Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

エリックベネイのライブ 着物でGO!

2009-03-04 08:57:31 | 私の日々
ビルボード東京は着物の似合うライブハウスだと思う。
ブルーノートは着物が合わないと思うし着ている人を見た事もない。
コットンクラブでは一度、お見かけしたけど
お一人で色の鮮やかな訪問着を着ていられてちょっと居心地悪そうだった。

着物は10年以上、着ていない。
なぜ着なくなったのか?

日本に生まれ、私位の年の人なら、
お宮参り、七五三、成人式に始まり、
そして友人や身内の結婚式などで着物を着る機会はある。

親が着物世代なので子供の頃、そして若かった頃は
手筈を整えてくれて着る方向に仕向けてくれていたのだと思う。

着物を着るためには髪から着付けまで、かなり準備に時間が掛かり、
そして出掛けるわけだから疲れる。
プロの手を借りればそれなりに費用も掛かる。
帰ってから着物の手入れをしたり片付けも煩わしい。

その後、お金と時間と体力を使ってわざわざ着る必然性はなくなった。

2007年の秋、ベルギー人と結婚している友人のお祝いの会に呼ばれた。
着物で出席して欲しいと言われたが、
「ベルギーまで行くだけでもたいへんなのに、コスプレだなんて!?」と断った。

出席してみて、「着物を着てあげれば良かった・・・」と申し訳なく思う。
着物、民族衣装をを着るという事は
自分を着飾るのではなく相手の人を立てる事になるのだと知った。

今回のEric Benetのライブ、着物で行こうと主人が言い出した。
「エリック・ベネイがグラミーを取るんだから(もう勝手に決めていた)
こっちもリスペクトを表さないと。」

実家に行き、母の箪笥から、着られそうな物を物色する。
ビルボードには、大島、紬、そんな感じが良いかと思った。
あるいは渋めの色なら小紋とかでもライブの雰囲気に合いそうだ。
しかし母と私では似合う物が違うし時代の流行り廃りにも戸惑う。

美容室で今までは見た事もない「美しい着物」という雑誌の秋号を手に取る。
なんと、「着物でお出掛け」の特集にビルボード東京が出ている!
先入観に捉われたくないので敢えて熟読しない事にする。

半襟を付ける・・・
このプロセスを省略できる策を練る。
検索を掛けると、
「半襟を付ける事を厭うような人に着物を着る資格はない。」

自分も得意分野に関しては、
それが不得手な人に辛辣な事を言ったりしていた事を省みて、
小さくなる。

エリック・ベネイ、グラミー受賞は逃したが、
ノミネートされた事を讃える意味で、
ビルボード東京の4日目、主人と友人と着物で行ってきた。

楽屋でエリック、「うぁ~、凄いじゃない!
今日は二人ともどうしたの? とてもいいよ。」と驚いてくれる。
主人は父の50年近く前の着物、私は母の着物に祖母の帯、
等と話すと「50年前!? それはヴィンテージだね。」と感心。

エリックは私の着物よりも主人の方により興味を示し、細かく聞いていた。
男性の着物姿を目の前で見たのは始めてだったらしい。
「ラストサムライ」や黒沢明の映画の世界でしか、見た事がなかったようだ。
「エリックがグラミー、2部門にノミネートされたから、
Love&Respectを表したかった。」と説明すると、喜んでくれて、
記念撮影となる。

残念な事にその写真、帯が写っていなかった。
普段着の着物に帯から上だけの写真はドテラのよう。

でも、こんな機会でもなければ、箪笥の肥しになっていた
父や母や祖母の物にアイロンをかけ、風を通し、
母から着物の嗜みを聞く事もなく終わっただろう。

やっぱりエリック・ベネイの私を動かすパワーは、凄まじい。

今年の成人式、着物を着て思わぬ自分の姿に、
けっこう着物っていいな、なんて思った若者も多いはず。
どうか、そのまま着続けて、年を重ねて、
民族衣装を着こなせる日本人に成長して下さい。