の観客を煽り盛り上げる。
ほんとうに燦然と光を放つばかりの姿。

また往年のファン達、親子二代どころか三代に渡って応援している方もいるそう。
正しい場所で正しい反応の仕方でストーンズの面々を喜ばせる。
そして「バックコーラスの歌姫たち」で
アカデミー・長編ドキュメンタリー賞を受賞したリサ・フィッチャー。
エリック・べネイのファン繋がりのアメリカのリサ・ファン達が、
「なぜリサがアカデミーのステージにいなかったのかしらね、」と呟くので、
「今、ローリングストーンズと日本にいるのよ。」とコメントすると、
「あなたはリサを観れるなんてついてるわね!」とお返事が。

アカデミーの檀上に居ずに東京ドームで歌うリサ。
まさしくバックコーラスとしての在り方を貫いている。
映画の中でも「メインになろうとは思わない。自分はバックボーカルでいい。」
と話していたが、リサの存在感はバックコーラスを越えている。
リサなしのこの日のコンサートなど考えられない。

後日「これが最後のストーンズを観る機会かと思うので、
12歳になる息子を連れて一緒に観に行きたかったんだ。」
と在日外国人の方からメールを頂いたが、退場の混雑は子供には危険かと思う。
好きな時に来て好きな時に帰って良い出入り自由な海外のフェスとはかなり様子が違う。
終了時の混雑を避けてアンコールの途中で帰っていく人々も見かけたが、
やはり最後まで見届けたい。

"Angie"は聴けなかったけれど"Satisfaction"が聴けて、
満足度100%の久々の大箱鑑賞となった。

J.T. Taylor 2nd 3/4 @ Billboard Tokyo

2014-03-09 21:31:03 | その他のライブ
J.T. テイラー、初めて観たのはコットンクラブがオープンしたばかりの10年前。
まだCotton Clubの知名度が低かったためか、プロモーションが弱かったからか、
観客は1割も入っていなかった。

ゆっくり行ったのに最前列の中央部に座ることができ、
コットンのスタッフにも「盛り上げていただくよう宜しくお願いします。」
と挨拶される。
これほどの人のライヴなのにと申し訳ない気持ちになった。
それでも完璧にショウアップされたステージで、J・Tのカリスマに圧倒された。
印象に残ったのはJ.Tのオリジナル、オンタイムで彼が歌った曲、
例えば"Fresh"や"Misled"が、
CDやレコードで聴くよりも格段に魅力的だったこと、
一方、彼に関係ない"Jungle Boogie"はギターリフのみで終わったこと。

今回のビルボードは満席でJT・テイラーが登場するなり総立ちになる。
セットリスト(私の撮ったものよりも写りの良かった他の方のを拝借)


サービスで歌ってくれたスタイリスティックスの「誓い」"Brand New"
に至るまですべて一緒に歌えることが嬉しい。
まさにオールドスクールの王道を行く。
そして日本で東京で愛されているという喜びが伝わってくる。
昨年末のKool & the Gangで聴けなかった"Too Hot"も聴くことができて、
この時からのストレスがフリーになった。

個人的に好きな曲は"Too Hot""Ladies Night""Get Down On It"
もちろん"Celebration"も。

10年前にコットンで観た時よりもずっと打ち解けて親しみやすい雰囲気。
バックボーカルの三人もショウを華やかに彩る。
JTがステージ不在の間のビヨンセ"Single Ladies"では、
ダンスもたっぷりで会場を盛り上げてくれた。

聴きたい曲を思った通りにたっぷりと歌ってくれたJames "J.T" Taylor。
まさに期待を裏切らない男、そして東京に名古屋に彼の熱いファン達がいる。

マサ小浜スペシャル part14 3/1 @目黒ブルースアレイ

2014-03-03 16:35:10 | その他のライブ
マサ小浜スペシャル14thとあるが、実は13回目だそうだ。
階数や部屋番で13を使わないように13を飛ばして14としたと当日知る。

いきなり私事になるが、昨年5/9のマサスペをブルースアレイで観て外に出た途端、
事故のようなものに遭い、私は初めて救急車で運ばれる人になった。
後日、事情を知ったマサさんからは丁寧なお見舞いのメールもいただき、
気持ちを運んでくれたことにありがたく感謝するとともに、
この方をずっと応援していこうという誓いも新たにした。

それ以来のマサスペ、そんなわけありなだけに「縁起の悪い13を飛ばして14!」
というのは今年の私のテーマ"Get Lucky"にぴったりだと最初からテンションが上がる。

マサ小浜スペシャルのセットリスト、かつて数回、ライヴ仲間の方々に協力していただいて
完成させたものをブログに載せたこともあるが、それをするとたいへんなことになるので、
今回はポイントのみ。

この日はあいにくの雨、それでもそういう日にはケイリブの歌うブルースがしっくりくる。
エリック・クラプトンのコンサートに前日行ってきたというマサさん、
早速"Cross Road"、周りから「クラプトンよりも巧い!」と声が上がる。
ジョージ・ベンソンもマサさんが敬愛するギタリスト、"Love x Love"、
こんなアレンジがあるんだと思わせる。

そして私のリクエストに応えて下さった"Parisian Walking"
う~ん、この曲、マサさんの生ギターで羽生に滑って欲しい。
更なる得点をゲットできるに違いない。
Gerry Mooreのコンサートで聴いたはずの曲、
マサ小浜のギターだとずっと哀愁を帯びてくる。

後半のスタートはお馴染みベッド・ミドラー"Rose"
この曲を聴きながら何とも言えないhappy feeling、多幸感が押し寄せてくる。
"Angel"、深い祈りのようなものを感じ、マサさんは何を想い演奏しているのかと思う。
この曲に込められた意味から更に3月11日の震災とその犠牲者へと気持ちを向けた、
と演奏後に話してくれた。

ギターを曲に合わせて持ち替えていく。
MCの間にさりげなく差し替えてくれたアシスタントのスタッフに、
「いつの間にかやってくれてたんだね。ありがとう。」と言葉を掛けるマサさん。
どこまでも優しい、その心遣いが演奏の中に表れるアコースティックの曲、
時々挟むことでライヴ中にしっとりとした雰囲気を作る。
アル・クルーも良かった。

「生きてる間に観れなかったのが残念なアーティストのひとり。」
として演奏したツェッペリンでは超絶ギターとエネルギーを爆発させる。
サンタナでは思い切りラテンの風を吹かせる。
ひとつの曲を演奏するごとに会場の空気感まで変えてしまうというマジック、
感動と興奮が尽きない。

最初のリフを聴いて「あれ?」と思ったら,
まさかのDaft Punk & Pharrell Williams featuring Nile Rodgers"Get Lucky"
そこからCHIC"Le Freak"へと繋がり、"Saturday Night Fever"も挟み、
その後、懐かしのディスコヒットメドレーとなる。
そしてもちろん最後は"Get Lucky"へと着地。
まるで自分のためにオーダーメードされたようなセットリストに感謝。

アンコールはお約束のプリンス"Purple Rain"で締め括る。
昨年5/9以来のマサスペ、私にとって特別な意味があったからだけでなく、
やっぱりマサ小浜さん、そしてそれを支えるメンバー達のチームワークも最高、
更に進化していて芳醇な一時を堪能させてくれた。
外に出ると霧のような雨が降っている。
それはまさにしっとりと暖かく包む"Purple Rain"そのものだった。

マサ小浜 スペシャル PART14
“Saturday Nite Fever Special!”
(G)マサ小浜 (Key/Vo)Kaleb James (B)日野JINO賢二 (Ds)Jay Stixx

マサ小浜スペシャル、3/1に演奏する曲は!?

2014-02-22 17:02:42 | その他のライブ
ソチオリンピックのフィギアスケート、男子個人ショートプログラム、
テレビ中継を観ていて羽生結弦がゲーリー・ムーア「パリの散歩道」
Gary Moore"Parisian Walking"の曲に乗って演技する様子に私の目と耳は釘付けになった。

ゲーリー・ムーアのコンサートに行ったのは32年位前?
その時にしていた仕事の関係から本人のマネージャーにチケットをいただき、
渋谷公会堂だったと思うがコンサートに呼んでいただいた。
ファンでも好きでもあったわけではない。

まず驚いたのは羽生が完璧にROCKしていたことだ。
フィギア的なバレー、ソーシャルダンスな動きではなく、
ロックともヒップホップとも繋がる滑り方。
豪快にのびのびと屈託なく最高得点で決めてくれた。

また当時は余り興味のなかったこの曲、
ここのところ、マサ小浜さんのギターを聴き込んでいるせいか、
マサさんの演奏で羽生が滑っている様子が目に浮かんでくる。
思わずその気持ちをツイートすると、
即、マサ小浜さんから「3/1にやりましょう!」とお返事が。

3/1(土)に目黒ブルースアレイにてマサ小浜スペシャル、第14回目になる。
いつもブルース、ロック、ファンク、R&B、
エリック・べネイの曲、昭和歌謡に至るまでたっぷりと聴かせてくれる。
時としてマサコ・ハマーと間違えられることがあるが、
日本が世界に誇るトップギタリスト、マサ・小浜。
今回はどういうセットリストになるのだろうか。
そしてマサさんの演奏する"Parisian Walking"、はたしてどんな感じになるのか?

ニック・ウェストの日々

2014-02-17 13:20:01 | その他のライブ
8日から降り始めた雪のため翌9日も交通機関がマヒする中、来日したNik West。
彼女が13日に帰った途端、東京は14日から再び雪となる。
「あなたが帰ちゃったからこちらはまた凄い雪よ。」とツイートすると、
「こっちは太陽が輝いている。今度、また持っていてあげるわね。」とお返事が来る。

自宅に帰ったニックは早速、子供を抱きながら掃除する様子をアップ。
彼女から離れようとしないので抱いたまま掃除機をかけることになったそうだ。
ふだんから重たいベースを持っていることを思えばなんてことはないのかもしれない。
ツアーを終えて家に帰るなり掃除機をかけているニックの姿に、
雪と飛散し始めた花粉のせいにして掃除機掛けをさぼっていた自分を反省。


翌日は「釣りに行ってきた。2尾ほどナマズが釣れたので、それを料理している。」
バス(bass)ではなくナマズ(catfish)をから揚げにしている様子をアップしている(笑)
「ベース(bass)と歌ばかりか、釣りと料理の才能にも恵まれているのね。
私はあなたの"Black Beauty"を今聴いているけれど。」とツイートすると、
お礼のお返事が来る。


率直に言ってライヴで観たカリスマ的な姿と違う余りに自然体の日常、
このギャップに驚いている。
普段はほんとうに普通に生活しているんだなと。
普通どころか釣りに行って食材を確保して来るとはなんとワイルドな。

もう一度、ライナーノーツ、その他のインタビューなどで彼女の経歴を確かめる。
出身はフェニックス、アリゾナ、年齢は明かしていない。
20代前半との記事と後半としている記事がある。
13歳からギターをやっていて、16歳からベースに転向する。
きっかけは父親と車に乗っている時にラジオから
マイケル・ジャクソン"Wanna be Start Something"が流れ、
そのベースのカッコ良さについて父親に感想を話したところ、
すぐにベースを買ってくれる。

本人の書いたライナーのサンクスノート、感謝の言葉の部分に、
「お父さんは私が左利きなのに(確かに掃除機も料理するのも左手を使っている)
普通にベースを弾けるように教えてくれた。
(父はギタリストのT.West)
そして男の子のことなんて気にしないで、自分らしくしていればいい。
演奏がしっかりできることを大切にね。」と言ってくれたとある。
母親もいつも自分の才能を信じて一番のファンでいてくれたと。
学生時代は陸上競技の選手だったこと、
生活のために一時期はモデルをしていたこともライナーで読んだ。
いろいろな要素が組み合わさって今の彼女を作り上げている。

"Eyes Closed"は目を閉じてベースが演奏できるかという問いから生まれた曲だそうだが、
ライヴで「目を閉じている時が一番セクシーだと言われるけれど、どうかしら?
これからやってみるから見ていて。」とこの曲を演奏する前に話していたことを思い出す。

2010年のyoutube映像をきっかけにフェンダー社に認められて、
バックアップされ、フェンダー・アーティストとして扱われるようになった。
その後SWR社がスポンサーとなり、Black Beautyというベース/アンプの販売時に、
その名前に合わせて"Black Beauty"という曲を書いた。

オリアンティ(マイケル・ジャクソンとも共演した女性ギタリスト)
と共にシングルもリリースし、既にセカンドアルバムも制作中とのこと。
これからがますます楽しみなアーティストだ。
今回の日本盤、リリースは下北沢を拠点とするSweet Soul Records。

Nik West 2/12 2nd @ Blue Note Tokyoのライヴレポート
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20140213




Nik West 2/12 2nd @ Blue Note Tokyo

2014-02-13 15:20:21 | その他のライブ
おもむろにクルー達と登場したかと思うと、ベースを演奏しながら、
後姿を客席に向けつつステージに上り、リズムを刻む。
パープルのトサカのようなヘア、アイシャドーはトサカに合わせて紫、
リップはアイスピンク、ブラックのトップは裾の部分にフリルが入り、
ミニスカートのようにも見える。
ゴールドのタイツにフラットな同色のブーツ。
とにかくカッコイイ。スタイルが抜群、いきなりニックの世界に取り込まれる。
しょっぱなからグッと観客のハートを掴む。

一見したところ、見た目は違うがジョディー・ワトリー、
CHICのフォラミ、そして性格や方向性は全く違うがエンダンビの姿に通じるものがある。
要するにカッコカワイイ女性ということだ。

ニック・ウェストのライヴに行きたいと思ったのは、前日のことだった。
ライヴハウスのスケジュールを先々まで見渡したところで、
観たいアーティストのライヴがほとんどない。
そんな状況の中で断トツでNik Westの存在が輝いて見えた。
映像、エピソードなどを読み、曲を聴き画像を見ている内に行きたい気持ちが募り、
ツイートしたところ、ライヴ仲間の方から「明日、行きますけれど?」
とお返事をいただき、急遽ご一緒させていただくことに。

事前に読んだ本人のFBのページ。
東京に着くまでの珍道中が綴られていた。
まずLAの空港でカルト的な騒動を起こした不審人物がいたためか出発が1時間遅れる。
後30分で着く予定の時に、成田空港が雪のために着陸できないとアナウンスが入り、
更に2時間近く遅れて到着する。
予定よりも3時間遅れで空港に着くとブルーノートのドライバーが出迎えてくれたが、
「雪のために車は途中で置いてきた。」と言われ、荷物と楽器を抱え、
凍てつく寒さと疲れの中、電車と地下鉄を乗り継ぎ、ホテルまでようやくたどり着く。
いやはやたいへんな思いをしたけれど、ステージではぶっ飛ぶわよ!といった内容。
到着してからはツイートも頻繁、私達ファンのツイートもがんがんリツイートしてくれる。

女性のベーシスト、初めて観るが演奏だけでなく歌えるというのが彼女の強み。
セクシーかつ見ていて美しい動き。
ファンキーでありながらクラッシー、品格がある。
動作というよりも所作と言いたくなる無駄のなさ。
アドリブと計算している部分とのミックス感が良い。
イナバウアーあり開脚あり、ステージに寝てベースを唸らせたりで飽きさせない。

固めるバンドも強力だ。
David Schulz(key)
Hubie Wang(g)
Brittany Maccarello(ds)

ここにゲストでMaxayn Lewis、マクサンがボーカルとして登場した。
「私を呼んでくれてありがとう。」と言うマクサンに
「来てくれてありがとう。」と答えるニック。
「こういう若い人が頑張っている姿を見られるのは嬉しい。
今日来た観客の皆さんも彼女がこれからずっと有名になった時に、
『私達は初期の頃から知っている』と言えるわよ。」

マクサンの歌を骨太に支えながらも自分らしさもしっかりとアピールするニック。
マクサンを立てつつ、彼女が話し終わるや否や、いきなりベースで突っ込んだところ、
ここの部分のテンポ感が堪らなかった。

MCもたっぷりあったが、"Black Beauty"の説明の中で、
これはメーカーがこの名前のベースを出したことにちなみ作った曲だが、
自分はブラックガール、そして見た目もこんな感じ、でも自分は自分でいい、
そんな想いを曲にしたと話してくれた。

プリンスとの出会いの部分の語りが面白かった。
夢の中にプリンスが出てきて二人でバスケットボールをする。
「そんなシュートじゃだめだ。」とプリンスに言われて見ると、
バスケットボールではなくベースをプリンスが持っている。
自分の夢はかつても暗示的なことが示された経験があるので、
慌ててプリンスの映像を見たり、曲を聴いたりしている。
すると何通ものメールや電話が掛かってくる。
遅い時間なのにと思いつつ、電話に出るとそれはプリンス本人からで、
彼女と共演したいという申し出だった。
ニックの友人のドラマーから連絡先を聞いたとのこと。

そして翌日、プリンスのスタジオに行くことになる。
弾いてみるように言われたが緊張の余り良い演奏ができない。
何しろすぐ後ろにプリンスがいて見てるのだから。

するとプリンス、「どうしたんだ、ニック。
君のyoutubeは観ている。ああいう風にやってくれ。
自分が自信を持って納得できる演奏をしなければ周りにも伝わらないよ。」
そして「こんな感じに演るといい。」とニックのベースを持って見本を示し始める。
この辺りをすべてニックは一人芝居で見せてくれるのだが、
プリンスとのやり取り、自分の固まってしまった時の演奏とプリンスの見せた演奏。
目の前でドラマを見ているようだ。
その都度、彼女は自分の心の中の気持ちも言葉にする。
「うそ、プリンスが私の映像を見ていてくれたなんて!」
プリンスからベースを返された時「わっ、私のベースをプリンスが弾いた!」

客席から「ほんとの話なんだね?」と掛け声が掛かる。
「そう、トゥルーストーリーよ。」と頷くニック。
1年半前位とニックは話していた。
彼女の観客を取り込む動作の数々、ベースのインパクトは
プリンスと共演したことで磨かれた部分もあるのかもしれないと思わされる。

youtubeに映像を挙げ、そこからフェンダーに見出され、
プリンスとの出会いもありで、
短期間の内に一気に表舞台へと飛び込んできた印象があるが、
子供の頃からずっと演奏活動は続けて来ている。

ほんとうのファンクとは、というところからスライの"Thank You"
THANK YOU FOR LETTING ME BE MYSELF/WE WANT THE FUNK/LET'S WORK
と続く流れが超絶ファンキー。

最後は「皆、私がファンキーだと思ったら立ち上がって。」
私は三人目くらいに立ってしまったが周りのファンク通の方は中々厳しい。
「まだだめなの?」とニックのベースは更に勢いを増す。
最後には全員が立ち上がった。

終了後のサイン会、間近で見るとほんとうにまだ若いということがわかる。
初来日、観客に暖かく受け入れられたことを素直に喜ぶ姿が可愛い。
「素晴らしかった。既に次回を楽しみにしている。」と伝えると
「今度は暖かい時にね。」とウィンク。
最後は楽屋へと戻るところまで見送ることになり「また来てね!」と声を掛けると、
戻って振り向き笑顔を見せてくれた。


今日の日中、彼女のアルバムを室内で大きめの音で掛けてみた。
決して柔な家ではないと思いたいが、ベース音に壁が振動する。
昨夜の感動が甦る。
我らがエリックべネイとニックウェストが共演する姿の妄想をする。
その気持ちを思わずツイートすると成田でボーディング寸前のニックが
早速リツイートしてくれていた。
今のエリックの傾向とは違い似合わないことは重々わかってはいるのだが。

「ニック・ウェストの日々」
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20140217

Volcan 1/9 2nd 2014 @ Blue Note Tokyo

2014-01-11 15:29:25 | その他のライブ
ブルーノートの会員になっているので、
ライヴ鑑賞のポイントがたまり招待券が出る。
期限は2か月以内。
あえてふだん観ないようなアーティストをと思い選んだのは、
VOLCAN" featuring GONZALO RUBALCABA, GIOVANNI HIDALGO,
HORACIO "EL NEGRO" HERNANDEZ & ARMANDO GOLA
opening : Edmar Castaneda

セカンドショウを予約し、いつものように整理券を取るつもりで7時頃にフロントに着く。
セカンドの整理券が出るのは8時とのこと、これが普通の日、本来のブルーノート、
いつも行く満席になるアーティストの日とは要領が違う。

食事をして戻り整理券を取り、
開場までの間、新しくできた地下のバーでカクテルをいただく。
室内のテレビ画面に呼び出し番号が映し出され、
係の女性もこちらの番号を覚えていて早めに声を掛けてくれる。

オープニングはコロンビアのハープ奏者、エドマール・カスタネーダの演奏。
その後、キューバのピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバ、
ドラムス、オラシオ・エル・ネグロ・エルナンデス、
パーカッション、ジョヴァンニ・イダルゴ、
ベース、アルマンド・ゴラが登場。

全くMCなし、ほとんどクラシックの演奏会に行ったような雰囲気でライヴは進んでいく。
いつもアメリカ系のアーティストのライヴに行くことが多く、ジャンルも決まりがち。
そういう意味で今回のヴォルカンのライヴ、とても新鮮だった。

昨年7月のクインシー・ジョーンズのコンサート、
クインシーが連れてきた若手のキューバのピアニスト、アルフレット・ロドリゲス、
ラテン独特のリズム感と感性、ペダル遣いが絶妙だった。
この時は全員がスタインウェイを順番に調律もないまま引き続けていたが、
今回、ブルーノートに用意されたピアノはYAMAHA。
厚いパーカッションニスト達のリズムに負けないだけの力強いタッチが生み出される。
キーボードも併用しつつゴンザロ・ルパルカバの演奏は進んでいく。

座った席はピアノ寄りだったが、ブルーノートの音響、
以前に較べると格段に進歩していて、全体の音のバランスがしっかりと取れている。
ドラムスとコンガの刻むリズムが心地良く、
だんだんとアーティスト達の演奏も熱気を帯びていく。
ラテン系、リズム隊はもちろんだが、
ピアノが紡ぎだす独特のうねりに圧倒される。

終了後、更にドリンクを追加するとコーナー席に移動してくれる。
友人とライヴの感想などゆっくり話しながら寛ぐことができた。
こんな風にまったりとブルーノートを楽しむのも時には良い。

Count Down Party @ Camp Zama 12/31-1/1

2014-01-04 17:37:48 | その他のライブ
座間基地のゲートに着くと私達とは逆にお洒落をして出ていく若者達がいる。
友人が事前に旅券番号を申請してくれていたが、ここで更なるパスポートのチャック。
当日入場に至るためにエスコート(紹介者)となってくれた人が迎えに来てくれる。

基地の中の人と親しい友人、その日に出演するアーティストと懇意にする友人、
基地で働く人、私のような部外者も入れて女性ばかり総勢7名でテーブルを囲む。
入場料は30ドル、夕食のビュッフェと翌日の朝食が含まれている。
いかにもアメリカらしいビュッフェ、流れているR&Bの曲に気持ちが高まる。

アルコールは有料だが3ドルほど。
本来なら基地の職員と軍人、その家族のための福利厚生施設。
恐縮しつつありがたく恩恵のおすそ分けをいただく。
(招いて下さった方達、ほんとうにありがとうございました)

食事が終わるころにライヴが始まる。
Anthony G Johnson, Keith R Haines, Winz Bert, Thirih Walker-Schultz,
Mac Nobuka,高田 真のメンバーにAlbert Martinがゲストで加わる。
皆、日本で活躍する一流のアーティスト達。

テーブルに置かれたニューイヤーらしい仮面、カチューシャ、ハット、
アクセサリー、などをそれぞれ身につけつつダンスフロアへ。
このアーティスト達のライヴ、ほんとうにレベルが高いとここのところ感心している。
中途半端でオリジナリティーのない来日アーティストなどとは比較にならない。

ライヴが一度終了した後、カウントダウンに備えて第二部が始まる。
シャンパンのグラスが配られ、ボトルを持ったマネージャーがテーブルを廻り、
踊っている人達のグラスにも継ぎ足してくれる。



カウントダウンの秒読みが始まり、2014年がスタートした。
その一曲目が何と"Get Lucky"
Daft Punk, featuring Nile Rodgers。
11月のCHICの来日でも何度も聴き、
客席に歌うことをナイル・ロジャースが促すので、
このブログで皆に予習するようにと呼びかけたりした。

12/27、エリックべネイ繋がりの方達との忘年会、
エリックの訪れたソウルバー探索の後に行ったカラオケでも皆で歌った。
ゆえにご一緒の方達はこの曲を歌える人ばかり。
最前列で皆で歌いつつ踊る。

Like the legend of the phoenix
All ends with beginnings
What keeps the planet spinning
The force from the beginning

We've come too far
To give up who we are
So let's raise the bar
And our cups to the stars

She's up all night to the sun
I'm up all night to get some
She's up all night for good fun
I'm up all night to get lucky

「すべての終わりは始まりにつながる、不死鳥のように。
何もかも捨てたら、もう前に向かって進むしかない。」
2014年は「ゲットラッキー」、良い年になるはずと実感できる曲。

ライヴ終了後、ボールルームで朝食となる。
時間はもう2時を廻っている。
電車を調べると次の電車まで一時間ほど空く。
駅まで送ってもらってから近くのコンビニでコーヒーを飲みつつ暖を取る。
これから電車に乗って東京方面へと帰る人達が集まってくる。

皆で新宿へと向かうことになるがお蔭で長時間の移動も飽きることがない。
一緒だったアーティストの向かい側に偶然座った少年たちが英会話のチャレンジを始める。

東京が近づくにつれて増えてくる初詣客達、反対にアーティストの方から、
「あの人達は何なのか?」「初詣とは?」「神社には何が祀ってあるの?」
「日本の人の神って?」などの質問が出る。
ご一緒したMちゃんとその日に知り合った家族で来ていた大学生の青年K君、
丁寧に説明して上げてました。
(帰宅してから勉強不足を反省した私、はるか昔に買った「英語で話す『仏教』Q&A」
という本の『仏教、神道、キリスト教の違い』という章を再読しました)

そのアーティスト、ゴスペルを教えていてクワイヤーも持っていると聞き、
12月に観たミュージカル"Mama I Want To Sing"の話などになり、
"This Little Light of Mine"を半ば強引に一緒に歌っていただく。
ほんとうに優しくて綺麗な声でした。
マイケル・ジャクソンの来日ではバックコーラスを務めたとか。

「マイケルはどんな人だった?」と質問すると
「穏やかで無邪気。ぜんぜん大物気取りじゃないし。
静かな声でゆっくり話すんだ。写真を撮るのが好きでね。」
と懐かしそうに目を細めて話してくれた。
今、一番好きな女性シンガーはリアーナ、
続くのはジェネット・ジャクソン、ビヨンセだそう。
男性のアーティストではジョージ・ベンソンが最も好きだそうだ。
女優の話になり「ハル・ベリーなんて今はもう人気ないでしょ?」と何気なく聞くと、
「いやいや、ハリーは最高の女性だ。」とやんわり否定された。
やはり黒人の男性にとってハリーは永遠の女神、絶対に悪く言ってはいけない。

さて話は長くなりましたが、今年は"Get Lucky"、強運を惹きつけ、
そして"This little light of mine, I gonna let it shine!"
私の心の中の小さな灯を輝かせて、更に磨いて行きたいと思っています。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします!

吉田美奈子・森俊之 DUO 12/25 2013@鎌倉・歐林洞

2013-12-26 17:42:18 | その他のライブ
今年が14年目という鎌倉の洋菓子店、歐林洞での吉田美奈子・クリスマスライヴ。
バッグは森俊之のピアノのみ。

ご一緒した方、お二人の作成された前半のセットリスト:
Thanks To You
声を聞かせて
もみの木
Ghost
12月のillumination
月明かりの中庭
30秒の奇蹟
春よ来い

鎌倉駅で友人二人と待ち合わせ。
途中、小町通りでつまみ食い、軽く立ち飲みなどしつつ、
鶴岡八幡宮の裏門付近の街道沿いに進むこと10数分。
そこに歐林洞はあった。
ヨーロッパ調の重厚な雰囲気のある洋館。
店内はクリスマスの装飾に彩られ調度品も趣がある。
一階が洋菓子店、その2階にあるホールにてのコンサート。
入ると左正面にグランドピアノが置かれている。
椅子が並べられた約100名ほどのスペース。

現地で落ち合った美奈子ファンも加わり、
4人でほぼ中央最前列右寄りに着席。
ステージはなく、目の前にマイクが置かれている。
ここに美奈子さんが登場するかと思うと嬉しさを突き抜け、
開始間際に私達チームの中でかなりな緊張感がつのってくる。
正面で脚を組んでいたら失礼じゃないかとか、
携帯は切ったものの鞄の中に音の出るものはなかったかなど心配になる。
もう椅子の上に正座して観たい、そんな気持ちになってきた。

拍手と共ににこやかに登場した吉田美奈子、
いつものように180度近く体を曲げお辞儀する。
私達も座りつつできる範囲で深くお辞儀を返しつつ拍手。
一曲目の"Thanks To You"がアカペラで始まる。
ここから一気に美奈子ワールドへと引き込まれる。

続く2曲が終わった後、吉田美奈子から「咳とかしてもいいんだからね。
なんか、カメハメハって感じに緊張する波がこっちに来ている(笑)」
後ろの席の方が咳を我慢していた、客席の様子を感じ取ってのコメント。
それからぐっと和やかな雰囲気に。
美奈子さんのライヴ、歌だけでなくいつもMCがとても楽しみ。
この日もたくさん笑わせてくれました。

「12月のイルミネーション」
ご一緒したCさんの大好きな曲だと知っているので、
これから歌うとの前コメに仲間内でアイコンタクトしつつ控えめに盛り上がる。
お隣の席のAさんは既にハンカチを握りしめていた。
Aさんの背中が震えている、号泣しないように声を押さえながら泣いている、
その隣にいた私は最初はもらい泣きだったが、もう涙が止まらなくなった。
ライヴでこれほど泣いてしまったのも初めてかもしれない。
やはり日本語の歌詞、そして吉田美奈子の魂からの叫び、
それが私の心の中に深く入ってきて揺さ振られた。

私達だけではない。
同じ列の端の男性達が涙をぬぐっているのがわかる。
その後、続く曲にやはり泣かされる。
悲しいという意味ではない、
日常の瞬間の美しさを捉えた歌詞に、
音の中を縦横無尽に行き来する歌声に涙する。

一部の最後「春よ、来い」に私は完璧にノックアウトされた。
NHK朝の連続テレビ小説の主題歌で松任谷由美の曲。
ユーミンが淡々と歌った曲を吉田美奈子は想いのありったけを込めて歌う。

私は「春よ、来い」が放映された年の5月、入院生活を送っていた。
その時の楽しみと言えば朝の連続ドラマを観ることだった。
一年続く橋田寿賀子の自伝的なストーリー、
この時期に放映されていた部分では、主人公・春希が私と同じ年齢だった。
自分を重ねつつ、ドラマを見てテーマ曲を聴いていた。
その頃の記憶が甦るとともに歌詞が胸に突き刺さる。

「君に預けし 我が心は 今でも返事を待っています
どれほど月日が流れても ずっと ずっと待っています
それは それは 明日を越えて いつか いつか きっと届く
春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき 
夢をくれし君の 眼差が肩を抱く

夢よ 浅き夢よ 私はここにいます
君を想いながら ひとり歩いています
流るる雨のごとく 流るる花のごとく」

涙を拭く間もなく第一部が終わり、
心の中はまだ曲の中を漂っているままだが、
ほかの方達も同じなのがわかるので安心していられる。

休憩では一階のティールームにてケーキと紅茶、ワインのサービス。
フルーツやチョコレートなど二種の濃厚なパウンドケーキの盛り合わせには、
ホイップクリームが添えられ、豊かな香りの紅茶が用意されている。

ご一緒の方が教えて下さった第二部のセットリスト:
Moon Drops

Frame
Lung-Ta

音楽の言葉
幸せの境界線
The Life

Smile
星の海

切ない恋の曲だけれどブルースっぽさが心地良い「雨...」
拉致被害者とその家族へと向けた曲、
ダライラマと会う機会を得た吉田美奈子が世界平和へと思いを馳せる曲が続く。
「幸せの境界線」、日々の中で感じるささやかな幸せを大切にしたい、
という気持ちが込められた曲。
夜明け前の街の様子を見ながら自分の心と向き合う曲"The Life"

アンコールの"Smile"はチャップリンの映画のテーマから。
歌い慣れていないと照れた姿に大人の女性の可愛らしさをみる。

会場に設置されたピアノはスタインウェイBタイプ、ウォールナット素材。
森俊之はバンドの中でキーボードを担当する時とは違い、
くっきりとした個性を演奏の中に出して聴かせた。

"Thanks To You"で私達を迎えた美奈子さん、最後は"Smile"で送り出してくれた。
「皆さんの健康と幸せを私は心から願ってますからね。」との言葉を添えて。

Mama I Want To Sing 12/16@アミューズミュージカルシアター

2013-12-17 18:05:31 | その他のライブ
先月、試写会で観た「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」
多くの著名な女性歌手たちが教会のコーラス出身であることが紹介されていた。
これはそれをまさしく地で行ったドリス・トロイ(ドリス・ウィンター)のストーリー。

東急シアターオーブ、大阪森ノ宮ピロティーホールを経て
アミューズミュージカルシアターでの初日。
友人が押さえてくれた席は3列目の中央ブロック。
しかし1列目は4人編成のバンド、2列目は観客を入れてないゆえに
最前列での鑑賞になる。

4人組が客席からおもむろに演奏位置につく。
ドラムスの青年が私達の前方になるが青年というよりも少年に近い。
終了後、声を掛けたがほんとうに素朴な雰囲気でいつもライヴハウス等に
出演するアーティストとは違う。
バンドのクルー達の様子が席から良く見えたが、キャストに向けて、
アイコンタクトしながらステージを盛り上げての演奏になる。

海外から来たミュージカルを観る時にはいつも予習が必要かと思っていたが、
これはもう歌、ゴスペルを体感して素直に感じ取る、そういう世界だ。

父親との別れ、母と娘の葛藤、母親以外に信頼できる目上の女性がいる心強さ、
女の子が夢を実現する過程が描かれる。
色彩豊かな歌の洪水に満ちている。
ニューオリンズのエッセンス・ミュージック・フェスティヴァル、
ラウンジの経験が甦ってくる。

前半の父の娘への遺言とも取れる歌、これが素晴らしかった。
そして娘を心配する余り束縛しようとする母と掛け合いになる"Mama I Want To Sing"
それ以外にもそれぞれの場所でキャストの歌やパーフォーマンスに圧倒される。

アンコール"This Little Lignt Of Mine"
会場は一気にチャーチ化する。
にわかファンになった牧師でお父さん役・Tyrone Flowers、ナレーター役のVy Higginsen、
ステージの上から歌う彼らを見ながら一緒に歌っていたところ、
出て来いとさかんに手招きされる。
ご一緒した方にも促され通路に出ると手を取られてステージの上に。
"This little light of mine"とタイロンが歌い、
私にマイクを向けてくれるので"I gonna let it shine!"と歌い返す。
最後は二人で一緒に"Let it shine, let it shine, let it shine!"

その後、客席から何人か歌や踊りの得意な人達がステージへと登ってくる。
それぞれが素敵なパーフォーマンスを披露してくれました。
タイロンはこちらを向いて「ありがとう!」と投げキスをくれる。

終了後のサイン会、聖歌隊指導者役のElijah Ahmed Lewis,
ドリス・ウィンター役のAhmaya Knoelle Higginson,
アンサンブルからYvette Rogers、
そしてナレーター役のVy Higginsonがテーブルを前に待ち構えている。
Vyが「あら、あなたのこと知っているわよ(笑)」と迎えてくれたのが嬉しい。

私事だが、5月から抱えてた問題が解決へと方向性が見えてきた日だっただけに、
ステージで歌わせていただいたフレーズ"I gonna let it shine!"
この言葉を座右の銘に来年へ繋げていこうと決意も新たにした夜だった。