世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●鳩山由紀夫の乾坤一擲、沖縄知事選出馬は意義深い 責任を取れは言い過ぎだ

2014年03月17日 | 日記
「知恵」の発見
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●鳩山由紀夫の乾坤一擲、沖縄知事選出馬は意義深い 責任を取れは言い過ぎだ

 鳩山由紀夫は「東アジア共同体研究所・世界友愛フォーラム」のような、微風さえ吹かない仲良しグループ内で、ワイワイガヤガヤとくだを巻いていて良いのか?本気で考えるべき時が目の前に迫っている。口先だけなら、結局政治家として命を懸ける気も、政治理念だけを掲げ、一歩たりとも前進しない政治家の劣化の標本になるではないか!ルーピーも、やる時はヤル気概を見せてもらいたいものである。

 東アジア共同体構想に、絶対あってはイケないのが、アメリカ合衆国の主権である。欧米対ロシアと云う新冷戦構造の芽生えは、鳩山由紀夫の政治理念「東アジア共同体構想」実現の、またとない転機だ。アメリカ及び外務防衛の官僚どもに、無残に引き摺り降ろされた屈辱の瞬間を思い起こすがよかろう。細川も小泉も立ち上がった。再び立ち上がることもあるだろう。その前に、鳩山由紀夫は、日本の劣化に立ちはだかる人柱になる決心をすべきである。

 正直、命まで奪われる話ではない。田園調布の安全地帯で、東アジアもヘッタくれもないだろう。お前さんも、「沖縄が東アジア共同体構想の出発点になる」と言っていたではないか。立て、オールドタイマー!アンタは、小沢一郎よりも若い。総理経験者が県知事では?それほど総理経験していないのだから、履歴でいえば無きに等しい。政治家・鳩山由紀夫此処にありを示す、絶好の機会である。千年に一度あるかないかの奇跡的転機だ。まぁこれだけ書いても出馬しないのであれば、貴方はルーピーであり、ヘタレと云うことだ。

 民主党からの出馬を、と云う喜納昌吉の意見はどうでも良い。特に鳩山由紀夫に辺野古移設問題の責があるとも思えないので、難癖風でもある。当然出るなら、沖縄党のような無所属であるべき。自民党が鵺で、民主党は鵺のお化けのようなもの、到底国際政治の出来る政党ではない。福島県知事選も、しかるべき人物が、自民候補に対抗できるかたちで、現れるのが理想的だ。小泉進次郎への期待もあるが、ちょいと無理だろう。福島の場合、今後ますます県政運営が厳しくなるだろうから、自民党に押しつけておく選択もある。しかし、沖縄県知事は格が違う。対米、対中で核となる県政である。チャレンジする価値は十分にある。


 ≪ 鳩山氏に沖縄県知事選打診 民主県連、本人は否定
 民主党沖縄県連代表の喜納昌吉元参院議員は16日、那覇市での記者会見で、11月に想定される沖縄県知事選に関し、鳩山由紀夫元首相に出馬を打診したと明らかにした。都内の事務所で鳩山氏に会い「ぜひ民主党から出馬してほしいと伝えた」と述べた。
 鳩山氏周辺によると、鳩山氏は「あり得ない」と否定したという。
 喜納氏は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非が問われる知事選で、辺野古反対の候補者を擁立したいと説明。その上で、県外・国外移設を主張した鳩山氏に「責任を取ってもらいたい」と強調した。 ≫(東京新聞:共同)

 以下は日本人が不得手とする外交問題だが、日米韓3か国首脳会議など、どうでも良いような外交セレモニーに時間を割くのは、愚かしい。欧米対ロシア問題こそ、21世紀的課題の一つだ。この力の衝突は、実力で欧米側絶対有利の中で起きている衝突だが、俯瞰的な歴史問題として考える必要がある。1991年12月25日、ソ連のゴルバチョフ大統領が辞任し、これを受けて各連邦共和国が個別の主権国家として、独立した。それ以降、米国が絶対権力を握り続け、世界の覇権を独り占めしたわけだが、世界に平和をもたらす器量は見せなかった。

 20年の間、アメリカには世界の警察となるべき条件を備えていたにも関わらず、それを行使できなかった。世界の治安維持に精を出すよりも、911テロ事件以降、覇者としての懐の深さを見せるどころか、獰猛な番犬のように、血眼になり、世界各地で血を流すゲームに興じた。自国の利益の為なら、他国の政府転覆を性癖のように追い求め、湯水のごとく金を使い果たし、八百長博打の賭場を開き(サブプライムローン)、世界中の金を掻き集め、寺銭どころか、掛け金すべてを胡散霧消させた。

 こんな覇権国があって良い訳はない。義理人情もへっくれもないアメリカと云う歴史なき国家には、地球上の覇権を握る資格がないとみるのは妥当なのだ。ゆえに、その地位はソ連邦同様に崩壊する歴史の流れがある。また、その張子の虎のような実力を訝しく観察する勢力が出てくるのも、自然な流れだ。それが、今回明確に反旗を翻したロシア・プーチン大統領であるかどうか、断言はできない。中国・習近平主席かもしれない。中露と日本がアジア圏構想として浮上するかもしれない。

 このコラムで、これ以上の言及はやめるが、EUは欧州として纏まれば良いだろう。米国は南北アメリカ大陸で纏まれば良いだろう。日本中国ロシア台湾ASEANが一つの纏まりになっても良いだろう。豪州、ニュージーランドは、アメリカ大陸、アジア大陸、好きな方を選べばよかろう。地図上固まっている者同士のせめぎ合いとブロック構想が一番自然体だ。現代人の大好きな合理性にも見合っている。日中の歴史的経験値は、欧米文化を凌駕するだけの力量はある。覇権国として、20年以上好き勝手が出来たアメリカが、好き勝手と我田引水しかできない無知蒙昧な新参国家であることは、完璧に証明されている。

 幾ら科学に裏打ちさた合理性であろうとも、人類が営々と築いた歴史的知恵の底力には敵わない。このような考えに行き着かない限り、日本も中国もロシアにも春は来ないし、無論アメリカも凶暴性を深め、怨念の連鎖を生む狂気の覇権国家になり、まだまだ生きながらえる地球や人類を死滅させるのかもしれない。やはり、人類は腹七分目の生きる知恵は必携であり、150%の益を得ようと云う金融勢力に根こそぎ支配されるような覇権国は、人類の歴史に馴染まない。

 日経のコラムニストといっても、脇祐三氏は日経の記者経験者であり、現在論説副委員長である人物で、かなり日経新聞バイアスが掛かっているが、それなりにニュートラルな目線を堅持しながら、欧米に寄り添うコラムを書いているのが面白い。読みたい方は、じっくり読み込んでみても良い。ところにより、光る部分もある。脇氏はこのコラムでロシアの弱みを語っているが、それこそが日本が補てんできるポイントであり、ウィンウィンの可能性を秘めている。外交とは、相手も弱みを埋めてやることで、次なる展開が開けるわけで、人道的見地からの貿易拡充は日本にとってエクスキューズとして国際世論上、強弁できる。今夜はこの辺で、オヤスミなさい。

≪ 欧米とロシア、新冷戦なのか 経済依存の打撃大きく
 東西冷戦の終結から今年で四半世紀。節目の年に、ウクライナの将来をめぐって欧米とロシアが厳しい対立に陥った。過去25年の間に、経済の相互依存は格段に進んだ。経済制裁と対抗措置の応酬になれば、双方とも大きな打撃を受ける。

 欧州連合(EU)諸国はロシアを非難しつつも、制裁は段階的に進めて外交解決の可能性を探る。一方、ナショナリズムの高揚を求心力のテコにしようとするロシアのプーチン大統領は、押せるところまで押そうとするつもりだろうか。

  1991年12月にソ連が消滅した後、米国とロシアの協調は長くは続かなかった。対立の中心にあったのは、西側の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO) の東方への拡大だ。ソ連のくびきから解放された国々が、ロシアの脅威から自らを守る安全保障のよりどころを求めたのは、当然の成り行きでもあった。

  94年12月5日、ハンガリーのブダペストで開かれた全欧安保協力会議(CSCE)首脳会議で、クリントン米大統領(当時)は「いかなる国もNATO拡大に拒否権を行使できない」と演説。エリツィン・ロシア大統領(同)は「あなたたちはなぜ不信の種をまくのか」「欧州が冷たい平和に陥る危機だ」と反論した。

 利害が再びぶつかる時代の幕開けを象徴する演説と同じ日に、米ロ両首脳とメージャー英首相(同)は「ブダペスト覚書」と呼ばれる外交文書に調印した。ソ連崩壊後も残っていた核兵器をウクライナが放棄する見返りに、同国の領土の保全を核保有国である米ロ英が保障する内容だ。この覚書が今回の対立で重要な意味を持つようになる。

 EUとロシアの貿易額は米ロ貿易のおよそ10倍。ロシアの輸出の半分はEU向けで、原油と天然ガスがその6割近くを占める。ドイツは天然ガスの4割以上と原油の3分の1をロシアに依存する一方、6200社もの独企業がロシアに進出し、投資額は200 億ユーロ(約2兆8000億円)に達するほど結びつきは強い。

 ドイツの世論調査ではプーチン大統領は信頼できないとする人が75%に達するが、対ロ経済制裁を支持する人は38%にとどまる。
  英国でもロシアの存在感が強くなった。ロンドンのホテルのロビーでは必ずロシア語の会話が聞こえる。中国人の団体観光客と違って、ロシア人は男性2~3人 という例が多い。不動産会社や金融機関にはロシア人担当者がいる。今のロンドンは、ロシアのマネーの最大の受け皿の一つだ。

 キャメロン英首相はロシアへの圧力が必要と訴えるが、「金融センターからのロシア排除を支持すべきではない」という政府の内部文書も暴露されている。

 原子力大国フランスは、エネルギー面でのロシア依存度は低い。だが、オランド大統領が「われわれの決意と同時に、対話と交渉の意思を知らせる」と語ったように、ロシアとの通商関係をできるだけ損ないたくないと考えている。

  米国では強力な金融制裁を実施すべきだという声も広がっているが、EUは対イランのような強い制裁で米国と足並みをそろえる状況には至っていない。

 メルケル独首相はプーチン大統領と頻繁に電話で話し合う。首相が伝えているのは、ロシア軍によるクリミア半島の事実上の占領とロシアへの併合の動きが、ブダペスト覚書に違反しているという警告だ。

 ロシア側は、住民投票によってコソボがセルビアから独立し、欧米がそれを認めた例をあげ、クリミアの住民投票によるウクライナからの離脱を正当化しようとする。ラブロフ・ロシア外相は、対ロ制裁を発動すれば「ブーメランのように自らに跳ね返ってくる」とけん制している。

 だが、ロシア側に跳ね返るブーメランの打撃は欧州より深刻かもしれない。経済成長率の低下が目立っていたところに、今回の対立で資本流出が加速した。通貨ルーブルの暴落に歯止めをかける利上げが、景気をさらに冷え込ませる。

  2%台と見込まれていた今年の実質成長率が「1%を割り込む」「マイナス成長に陥りかねない」と、ロシアの経済界には危機感が広がっているという。地政学リスクの顕在化で、すでに欧米の銀行は与信を絞り始め、ロシア企業の資金調達コストが跳ね上がりつつある。ロシア企業は悲鳴を上げるが、悲鳴は政権に伝わっているのだろうか。

 ロシアではウクライナ関係の政策は、治安組織出身者が中心の大統領側近が立案し、外相は関与するが、経済関係の閣僚は排除されているとの報道もある。

 プーチン大統領は13日に開いた安全保障会議で「ウクライナや欧米のパートナーと、どう関係を築くか一緒に考えよう」と語ったという。これまでより柔軟な発言とも受け止められる。

  米国では、90年代にNATO拡大推進を訴えたブレジンスキー元大統領補佐官が、将来のウクライナは「EUに加盟してもNATOには加盟しないフィンランドのような国が望ましい」との考えを示す。ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相も、NATO加盟はわれわれの視野にはないと語り、ロシアとの緊張緩和を探っている。

 外交による解決の余地は残っているのか。週明け後のロシアの出方が、危機の行方を大きく左右する。

 ≫(日経新聞電子版:本社コラムニスト 脇祐三)

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●なぜ?ウクライナ政変、なぜ?STAP細胞、なぜ?マレーシア旅客機

2014年03月16日 | 日記
道徳感情論〈上〉 (岩波文庫)
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●なぜ?ウクライナ政変、なぜ?STAP細胞、なぜ?マレーシア旅客機

 “ なぜ?”と云う謎だらけな事件が頻発している。民主主義国家において、いともアッサリと、選挙で選ばれた政権が転覆、或は転覆の危機にある。このような転覆劇を一般的には「クーデター」(政変)と呼ぶわけだが、その他にも境界線は曖昧な、「革命」、「反乱」、「テロリズム」と云う概念もある。今回のウクライナにおける政変は、民主国家で起きた選挙を経ずに、政変が起きたわけだから、「クーデター」又は「革命」に当たるだろうが、その政変の主導的役割を果たした人物又は勢力が曖昧模糊としている。ウクライナは、鵺のような一陣の風で政変が起きたというのは、21世紀の物語としてはいただけない。

 STAP細胞論文問題も、小保方女史が、名誉欲に目がくらみ、自らの論理を出鱈目なデータを添えて証明した、と考えるのには無理がある。6か月程度の幻の名誉に浸るなどと云う目的は馬鹿げているので、彼女なりにネイチャーに載せられる根拠は持っていたと推認できる。最近の科学は、スピードとの戦いであり、早い者の独り勝ちルールがあるので、それを意識したあまり、確認作業が不十分だった、と云うのが実像に近いと思われる。これから半年、1年後に同様の手法で、どこかの国の誰かが、「STAP細胞の作成に成功」の記事がメディアを覆いつくす日があるのだと思う。

 日韓関係の急激な改善?については、朴大統領の態度が明確になった時点で触れることにする。たぶん、いま一番のなぜ?は何だ、と言えば「マレーシア機ボーイング777はどこに行った?」であろう。朝日が、概ねの事件の経緯をまとめているので、以下に掲載する。タイ上空近辺から3000~4000キロ程度飛行したようだから、中央アジアからインド洋の、どこかに墜落したか、着陸したという事になる。乗員の自殺説もあるが、自殺を決意した人間が、色々と手間のかかる作業を実行しているのは理解できない。5時間もウロチョロしているのも奇妙だ。

 どこかに墜落したか、着陸したかの判断は、今後の経緯を見つめるしかないのだが、一番憂慮すべきことは、意図的にボーイング777旅客機を奪取する意思があり、そのボーイング777を何らかの目的に使用する「テロ行為」の可能性である。どこかに着陸した場合、乗客全員はどこかに監禁され、ボーイング777への給油終了後、その旅客機がどのような目的で飛び立つかが、一番の憂慮である。しかし、現実に、あんなデカい図体の旅客機が何処に行ったのか分からないと云うのだから、レーダーや監視衛星の機能も思ったほどではない。


 ≪ 不明機、故意に進路変更か マレーシア機消息絶ち1週間
 北京に向かっていたマレーシア航空機が消息を絶ってから1週間。マレーシア政府が新たな情報を明らかにしたが、謎は深まるばかりだ。

 ■通信切断に不審点
 マレーシア政府が通信装置の切断を故意だとみているのは、その切れ方に不審な点が多いからだ。
 当局によると、機体の状態を航空会社にデータ送信する装置が使えなくなったのは8日午前1時7分。この段階でパイロットは異常に気づくはずだが、管制には何も伝えてこなかったという。
 さらに、午前1時21分には、便名などを管制に知らせる無線信号機が使えなくなった。これら二つに時間差がある点も「故意」との見方を強めている。そして1時半に管制レーダーから機影が消える。政府は、飛行機が進路を変更したのも故意だとみている。

 ■行き先は中央アジア?インド洋南?
 飛行機はどこに向かったのか。
 マレーシア政府によると、空軍レーダーは、南シナ海で管制レーダーが見失ってから45分にわたって不明機をとらえ、ペナン島の北西約200マイル(約320キロ)の上空約9千メートル地点で見失った。ところが、その後も約6時間にわたって民間の通信衛星が交信していた可能性があるという。
 当局は、中央アジア方面か、インド洋南方のどちらかで不時着または墜落した可能性があるとみて、捜索の重点を移すことにした。
 航空機は通常、飛行時間に加えて2時間分ほどの予備燃料を積む。クアラルンプール―北京間を飛ぶ予定だった今回は8時間ほどの燃料を積んでいた計算で、衛星情報から推測される飛行時間の可能性とほぼ符合する。
 もし、カザフスタン国境まで飛行していたとしたら、なぜ、各国の管制や軍のレーダーに捕捉されなかったのか。航空自衛隊幹部は「相当低い高度で飛ぶと軍でも捉えられない。また、沿岸から距離が離れるほど捕捉が難しくなる」とも話す。
 ただ、元日本航空機長で航空評論家の小林宏之氏は、西方から北西に飛行したとされることについて「インド・パキスタンの国境周辺は緊張状態にあり、無許可で飛行すれば、すぐに両国軍からのスクランブル(緊急発進)を受ける恐れがある。通常、操縦士が向かうことは考えられない」と述べた。

 ■だれの指示か
 いったいだれが何のために通信を切断し、方向を変えたのか。ロイター通信は15日、マレーシアの警察が行方不明機を操縦していた機長(53)の自宅を捜索したと伝えた。
 航空評論家の青木謙知さんによると、2001年の米同時多発テロ以降、操縦席は扉の構造が厳重になり、第三者を入れないことが国際ルールで定められた。男性副操縦士(27)が過去に女性客を操縦席に招き入れたことが明ら かになっているものの、「第三者によるハイジャックは難しい」とみる。①操縦士が自分でハイジャックした②操縦士が自殺をした――の可能性を指摘する。
 ①は今年2月、ローマ行きのエチオピア航空機で発生し、ジュネーブ空港に着陸したところでエチオピア人の操縦士が逮捕された。②は1994年にモロッコで墜落して44人が死亡したモロッコ航空機のケースで、調査委員会が原因を「機長の自殺願望によるもの」とした。
 ただ、ナジブ首相は会見で「ハイジャックとの報道があったが、すべての可能性を調べている」とし、事故の可能性も否定しなかった。 ≫(朝日新聞:渡辺丘、三浦英之、平井良和)

日本の深層 縄文・蝦夷文化を探る (集英社文庫)
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●ジョセフ・ナイやアーミテージの説教は、もう古臭くないか?朝日新聞さんよ!

2014年03月16日 | 日記
小説 外務省-尖閣問題の正体
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●ジョセフ・ナイやアーミテージの説教は、もう古臭くないか?朝日新聞さんよ!

*本日は多忙なので、以下の記事をどのように読まれるかは、皆さんのご見識に任せよう。ただし、今なぜナイ教授のインタビューを朝日が載せたのか、そこをじっくり考えてみようと思っている。単に、朝日新聞が米国ベッタリ志向と言ってしまえば、身も蓋もないわけで、何らかの意図はあるのだろう。一番言いたいところは、日韓関係なのかもしれない。北朝鮮が暴発すると云う事例は、ハーバード大学教授の口から飛び出すのは違和感だらけだ。要するに、べ国にとって、役立つ日本の姿を語っている、と受けとめておいてもよさそうだ。こういう日本が、アメリカにとって、最も都合が好いのだが、と聞き流すのも選択だ。または外務省の役人たちのように、忖度の基礎知識として知るべきインタビューかもしれない。

 ≪ 憲法解釈の変更「正当だが」 ジョセフ・ナイ氏に聞く
 ジョセフ・ナイ・ハーバード大教授が日本の集団的自衛権行使や安倍晋三首相の靖国神社参拝、日米中の関係などを語った。主なやりとりは以下の通り。

 【集団的自衛権】
 ――日本の集団的自衛権を巡る議論をどうみていますか。
 日本にも、他の国々と同じように集団的自衛権はあります。日本は戦後の憲法でこの点を非常に限定的に解釈してきましたが、これをより広く解釈することは正当なことだと思います。

 ――集団的自衛権行使が米国側に資する状況とは。
  典型例は日本近海で北朝鮮が米艦船を攻撃し、海上自衛隊の艦船が近くにいる場合などでしょう。あまりに狭い憲法解釈によって、日米が協力して対処する能力が妨げられる恐れがあるのです。
 米国は、日米はいくつかの困難な状況に直面していると考えています。その中で最も危険なのが北朝鮮です。憲法をあまりに狭く解釈すれば、協力して取り組む我々の能力が疎外される恐れがあります。

 ――安倍政権は憲法解釈の見直しを考えていますが、日本国内には憲法改正で集団的自衛権を行使できるようにすべきだという意見もあります。
 憲法の改正は近隣国をさらに神経質にさせると思います。中国や韓国では、日本が軍国主義的になるのではという不安が生まれています。憲法改正はこの不安を増大させるでしょう。
 日本政府のいくつかの行動は、近隣国が懸念をしているこうした状況を悪化させています。たとえば、安倍首相の靖国神社参拝や首相周辺の人々の、村山談話や河野談話見直しに関する発言です。
 米国内でも、日本で強いナショナリズムが台頭しているのではという懸念は出てきています。個人的には日本の大部分の意見は穏当なもので、軍国主義的なものではないと思います。
 ただ、米政府の言葉を借りれば、首相が自らの政策が近隣国との関係に与える影響にもっと注意を払わないことについては、失望しています。私は政策に反対しているのではありません。ただ、ナショナリズムのパッケージで包装することに反対しているのです。

 ――日本の集団的自衛権は東アジアの安定に資するものだと考えますか。
 日本の集団的自衛権行使は、ナショナリズムで包装さえしなければ、東アジアの安定に積極的な貢献を果たしうるものです。日本は安倍政権の下で正しい政策を進めていると思います。しかし、首相の靖国参拝や河野談話、村山談話見直しの兆候と合わさると、良い政策を悪い包装で包むことになります。

 ――むしろ「包装」の部分こそが安倍首相の心情であり本質だとしたら?
 我々が同盟国の首相の考えを決めることはできません。ただ同盟国として、「それをやることはあなたにとって良くないし、我々にとっても良くないことだと助言します」とは言えます。
 私たちは一人の政治家や一つの政党だけでなく、日本全体を見る必要があります。私が、日本が攻撃的な国になっていると心配していないのは、それが 日本全体の世論ではないからです。同盟国の指導者のやったことに失望すれば、我々は率直に失望を表明すべきです。しかし、これが日本の人々や日本という国との同盟関係を失うことを意味するわけではありません。
 日本は「どうやって近隣諸国の懸念を引き起こさずに、理にかなった政策変更を行うか」と自問すべきです。日本が平和を愛する国であり、軍国主義の国ではないことを示すための一歩を踏み出すべきです。

 ――日本の平和維持活動(PKO)の拡大については、どう考えていますか。
 平和憲法の精神にも合致していると思います。日本のPKOへの貢献は世界平和への重要な貢献です。世界は安全保障の公共財を提供できる主要国を必要としています。

 ――安倍政権の評価は。
 日本に経済成長が戻ってきたことをとても喜んでいます。日本が世界に貢献できることはたくさんあります。経済成長は日本の人々の暮らしにとって重要ですし、世界での日本の地位や日本の貢献という意味でも重要です。
 安全保障政策では先ほど述べた通り、政策には反対しませんが政策を包む包装には反対です。同じことを、靖国参拝に代表されるようなナショナリズムなしでやるべきです。

 【日米中関係】
 中国との関係で米国が望むのは、米中、日米、日中の「良い関係のトライアングル」です。これが最も安定した形です。日中関係の悪化は我々にとって喜ばしいことではありません。
 中国はいま、新たな経済力と軍事力をどう使うかを見極めようとしている時期です。米国は中国に対して、冷戦時代のような「封じ込め」をやるつもり はありません。ただし、中国が東シナ海や南シナ海で隣国をいじめるようなことは許さないということも、はっきりさせておきたいのです。

 ――クリントン前国務長官は「(既存の大国と台頭する大国はやがて衝突するという)古い問いに新しい答えを見つける」と繰り返していましたが、米中の将来像は。
 まず、中国は今後も長い間、米国と対等の力にはなりません。多くの人が1914年時点の英独と比較しますが、当時のドイツはすでにイギリスを上回る国力でした。
 私は、新しい関係とは東アジアでの勢力均衡だと考えます。米国がその一角を占め、日本や中国も一角を占めます。ロシアはまだわかりませんが、最終的にはインドネシアのような国もより大きな役割を果たすでしょう。
 東アジアにおいては、私たちはある分野では協力し、別の分野では競争する関係になるでしょう。ただ、武力衝突につながる敵意や恐怖で特徴づけられた関係ではありません。

 ――協力と競争は共存可能ですか。
 歴史を振り返れば、協力と競争が共存した関係はたくさんありますが、21世紀にはこれがさらに強まります。貿易は長年国家同士が協力してきた分野 ですが、さらに気候変動や世界的に流行する感染症、国際金融システムの安定など、協力しなければならない新たな分野が出てきています。これが、米中の新しい関係とは何かという問いへの答えになるはずです。

 【日米韓】
 ――米国にとって、日韓関係の改善がなぜ重要なのですか?
 日韓関係については我々が直面する課題に目を向けるべきです。北朝鮮は深刻な脅威で予測不能です。北朝鮮から自分たちを守ろうとするときに、日韓が協力や合同訓練をできないことは3カ国すべてにとって危険なことです。   
   ◇  
Joseph Nye(ジョセフ・ナイ) 1937年生まれ。国際政治学者。クリントン政権で国防次官補として「ナイ・イニシアチブ」と呼ばれる日米安保再定義を主導した。 ≫(朝日新聞デジタル)


*2012年8月の拙コラムに、アーミテージやジョセフ・ナイが提言した、日米同盟のあるべき方向と云う報告書がある。ご親切なことに、第3弾まで出している。以下は当時の朝日新聞の記事である。参考までに張り付けておく。

≪日米韓強化へ「歴史問題解決を」 アーミテージ氏ら提言
 アーミテージ元米国務副長官とナイ・ハーバード大 教授ら超党派のアジア専門家が、日米同盟のあるべき姿についてまとめた報告書が15日に公表された。中国の台頭や北朝鮮の核開発に対処するため、日米に韓 国を加えた関係強化が重要と指摘。障害となる日韓の歴史問題の解決に向けて努力するよう求めている。
 報告書はアーミテージ、ナイ両氏を中心に2000年 と07年にまとめられ、今回は第3弾。「米日同盟――アジアの安定を支える」と題し、エネルギー、経済・貿易、周辺諸国との関係、安全保障などの分野を扱い、日米同盟が地域の安定のために何をすべきかを包括的に提言している。
 日米韓の関係については、中国や北朝鮮への対処のために「外交上の持てる力をともに出し合うべきである」と指摘。原子力利用の国際的なルール作り、政府の途上国援助(ODA)などの分野でも3カ国が協力できるとした。
  そうした協力関係を深めるため、日韓の歴史問題の解決に向け、米国は「徹底した外交努力を行うべきだ」とし、日本に対しても「韓国との複雑な関係を続けて いる歴史問題に向き合うことが不可欠だ」とした。そのうえで日韓の歴史問題について、米国が加わる形で、日米韓の3カ国の有識者らで作る民間レベルの対話 の場を設けるよう提言した。
 安全保障面では、中国が南シナ海や尖閣諸島を新たな「核心的利益」に加えている可能性があると指摘。日米が政策、軍事的能力の両面で対応できるようにする必要があるとした。
  原子力発電については、経済の活力維持や温室効果ガス削減などの観点から「再開は、正しく責任ある措置」と原発の再稼働を促した。さらに、米国で開発ブー ムに沸く「シェールガス」など天然ガスについて、日本で需要が高まっていることを踏まえ、米側に日本への輸出規制を緩和するよう求めた。≫(朝日新聞:ワ シント ン=伊藤宏)

目から鱗の裁判官の実像激白

絶望の裁判所 (講談社現代新書)
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●盛りだくさんの日本の課題 経済も外交も操舵を間違わず地獄に向かっている

2014年03月15日 | 日記

 

小室直樹の世界―社会科学の復興をめざして
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●盛りだくさんの日本の課題 経済も外交も操舵を間違わず地獄に向かっている

 STAP細胞のネイチャー論文で、小保方女史が窮地に陥っている。ほんの少し前まで、メディアの寵児が魔女狩り状態になっている。彼女のSTAP細胞の発見研究は、多分上手くいった可能性は捨てきれない。ただ、その製造過程の論文に誤りがあるのだろう。おそらく、彼女は百万遍の試行錯誤を繰り返したわけで、製造出来た過程の記憶がゴチャゴチャになってしまっている可能性もあるわけで、一方的稚拙への非難が妥当だとも思わない。STAP細胞と云う天地を引っくり返すような発見だけに、彼女や日本の権利領域となることを阻止したい勢力の存在も念頭に、ことの推移を見守るのが賢明だ。iPS細胞で日本の独走を許し、その上STAP細胞革命など日本に独走させたくない世界があることも十分考慮すべきだ。

 米国のケリー国務長官とロシアのラブロフ外相の2度目の直接会談がロンドンで行われたが、双方が主張する方向はすれ違いに終わった。ケリーの態度は、16日のクリミア自治共和国の住民投票が行われることを忌避したい態度がみえみえな部分で負けである。住民投票を実施したら、欧米はロシアに制裁を加えると云うもので、クリミア住民の意思表示は都合が悪いと白状しているようにも見える。それはそうだ、ウクライナの暫定政権と云うものは、選挙の「せ」の字の洗礼を受けていないクーデター政権であり、暫定政権より、少なくとも民主的手続きを実践している分だけ、欧米側は分が悪くなるからだ。

 日経225が異様な勢いで下落している。14800円がガチガチの底値と言っていたエコノミストが、今度は底値は14000円だと言いはじめた。まったくもって節操と云う言葉を放棄した人種である(笑)。ウクライナ情勢の不安定化と中国シャドーバンキング絡みのファンドのデフォルト容認の不安感が、世界同時株安の共通の原因だとしても、日本の株価の下落率は群を抜いている。NY市場の下落率は1.4%なのに、東京市場は3.3%の下落なのだから、それ以外の要因が日本経済においては、世界共通要因以上の下落要因があると考えるのが正常な神経の持ち主の思うところである。

 それが何であるか、確たる答えはないが、アベノミクス全体が幻想と妄想に基づく経済政策であったことを世界が感じはじめた、という証拠だろう。特に4月からの消費増税3%アップは、どえらい勢いで国民生活を直撃するだろう。日経が幾ら必死で「増税の影響は軽微」と書きなぐっても、殴られるのは安倍政権の経済政策であり、最終的には国民を殴りつけるのである。まぁ殴られていても、本当に殴られたかどうか気づくまでに、相当の時間を要する国民である可能性も否定できない。まだまだ、一定の自己防衛が可能な富を彼らが床下に蓄えている点も考慮に入れておく必要はある。

 政労使会議の成果を強調するあまり、各企業の大幅ベアの妥結を喧伝するマスメディアだが、この話題から取り残された人々の疎外感は考慮に入っていないのが、現在の政府の考えであり、メディアの姿勢だ。デフレは脱却方向、景気の好循環の勢いは堅持されている。7割以上の国民が、誰にも語らず、俺たちは取り残された人間なのだ、と思い込む社会現象の方が、将来的には大問題になるのかもしれない。つまり、虚偽の景気浮揚プロパガンダが、自国民の棄民意識を目覚めさせる事と人心を傷つける二重の悪政を行う事実に気づかないのが馬鹿げている。

 財政出動が5兆円で、消費増税3%アップの経済の落ち込みをケアしようとは、あまりにも虫が良すぎるのではないか。そんなマジックが通用するなら、どの国でも増税に舵を切りたいのが世界の政府が抱える問題は解決してしまう。10兆円でも不足だろう。おそらく、昨年並みの15~17兆円の財政出動が必要なはずである。しかし、たしかに、そんなに貿易収支、経常収支悪化の中で、行える筈もない。いま、政治が行うべきことは、戦後レジームの脱却なんて直近で矮小化された時代感覚で済む問題ではない。200年前の欧米列強国家への追随からの脱却まで戻るべきなのだ。逆に、そこまで戻るには、それ相当の政治哲学が求められる。永遠に手にすることがなさそうな、哲学的思考、日本人の望む方が無理無体かもしれない。

 ゆえに、最後の手段。徹底的に痛もうではないかと云う提案に至る。嫌でも応でも経験しなければならない痛みであるなら、清水一角ではないが「バッサリやってくれ!」て、心境になるのも人間的である。暴力的武士道を賛美しているわけではない。一角は無宿者なのだが極めて人間的であるという事だ。まぁ一角云々は別にして、ダメになる運命の国家は、早くダメを国民が共通認識できる経験を共有するしかない。原発事故程度の経験では、日本人は不足なのであり、その経験には共通性がまだらであった。もっと凄い経験である必要がありそうだ。不幸な経験でも、次なる世界が見える不幸であれば、それは奇禍である。

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●空洞化米国に似てくる日本 移民政策は建設作業員云々ではなく原発作業員確保

2014年03月14日 | 日記
日本の雇用が危ない 安倍政権「労働規制緩和」批判
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●空洞化米国に似てくる日本 移民政策は建設作業員云々ではなく原発作業員確保

 今夜は時間がないので、取り急ぎの感想を述べるにとどめるが、日本と云う国は、かなりトンチンカンナ方向に向かって操舵されているようだ。円安による貿易収支は、一時もてはやされた「Jカーブ効果」を見せることなく1年以上が過ぎた。もう「Jカーブ効果」の話をしたら笑われる段階に至り、あまり口にする評論家もいなくなった。

 「Jカーブ効果」がまったく機能しなかった理由は数々あれど、絶対的条件が違ってしまっていたことだ。つまり、製造業の海外生産量が殊の外大きな要素になっており、輸出製造業の構造は、政府が把握する以上に進んでいた。また、日本の製造業者は、円安を市場における価格設定優位のメカニズムに踊らず、販売価格据え置きで、為替上の利潤だけを謳歌した。また、海外拠点が得た利益を、必ずしも自国に戻さず、次なる投資の資金としてキープする傾向も顕著である。

 つまりは評判の悪い内部留保額の積み上げが見えにくくするテクニックを使っていることになる。まぁそのような行為をする企業経営者がケシカランと云う話ではない。それが、20世紀後半から21世紀にかけての、経営者の趨勢であり、それを咎めても解は得られない。グローバリズム経済にどっぷり浸かった日本経済とは、そう云うものなのだ。まさに、米国がモノづくりの拠点を海外生産にシフトした姿と瓜二つだ。アメリカは、それでも基軸通貨のドルを一定の範囲で動かせる自在性があるので、世界の金を吸引する力があるので、なんとか金は回る。

 しかし、対ドルの為替相場で、為替差益しか利益増とならない日本企業の空洞化実態は、アメリカ以上に厳しい現実をみせる。大きな要因で言うなら、クレジット消費文化が「徳」に思える文化と「もったいない」文化の違いも、実は大いに影響する。日本人は、可処分所得が自動的に減少する事実を知った瞬間から、倹約省エネ生活の工夫に勤しむのが、習い性であり、それを是とした文化である。マクロ経済の観点だけで、経済を動かそうとすると、こう云う理に合わぬ経験に出遭うものである。

 最近の学者などは、合理性を前面に押し出し議論を深めようとするが、日本の経済を考えるとき、日本民族の金銭に対する意識構造を度外視する傾向が強いのだが、象牙の塔の理屈遊びに終わるだろう。このような経済上の問題に加え、少子高齢化と云う重大な懸案が待ち受けるのが我が国の本質的問題である。この問題に対処すべき政策は、殆ど無策に近い。正直、65歳以上の労働力の確保とか、女性の活用とか、かまびしく議論されるが、多くは役人の組織拡大に利用されるのが落ちである。

 働きながら子育ての出来る環境云々の話で、世間は盛り上がるが、筆者の感覚から行けば、子育て世代が楽になるだけで、文明の進化が、結婚を望まないとか、セックスする気にならないとか、人の人生まで責任は取れないなど、由々しき問題を抱えるのだが、これも文明の進化の作用であり、あまり逆らう政策が的を射ることはないだろう。そうなると、最後の手段は移民の是非である。以下は、産経の記事である。


≪ 毎年20万人の移民受け入れ 政府が本格検討開始
 政府が、少子高齢化に伴って激減する労働力人口の穴埋め策として、移民の大量受け入れの本格的な検討に入った。内閣府は毎年20万人を受け入れる ことで、合計特殊出生率が人口を維持できる2・07に回復すれば、今後100年間は人口の大幅減を避けられると試算している。経済財政諮問会議の専門調査会を中心に議論を進め、年内に報告書をまとめる方針。ただ、大量受け入れには単純労働者を認めることが不可欠で、反対論も強まりそうだ。
 現在、外国人労働者は高度人材などに制限されており、日本国籍を付与する移民の大量受け入れとなれば国策の大転換となる。
 日本で働く外国人の届け出数(昨年10月末)は72万人弱で、前年より約3万5千人増えた。20万人はその6倍近い数だ。
 政府が移民の大量受け入れの検討に乗り出したのは、勤労世代の減少による経済や社会への影響が現実になり始めたため。成長戦略では女性や高齢者の活用を打ち出す一方で、移民も有力な選択肢として位置付けることにした。
 試算では、2012年に8973万人だった20~74歳人口が、現状のままであれば2110年に2578万人に減る。しかし、移民を入れた場合は7227万人になるとしている。
 だが、移民政策には雇用への影響や文化摩擦、治安悪化への懸念が強い。しかも、現在は外国人労働者は高度な専門性や技術を持つ人材などに限定しているが、毎年20万人を受け入れることになれば高度人材だけでは難しい。単純労働に門戸を開く必要が出てくる。
 政府は移民議論と並行して、外国人労働者の受け入れ拡大を先行させる考え。
 東日本大震災の復興や東京五輪に向けて建設業を中心に人手不足が拡大していることから、最長3年となっている技能実習制度の受け入れ期間延長や、介護職種を対象に加えることなどを検討している。改革案は6月にまとめる新たな成長戦略に反映させる。
 こうした専門性や技能が高くない労働者の期間延長案には「実質的な単純労働解禁で、移民受け入れへの布石」(自民党議員)との批判が出ている。 ≫(産経新聞)


 まぁ少子高齢化の決め手は、グローバル資本主義の枠から抜け出せないのであれば、実現性のある政策が、移民政策であることは、常々意識下に存在するファクターである。問題は、いつ誰が政策として実現させるか、ロシアンルーレットのような懸案事項である。筆者自身は、移民政策でなくとも、世界に自慢できる国家は作れると思うが、金銭価値に拘泥する人々がこれだけ多いと、馬の耳に念仏のようなもので、語るだけ無駄骨だ。

 筆者の想像が正しければ、この単純労働者の受け入れ準備の切実なターゲットは、原発作業者の確保である。建設土木の人材不足も、それなりに深刻だが、入札不調は、無駄無理な予算が残るので、悪いことばかりではない。公共事業に回す金がなくなれば、そこで人員の不足も止まるので、大した問題ではない。しかし、上述の原発作業員の枯渇と云う問題は、致命的問題だ。フクイチ事故処理、再稼働や廃炉作業と、何人でも原発作業員は必要なのだ。今に、この事実は、日本が移民政策を導入したと云う議論以上の、世界的議論を巻き起こすだろう。慰安婦問題など吹き飛ぶほど激しい宗教倫理紛争の種にもなるだろう。

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●2114年の政治学者は、プーチン研究に精を出す 安倍と習は併記されるだろうか

2014年03月13日 | 日記
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●2114年の政治学者は、プーチン研究に精を出す 安倍と習は併記されるだろうか

 昨日の拙コラム「欧米及び属国の敗北 クリミア独立を阻止する力量はオバマにもEUにもない」の冒頭で筆者は
『 オバマは電話オタクのように、世界中の仲間(表向き仲間の振りをしているかもしれない)に“モシモシお願いコール”に勤しんでいる。スマホアプリ・ LINEのお友達と同じような関係性が、アメリカとEU諸国との間には、厳然たる温度差がある。つまり、NATOの軍事力を行使できるのは、弱小国に対し ての力量乃至は威嚇力である。形式上、対ソ包囲網が、対ロ包囲網として体面を繕っているが、残念ながら仏の身体だけを彫り、魂を入れるのを忘れているのが NATOである。
 それに対し、ロシアのプーチンは政治的な命運を賭して行動に出ている。その上、ロシア人は歴史的にクリミア半島と は、そもそも我国の領土である。ウクライナ系ロシア人であったフルシチョフがウオツカの飲み過ぎで朦朧とした意識の中で、ウクライナへのナチ掃討の報償と して与えたと云う伝説的話を、絶対の真実と思い込んでいる。このような、義憤に包まれた大国の軍隊は強い。何といっても、国家正義のための大義ある聖戦な のだから。イスラムの戦士の魂と似通う部分が大いにある。
 このような軍隊に正面切って戦うEU諸国はどこなのだ?アメリカ軍を動かす 勇気がオバマにあるのか?前者も後者もNOである。経済制裁が関の山だが、中国習主席は多くの問題に曖昧な回答だが、ロシアへの制裁的行動には拒否の姿勢 ははっきりしていた。たとえ米国含むNATOの軍事力が、比較論で勝っていても、それを使い切る判断や勇気を持つには、NATO軍は複雑すぎる。漸く、ア メリカ発の金融不況から脱出しかけているヘタレ金融資本に乗っ取られたデモクラシーが、筋金入りで戦争が出来る状況にはない。これこそが、プーチンの読み であり、彼の勝利を約束するのである。
と語ったが、ここ数日の動きを観察する限り、この読みは、大方の論者の体制論を横目に、一層確たる推測に接近しているようだ。

 中国の銅相場の暴落に端を発した西側金融関連者の慌てぶりは相当なもので、東証・日経平均は400円近い下落劇を演じたようだ。エコノミストの多くが、盤石底値1万4800円同等となり、木金の相場次第では、アベノミクスの景気浮揚シナリオに、大きな警鐘が鳴らされるかもしれない。「経済財政運営と改革の基本方針」及び「日本再興戦略」を踏まえ、経済の好循環の実現に向けて、政労使の三者が意見を述べ合い、包括的な課題解決のための共通認識を得ることを目的として発足した「政労使会議」の恩恵あらたかと云う現象が起き、メディア各紙はかまびしくベースアップの順調な推移を報道している。

 まぁ、自由主義経済下で、このような護送船団方式で、景気循環を政府の思うままに出来るくらいなら、社会主義経済が没落することはなかったわけで、そもそもの原理原則から逸脱した国家統制風味の経済好循環などと云うものが回り出したら、グローバル経済世界からの脱落を意味しているので、筆者にとっては好都合だが、巷の目線は、ゆえに「世界に伍して闘える」と思っている人々だらけなのだから、安倍自民の舵取りが経済を歪める事は必至の状況になっている。

 筆者は安倍政権が生き永らえ、日本という国の思考停止国家の膿を絞り出してくれることを望んでいる。無論、安倍の政策が正しい故ではなく、まったく混乱の中であらゆる方面の統治システムの齟齬が露呈してくれることを期待しているのだ。官僚組織の上に乗っかっているような顔をして、自己陶酔している日本の首相は、もってこいの独り芝居を実演してくれている。ナショナリズムが出たり入ったりする安倍の矛盾だらけの行動は、まさに戦後の日本人を象徴している。その点で、彼が日本の膿を絞り出すには、最適の人物であり、最高の唯我独尊政治を展開している。現在の日本人の自明性が、どれほど根拠のない浮き草のようなものであったのか、そろそろ民族として知る必要がある。その為に国民がしばらく塗炭の苦しみを味わうのも選択肢なのだと割り切っている。

 グローバル経済下では、労働者の賃金の上昇は、個別には嬉しい話だが、自由主義市場経済の観点から探れば、ドロップアウトそのものなのである。中国からの撤退を検討している企業の理由の殆どが、中国における賃金の上昇が想定外な勢いで進捗している要因によるものだ。まぁこの廉価労働力を求めてジプシー生産ラインの希求は、最終的にどん詰まりに至るか、自国の労働市場に廉価な労働力を抱える道を選ぶことになる。現在かまびしいベースアップの話題も一過性で、日本人は、なぜあの時だけ賃金が上がったのか、七不思議のように語ることになるだろう(笑)。

 金融資本主義とグローバリズム経済と云う船からの下船は無理と判断した欧米及びその勢力に追随する国々、メディアの多くが、日本の大企業の賃金上昇を複雑な目で見つめている。消費増税の圧力に対抗する日本の国民が、その賃金上昇で消費を控えることが少なくなることを望んでいる。しかし、その望みは希望的観測であり、殆ど確たる根拠を持たない。世界経済を牽引していた途上国の経済成長の衰えは、日米の更なるエンジンの噴射を待っているようだ。しかし、日本の足元に住んでいる筆者から見れば、世界のエコノミストのないものネダリであることは自明だ。

 WSJなど世界の経済紙は、「日本の命運は大胆な規制改革、第三の矢がポイントになる」と催促相場のような言説を唱えるのだが、大胆な規制改革が出来るくらいなら、失われた20年など存在しないわけで、彼らの催促はないものネダリである。グローバル経済を牽引する力は、地球上に存在しない。世界各国は、内向きなグローバル経済へのタダ乗りを模索しているのが現状で、機関車になろうと云う国は消えてしまった。おそらく、為替相場と云うものが、この現象をより悪化させているのだろう。

 そうなると、世界の政治がカンフル剤のような延命策を思いつくか、思いっきり金を垂れ流す戦争と云うものを始めるかどうかの選択になる。現時点で、経済への世界的カンフル剤は金融の更なる肥大であり、リーマンショック以上の規模でまやかしのバブルを育成することになる。あとは、世界中が世紀の戦争に突入することである。核の撃ち合いは起きないだろう。核戦争では、経済が好転する過程が存在せず、多くの国家が消滅するだけで、実りを得るもなにもあったものではない。

 本来であれば、人類の進化を立ち止まって考えるべき時が来ているのだが、そのような行為を国民が許さない。現在の民主主義、市場原理主義経済体制では不可能だ。最初に立ちどまった国が始めに疲弊するのが判っているので、誰も先陣は切らない。驚くほど優れた国民で構成されている国が存在すれば可能だろうが、その為には、その国に異様に強力な独裁者がいなければならない。その独裁者がプーチン大統領だとは言わないが、世界の政治家の中で、最も近い距離にいる政治家なのはたしかだ。

 おそらく、長い歴史の中で、現在のグローバル経済下の金融資本主義がどれ程愚かな経済行為であったかは証明され、笑いものになる時代として記憶されるだろう。その歴史検証において、ロシアと中国と日本のリーダーが異質な動きをした程度の評価を受けるかもしれない。安倍晋三にとっては、最大の危機だが、最大の歴史に残るチャンスでもある。筆者は、国民が一時、塗炭の苦しみを味わうであろうが、グローバル主義と金融資本主義の罠から逃れる、数少ないチャンスに遭遇した首相だと認識する。

 永遠に米国から愛される日本のナショナリストでないのなら、ナショナリストな行動を選択すべきだ。勿論、彼のナショナリスト魂は間違っているので、次のリーダー、次のリーダが補正すれば良いことだ。いずれにせよ、別れてみることで、次の世界が見えてくるものだ。破壊の先はゼロではない。破壊の先にはシーズがあり、ニーズが生まれる。靖国に参拝する蛮勇があるのなら、一時期、脱藩するくらいの冒険の旅も良いではないか(笑)。少々無責任に思えるかもしれないが、時代の節目とは、そう云うものだろう。

 最後になったが、本日の絶品コラムを紹介しておく。フィナンシャルタイムズのコラムだが、遠まわしに、このままじゃ、プーチンにやられっぱなしだ。何とかして、欧米勢力を敵に回すと、こんな酷い目に遭うんだぞ!と思い知らせるべきだ、と云うコラムなのだが、その手法が書いてない。何とも半端なコラムである。この書き手には、哲学とかイデオロギーが欠落しているので、採点は30点くらいだが、怖がっている心理描写だけは表現していたので30点は差し上げよう(笑)。


 ≪ [FT]ウクライナが問う 中国「プーチン化」で米国は
 欧州の人間でさえ数週間前までは、ウクライナの出来事にあまり関心を払っていなかった。今では全世界が見つめている。ロシアによるウクライナ侵攻が、米国主導の世界秩序に対する直接の挑戦と見なされているからだ。
 もしロシアのウラジーミル・プーチン大統領が何の代償も払わずに済めば、中国やイランなどの国々は、米国に挑むリスクが低くなっていると判断するかもしれない。
 バラク・オバマ米大統領の政敵は、オバマ氏がシリアでの武力行使を巡ってひるみ、イラン、中国との交渉で弱さを見せたと主張する。2008年の大統領選挙でオバマ氏に負けたジョン・マケイン上院議員は、ウクライナ危機は「無気力な外交政策がもたらした究極の結果であり、もう誰も米国の強さを信じな くなった」と述べる。
 とはいえ、「弱いオバマ」という物語は大事な点を見落としている。かつてソ連というかたくなな敵との世界的な戦いで、歴代の米国大統領が揺るぎない決意を示すことを求められた、あの冷戦と違う。ウクライナ危機はむしろ新しい時代の外交政策のルールを試す重要な試金石 だ。いわばグローバル時代、西側にとって最も危険なライバルは重要な貿易相手国でもあるのだ。
 冷戦に通じていることといえば、2014年 のウクライナでは、1956年のハンガリーでもそうだったように、米国は自ら武力行使できないとわかっていることだ。オバマ氏が軍事対応の可能性を排除したように見えるのは、大統領が弱いということではなく、正気であることの証左だ。

 ■経済的関係と表裏一体
 だが、冷戦時の数々の危機と決定的な違いがある。最近ではロシア、そしていずれ起きるかもしれない中国との対立は、経済的な関係がかかわってくる。こうした関係は、世界が競合する政治・経済ブロックに分かれていた時には存在しなかった。グローバル化によって自分たちに巡ってきた経済という切り札 を西側がうまく使えるかどうかはまだ明確ではない。
 西側の大国は、自分たちがロシアを経済的に傷つけられるとわかっていが、また、そうすることで、自国経済にも多大な二次的被害を及ぼすことも理解している。欧米人はそれを受け入れる覚悟があるだろうか。
 欧米による対イラン制裁は、同国を世界の金融・貿易体制から切り離し、その驚くべきダメージは経済制裁の潜在的威力に対する信頼を高めた。だが、イランに対する経済的な圧力が奏功したのは、ひとつには、西側がよそで見つけられないものをイランが持っていなかったからだ。皮肉な話だが、イランの天然ガスはロシア産ガスに置き換えることができた。
 ロシアはイランよりずっと難しい相手だ。西側の政策立案者は、それがドイツのロシア産ガスに対する依存であれ金融センターとしての英国の役割であれ、ロシア海軍に戦艦を供給するフランスの12億ユーロ規模の契約であれ、自らのもろさを露呈することなくロシアに大きなダメージを与えることは不可能だと知っている。米国は欧州ほどロシアとの貿易が多くないが、欧州が参加しないと米国の制裁の効果が 大幅に減じることも知っている。

 ■いずれ中国を相手に
  ロシアとの争いは世界的な意味合いを持つ。というのも、これは潜在的に、いずれ中国を相手に繰り広げられることになるかもしれないもっと大きな争いのテストケースになるからだ。米国は、対ロシア関係と同じように、世界経済にとって欠かせない国でもある中国と次第に敵対的になる政治的、戦略的関係に置かれている。
 中国の指導部が「プーチン流でやる」ようなことがあり、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る日本との争いで軍事力を用いれば、米国とその同盟国はどんな対応ができるだろうか。
 ウクライナ国民と異なり、日本国民は米国との安全保障条約に守られている。だがロシアのように、中国は、核保有国である自国と戦争に突入する危険を米国が冒すことはないと計算するかもしれない――こと地球の反対側にあるいくつかの無人の岩礁を巡る問題に関していえば。
  その場合、経済制裁が検討されるだろう。だが、制裁にかかる利害はロシア相手の場合以上に大きい。中国は今や世界第2位の規模を誇る経済大国だからだ。理論上、米国は中国製品の輸入を制限できるし、いざとなれば、米海軍を使って中国のエネルギー輸入を阻止することもできる。だが、ロシアと同様、中国も、米国企業のサプライチェーンの途絶から米国債の購入拒否に至るまで、経済的な報復手段をたくさん持っている。

■グローバル化はまだ西側に有利
 中国人がイラン人やシリア人らとともに事態を見守っているという自覚を持っているからこそ、ウクライナ問題で行動を起こす米国の動機は強くなっている。「弱いオバマ」という物語は、不当で話を単純化しすぎているが、世界中である程度認知されるようになっている。もしウクライナでのロシアの行動には「代償が伴う」と言って脅しながら、結局脅しを遂行しなければ、大統領は愚かに見えてしまう。また、米国の潜在的な競合国は、世界的な経済相互依存は西側を政治的に強めたのではなく、弱めたと結論付ける可能性もある。
 短期的には、その見方が正しいのかもしれない。結果はやがてわかるだろう。だが、長期的には、政治的な観点からでさえ、グローバル化はまだ西側に有利に働く。グローバル化は相手を罰する西側の力を弱めたかもしれないが、他を魅了する力を強めた。突き詰めると、プーチン氏を最も苦しめる罰はウクライナを「失う」ことだ。だが、クリミアを占領し、ウクライナ東部を脅かすことで、ロシアはウクライナ国民を永遠に遠ざける可能性が高い。
 この状況は同時に、西側の方が政治的、経済的にロシアのそれよりも魅力があるという点を浮き彫りにしている。たとえウクライナ危機によって西側が一時的に弱く見えたとしても、長期的なトレンドはまだ、ロシアよりも米国と欧州連合(EU)にとってずっと有利なのだ。 By Gideon Rachman
 ≫(日経新聞:2014年3月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)*翻訳協力 JBpress


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●欧米及び属国の敗北 クリミア独立を阻止する力量はオバマにもEUにもない

2014年03月12日 | 日記
小説 外務省-尖閣問題の正体
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●欧米及び属国の敗北 クリミア独立を阻止する力量はオバマにもEUにもない

 オバマは電話オタクのように、世界中の仲間(表向き仲間の振りをしているかもしれない)に“モシモシお願いコール”に勤しんでいる。スマホアプリ・LINEのお友達と同じような関係性が、アメリカとEU諸国との間には、厳然たる温度差がある。つまり、NATOの軍事力を行使できるのは、弱小国に対しての力量乃至は威嚇力である。形式上、対ソ包囲網が、対ロ包囲網として体面を繕っているが、残念ながら仏の身体だけを彫り、魂を入れるのを忘れているのがNATOである。

 それに対し、ロシアのプーチンは政治的な命運を賭して行動に出ている。その上、ロシア人は歴史的にクリミア半島とは、そもそも我国の領土である。ウクライナ系ロシア人であったフルシチョフがウオツカの飲み過ぎで朦朧とした意識の中で、ウクライナへのナチ掃討の報償として与えたと云う伝説的話を、絶対の真実と思い込んでいる。このような、義憤に包まれた大国の軍隊は強い。何といっても、国家正義のための大義ある聖戦なのだから。イスラムの戦士の魂と似通う部分が大いにある。

 このような軍隊に正面切って戦うEU諸国はどこなのだ?アメリカ軍を動かす勇気がオバマにあるのか?前者も後者もNOである。経済制裁が関の山だが、中国習主席は多くの問題に曖昧な回答だが、ロシアへの制裁的行動には拒否の姿勢ははっきりしていた。たとえ米国含むNATOの軍事力が、比較論で勝っていても、それを使い切る判断や勇気を持つには、NATO軍は複雑すぎる。漸く、アメリカ発の金融不況から脱出しかけているヘタレ金融資本に乗っ取られたデモクラシーが、筋金入りで戦争が出来る状況にはない。これこそが、プーチンの読みであり、彼の勝利を約束するのである。

 まさに、今川軍と織田軍の桶狭間の戦いなのである。欧米諸国は、それなりに優雅な生活を謳歌し、自国が戦場になるなど、金輪際ないと思い込んでいる国民がワンさといるわけで、ロシアに比べ、失うものは莫大だ。それでも、やるかね?たかがウクライナの怪しい人種に乗っ取られた暫定政権の為に、そんな愚行を行える筈もない。プーチンにしてみれば、このままクリミアの独立が国際的に認知されるのであれば、戦はここまでの妥協点はあるだろう。しかし、オバマがこれ以上の行動に出るようなら、ウクライナ全体を視野に入れるぞ、と云う態度に出てくるはずだ。まずは、クリミア自治共和国の住民投票の結果が出るまでは、静かにクリミアの実質的ポンとを抑える持久戦に入っているという事だ。以下に、毎日新聞の最新情報とロイターコラムニスト・カレツキーのプーチン勝利相場に関するコラムを掲載する。


≪ ウクライナ:クリミア親露派「いったんは独立国家に」

【モスクワ真野森作】ウクライナ南部クリミア半島のクリミア自治共和国とセバストポリ特別市の議会は11日、それぞれ16日に実施する住民投票でロシアへの編入方針が決まった場合、「いったんクリミアは独立国家になる」との宣言を採択し、共同発表した。この宣言は「住民投票の実施とロシア編入の法的手続きに必要」とされ、編入が実行される際にロシア側が正当性を主張するための準備的な動きとみられる。

宣言文によると、(1)住民投票でロシア編入への賛成が多数だった場合、その後にクリミアは主権を持った独立国家となる(2)独立国家としてロシア連邦に対し国家間条約に基づく構成体としての編入を求める−−とした。

2008年に旧ユーゴのセルビアの自治州だったコソボが独立宣言した事例を挙げ、「コソボについて、国際司法裁判所(ICJ)が一方的な独立宣言が国際法に違反しないと承認したことに留意する」と記載している。

クリミアのロシア編入は領土の帰属変更に該当し、国際法上、ロシアとウクライナの国家間合意が必要だ。プーチン政権はウクライナの新政権を承認せず、「クリミアの民意を尊重する」との立場をとっているが、自治体に過ぎないクリミアとの編入合意は違法との批判を免れない。

 今回の宣言により、住民投票後にウクライナから「分離独立」したクリミアとロシアが「国家同士」で編入を協議するとの体裁を整えた形だ。ウクライナの新政権や米欧諸国の反発は覚悟の上で、国際的に正当性を主張する論拠を確保しておこうとのロシア側の意図がうかがえる。

 クリミア自治共和国のコンスタンチノフ議長は11日、クリミアがウクライナに残ることは「あり得ない」との見解を述べた。ロシア通信が伝えた。

また、AFP通信は、自治共和国の首都シンフェロポリの国際空港が11日朝からモスクワ便以外の使用が許可されない状態となっていると伝えた。

一方、ロシア下院は11日、ロシア連邦への編入手続きを簡素化する法案の審議を21日から行うと決めた。 ≫(毎日新聞)


 ≪ コラム:市場が織り込む「プーチン氏の勝利」=カレツキー氏

[6日ロイター] -作家オスカー・ワイルドは、結婚を「経験に対する期待の勝利」だと表現した。対照的に、金融や地政学において、経験は常に期待に勝り、現実主義が希望的観測を打ち破る。

ウクライナにおけるロシアと欧米の対立は、この好例だと言える。この問題を非常に危険な状態にしているのは、米国と欧州連合(EU)の政策が、期待や希望的観測に基づいているように見えることだ。ロシアのプーチン大統領が分別を持つか、少なくともロシアの経済利益や側近の個人的資産への制裁を恐れて思いとどまるという期待。そして、「民主主義や自由」は必ずや独裁主義や軍事的威圧に打ち勝つという希望的観測だ。

投資家や企業には、それほどセンチメンタルになっている余裕はない。銀行家ネイサン・ロスチャイルドがワーテルローの戦いの際に言った「銃声が鳴ったら買え」という言葉は決して忘れるべきではないが、今週のウクライナ情勢に対する市場の反応は、ロシアの勝利を市場が信じていると仮定した場合にのみ理解できる。

ウクライナがロシアの クリミア半島併合を黙認せず、反撃に出るとすれば、軍事的手段や少数派ロシア系住民への圧力に訴えることになる。ただ、その場合、ユーゴスラビアのような 内戦に突入することはほぼ不可避で、ポーランドや北大西洋条約機構(NATO)、そして米国も巻き込まれる可能性が高い。

西側諸国には、ロシアの軍事介入を認めるか本格的な戦争突入以外に選択肢はない。なぜなら、プーチン氏が自発的にクリミア撤退を決めるとは考えられないからだ。クリミアを力で奪い、今さらそれを放棄するのは、ほぼ間違いなくプーチン大統領の終わりを意味する。クリミアが「もともと」自国の一部で1954年に偶発的にウクライナに移管されたというのは、軍・治安当局は言うまでもなく、ロシア国民のほぼ一致した見解だろう。実際に多くのロシア人が、その是非はさておき、ウクライナはロシアに「属している」と思っている。

こうした状況で、欧米の経済制裁を受けてプーチン氏がクリミアを手放すと考えるのは、全くの希望的観測にすぎない。歴史を通して、ロシアは地政学的な目標のために、西側からは想像を絶する経済的苦難を受け入れてきた。4日の金融市場では、プーチン氏がモスクワ株式市場の急落を受けて軍事行動を一時停止するとの見方が広がったが、控えめに言っても、そうした考えは認識が甘い。

実際のところは、プーチン氏はクリミア介入により自らの立場を悪くしたが、不器用にも見えるこの作戦は、欧米メディアが冷笑する戦術ミスとは全く違い、教科書にも出てくるような、戦略に則った現実的政治の事例だ。

プーチン氏は、欧米がクリミア占領を認めない場合、戦争しか選択肢がないという「既成事実」を作り出した。NATOによるロシアへの軍事攻撃は、ロシアのクリミア撤退と同じぐらい考えにくいことから、プーチン氏が狙うウクライナ国境線の引き直しは現実味を帯びる。

現段階での唯一の疑問は、ウクライナ政府がクリミアを黙って手放すか、それとも新たな国境内でロシア系住民に報復しようとするかということだ。報復に出れば、プーチン氏にクリミア以外のウクライナ侵攻の口実を与え、全面的な内戦に突入するだろう。

これは投資家にとって、ウクライナ危機がロスチャイルドが言うような買いの機会となるのか、それとも手遅れになる前に株式や他のリスク資産から撤退するのか判断を迫られる問題だ。こうした状況では通常、問題は平和的に解決されることが多い。つまり、この場合、欧米がロシアのクリミア併合を黙認し、プーチン氏も納得できる新たな挙国一致内閣がキエフで発足するということだ。

新たな政府は対立解消のために、公用語としてのロシア語の地位を確約し、NATOやEUとウクライナの関係に対してロシアに事実上の拒否権を持たせる必要があるだろう。これが最も起こり得るシナリオで、ほとんどの投資家や企業が週末までにそうなると推測している。

問題なのは、可能性はかなり少ないものの、もう1つの選択肢であるウクライナ内戦が起きた場合だ。もしこれが現実になれば、欧州や世界経済、エネルギー価格、世界の株式市場に与える影響ははるかに大きい。

金融史で同様の事例を振り返ると、地政学上の激しい対立が起きた際、株式投資家は通常、事の結果が判明するはっきりした確証を得るまで待つ。

例えば、1991年と2003年のイラク戦争では、「銃声が鳴ったら買え」が正解だったが、株価は戦闘の結果がはっきりして初めて上昇した。2002年には、戦争の機運が高まる中でS&P500が25%下落。状況がはっきり転じたのは米軍がイラク攻撃を開始した2003年3月で、そこから年末までに株価は35%上昇した。

同じように、1991年には、米国主導の部隊がサダム・フセイン大統領のクウェート侵攻から6カ月後にイラクでの勝利を確実にし、株価は大きく上昇。その後4カ月で25%も上げた。

ウクライナをめぐる対立により近いのは、1962年のキューバ・ミサイル危機かもしれない。同年夏、株価は世界的に20%下落。ジョン・F・ケネディ米大統領はソ連の指導者フルシチョフに対し、核戦争も辞さないとの態度で交渉し、キューバからミサイルを撤去させた。米株市場は1週間の うちに反転し、その後の半年で約30%上昇した。しかし、この年の株価反転も、フルシチョフが引き下がり、ケネディが神経戦に勝利したことが確実になって ようやく始まったものだ。

今週の株式市場の動きについて論理的に説明するとすれば、投資家が今、ウクライナで同様の結果を織り込んでいるのだろう。ただし、今回の勝者はロシアだ。

筆者はロイターのコラムニストです。
本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義 4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKalDragonomicsのチーフエコノミストも務める。 ≫(ロイター)

だから政治家は嫌われる
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●オバマに苛立つ人々 なぜオバマは強く出ないのか?それこそが米国権力の正体

2014年03月11日 | 日記
期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき
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●オバマに苛立つ人々 なぜオバマは強く出ないのか?それこそが米国権力の正体

 なにも“311”3年目の区切りだからと云って、10日(月曜日)から盛りだくさんの情報に包まれるのも考えものだ。最も知りたいマレーシア航空のボーイングは何処に消えたのか?マレーシア政府の国民性かもしれないが、嫌に切迫感のない関係者のインタビューが流されている。流石の中国政府が切れて、もっと真面目にやれ!みたいな発言をしていたが、大方の乗客が中国人という事もあり、政府として建前上も、この程度の苛立ちを見せないことには、人命の価値観が違う中国などと陰口を叩かれそうなのだから、気にもなるだろう。

 小保方女史の万能細胞STAPの論文疑惑で共著者の一人、若山教授が小保方女史の研究成果を信じ続けることが難しくなった、と言い出した。マスメディアの論調にも、若山教授に加担するような雰囲気が漂っている。理研の関係者もインタビューを受けていたが、曖昧模糊な発言を繰り返した。本日になると、同じく共著者のハーバード大学バカンティ教授は論文を撤回する致命的ミスがあったとは思わない、と語っている。この報道で気づくことだが、肝心要の小保方女史本人の考えが、いまだに不明なことである。こういう問題は、実験の当事者の言葉が最も傾聴に値するわけで、彼女の口から語られる言葉を最重視すべきだろう。おそらく、小保方女史は、自ら追試に取り組んで、他人をシャットアウトしているのかもしれない。いずれにせよ、菅官房長官や下村文部科学相如きが軽々に論文撤回を示唆するような発言は時期尚早だ。

 全人代の真っただ中の習主席が、オバマ大統領と電話会談したようだ。ホワイトハウスの発表によるとウクライナ問題に関して「主権と領土の一体性の原則を支持する重要性」で一致したそうだが、ウィグル、チベット問題を抱えているだけに、そうですね~くらいの事は習主席も言ったかもしれないが、ウクライナ問題も、そこが絶対的条件だと言ったとは思えない。中国側は、今月下旬24、25日にハーグで開催される核安全保障サミットの最中に会談しましょうと提案しただけかと思われる。今、西側諸国の情報も、ロシア側の情報も、双方同じレベルでバイアスがかかっていると考えるべきである。

 時事通信と云う西側報道機関によると、≪ 習主席 はオバマ大統領に「中国は、米国と共に努力し、新型大国関係を構築するという大きな方向を堅持したい」と述べ、関係強化を重視する意向を強調した。 習主席はウクライナ情勢について「中国は客観的かつ公正な態度だ」と指摘。ただ、「政治・外交ルートでの危機解決を堅持しなければならない」として、米国が発動した対ロシア制裁に反対する方針を表明した。≫のだそうである。これって、2国で世界を二分しようと云う提案のようにも聞こえてくるが、筆者の心がねじ曲がっているせいだろうか(笑)。

 元どこかの大使だった某外務官僚が、自身のブログの中で、安倍晋三の価値観外交をこけおろしていた。同氏によると、≪安倍は米国の忠告にもかかわらず「靖国に参拝する」その上「ウクライナ問題で米国が躍起になっている欧米の結束を乱してまで独裁者プーチンのロシアへ配慮する始末だ」 民主主義の価値観を最もよく共有している米国との関係を重視するのが「価値観外交」であると言ってきたのだから、これはもう完全な「価値観外交」の破たんである。≫その通りなのだが、安倍に論理性を求めている時点で間違いに陥っている。安倍の論理矛盾は、グローバリズム・ナショナリズムで証明済みであり、今さら貶す問題とも思えない。

 どうも、独裁者プーチンのロシアに対し、理解があるのは筆者くらいで、孫崎氏も批判的な論調が目立つようになってきた。四面楚歌になったプーチンと筆者である(笑)。中国の腹がいまだに判らないので、大口は叩きにくいが、このウクライナ問題を契機に、日本が米国から一歩距離を置く可能性を残している点では、幾分の評価を与えてやっても良いだろう。少なくとも、ロシアに肩入れしたいところだが、現実は中々な問題も抱えている、と云うポーズを取るのは外交上致し方ない面もある。谷内内閣官房国家安全保障局長が訪露の上、 ごちゃごちゃ言い訳するようだが、佐藤優を随行させたらよかろうに、と筆者などは思う。

 まぁ核装備が生涯の目的化している谷内正太郎氏のことだから、怖ろしいメッセージを抱えていないとも限らず、結構危ないのかもしれない。米国情報部も谷内正太郎氏のイデオロギーは把握しているだろうから、ラブロフ外相と何を話すのか、是非聞き耳を立てたくなる。そういう怪しい会談だとすれば、佐藤優を連れて行くわけにはいかないだろう。某元大使の言によると、米国追随外交が地に足の着いた外交のようだが、それではアベちゃんのアベちゃんたる価値もなくなるわけで、折角だ、もっとグチャグチャニして貰おうではないか。今更、心配などしても始まらん。賽は投げられている。

 国際関係においては、現状の力関係が優勢な方が正しい方向性と云う原則はあるだろう。その理屈で判断すれば、日本が西側につくのは自明なことになる。しかし、国家には意思と云うものがあり、過去から今までと別に、これからの歴史も踏まえなければならない。永遠にアメリカナイズの世界がこれからも永続すると云う言説には、思考停止の影が寄り添う。特にロシアに加担せよとまでは言わないが、中立宣言するくらいの胆力があっても不思議ではない。付和雷同すれば、間違いも帳消しになり、責任を取る必要がない。この考えが日本をどこまでダメにしたか思い起こす方が大切だ。

 国家が真に独立を望む場合、そこには幾多の困難が待ち受けるのは当然である。国民の意思表示が曖昧であり、思考停止冬眠状態であるなら、その時、国家のリーダーとなっている人間が、全責任で最高責任者として判断を下すべきである。関係が優勢な方が正しい方向性と云う原則の従うのか、戦後レジームの脱却を実践するのか、モラトリアムな中立を宣言するのか、それは自民党を選択し、その政党がリーダーに安倍晋三を選択した以上、その判断を尊重する(怖くても致し方ない)べきである。疑問があるにせよ、安倍晋三は正当な手続きで選ばれた、国の権力者なのだ。靖国参拝と云う愚挙を実行できた人間なのだから、どのような愚挙と思われる行動をしても、それを選んだ国民が責を負うべきである。

 勿論、筆者は安倍晋三など糞くらえだが、曲りなりにも正当な手続きで、内閣総理大臣の椅子に座っているのだから、国民の側は俎板の鯉なのである。正当ではない選ばれ方をした、現在のウクライナの暫定政権の閣僚らとは質が違うのだ。勢いがあれば、自国の憲法を超越して権力に就任できる状況を、世間ではクーデターと云う。ウクライナはまさにその典型事例だ。この問題をネグレクトして、ロシアプーチンがウクライナの憲法を無視している独裁者プーチンだという評価は低俗で、知の劣化そのものだ。

 アメリカが介在し、国家が騒乱の儘、宙に浮いている国家が、今地球上にどれだけあるか、胸に手を当てて考えれば、アメリカが世界の警察ではないことなど、即刻理解できることだ。アフガニスタンではビンラーデンィン暗殺後、混乱に拍車がかかり、大統領選挙を行えば、タリバンは、「持ち得る全ての力を使って活動家らや治安部隊を攻撃するようイスラム戦士に命じた」との声明を出している。つまり、アフガニスタンを滅茶苦茶にして、もう見飽きたので玩具をガレージセールに出そうと云うのがアメリカの警察部隊のやり方だ。イラクもしかりである。

 カダフィ大佐を抹殺したリビアはどうなっている?いまだに、西側傀儡政権は国内の治安を維持できない状態が続き、内戦状態に陥っている。反政府勢力が、北朝鮮のタンカーに原油の積み込みを実行しようとしている。それを止める方法が、石油タンカーを砲撃し、沈める事だと宣言するしかなくなっている。現実に砲撃すると地中海は原油で被い尽され、猛烈に汚染された海になる。砲撃は非現実的だ。この国も、西側諸国の無責任な内政介入の被害者になっている。アメリカが介入して成功した国家が「日本」だけと云うのも、複雑な成功事例に思えて来る(笑)。

 どれ程の軍事力持とうと、その力の行使が純然たる「国益」ではなく、国の一部をなす勢力の為に行使された場合、その一部勢力がその権益を拡大することが目的であり、「国益」は歪んだものになる。それが、今のアメリカの軍事力の使われ方であり、正義や民主主義の為に、米国民が負の負担を強いられてでも、世界秩序の為に戦う気力も実力も有してはいない。故に、アフガン、イラク、リビア、シリア、エジプトのような混乱だけを喚起する体たらくに落ちるのである。

 その事への反省が、実はオバマ大統領にあるようだ。その自制が好戦的人々には歯がゆく見え、経済制裁などと云う生温い選択しかしない、との批判に晒される。クリントン前国務長官がプーチンの手法を「ヒトラーが1930年代にやったことと同じ」(ミューヘン会議)と発言し、その後、同氏は政治生命がエンドになりそうなこの発言を、軌道修正しているが、似たようなことを言い出す人物が現れた。以前、プーチンの一次政権時代に経済顧問を務めた、現在反プーチとなっているイラリオノフは、毅然たる対ロ制裁が出来ないオバマは敗北した、と口汚く糾弾している。

 なぜオバマは、シリアにせよ、ウクライナにせよ、強い決断が出来なかつたのか?その理由は、意外に単純なもので、米国政府を牛耳っている、オバマの権力の源泉である、米国金融資本群にとって、権益拡大の魅力を感じさせない地域であったという事だ。その点で、尖閣も同じだし、竹島も同じだ。ただ、北方四島は、かなり異なる。日本と云うマーケットを傅かせるためには、必要な足枷である。つまり、ロシアと日本が結びつくことは、日本の市場を独り占めできない問題であり、米国金融資本群にとって権益の縮小を意味する。ここが、この風が吹けば桶屋が儲かると云う、日本外交の複雑さである。この他国の奇禍をどのように生かすか、これこそが外交のダイナミックさだ、と言えるだろう。

「超貧困」時代: アベノミクスにだまされない!賢い生き方
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●誰が彼らを世に送るのか? 何の脈絡なしに登場する都市伝説的な人物の正体

2014年03月10日 | 日記
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●誰が彼らを世に送るのか? 何の脈絡なしに登場する都市伝説的な人物の正体

 本日は“311”も近いことだからと云う意味合いはないが、筆者の中で常々燻っている“都市伝説的人物”が如何につくられ、どのような役目を果たしたのか、そういうモヤモヤとした話題を提供しようと思う。無論、それぞれに、社会に登場する経緯は一定の範囲で判っているのだが、どうにも意図的に創られた偶像のようなものの中で、その人物を捉えてしまう疑念を払拭できずにいる。それぞれの人物が偶像化された経緯には、個別の事情と思惑があり、一本の線にまとめる事は無理筋だが、都市伝説的には、その登場と目的を一元化している力が存在する方が面白いな、と思っている。

 その前に、オバマが世界を笑わせるような発言を平気でしている事に不安を感じる。この人が、世界最強の米軍の最高司令官なのだろうか?本当に、こんな人で米軍を指揮できるのだろうか不安になっている。≪ オバマは、英仏伊の首脳と電話会談、クリミア自治共和国でロシアへの併合の是非を問う住民投票が行われても、その結果を拒否することで一致。各首脳は、16日に予定される住民投票はウクライナ憲法に違反しているとした ≫。現在の臨時ウクライナ政府の正当性こそ、ウクライナ憲法に真っ向から違反した政権であることは、現ウクライナ憲法を読む限り、あまりにも明白すぎて議論する気にもなれない。

 流石に、オバマの“半ちょろけ”な口先電話介入に苛立ったのか、プーチンは、すかさず、英キャメロンと独メルケルに電話を入れ、≪クリミア自治共和国が16日に予定する住民投票について、国際法の規範に基づき、住民の正当な権利を保障するものだと宣言し、キエフなどの地域で極端な民族主義者と過激派が起こしている騒動に何の対策も取れない、現在のウクライナ暫定政権は何なのだ!≫と厳しく難詰した。理屈上の分はプーチン側にあると云って良いだろう。どれほどオバマが強弁しても、マケインとヌーランドの動きの意味を説明することは不可能だ。キエフのネオナチらを嗾けたのが、彼らなのだから、経緯検証では敗北だ。

 ただ、現在の力の均衡が、未だアメリカに有利に働いている事だけを頼りに何とか座ったままで、ウクライナ問題を西側勢力に有利になるよう主導するつもりだろうが、先々までを見据えた場合、現行の力学だけで、ことが進捗するとも思えない。中国の加勢が最も望ましいことだが、日本のフラフラした態度にも期待している面はあるだろう。プーチンにしてみれば、いずれ、アベノミクスは大誤算でエンドなのだから、せめても領土問題と広大なシベリア開発の利権を得た偉大なる指導者の立場を揺るぎないものに出来るチャンスを、安倍晋三が捨て去るとは思えない、と考えている節はある。

 ウクライナ問題はこのくらいにして、筆者の気持ちに燻っている“都市伝説的人物”について、何となく語ってみる。皮切りに、ゴーストライター事件で佐村河内守と云う人物に注目してみよう。国内のクラシック・ファンの間では、多少知られる存在だったようで、フィギュアの高橋大輔選手の演技にも採用されていたと云うのだから、それなりに著名だったのだろう。彼が注目度を高めたのは、NHKスペシャル「魂の旋律~音を失った作曲家~」を始め、「ゆうどきネット」「あさイチ」「ニュースウォッチ9」などNHK中心の番組出演が群を抜く。NHKが佐村河内守と云う似非障害者を世に出した立役者だったことが、後々の検証で明らかになった。

 ここでは、NHKが佐村河内守事件の真犯人のような捉え方はしない。ただ、本来は、何ら才能もないのに、尚且つ何もできない人間でも、メディアの扱いひとつで、世の中の寵児になれると云う社会現象にスポットを当てる視点で眺めてみようと思う。以下に登場する人物への評価は敢えて行わない。筆者の興味は、メディアが、何らかの意図乃至は使い勝手のいい偶像素材として、一定の人物を盛り立てて行く事象を捉えておくに過ぎない。無論、その先に、個別検証を通して、何本か有力な筋道が見えるかもしれないが、このコラムでは触れないでおく。

 次に目についた人物(競技)が五輪における女子カーリング競技だ。NHKのテレビでは、五輪中継だけでなく、ニュースでも度々「カーママ」なるテロップと呼び名が連日画面に現れた。筆者にとってまったく知らない言葉だ。しかし、知らなければ日本人ではない、と言わんばかりの勢いで「カーママ」は取り上げられた。筆者の目には、氷上のチェスとか天童の人間将棋のように見えるだけなのだが、「カーママなる日本チームが強く、国民的スポーツなのかな。或は超カワイイ子がいるのかな」と思っていた。しかし、そのすべてが間違っていた。

 すべての想像が違っていたのに、なぜ、あんなにNHKの映像に頻出するのだ?「カーママ」がである。名前の由来はカーリング娘「カー娘(カームス)」の一部選手が結婚、出産してママとなったので、短絡的に「カーママ」になったらしい。一部選手の現役復帰サクセスストーリが、時の政権の女性活用政策とマッチングしたと云う不純な動機もあるようだが、甚だ違和感のあるNHKの露出であった。ただ、カーリングと云うスポーツを知らない人々も「カーママ」と云う言葉だけは記憶に残ると云う奇妙な現象に至る。

 現在は、広義のプロパガンダ手法の中で、テレビと云う存在が、日本では強力なツールとなっているようだ。新聞、雑誌書籍類の影響はテレビには到底及ばない部分がある。残念ながら、日本におけるネットの発信力は、世界全体の潮流の中では、異質の傾向が見られる。おそらく、日本のメディア環境が、極めて中央集権的であり、全国津々浦々に、記者クラブ配信で埋め尽くされた金太郎飴全国紙がばら撒かれ、そのネットワークの中にテレビ局がある現状では、国民自体が中央集権的垂直統制社会を望む傾向を助長しているようだ。このような国において、ネットの影響力と云うのは大きな世代間格差を生み出すだけの情報発信システムに矮小化されざるを得ない。

 佐村河内守氏が一定の層の人々の記憶に刷り込まれたとか、「カーママ」と云う言葉だけが記憶に残るとか、直近の事例として語ったが、たまたまNHKがその両方に深く関与している。しかし、この一定の個人が、あまり有力な脈略なしに、世間が認知する存在に成長してゆく過程では、当然のことだがメディアの介在は、大きな影響力を行使する。20世紀後半から21世紀のかけての時代の寵児は、悉くテレビの影響下にあるのは当然だ。橋下徹や舛添要一などは、典型的にテレビが作り上げた寵児である。相当昔に遡れば、文藝春秋に使われるようになってからの立花隆のように、雑誌世界において生まれる人物もいる。

 いま思い出しながら書いているので、取り上げておくべき寵児を書ききることは出来ない。思い出したが、ロッキード事件で検事であった堀田力と云う人物像も、時の流れで偶像化されている。中坊公平と云う人もいた。山本太郎も、このカテゴリーでは欠かせない人物だろうし、まだまだ居そうだが思い出せない(笑)。小泉進次郎も、このニオイはしている。いずれにせよ、特に時代の人になる経緯や下積みに関係なく、突如現れるヒーローヒロインの類いは、その時の世論形成に大きな影響力を発揮する。

 ただ、よく判らないことは、これらの人々が、どのような勢力が、どのような目的で、どのようなメカニズムで、彼ら彼女らを世間の注目を浴びる存在にしたのか、一本の筋が見いだせそうにはない。ただ、こうして生まれた人々が、一定の世論形成に影響を及ぼす傾向は、何なのだろうか、とモヤモヤした気分から抜け出せない自分がいる。そもそも、脈略が存在しないものを、脈略化させようとする、どうしても陰謀論とか都市伝説化していく(笑)。まぁ、何らかのきっかけが出来た時、カテゴリー分類でもしてみようか。

風土の日本―自然と文化の通態 (ちくま学芸文庫)
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●安倍自民の経済政策で景気浮揚メカニズム 一気に「移民政策」へのプロローグ

2014年03月09日 | 日記
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●安倍自民の経済政策で景気浮揚メカニズム 一気に「移民政策」へのプロローグ

 安倍政権はアベノミクスなる経済政策で、一定の評価を受けた。「1、大胆な金融緩和、2、機動的な財政出動、3、民間投資を喚起する成長戦略」と云う3本の矢が売りだった。多分、経済に大きな影響を及ぼしたものは、(1)の大胆な金融政策だけだったことが、ほぼ衆目の一致する意見である。その景気の「気」を喚起することで、デフレ不況の閉塞感をブレーク・スルーしようと云う、心理的カンフル効果を目指していた。その目的は、円安と株高を誘発し、一時的景気浮揚の情勢を生み出した。

 その中身が、海外資金による日本株の好調であったとしても、政府やマスメディア、金融関係企業らに、好景気に向かう日本経済の姿を印象づける効果はあった。しかし、6か月を経過したあたりから、株価の上昇は減速し、一進一退を繰り返し、現在に至っている。海外資金が、アベノミクスの(3)成長戦略が言葉だけである可能性が高くなったことで、流出の傾向を見せはじめた。その後の相場は、下げれば買い上がり、上げれば売りに出る、シーソーゲームが日々展開する相場になっている。参加者が海外投資家、日本の機関投資家、日銀政府系資金、個人投資家等々が、売ったり買ったりを繰り返しているキリモミ相場になっている。

 大きな視点で現在の日本株式の相場観を言えば、投機筋資金と日銀政府系資金の攻防と云う見方が一番適切なのだと思われる。今回の日本株を取り巻く相場観は、個別銘柄を峻別する本来の株式売買ではなく、「日経225」を中心とする大雑把な売買の繰り返しの側面が強い。つまり、日本株で儲かるかと云う海外勢と、下落を封じ込めようとする政府側資金の神経戦になっている。その証拠ではないが、為替相場に連動した株価の推移が顕著な点である。現実には、為替の変動により個別企業では、長短があるわけだが、円安は株高、円高は株安のメカニズムだけが、有効に作用している。

 明らかに、投機相場であり、買い支え相場となっている。問題点が多々ある株式相場だが、それでも、好景気に向かう日本経済の姿を印象づける効果はあったわけだから、評価しても良いだろう。勿論、政府側の資金が日本株を大量に抱えるリスクは、今後の日本経済に不透明感を与え、信頼に足る市場ではない印象を海外の投機資金勢に与えるリスクを包含している。最近になり、巷で不安視されている、貿易赤字の拡大や経常収支の悪化は、好評価だった金融政策の評価を奈落の底に叩き落とす評価に変わっていく可能性を秘めている。

 (2)の機動的な財政出動は、そのターゲットはコンクリート箱もの公共事業依存に偏った相変わらずの財政出動パターンであり、新味は殆ど見いだせず、一部産業に好況を齎しているが、重大な欠点が発露する矛盾が目立ってきた。単なる箱もの公共事業が将来にプラスになる公共事業と位置づけることが困難な事態も惹き起こしている。この問題が、今日のテーマなので、詳細は後述する。

 (3)の民間投資を喚起する成長戦略の行方は混とんとしている。国家戦略特区など、規制の撤廃などを目論んでいるが、主に労働者を如何に安く都合の良い労働力として利用するか、と云うテーマに絞られた規制の撤廃が目立ち、既得権益の牙城に迫る要素は、悉くネグレクトされている印象の強いものになっている。つまり、海外からの日本投資が安易に行える素地つくりの要素が強いのだが、労働者の使い勝手が企業に有利になるだけの成長戦略で、投資資金が日本に向かうことはないだろう。霞が関組織が自己権益の枠組みを半部程度手放す改革の姿を見せない限り、投機資金は流れてきても、投資資金は流れてこない。

 今日のテーマは、(2)と(3)が合体することで起きる問題点の一つである。その他にも、問題点は多岐にわたるであろうが、本日は建設業における「人手不足」に焦点を当てて、アベノミクスの問題点を考えてみようと思う。さる1月24日に建設業への外国人活用拡大を目指そうと云う政府の動きが報じられた。以下は、日経の記事だ。ただ、筆者はこの記事から、異なるメッセージを感じ取った。「あぁ、移民解禁のシグナルだな?」という事である。直近の理由づけは、報じているような問題解決だろうが、大目標に「移民政策導入」の意図を十分感じさせる。

 少子高齢化の人口構成の一大弱点、生産人口の補充は、国家的テーマであり、大きな目で見れば、税金を支払う人口の減少が、国家の力を減少させるのは当然なのだから、手段を選ばずでれば生産人口の補充、納税者の増加を望むのであれば、移民こそが、最後の手段であることは、薄々感じている事政策の一つである。ただ、安倍支持者の多くの人々の思惑とは、あまりに敵対するような人口政策なので、「移民」と云う言葉を絶対に口にしない欺瞞政策を考え出したのだろう。

 ただ、今にして思えば、東日本の復旧復興の遅れも、オリンピックの無理矢理招致も、公共事業の入札不調も、この「移民」に向かう大きな政策実現のプロローグの挿話として、国民世論を誘導するには、中々複雑な手である。無論、考え出したのは官僚だろうが、おそらく、このプロローグありきではなく、途中経過から思いついた「移民政策」への導入部に利用することを考えついたのであろう。

≪ 建設業の外国人活用拡大を検討 政府、人手不足に対応
 政府は24日、人手不足感が強い建設業で外国人を活用できるようにする緊急措置を検討する閣僚会議を開いた。建設業の人手不足は東日本大震災から の復興需要に加え、2020年の東京五輪に向けたインフラ開発で一段と強まる見通し。技能取得で訪れる外国人労働者の実習制度の拡充などを検討し、15年 度からの受け入れ拡大を目指す。
 菅義偉官房長官は会議で「即戦力となりうる外国人材の活用を拡大していくことが極めて重要だ」と述べた。
 具体策として、最長3年に限り外国人を受け入れられる技能実習制度の期間延長や再入国の容認、受け入れ人数枠の拡大を検討する。不法就労の防止も踏まえつつ、賃金の引き上げや社会保険への加入といった就労環境の改善も議論する。
 建設業の担い手は00年代の公共事業削減に伴って減少。総務省によると、とび職や鉄筋工、左官など技能労働者は12年時点で335万人と、ピークの1997年から25%減った。特に若手の建設業離れが深刻だ。   政府は少子高齢化で働き手が減ることをにらみ、6月にまとめる新成長戦略の検討方針に技能実習制度の拡充を盛り込んだ。製造業や農漁業での同制度を介護分 野などにも広げることも検討する。24日の閣僚会議は、このうち人手不足が逼迫する建設業で先行的に検討していく方針だ。
 復興を急ぐ被災地の現場では、人手不足から人件費が大幅に上昇。資材費の高騰も重なって公共事業などで応札者が決まらない「入札不調」が相次いでいる。 ≫(日経新聞)


 筆者の「移民政策導入」に関する考えは、今回は留保する。その影響が、少子高齢化対策や勤労のミスマッチ解消と云う問題を解決させる弥縫策にはなるだろうが、国家や国民の努力や思考を飛び越えて、一気に問題を解決しようとしているのではないか、と云う横着さを感じるので、現時点では「移民政策導入」を、単に効果が見込めるからと云う理由で、賛意を示すわけにはいかない。少子高齢化、財政の逼迫問題を抱えている国が、生き残りの為に、西洋医学な手術や投薬も選択に一つだろうが、東洋医学の選択も捨てがたいと思考している。個人的趣味からは、当然後者である。

私たちはどこから来て、どこへ行くのか
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●心配ご無用、非正規社員の皆さん 6割の人が仲間入りで、マジョリティになる日

2014年03月08日 | 日記
幼児化する日本社会―拝金主義と反知性主義
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●心配ご無用、非正規社員の皆さん 6割の人が仲間入りで、マジョリティになる日

 朝日が、賃上げから見放され、おいてきぼりを食う非正規労働者の問題を、短絡的に取り上げているが、いずれ38%の非正規雇用率は5割、6割になる傾向があるので、何時までも、置いてきぼりを喰らう心配はないのだと思う。まずは、話のきっかけとして、記事を読んでもらおう。

≪ 非正社員、遠い賃上げ 「ベア、まるで別世界の話」  
  「賃上げ春闘」といっても、もっぱら正社員の話だ。契約社員やパートといった非正社員には厳しい交渉が待ち受ける。多くは労働組合に入っておらず、春闘を縁遠く感じる人も。働き手の4割を占める人たちが、賃上げの流れから取り残されかねない。
 ■働き手の4割置き去り
 千葉県のパンフレット編集の会社で働く契約社員の男性(53)は「世間ではベアの言葉が躍るが、まるで別世界の話。賃上げどころか雇用が心配だ」と話す。
 2002年7月から勤めるが、今の上司は不在がち。正社員と毎週、校了日の「ヤマ」を越える日々だ。仕事は正社員と同じなのに、自分の給料は上がらない。退職金もない。会社に泊まり込み、長女(14)ら家族が待つ都内の自宅に帰れないことも。「契約を更新してもらえるか、何度も不安な日を過ごした」
 11年夏、非正社員の仲間と2人で労組をつくった。過去2回の春闘では、賃上げや無期雇用への転換を要求した。会社側は交渉に応じたものの、「ゼロ回答」だった。今回は、退職金制度の導入や4%の賃上げなどを求めるが、「会社がきちんと対応するか、読めない」と話す。
 北関東で市場調査などを手がける会社の契約社員の女性(43)は、今回が初の春闘だ。非正社員の仲間と労組をつくったのが昨年春。先月末に5%の賃上げなどの要求書を提出した。会社が来年秋から、契約社員の待遇を下げる方針を打ち出しているからだ。とはいえ、女性は「交渉相手と直接仕事で接するため、気まずい」とうちあける。
 非正社員の数は年々増えて約2千万人。労働者全体の38%にのぼる。賃金は正社員よりも低く、長年勤めてもほとんど上がらない。
 それでも、労組に加わって春闘にのぞむ人はわずかだ。連合によると、加盟労組に入っている非正社員はわずか80万人程度という。
 非正社員の労組づくりを支援する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は、「多くの非正社員は、会社との関係悪化で職を失うことを恐れ、待遇改善の要求すら出せない」と指摘する。
 派遣社員の場合、派遣先企業に団体交渉を求めても、会社は直接の雇用関係にないことを理由に応じないケースが少なくない。
 連合は今春闘で「時給30円アップ」「だれでも時給千円」などの統一要求を掲げるほか、今年から古賀伸明会長が全国で非正社員との対話集会を重ねる。
 ただ、非正社員の間には「労組は正社員が優先」との見方がなお残る。九州北部で日本郵便の非正社員として働く男性(37)は、「先輩から『労働組合は非正規に冷たいから入っても損だ』と言われた」。盛り上がる春闘を横目に、仕事に追われる。 ≫(朝日新聞:豊岡亮)

 安倍政権は、一過性の現象の対応に追いまくられ、経済学上の原則、景気循環の原理を無視する詭弁を弄しているわけで、トンでもなく間違った言い訳、アリバイ作りを国民に語り、経済界にも要求すると云う茶番を演じている。このような、矛盾に満ち、論理性のない詭弁的政策が曲がりなりにも、実行されると、正規の労働者自体が、自分で自分の首を絞めるような皮肉に出遭うことになる。取ってつけたような、国家戦略特区は、グローバル展開中の企業の活動がより優しくなることが目的なのだから、当然、人件費の割合が低下する。つまり、安倍が「景気回復の暖かい風を全国津々浦々まで届けたい」と云う目標自体が誤りだと指摘し、それは方便にすぎないと白状するような国家戦略特区なのである。

 現在の世界的グローバルな枠組み内で生きる以上、競争に打ち勝つには、国家戦略特区的な傾向にならざるを得ないわけで、景気回復の実感を津々浦々まで行き渡らせ、景気の好循環をつくると云う幻想は、あり得ない。

◆労働者への企業利益分配が増えると云うことは、企業が何らかの形で、グローバルな価格競争に不利に働くので、労働分配率は、原則下げる方向のベクトルが働く。
◆この労働分配率を国策的に増やそうとすれば、企業の競争力は低下する。最終的には、企業存続の危機になる。当然、企業は、それを避けるために賃金を抑えざるをえない。しかし、国策と異なる。そこで、企業は一層の生産工程の合理化に乗り出す。その一つが、正規雇用の大幅な見直しに向かう。
◆正規労働者に代わって、自動化可能なものはロボットにチェンジされるが、多くは、非正規雇用の割合を増やす方向に動かざるを得ない。現在、38%の非正規の割合が5割を超えることも十分考えられる。
◆つまり、日本の勤労体系のモデルがチェンジすることになり、非正規労働が、勤労者のマジョリティになる。ということは、非正規労働者中心の社会システムを構築しないと、社会自体が回らなくなるわけで、国家がそれで成り立つわけはない。そうなると、非正規労働が常識の社会をどのように維持するか、そう云う議論が潮流になる。
◆おそらく、現在の社会保障制度そのものを根本的に変えていかないと、社会秩序が保てなくなる。つまり、ワーキングプワーの群れが、国民の大多数を占めた時、国は制度変更をせざるを得なくなる。半数以上になった非正規労働の問題点をケアするシステムの構築が行われなければ、国家秩序は崩壊する。
◆当面は、富の取り崩しで耐えていた国民の生活も、いずれは破たんする。まさか、そこまで放置することは社会秩序が崩壊し、安全安心な日常生活そのものが崩壊するわけだから、必ず手を打つ。おそらく、非正規が雇用を失った場合の期間に対する手当てを充実される政策を打たざるを得ない。つまり、非正規雇用を補足するシステムの充実と、失業が発生した場合のケア体制は作らざるを得ない。

 上述の推論は、ひとつの事例に過ぎないが、非正規が労働者の半数を超えた時点で、国家は、その対策に甚大な財政出動を要求される。おそらく、上述のような政策を打つだけの余裕は日本にないだろう。選択としては、正規雇用制度の撤廃を求める声が生まれ、社会保障全体の縮小も議論されることになるだろう。非正規の失業時のケア制度は出来るが、そのケア内容は、漸減の方向に向かうのも当然だ。

 このような展開で、現実のマクロ経済事情が動かないとしても、マクロ経済はシーソーゲームのようなものなので、どのような選択をしても、同じような副作用を生み出すので、社会不安の増大などのと云う生易しいものではなく、日本人の社会生活の秩序維持に、国家財政は徹底的圧迫を受け、更なる社会保障の削減を迫られる。当然、国家全体の消費力は冷え込み、元気だった内需も、見る影もない状況に追い込まれる。

 我々が、最も注意深く考えるべき経済事情は、給料が増えるとか、福祉が充実することではないのだ。安倍晋三が、現在喧伝し強弁している「全国津々浦々論」はグローバル経済下では、成り立たない理屈である。給料が増えたからと云って、給与者がモノを買うかどうかの保証もないし、日本製を購入するかどうかも判らない。現在でさえ、相当の海外製品が買われているわけであり、且つ日本企業の海外拠点からの逆輸入も流入するので、日本の製造業の製品が内需のメインストリームを闊歩できるとは思えない。

 グローバル経済下では、製品に組み込まれる部品の汎用化が顕著で、組み立て工賃が安いところの製品が価格競争で有利になる。特別な権利(特許)を持つ独自の製品を開発するか、独自のデザインを考案するか、そのような方法でないと、常に価格競争に晒される。行き着くところは、安価に製品を製造できなければ、その国の輸入数量だけが伸びるわけで、輸出は競争力を失う。既に輸入超過は顕在的であり、貿易収支は構造的に赤字体質になっている。

 日本の製造業を助けようと、もがけばもがくほど、泥沼の深みに引きずり込まれるわけで、円安政策は、軽い風邪だった日本経済を、肺炎以上の重篤な病に導くことは、ほぼ確実なようだ。安倍晋三が選択する道は、どう考えても「国家戦略特区」のモデルに、日本全体を覆い尽くすしか選択はなくなるだろう。要するに、「1%対99%の世界」を実現することになる。毒を喰らわば皿までもの選択以外、グローバル世界で勝ち抜く道はないのだ。

 水が低きに流れるように、生産拠点が移動するか、乃至は国内で安価な労働力を手にするかどうかの問題になる。勿論、ひっきりなしに、世界を席巻するような新たな技術や新案を導き出し続ければ救われる道もあるが、こういう望みに国家経済の解を求めるのは妥当ではないだろう。森永卓郎か誰かが言っていた「年収200万円生活のすすめ」は今や手の届くところまで来ていると言っていいだろう。つまり、グローバル経済下では、労賃は低きに流れるわけで、誰がイイの悪いの、の問題ではなくなっている。

 日本はグローバル経済下でやっていく以上、このような現象が起きる事、国民には腹を決めてもらうしかない。日本の製造業を経済のメインストリームに置いてく限り、この原理原則から抜け出すことは不可能だ。官僚組織のつまみ食い体質が良いとは言わないが、このマクロ経済全体で見る限り些末な問題である。問題は、国内の輸出製造企業を護送船団的に擁護しようと云う思考を変えない限り、日本経済は日々衰退するしかないだろう。

 ここで考えるべきは、グローバル経済下の価格競争の戦禍真っただ中に、飛び込む選択が正しいのかどうかと云う問題である。たしかに、製造業や公共事業(土木建築)の雇用のすそ野が大きいのは事実だ。しかし、そのすそ野が大きいからと云って、それに頼ることが、グローバル経済下では国力を失うことであると云う視点が欠かせない筈なのだが、どうもそのように思わない人が多いようだ。筆者にとっては不可思議現象だ。日本人の特性として、このグローバル経済は不向きだと思う。

 中央集権的体制と地域独立体制の混在した形態が、日本人には向いているのだ。いまだに、日本人の心に「おらが国意識」が厳然とあるのは、日本民族のDNAであり、そのNDAが発揮できる国造りを考えるのが英知であり、グローバル経済に打って出るのは、狩猟民族の得意分野の土俵に上る愚挙であり、勝てるわけがないか、勝つために国民生活や国家財政を犠牲にする羽目に陥る。大局的に見て、この思考にほぼ間違いはない。個人的感想だが、明治維新こそ、日本の歴史の大誤謬であり、新幹線による日本の金太郎飴国家像が、とどめを刺したと云う感慨が強い。

 折角、お天道さまが、日本人に気づきのチャンスを天然現象と人災の激甚をもって知らせてくれたのだが、多くの人は、その意味を深く受けとめず、復旧復興に向かおうと努力している。局地的な観測だと、そのように思うのはムベなるかなだが、国家の指導的地位にいる者が、その感情に付和雷同しているようでは、到底、お天道さまの苦渋の選択も無駄骨と云うもののようである。

「新富裕層」が日本を滅ぼす (中公新書ラクレ 485)
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●長谷川幸洋氏 “米国をバイブルに置きかえ説教する伝道師” 驚くべき守旧言説

2014年03月07日 | 日記
新・資本主義宣言 (7つの未来設計図)
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●長谷川幸洋氏 “米国をバイブルに置きかえ説教する伝道師” 驚くべき守旧言説

 以下の長谷川幸洋氏のコラムは、甚だしく公正公平を欠いた視点から構成されたコラムである。あきらかに、米国に寄り添い、今後も生きていきたい一心のコラムで、その理屈を証明するかのように、ウクライナやフィリピンの発言を引用している。また、アメリカによる、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争、グアンタナモ刑務所などに言及しようとしていない。このような、西側一辺倒コラムなどを読むと云うことは、悪しき習慣に身も心も染まってしまった日本のマスメディアと同じ立場に立ったジャーナリストだと白状したようなもので、何ら有益性もない。

 国連の枠組みが歪んでいることは、発足当時からの話であり、今さらどうこう云う根本問題ではない。意味不明の第二次大戦戦勝国に米英仏露中をセレクトした安保常任理事国を規定した時点で、イカサマな国際体制であったわけで、壊れるべきものが壊れる事例は度々あった。しかも、その多くが、誰あろうアメリカによって引き起こされていた歴史を無視する態度から発する情報に価値はない。

 ソ連邦であった時代、ウクライナ人であった、ニキータ・フルシチョフ首相がウクライナ寄りの姿勢を示し、その流れで、1950年にウクライナ・ソビエト共和国にロシアの州だったウクライナ南東部を併合したわけで、その歴史的過程から、プーチンの主張には一理ある。ベトナムやアフガン、イラクになどアメリカと縁もゆかりもない領土を云々と云う次元ではない。長谷川氏はその次元の話に触れようともしていない。単に、国民から選ばれていない非公式な現在のウクライナ臨時政府の言い分が弱者の叫びのように喧伝し、挙句に、その臨時政府の正体さえ判然としていない状況で、断定的物言いはジャーナリストではない。

 筆者の知る限り、ソルジェニーツィンが言ったように、18世紀からロシアの州であったクリミアをウクライナに引き渡した行為は蛮行であり、クリミア地方に住んでいたロシア人を流民にしたようなものである。当時は、ドイツナチと闘った西ウクライナの人々への報償的意味合いもあったが、いまや、その西ウクライナの中枢に、ナチに親和的勢力が居座っている事実関係は、到底見逃せない。その前にあった、ウクライナのオレンジ革命の資金がアメリカから流れていた歴史もあるわけで、その焼き直しだが、今度はその傀儡勢力の中に、ネオナチが含まれている分、より悪質である。長谷川氏のコラムは、以下に掲載しておくが、アメリカと云う国をバイブルに置き換え、説教を垂れている似非伝道師のようである。


 ≪ ロシアのクリミア侵攻は「ヒトラーのズデーテン侵攻」の繰り返し!? 国連が機能しない"規律なき世界"はどこへ向かうのか ウクライナ情勢が緊迫している。

 英国のヘイグ外相は「欧州における21世紀最大の危機」と言ったが、これでもまだ控えめな表現かもしれない。すでに、世界では「新たな冷戦の始まり」という評価が飛び交っている。私も以下の理由から、それに同意する。 国連という枠組みの限界をさらけ出した初めての事態 まず、これは単なる一過性の危機ではない。世界秩序を支える根幹のレジーム(枠組み)が揺らいでいる。
  ウクライナに対するロシアの軍事侵攻は、実際の戦火を交えていないとはいえ、1945年以降、国連を中心に形成してきた世界秩序へのあからさまな挑戦である。しかも、主役が国連安全保障理事会の常任理事国である点が決定的に重要だ。

  米国や北大西洋条約機構(NATO)はすでに対応策から軍事的選択肢を除いているが、それは単に「大国のロシアと一戦を交えたくないから」とか「戦っても勝てないから」といった理由からではない。国連安保理で武力制裁のお墨付きを得られる見通しが立たないのだ。なぜかといえば、当のロシアが常任 理事国なので、拒否権を発動するに決まっているからだ。

  ロシアが拒否権を発動したのに、米国や西欧諸国が安保理決議なしに無理矢理、武力介入に動けば、今度は米国や西欧諸国が国連憲章違反になってしま う。ロシアの行為が国際法違反なのは明白なのだが、それを正そうと欧米が安保理決議なしに武力対応すると、正そうとした行為自体が違反になる。

 いわば「法的強制力のトラップ(わな)」にはまったと言ってもいい。

 したがって、ウクライナがいくら国連でロシアの非を責め立てたところで、欧米は支持するだろうが、国連全体としては、基本的にどうすることもできない。つまり国連は事実上、機能しない。今回の事態はそんな国連という枠組みの限界、あるいは無力化をさらけ出してしまった。

 そこがたとえば、クウェートに侵攻したイラクの場合とまったく意味合いが異なる点だ。イラクの場合は、国連は曲がりなりにも機能して安保理決議に基づく多国籍軍を形成した。だから国際社会は正当性を持った強制力を行使できた。ところが今回はそれができないのだ。こうした事態がこれほど鮮明に表面化したのは初めてのことではないだろうか。

クリミア占領は長期化し世界は「新たな冷戦」状態に入る

 次に、危機という点でみれば、これまでも戦後世界は1950年の朝鮮戦争、62年のキューバ危機、60年代のベトナム戦争と大きな危機を経験してきた。しかし、互いに衰えたとはいえ、米国+西欧vsロシアという旧東西ブロックの主役同士が正面からガチンコで対決する構図になったのは、今回が初めてである。 キューバ危機では、ソ連が土壇場でミサイルを積んだ船団をUターンさせて、危機を乗り越えた。だが、今回は危機からの出口を当分、見い出せそうにない。

  なぜかといえば、欧米は軍事的選択肢がとれないから、対応策は経済制裁くらいしか残されていないからだ。それではロシアをクリミア半島から撤退させるには、まったく力不足である。ロシアにとってクリミア半島は軍事的要所であるだけでなく、そこに点在する軍事と宇宙関連技術拠点は絶対に手放したくない。結局、ロシアのクリミア占領は既成事実となって長期化するだろう。

 そうなると、後に残るのは何か。危機からの出口を見い出すどころか、危機が定常状態になる。つまり、にらみ合いがいつまでも続く。だからこそ「新たな冷戦」状態に入る。戦火は交えなくても、戦っているのだ。

 新たな冷戦が始まった世界は、これまでとは原理的に違った世界になる可能性が高い。 戦後世界は国連憲章で「武力の威嚇または行使によって国家の主権と領土を脅かす」のを禁じたところを原点として出発した。ところが、今回のロシアの行為は、まさしく武力の威嚇によって主権と領土を脅かしている。 ロシアは国連の枠組みを守るどころか、ぶち壊したと言ってもいい。

 米国のケリー国務長官は主要国首脳会議(G8)からロシアを追放する可能性に言及している。一部には「話し合いの枠組みがなくなってしまう」という懸念もあるようだが、G8の話し合いが成立するとしても、ロシアはこれまでの国連の精神 を前提にしないと考えるべきだ。相手は違った土俵で相撲をとる覚悟なのだ。つまり世界は変わってしまった。

 ヒトラーによるズデーテン侵攻になぞらえる声も

 いったい、どうしてこんな事態になってしまったのか。これは突然、訪れた危機ではない。ロシアと中国は世界の反応を試すようにして、じわじわと少しずつ規律と秩序を侵食してきた。 ロシアで言えば、2008年のグルジア戦争がきっかけになった。グルジアが非政府支配地域の南オセチアを攻撃したことを受けて、ロシアが軍事侵攻し結局、南オセチアと(同じような状態だった)アブハジアが事実上、ロシアの占領地域になって現在に至っている。

 昨年9月のシリアをめぐる出来事も導火線になった。シリアのアサド大統領が化学兵器を使用して多くの住民が死亡した。オバマ大統領はシリアを空爆する方針を表明したが、土壇場でプーチン大統領が化学兵器の共同管理を提案して、オバマはこれを受け入れてしまった。 このときブレた米国の弱腰が今回、プーチンに見透かされていたのは間違いない。

  一方、米国が1995年の米比合同軍事演習を最後にフィリピンから撤退すると、中国は南シナ海の実効支配に乗り出した。まず南沙諸島のミスチーフ礁 に建造物を構築し、2012年からはスカボロー礁にも手を伸ばす。同礁には昨年、中国がコンクリートブロックを設置したことが確認されている。さらに今年 1月には、南シナ海で操業する外国漁船は中国の許可が必要という規制も発表している。

  中国のふるまいについて、フィリピンのアキノ大統領は2月、米ニューヨーク・タイムズで中国をナチス・ドイツのヒトラーになぞらえて「世界はヒトラーをなだめるために(チェコスロバキアの)ズデーテン地方を(ドイツに)割譲した史実を思い出す必要がある」と訴えた。

 ヒトラーは1938年にズデーテンに侵攻した。それを当時のチェンバレン英首相は容認してしまった。増長したヒトラーが翌年、ポーランドに侵攻し、 第二次世界大戦に至った。最初の甘い対応が後に大きな悲劇を招いたのである。これは「チェンバレンの宥和政策」として歴史と国際関係論の教訓になってい る。 今回のロシアの行動についても、まったく同様にヒトラーによるズデーテン侵攻になぞらえる声がある。

 もしも世界がロシアのクリミア占領を容認するなら「やがて、もっと大きな悲劇を招く」という懸念である。 ロシアは中国の南シナ海での行動を見ていたはずだ。南シナ海とシリアの対応をじっと見て、プーチンは「これならできる」と踏んだかもしれない。

 集団的自衛権に基づく集団防衛体制の役割とは

  ロシアの違法行為が既成事実化すると、世界にどんなインパクトをもたらすだろうか。 すぐ頭に浮かぶのは、やはり中国である。中国はいまロシアの挑戦が成功するかどうか、しっかり目を凝らして見つめているに違いない。ロシアの軍事侵 攻に対して、欧米が実質的にたいしたこともできず歯噛みするだけなら、「それならオレも」とばかりに中国が尖閣諸島に両手を伸ばす誘惑に駆られたとしても、おかしくはない。

 これまでは曲がりなりにも米国が乱暴狼藉を働く悪漢に規律を守らせる「世界の警察官」役を引き受けてきた。だが、米国にはもはやそんな余力はなく、軍事予算も体制も縮小している。悪漢が堂々と居直れるとなれば、もはや世界の規律は維持するのが難しくなる。 これからは「規律なき世界」になる。少なくとも規律が弱まるのは間違いない。もしそうだとすると、これは欧州における21世紀最大の危機どころか「戦後世界で最大の危機」と言ってもいいだろう。

  日本にとって教訓もある。それはもちろん、中国が尖閣諸島への威嚇を強める中で、どう領土を保全し、国の平和と安定を確保するかという問題だ。

 ウクライナのヤツェニュク新首相は指名後に「ウクライナの未来は欧州にあり、ウクライナはEU加盟をめざす」と演説した。新政権は欧州連合(EU) の加盟を目指し、その先にはNATO加盟も視野に入れていた。NATOの集団防衛体制の中に入ることによって、国の安全を守ろうとしたのだ。それがロシア には許せなかった。

 もしもウクライナがEUとNATOに加盟してしまえば、軍事的要所と軍事宇宙産業を失うだけでなく、もはやロシアにとって簡単に手が出せる土地ではなくなってしまうからだ。 逆に言えば、EUとその先にあるNATOの集団防衛体制こそがウクライナの死命を制する鍵になったはずだ。集団的自衛権に基づくNATOとワルシャ ワ条約機構(WTO)の集団防衛体制は国連発足後の冷戦下でも、しっかり機能して大国同士の戦いを防止する役割を果たした。

 「冷たい平和」と呼ばれる時代である。 世界はこれから国連が事実上、機能しない「新たな冷戦」に突入する可能性が高い。そうだとすれば、集団的自衛権に基づく集団防衛体制の役割につい て、日本もアジア太平洋を視野にしっかり考えるべきだ。当面はすでにある日米安保条約に基づく日米同盟をどう強化するか、である。*文中敬称略  ≫(現代ビジネス:ニュースの深層:長谷川幸洋)

資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
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●国内問題にしか目が向かない日本人 日本のグローバル思考は永遠に閉ざされる

2014年03月06日 | 日記
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●国内問題にしか目が向かない日本人 日本のグローバル思考は永遠に閉ざされる

 国内政治を久々に覗いてみたが、どうでも良いような記事に埋められていた。どうでも良いとは言い過ぎだが、安倍晋三に国会を牛耳られている以上、無残な不幸が国民に降り注がないように、祈っておく位のもので、これと云って影響力が及ぶような事柄は少ない。こういう時は、世界情勢とか、社会哲学的問題に目を向けておいた方が、精神衛生上断然いい。そんな思考経路なので、多くの方から賛同を得られそうもないコラムを連続で書いている。今夜も、ウクライナ情勢含みの話なので、人々の興味は惹かないであろうことは百も承知だ。しかし、否でも応でも、グローバリズムの世界に引き込まれているのだから、それなりに興味を持つのが妥当だと思うが、日本人は、そのように思考経路が進捗しないようである。

 今回のウクライナ騒動を通じて判明したことは、国運をかけて国際社会でプレゼンスを発揮できる国家指導者は、ロシアのプーチン大統領だけだ、と云う事実を再認識しただけだ。もし、もう一人国際的リーダー挙げよと云う設問であれば、メルケル首相と答える。色んな反発も承知で断言すれば、国際的基準値に達している指導者は、プーチンとメルケルの二人とは、何ともお寒い状況であるが、これは不都合で、不自由な現実だ。まぁ日本人にしても、西側一辺倒な報道だけ聞かされてしまえば、ああ、俺たちには関係ないね、と思うのも当然だ。

 あれほど、ロシアのプーチンと、個人的コミュニケーションを盛りだくさん蓄積出来た、と自慢たらたらな安倍晋三が、プーチンに電話の出来ない、しない状況など、絶対に考えられないことである。ここは、プーチンに貸を作れる絶好の機会だし、習近平に仲介者を任せるのではなく、自ら仲介者に名乗りをあげるくらいのパフォーマンスをすべき時なのである。最大の悪手となった靖国参拝が出来る無謀さを持っているのだから、プーチンに電話する程度の冒険心は、あってしかるべきだ。糞くらえ、根性ナシ!お前さんは“強い国”の最高権力者だろうが(笑)。

 まぁ、馬の耳に念仏のような話はこのくらいで切り上げよう。だいたいウクライナ騒動の結末は見えてきたのは事実だ。オバマは口先介入を繰り返すだけで、これ以上のことは出来そうもない。これ以上、ウクライナに肩入れすると、共和党マケインの罠に嵌るも同然なので、当たり障りのない口先介入と、僅かな提供金(たかだか1千億円)の提供と、国際世論喚起活動の継続くらいのものである。EU(メルケル)が1兆円以上の資金提供を決断したのに比べれば判るように、ウクライナ問題は、アメリカ国民の国益だと、直ちに宣言できる要素が欠けているのだから、オバマの姿勢は妥当な判断ともいえる。

 その点に、最も不満があるのが世界金融勢力であり、西側各国の軍産複合企業群である。そういう意味で、WSJやフィナンシャル・タイムズや日本経済新聞のコラムには、オバマのプレゼンスのなさや弱腰に苛立つモノが多数掲載されている。ほとんど、煽りに近いコラムで、読んでいて、戦争をやっちまえ的論調で、田母神支持者と同じレベルに達したコラムが連日報道されている。

 そうそう、もう少しで本日の見出し「国内問題にしか目が向かない日本人 日本のグローバル思考は永遠に閉ざされる」について、書き忘れるところだった。今夜は冷たい強風が吹き荒れているようなので、手短に筆者の日本人観についてだけ語っておく。無論、数行で説明は不可能なので、事例を交え、結論を述べておく。小室直樹や岡倉天心が主張する世界へのアジア文化の発信を否定するつもりはないのだが、筆者の場合、他のアジア諸国に比して、日本は独特な文化の成立過程と要素を持っているのではないかと考えている。

 小室が主張したように、日本は近代国家にあらずなわけだが、小室や岡倉は西洋のキリスト教における勤勉と、日本の勤勉は共通点があったので、近代資本主義が、明治維新以降無理なく導入させることが出来た。ここまでは、筆者も同感である。しかし、その原理原則までは親和性があったのだが、その応用編になると、突如として日本人の行動は奇妙な塩梅になり、方向性を失うのである。ここに、筆者は日本人の特性を見るのである。

 その特性を、竹村公太郎氏の著書で確認し、自分の想像が正しかったことを認識した。想像以上に、日本人の血脈と日本の地形は、並々ならぬ関係があることが、竹村氏の著書で理解できた。やはり、日本人は根っから近代国家になるべきではなかったし、資本主義の鬼になることは出来なかったわけだが、当然なのである。日本人は、お天道さまの成り行きひとつで、自分たちの生きざまを変幻自在に変えてゆく民族であり、それが非常に心地のいい棲家を入手できる民族だと、今さらながら確認した。

 日本がここまでスンナリと中央集権に馴染んだのは江戸時代の徳川幕府藩体制の名残だと考えている。明治維新が日本近代化の夜明けであり、その歴史的行為こそが、現代では持て囃されているわけだが、筆者は、そこが間違いだった、と指摘したい。19世紀、その時代は欧米列強国家による植民地化が隆盛を極めている時代である。当然だが、最後の植民地とすべく、欧米列強国家は日本を目指した。その当時、日本を植民地化しようと試みた。圧倒的軍事力を武器にした欧米軍が、日本を植民地にするのは時間の問題と云うレベルに達していた。

 しかし、現実はそうはならなかった。下関戦争で長州が善戦した事実はあるが、そのような一戦で日本が植民地を逃れたわけではない。いや、日本の武士の戦いに怖れをなしたに違いない、と思いたいところだが違う。日本と云う国には山があり、山道は曲がりくねり、急峻で道々は視野の邪魔になる雑木が茂っていた。ゲリラ戦にはもってこいの地形なのである。その上、日本列島には、常に山を背にする防御性の強い山脈があり、その山脈から、川が何本も流れており、各地点を分割統治出来る地形を有していた。一括統治に慣れ親しんだ欧米列強にとって、好ましい植民地の地形を有していなかった。

 日本と云う国家の国土は、まさにこのような地形が各地に点在していることに彼らは気づいた。その上、日本と云う国には、彼らが植民地化でえられるゲインとなる主産物が乏しかった。つまり、彼らの目から、日本と云う国は貧乏に見えたのだ。奴隷とさせる人間もいない。象牙も金もないしダイアモンドもないだろう。ゴムの木も綿花もない、プランテーションに適した広大で肥沃な土地もない。黄金の国と言われたのは過去の話で、その鉱脈も尽きている。欧米列強の国々の文化において、日本を植民地化するメリットは、あまりにも少なかった。勿論、20世紀的に言えば、石油すら出ないのだから、一気に彼らの植民地構想に冷や水をかけられた。

 とどのつまりに、火山活動は活発で、頻繁に地震は起きる、洪水もある。厄介なことに、雨は多いし、雪も降る。1年間は四つの四季を持ち、温度湿度差にも大きな変化があった。当時の欧米列強国家の人々にとって、まったくもって魅力に欠ける国だったのである。ここが、日本と云う国を捉えるときのポイントだ。勿論、欲の皮で突っ張った彼らの節穴では、当時の日本文化の輝かしさなど理解の範疇を越えていたのだ。彼らの目には即物的なモノへの欲求が強く、その裏に隠れている価値や文化芸術伝統工芸など、とるに足らないものと判断しても、なんの不思議もない。

 以上、かいつまんで当時の日本と云う国を紹介したわけだが、その貧困であっても不思議ではない国が彼らが植民地化していった、アフリカ・アジアの国々と異なり、文化の面で、どうして日本はアフリカ・アジア諸国に比べ勝っているのか、その事には幸運にも気づいてくれなかった。そうして、日本はアフリカ、アジア、中国などと異なり、彼らの直接的植民地化政策の餌食にはならなかったのである。そこにこそ、日本の特長があり、世界に誇れるものに、徐々に変化してゆくのである。この事実を基に、日本と云う国は、改めて自国を見直す、乃至は再認識していくべきなのだ。その思考の展開において、筆者の「鎖国準拠」な考えも生まれる。この考えは、また再び書く機会もあるだろうから、本日はこの程度にとどめる。

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)
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●企業資本が国家権力を凌駕、マネーが人類を支配する世界で良いのか

2014年03月05日 | 日記
新・資本主義宣言 (7つの未来設計図)
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●企業資本が国家権力を凌駕、マネーが人類を支配する世界で良いのか

 どうしても、日本語の情報の方が読みやすいわけで、割引しながら読むのだが、常は3割引くらいで済むが、ロシア対欧米諸国となると、5割引してもまだ、西側贔屓の情報になる。特にNHKとテレビ朝日の報じ方が、西側情報に偏った報道に徹しているのが際立つ。英国のタイムズやガーディアン、の記事を読むと、6:4で西側寄りだが、日本のメディアのような浅ましさは見られない。ただ、読売・産経がウクライナ問題をあまり取り上げようとしていないのが興味深い。

 その原因が、安倍晋三の心中を推し量っている状況が手に取るように判る点が面白い。安倍晋三が絶対にG8に出席しないと云う言質が得られていない。プーチンを一人蚊帳の外に出す手助けをしてしまって良いのだろうか?唯一の得点として後世まで語り継がれる快挙を成し遂げられるチャンスを永遠に失いことで良いのか?ここは酷く迷っているに違いない。右傾メディアも迷い、安倍官邸も迷っているのだ。目に見えぬ求心力の闘いが、プーチンとオバマの間で繰り広げられているのだから、当然ながら迷うだろう。

 いっそのこと、北方四島・歯舞、色丹、国後を日本が買い取る代金を、クリミア半島買取の資金に運用する方法もあるような気がする。「引き分け」と同じ効果がある。英国辺りでは、読者投稿欄に、筆者のようなことを書いている人物がいた。どこの世界にも、似たような奴はいるものだと感心した(笑)。ウクライナの国庫も間もなく尽きる。IMFの過激な要求に耐えられるウクライナ人のナショナリズムではない。彼らはギリシャ以上に欲求が強い人々である。ゆえに、愛国と欲望が綯交ぜになり、多くの侵略者の足元に跪く歴史が繰り返されている。

 4日、プーチンは「(クリミア半島)の緊張は解消した」として、「ロシア政治軍の必要はないだろう」と述べた。この言葉を、日本のメディアなどはロシア軍によるクリミア占領が完了したニアンスで受けとめ報道している。プーチンは「ウクライナ軍を武装解除しているロシア部隊は、(クリミア自治共和国の)自衛軍だ」」と発言した。このメッセージは“これ以上戦禍を拡大する気はない”と云う外交メッセージであり、日本のメディアが「言い張った」と云う解釈は、なんらクリミア問題解決の糸口にならない。

 世界の金融市場も、プーチンが闇雲に暴れまわることはないと読んで、落ち着いた動きを見せている。大方の予想は、ウクライナのクリミア半島情勢は当面膠着状態が続くだろうと希望的観測を持っているようだ。プーチンとしても、現段階でクリミア半島のロシア併合までは考えていないだろう。ここまで、動いた上で、状況をキープしておき、西側諸国がどのような対応に出て来るかを見定めるポジションに着いたといえる。おそらく、米国を中心とする、あらゆる経済制裁等がロシアに向けられるのだろうが、その影響力も見極めようとするに違いない。

 この経済制裁はオバマの得意技だが、EUも全面的に、オバマの外交戦術に協力するかどうか、多くの不安も残される。シェールガス革命でエネルギーを持て余している米国とEUは利害が一致しているとは言えない。中国・習近平国家主席は、表向き「ロシアが各国と協調し、問題の政治解決を推し進め、地域や世界の平和・安定を維持すると信じている」と公式見解を述べている。また、オバマとは異なる立場で、ロシアと欧米諸国の仲介に努力するとしている。外交上、ロシアとの関係を重視せざるを得ない中国が、欧米の主張に親和的と考えるのは愚かだろう。

 中国が諸手を挙げてロシア支持を表明できない事情は、自国の「新疆ウイグル自治区」や「チベット自治区」の問題を抱えており、同様のニアンスで、ウクライナのクリミア自治区が分離独立などされてしまことは、当然望んでいない。その為には、プーチン対して、≪クリミア自治区が分離独立≫と云う形を排除した方向で、実を取る方法を申し入れたものと思われる。その方法であれば、中国は自動的にロシアを支持できる、そういうことだろう。

 冒頭で書いておいたように、わが国はと云うと、安倍政権の集団的自衛権などの流れから、日米同盟主体論が揺るぎないと云う前提で、すべてが動いているし、全員が思い込んでいるが、安倍とオバマの人間関係、安倍とプーチンの人間関係を含めて、今後の安倍晋三の動きが、戦後体制の踏襲に走るだけでは、「戦後レジームからの脱却」「美しく強い国日本」は到底実現しないことも念頭に置いて考えておく必要がある。朝日新聞が、プーチン悪玉論を展開しているが、読売・産経がシカトな態度に終始している点も注意すべきだ。

 日経は、英国フィナンシャルタイムズの記事を引用するかたちで、連日、オバマの外交・経済政策で、プーチンを追い込むべし、と主張する。如何にも、オバマの強みは、資本の代理人であるであり、堂々とそのツールで対抗せよ、と主張している。言外に「軍事力に頼るなよ。また失敗するぜ」と云うメッセージも込められているようだ。このウクライナ騒乱を通して、国家の在り様と、その機能を制御するまでに至ったマネーの力。資本乃至は企業の方が、国家よりも優越な地位にいる世界は、人類に何を齎してくれるのか、考えさせられる昨今である。


 ≪ [FT]ウクライナ、プーチン氏が試すオバマ大統領の度胸
 ソビエト連邦末期、当時のジョージ・H・W・ブッシュ米大統領はウクライナの首都キエフで講演し、ウクライナのナショナリストにモスクワ政府を挑発するなと訴えた。米国の保守主義者はこれを「チキンキエフ・スピーチ」(※)とからかった。
 衆目の認める融和主義者であるバラク・オバマ大統領も今、“チキンキエフ”をどう料理するか、決断を迫られている。虎視眈々(たんたん)とニワトリを狙うキツネのように悪賢いプーチン大統領に立ち向かうことができるのか。
 オバマ大統領にそうした意思や能力、ましてや手段があるか定かではない。しかしオバマ政権の前途はこの問題にかかっている。プーチン大統領がかつ てのロシア帝国の国境を回復させたいともくろんでいることに疑いの余地はない。オバマ大統領はなんとかそれを阻む方法を見つけなければならない。
  それには世界に対して腰の引けたイメージを与えてきたこれまでとはまったく違う、強いオバマ大統領が必要だ。オバマ氏は大統領就任前から、ロシアの失地回復主義者に甘いという批判を受けてきた。2008年大統領選の対立候補であった共和党のジョン・マケイン氏は同年8月にロシアがグルジアに介入したグルジア紛争を例に挙げ、こうした拡大主義は許容できる一線を越えている、と訴えた。
 だがマケイン氏のようなタカ派の姿勢を取ろうとしないオバマ氏の消極性のほうが、はるかに米国民の気分に近いものだった。イラクやアフガニスタンでの戦争にうんざりしていた米国民に、オバマ大統領はその終結を約束し、実行した。

 ■オバマ外交の命運かかる事態  

今日の米国民は、他国の問題に関わることに対して当時よりもさらに慎重になっている。しかしロシアがウクライナ南部のクリミア半島を占領すれば、状況は劇的に変わってくる。米国内での国づくり、イランとの核合意、中東諸国の平和、アジアへのシフトなど、オバマ大統領が目指していることの成否は、すべてプー チン大統領にどう対応するかにかかっている。

 オバマ氏は大統領に就任した当初、米ロ関係の「リセット」を提案した。いまやこのもくろみは見る影もない。大方の人がそうであるようにオバマ氏も、現状を壊すことをいとわないプーチン氏の姿勢を常に見くびってきた。
※=「チキンキエフ」はウクライナの名物料理。チキンは英語で臆病者を指す

 2月27日の段階でも、米政府はロシアのクリミア半島侵攻の可能性を否定していた。3月1日の90分にわたる電話会談で、プーチン氏はオバマ氏に対し、ロシア軍が占領地域をクリミア半島からウクライナ東部にも拡大する準備があることを示唆した。プーチン大統領がそれを実行しないと考えるのは甘いだろう。
 そうした事態を防ぐために、オバマ大統領に何ができるのか。まずはワシントンのタカ派を無視することから始めるべきだ。反オバマの急先鋒(せんぽう)が求めるような、軍事行動の脅しをかけるのは明らかに不合理だ。この危機を米国が軍事行動で解決することはあり得ない。クリミア半島とそれ以外のウクライナ、あるいはウクライナの東西を分けるような「越えてはならない一線」を示せば、ロシア政府は開き直るだけだ。
 しかもオバマ大統領が「越えてはならない一線」を示して、うまくいったためしはほとんどない。直近ではシリアのアサド政権が国民に化学兵器を使ったら軍事介入するという一線を約束したが、アサド大統領は昨夏、それがはったりであることを何度も証明した。皮肉なことに、シリアの独裁者にため込んだ化学兵器を解体するよう説き伏せ、オバマ大統領を自らの発言と米議会による軍事介入否決という屈辱的な事態から救ったのはプーチン大統領だった。この出来事も今では忘れ去られたようだ。今から思えば、オバマ大統領は議会に相談せずにシリア空爆を命じたほうがよかったのだろう。いずれにしても「越えてはならない一線」など引けば、プーチン氏が勢いづくだけだ。

■エジプト、シリアで存在感示せず

  そうなると、残る手段は外交である。オバマ大統領は、長々と続く外交協議のほうが長々と続く戦争よりは良いという、チャーチル流の思想に基づいている。こうした考え方は正しい。だがオバマ氏の実行能力はひいきめに見ても並みである。オバマ氏は言うことは正しいが、その後のフォローがほとんどないというケースがあまりにも多い。
 エジプトがまさにその典型例で、エジプト国民はオバマ大統領に民主主義を支援するつもりがあるのか首をかしげている。オバマ政権には3通りの対エジプト政策がある。まず国防総省は何があろうと米国とエジプトとの関係を維持したいと考えている。ケリー長官率いる国務省は、イスラム組織「ムスリム同胞団」に対する昨年のクーデターを支援した。ホワイトハウスはクーデターを非難しつつ、日常の意思決定は国防総省と国務省に任せている。
 エジプト問題については、ワシントンでもオバマ大統領の存在感はない。シリア問題についても同じように存在感はなく、アサド大統領は昨年プーチン大統領が仲介した合意を後退させている。さらにはアフガニスタンをめぐっても同様で、カルザイ大統領はオバマ氏の望む米軍の駐留継続を盛り込んだ合意を拒否している。
 外交はオバマ大統領が好んで使おうとする武器だ。いまこそ、それを使いこなせるところを示さなければならない。ワシントンではここ2日で、「越え てはならない一線を示すか」「何もしないか」という誤った二者択一の議論がされている。だが両者の間で、オバマ氏にできることはたくさんある。
 たとえば米国の同盟国に、ウクライナの脆弱な政権への支援を呼びかけるのが一つだ。そこには大規模な資金援助を含めなければならない。東欧の同盟国に、主権が脅かされることはないと安心させることも必要だ。
 そこにはオバマ氏が「リセット」を模索した時期に廃止した、ミサイル防衛システムの再構築を含めてもいい。ロシア政府がエネルギー供給を武器に欧州諸国の手足を縛れないように、米国の天然ガスや石油を欧州に輸出する計画を前倒ししてもいいだろう。

 ■プーチン氏説得の適任者

  何よりオバマ大統領はプーチン大統領に対し、悪賢いマネは許さないと思わせる必要がある。今回ばかりは断固とした決意が必要だ。これは無謀な行動は控えながら、リスクを取ることを意味する。父ブッシュ大統領は1991年、キエフに乗り込み、ウクライナの人々に「自滅的なナショナリズム」はやめるように説いた。
 オバマ大統領はプーチン大統領に対し、自滅的な帝国主義の道に踏み出すのはやめるべきだと説かなければならない。さまざまな弱点はあるものの、このメッセージを届けるのにふさわしい人物はやはりオバマ大統領だ。キエフはそのための絶好の舞台である。 ≫(日経新聞邦訳:3月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙:By Edward Luce)


 ≪ [FT]ロシアは新たな冷戦を戦うことはできない
 ソ連が1968年にチェコスロバキアに侵攻した時、モスクワの株式市場は暴落しなかった。なぜか。それは当時のモスクワには株式市場がなかったからだ。対照的に3月3日はロシア軍の部隊がクリミアを実効支配したとの報道を受け、ロシア株が10%も急落した。
 1968年と現在との違いを考えれば、新たな冷戦が始まるとの説は誤解を生む恐れがある。2014年のクリミアと1968年のチェコスロバキアとでは、政治・経済の背景が全く異なる。
 ロシアはもう、はるかベルリンまで続く帝国など保持していない。縄張りを失ったという痛みのせいもあって、プーチン大統領はウクライナを、ずいぶん小さくなったロシアの勢力圏に引き留めようと躍起になっている。

 ■深くからむ今日のロシアと西側

 これと同じくら い重要なのは、世界はもはや、二つの相いれない政治経済体制、すなわち資本主義の西側と共産主義の東側という敵対する陣営には分かれていないということ だ。ソビエト体制が崩壊した後、ロシアはグローバルな、そして資本主義の体制に加わった。今では、ロシアと西側の金融、ビジネス、社会の制度は互いに深く からみ合っている。確かに、今日になって東と西の争いが新たに進行してはいるものの、これは冷戦時代とは全く異なる土俵で行われており、適用されるルール も異なっている。
 西側がロシアと商取引をしていることは自分たちに有利に働くとロシア政府は思っているかもしれない。ソ連国家保安委員会 (KGB)出身のプーチン氏は恐らく、西側の外交政策は資本家に牛耳られている――だから、これら西側資本家はロシアにおける経済的利益が脅かされる状況 を容認しない――という旧ソ連時代の教えをまだ信じているのだろう。ロシアが2008年にグルジアに軍事介入した際に西側が強い対応を示さなかったこと も、そうした印象を強めたのかもしれない。
 ロシアに関する著作を先日発表したベン・ジュダー氏によれば、西側の財界人や元政治家がロシアとのビジネスに熱心であるために、プーチン氏は「欧州のエリートは、自分に立ち向かうことよりもカネを稼ぐことの方に関心があると確信している」のだという。
 しかし、柔道好きなプーチン氏なら、急な体重移動が強みを弱みに変えてしまうことを承知しているはずだ。ロシアと西側諸国が相互依存の関係にある以上、ロシア政府がろうぜきを働けば、その経済的な代価は自分たちが払うことになりかねない。
 この代価はまず、クリミアに対する行動が報じられた後にモスクワの株価が急落したことによって明らかになった。ガスプロムとズベルバンクという、クレムリンと密接につながる二大企業の株価は、それぞれ約10%下落している。

 ■前例がある制裁

 正式な経済制裁や、 ロシアのエリート層への査証(ビザ)発給停止などが実施されれば、その痛みはさらに増すだろう。今では、裕福なロシア人は週末にロンドンやパリに出掛けら れる権利を当然のものだと思っている。何十億ドルというロシアマネーが西側の銀行に預けられたり、欧州の資産に投資されたりしている。
 ロシアの中央銀行が 自ら行った推計によれば、2012年にロシア国外に流出した560億ドルの3分の2は犯罪によるものだった可能性があるという。汚職で得られた資金は法的 措置に弱い。ロンドンの金融街シティーと、特にスイスの金融当局は、ロシアマネーの出どころを問うことへあまり熱心ではない。しかし、今は、そのような調 査を少しだけ急いで行うこともできるだろう。
 プーチン氏自身も、西側に巨額の蓄えがあると以前から噂されている。恐らく、政府からの給料だけでこの財をなしたというわけではないだろう。もし西側の秘密情報機関がちゃんと仕事をしていれば、その資金がどこにあるかも恐らく分かるだろう。
  ウクライナへの軍事介入に関与したロシアの指導者にビザ発給停止の適用対象を広げることは、間違いなく可能だ。実行すれば、ロシアの指導者たちは欧州で蓄 えてきた資金や資産に手を出せなくなる。米国は以前、セルゲイ・マグニツキー弁護士(注)の殺害を受けて「マグニツキー・リスト」という名簿を作成し、そ こに名前が載ったロシア政府当局者へのビザ発給を停止したことがある。前例はあるのだ。

 ■ガス供給停止はロシアにも痛手

  もちろん、制裁がもたらす経済的なダメージは反対側にも返ってくる。最も明白な西側の脆弱性は、ロシアのエネルギーに依存していることだ。ロシア産ガスの 蛇口が閉められたために西側の家庭で人々が震えるイメージは、欧州の指導者を不安にさせるだろう。それでも、欧州の脆弱性(そしてエネルギーを武器に使お うとするロシアの意欲)は誇張されうる。
 ロシアはエネルギーを国外に売る必要がある。輸出収入の70%を石油とガスで得ているからだ。ロシア政府にとってこうした収入が重要であることから、冷戦のピーク時でさえ欧州向けのエネルギー販売は確実に継続された。
 一方、過去10年間というもの、再生可能エネルギーが市場に出回るに従い、ロシア産ガスに対する欧州の需要は減少してきた。米国のシェールガスも代替エネルギー源を提供できるだろう。
  運がよければ、ロシア政府は今でさえ、自らが踏み出した針路を見直すかもしれない。ロシア軍の撤退と引き換えにロシア語を話す人々の文化的、政治的権利を 保証するという外交的な解決策の余地は明らかにある。しかし、今のところは、ロシアはクリミアを手放さず、もしかすると東部ウクライナの一部も強奪するこ とを決意している可能性の方が高そうだ。
 オバマ米大統領と欧州連合(EU)の首脳は速やかに軍事行動の可能性を排除した。その判断は正しかった。西側にはまだロシアを苦しめる経済的手段がたくさんある。
  過去10年間、プーチン氏とその側近はよく冷戦の言辞を用いながら、一方ではグローバル化の果実を享受してきた。今、彼らはある選択に直面しなければなら ない。プーチン氏らは新たな冷戦を手に入れることができる。あるいは西側の富へのアクセスを手にできる。だが、両方を手に入れることはできないのだ。  ≫(日経新聞:3月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙・By Gideon Rachman:翻訳協力 JBpress)


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●日中露「三国同盟」に向かうリスク 安倍首相は「真の独立」を選択出来るか

2014年03月04日 | 日記
日本人はどう住まうべきか?
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●日中露「三国同盟」に向かうリスク 安倍首相は「真の独立」を選択出来るか

 以下の読売新聞のウクライナ騒乱の解説記事には、思わずのけぞった(笑)。この新聞社が我が国一番の販売数を誇るというのだから、日本と云う国で、何が起きても不思議ではないことが肯ける。それにしても、どこの誰に聞いて書いた解説か知らないが、あまりにも頓珍漢で、巧妙に騙せるおバカな読売ファンまで、自分の読んでいる新聞にHATENA印をつけるのではなかろうか?流石に、この記事にナベツネは絡んでいないはずだ。ここまで、ナベツネは馬鹿じゃない。緒方賢一記者の暴走記事だが、夜中にナベツネの一喝で記事の差し替えがあるかもしれない。ロシアの野党と云う曖昧な噂話を引用しているが、統一ロシア又は全ロシア人民戦線が圧倒的勢力を保持しており、大統領に権限を集中させる体制が出来上がっており、2018年が任期になっているが、2024年までの再任が有力視されている。*注:予想通り、この記事は削除された模様


≪ プーチン大統領が強硬手段に打って出た理由
【モスクワ=緒方賢一】ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ南部への軍事介入を決断、予想を上回る勢いでクリミア半島を掌握した。
 欧米諸国が自制を促す中、大統領はなぜ強硬手段に打って出たのか。  大統領府の発表によると、プーチン大統領は2日、ドイツのメルケル首相との電話協議で「極端な民族主義勢力の暴力による脅しは弱まることはない」 と指摘し、親欧米派が樹立した新体制を厳しく非難した。ロシアは駐ウクライナ大使を召還し、2月末に発足したヤツェニュク首相率いる新政府とも公式の接触はしていない。当地の消息筋によると、プーチン氏は今回の政変に激怒しているという。
 プーチン政権は、選挙を経て就任したヤヌコビッチ大統領が抗議デモで放逐されたウクライナの政変を「クーデター」(ペスコフ大統領報道官)と呼び、新体制には「正統性がない」(ラブロフ外相)と主張している。その根底には、「兄弟国家」とみるウクライナに親欧州派政権の樹立を許したことに加え、大衆行動により政権を転覆させた新体制を認めれば、「強権でプーチン体制への不満を封じられているロシアの野党勢力を勢いづけることになりかねない」(外交筋)との警戒感がある。 ≫(読売新聞)

 まぁおバカ新聞の記事にあまり関わるのは大人げないので、この位にしておこう。読売の解説記事に比べれば、以下の日経QUICKニュース編集委員の記事は、幾つかの点で当たっている部分もある。しかし、拓殖大学海外事情研究所の名越健郎教授に、ウクライナにおける西側勢力の大勢を尋ねた点は最悪な選択だ。拓大の教師陣は、悉く反中、反露の巣窟であり、靖国万歳の百田尚樹並の脳味噌を持った人々の集合体である。まぁ日経のロシアプーチンの強権発動は長続きしないと云う原質を記事にする為に、敢えて間違いなく馬鹿な答えをする人物のコメントをとったとも思われる。

 1世紀前に戻りたがる安倍晋三政権と同じ次元で、プーチン政権を観察している視点が馬鹿げている。プーチンの狙っている世界は、明らかに21世紀を睨んだ、大陸国家勢力の再構築である。歴者学者や社会学性の強い経済学者の中にも、中露と云う大陸国家の抬頭が顕著になる時代が近づいているだろうと云う予測は根強い。なぜ、いびつであるにも関わらず、国家統制に依存する準資本主義国家にスポットが当たるかと云う皮肉な現象に注意を払うべきである。その理由は意外に単純なものだ。グローバル経済の営みが、進化すればするほど、国家と云う枠組みが力を失い、グローバル企業が力をつけていく。今や、半ば国家の選択は、彼らグローバル企業群の意向を無視して国家運営が不可能な現実を見せている。典型的なのが、アメリカのオバマ政権だ。

≪ 投資家悩ますウクライナ・中国、1世紀前を連想
日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一
 ウクライナ情勢の緊迫化や中国経済の急減速懸念などで金融市場は不透明さを増している。起きている現象それぞれに関連は無いが、民族対立や生産設備の余剰など背景には混乱の時代だった1世紀前を連想させる点も垣間見える。事態を整理しておく必要がありそうだ。
  旧ソ連・ウクライナの政変に対し、ロシアはウクライナ南部クリミア半島への軍事介入方針を決めた。1914年に始まった第1次世界大戦は「欧州の火薬庫」 バルカン半島での紛争をきっかけに起きた。クリミア半島はバルカン半島と並んで歴史的に民族の攻防が繰り返されてきた場所。ロシアの軍事介入は、北大西洋 条約機構(NATO)対ロシアという冷戦時代に戻るリスクを内在しないのか。
 シェール革命による原油の自給力の向上とイラク戦争のトラウマから米国は過剰にウクライナ問題に介入するとは考えにくいというのが今のところの市場の一般的な見方だ。
  だが、拓殖大学海外事情研究所の名越健郎教授は、「ロシアは2008年のグルジアの成功体験から、ウクライナも軍事介入で実効支配できると踏んでいるようだが、西側にとってもウクライナは人口の多さなどでグルジアとは比較にならないほど戦略的価値が大きい」と指摘。このため、米欧は弱腰ではいられず、事態は長期化すると読む。さらに「ウクライナのほか、モルドバの一部やナゴルノカラバフなど、プーチン大統領の拡大路線の対象となる紛争の火種はほかにもあり 注意が必要だ」という。
 今週5日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開催を控え、中国人民元の対ドル相場が急落した。先週2月 28日には投機マネーの流入をけん制するため、中国人民銀行(中央銀行)が大量の人民元売り・米ドル買いを実施したとされる。「影の銀行(シャドーバンキ ング)」理財商品のデフォルト(債務不履行)リスクが消えない中、人民銀行の為替介入は何を意味するのか。
 市場では、「バブル発生を防ぎ、安定成長を続けるための改革の一環」と前向きな見方が多い。「中国は経常黒字国で、資金移動も管理されているため、逆に中国経済になにかあっても、世界経済への影響は限られる」との指摘もある。「世界は中国の影響を過大視しすぎ」(日中産学官交流機構の田中修・特 別研究員)との声もある。
 だが輸出企業の競争力確保が理由の一つだとすれば、その評価は変わってくるかもしれない。
 第1次世界大戦後は各国の余剰設備が通貨安競争を招き、第2次世界大戦へとつながった。今のところ、中国の為替介入について輸出企業支援が目的という見方はあまり聞かれないが、雲南省でのテロ事件にみられるように民族問題が顕在化する中、当局のカジ取りを読みにくくしているのは確かだ。
 名越氏は「ウクライナでの対応とは逆に、北方領土問題ではプーチン大統領は領土拡張イメージの緩和を狙って、歩み寄る可能性がある」とも指摘する。中国景気の緩やかな減速は原油など資源価格の押し下げ要因となり、日本経済にとって必ずしも悪い話ばかりではない。
 だが、今年に入って、定量的な分析が通用しにくい局面が増えていることは確かだ。きな臭さが漂う問題に投資家は当分、頭を悩まさなければならないかもしれない。 ≫(日経新聞)


 米国政府のプロパガンダ新聞と化した朝日新聞も、ロシアのプーチンがウクライナ騒乱の火ぶたを切った張本人と名指しするような論調になっているが、まったく事実関係は違う。シリアの化学兵器使用問題事件も事実関係は曖昧ゆえに、プーチンの仲裁が功を奏したわけで、何も、あの化学兵器の使用が、誰の手で行われたかは定かではない。米国側が支援するシリアで活動中のアルカイダの連中の窃盗、及びその武器の使用と云う疑念も拭えていない。ただ、ハッキリしたことは、オバマ政権が米国内でさえ権力を失いつつある現実を世界に示した。

 今回のウクライナ騒乱も、ソチオリンピックでプーチンの顔に泥を塗りたくろうとした欧米諸国の嫌がらせを意図とした、開会式欠席劇を演じたのは、誰あろう、西側陣営だ。その上、ソチオリンピック開催中に、EU加盟を断念したヤヌコビッチ元大統領を引き摺り下ろしたのは、奇妙な集団によるデモ扇動活動のなせる業であったことは、周知の事実である。つまり、朝日は、ウクライナの問題の発端が、プーチンのウクライナ南東部侵攻から始まった物語に仕立てようとしているが、違うだろう。一切の民主的選挙も経ずに、デモ隊側が選出したトゥルチノフ大統領代行に正当性がある、と云う既成事実を作ったようだが、そこからして問題は生じているわけで、プーチンが突如として気が狂った暴れ出したわけではない。事実関係のすり替えからロジックを展開する、東大話法である。


≪ 米ロ、冷戦再来を懸念 ウクライナ巡り、G7が非難声明
 親ロシア政権が崩壊したウクライナで軍事行動を続けるロシアを、米国が激しく批判している。米ロ関係はソ連崩壊後、最悪のレベルにまで落ち込んだ。「国益のためなら外国に軍事介入できる」。そんな大国意識むき出しのロシアに、「冷戦」の再来を懸念する声が上がっている。

■G8からロシア追放論も
 冬季五輪の舞台となったロシア南部ソチ。プーチン大統領がここでホストを務め、6月に開く予定だった主要国首脳会議(G8サミット)に暗雲が漂っている。
 米国のケリー国務長官は2日のテレビ番組で、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を掌握しつつあることについて「信じがたい侵略行為」と批判。「ソチのサミットは開けないし、この状態が続けばロシアはG8に残れないだろう」と、ロシアをG8から追放する可能性まで口にした。
 ケリー氏はロシアへの経済制裁も検討。4日にはウクライナの首都キエフを訪問し、ロシアが正統性を認めていない新政権に「強力な支持」を表明する。
 ロシアを除くG8参加国の日米英独仏伊加は2日、ロシアを非難し、ソチ・サミットの準備作業への参加を当面見合わせるという声明を共同で発表した。
 1991年のソ連崩壊で誕生したロシアがG8に迎えられたのは97年。当時のクリントン米大統領が、米国の軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)を旧ソ連の勢力圏だった東欧の国々に拡大することを納得させるために提案した。
 それから17年。ウクライナに自国の勢力圏を維持しようとするロシアが、G8から排除されかねない状況は、まるでソ連と西側の対立への先祖返りだ。
 NATOも2日の大使級会合で、ロシアを非難し軍事介入への「強い懸念」を表明した。  モスクワ・カーネギー研究所のトレーニン所長は「クリミアの危機で、ロシアと西側の関係は根底から変わりつつある。世界は『第2の冷戦』に向かいかねない」と指摘する。
 
■旧ソ連思わせる介入
 「ウクライナ東部やクリミア半島で、ロシアは自らの国益とロシア語を話す住民を守る権利がある」  プーチン大統領は1日夜、オバマ米大統領に電話でこう伝えた。
 たとえロシア国籍を持っていなくても、ロシア系住民を守る責任がロシアにある。そのためには外国への軍事介入も許される、という理屈だ。ソ連がチェコスロバキアの民主化運動「プラハの春」を軍事力で制圧した際に主張した、社会主義陣営全体を守るために国の主権は制限される、という言い分を思わせる。
 一昨年、プーチン氏が4年ぶりに大統領に復帰してから、米ロ関係はぎくしゃくしてきた。昨年9月にモスクワで予定されていた米ロ首脳会談は、CIAのスノーデン元職員の亡命をロシアが認めたことでキャンセルされた。シリアで使われた化学兵器の責任を巡っても米ロは鋭く対立した。
 だがウクライナの危機は、米ロの価値観が真っ向からぶつかっているだけにより深刻だ。
 一方、ロシアの主張に同調する国はほぼ皆無だ。冷戦時代のように世界が東西の陣営に二分されているわけではない。旧ソ連圏に広げようとしている「関税同盟」に、「兄弟国」と呼ぶウクライナを加盟させる戦略が頓挫し、クリミア半島という小さな領域を必死で確保しようとしているのが、今のロシアの姿だ。 ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪ロシアを除くG8参加国の日米英独仏伊加は2日、ロシアを非難し、ソチ・サミットの準備作業への参加を当面見合わせるという声明を共同で発表した。≫と簡単に述べているが、米仏加は強硬にだが、英独は弱腰だし、日伊もつき合いの範囲の意思表示だ。ロシアのプーチンにしてみれば、黒海に展開するロシア海軍の孤立化が必死の情勢なのだから、正規の外交交渉で、時間を無駄に使う気などさらさらないのは当然だ。ロシアが展開する、クリミア半島セバストポリ軍港の駆逐艦の横に、NATOの軍艦が横付けされるのを黙ってみているバカはいない。横須賀第七艦隊の基地にロシア海軍の艦艇が入ってくるようんものである。平和ぼけな議論に読者を誘導してはイカンよ、朝日。ケリーやオバマやアメリカが何か言えば、ハイ~、と素直に応じるのは、今や阿保の証拠である。

 何度も言うように、世界の西側世論で、プーチンが悪の世論形成を狙っているのだろうが、もうその手は古すぎる。すでに、米国の覇権意欲は見る影もなく、口先介入でことを解決するしか能がなくなっている。TPP程度の問題一つ、まともに纏める器量が失せているのだ。国内の厭戦気分と財政状況をみても、米国がウクライナに介入することは90%以上ない。貧困が激しいウクライナ西部しか手に入らないような紛争に参加することはあり得ない。そこまで、EUを助ける国益がアメリカにはない。アメリカの積極的バックアップなしに、NATOがウクライナに軍事介入する器量もない。

 オバマが口先介入で、メルケルも軍事介入する決断がつかない中で、穏便にことを纏めたければ、最低でも、クリミア自治共和国の独立を認めてしまう事だ。プーチンは、それ以上の領土の確保を狙っているわけで、早く折れてしまった方が得策なのだ。その後、EUが貧困地域のウクライナ西部を加盟させたければ加盟させれば良いだろう。しかし、騒乱グループまで動員して行われたウクライナ・クーデターの収拾は、プーチンの問題ではなく、西側EU側の問題である。騒乱劇を仕掛けたのは現在の臨時政府側トゥルチノフ代行側にあるわけで、プーチンが収拾する義務があると云う言説は、すり替えの論理だ。

 ウクライナの臨時ヤツェニュク首相は「もし、プーチンが隣接する友好国ウクライナとの戦争を始める大統領になりたいのなら、もう数インチのところまできた」、「ロシアは今すぐに軍を撤退させなければならない。国際社会はウクライナの領土保全と国家統一を支持していると信じる」と必死に叫んでいるが、ウクライナ憲法では、どう解釈しても金満ヤヌコビッチが正当な大統領である。権力は失墜したとしても、憲法上は大統領だ。ウクライナが今後、ロシアの友好国である保証はゼロだし、国際社会の意見も一致していると言うが、国際世論はまだら模様である。

 そもそも、EUは米国抜きでウクライナ問題に政治介入していた。ドイツ・フランスが中心となり、ヤヌコビッチに圧力をかけたのだ。無論、ホワイトハウスの暗黙の了解はあったかもしれないが、米国が直接関与る気はなかった。ウクライナがNATO勢力に加盟すれば、都合の良い具合になるけど、くらいの腹積もりに過ぎなかったのだ。独仏・反政権側・ヤヌコビッチ政権の第三者会談で、平和裏にデモは収まるかに見えたのだ。にも関わらず、平和裏に生ぬるい解決を望まぬNATOの隠れテロ集団UNA-UNSOの狙撃兵らが、半日後に大騒乱を巻き起こしたのが実情だ。

 NATOのリーダーシップの地位にあるのは、米国である。ところが、話合いに参加していた独仏は国家として話し合いを行っていた。つまり、NATO抜きの話し合いだった。アメリカ抜きで話し合いが進展、妥結をみてしまったのだ。NATOの隠れテロ集団UNA-UNSOの飼い主が米国であることは、インテリジェンスの世界では常識であり、プーチンが知らないわけもない。どうもアメリカ国務次官補ビクトリア・ヌーランドが介在したことで、このウクライナ騒乱は、実質的にオバマが仕切る紛争に至ったと言えるだろう。シリア介在以降、独仏にも懐疑的見かたを始めていたオバマ政権が、イニシアチブを自分に引きつけたことになる。

 この辺の証明は、現地でいる人々の証言を得ることで十分だろう。話合いがつき、大統領選が行われる日程まで決まったと云うのに、その決定の半日後に、デモ参加の一般市民やウクライナ機動隊をターゲットに、正体不明の集団の狙撃が開始されたのである。その狙撃集団が動き出す決定にビクトリア・ヌーランドが介在した点も疑いようはない。つまり、平和裏の解決をオバマは望んでいなかったことになる。にも拘らず、ロシアのウクライナ南部への侵攻を非難するとは、マッチポンプの極みである。自分たちは闇の力を利用したが、お前たちは正規に介在したから、お前らが悪だと云う理屈だ。

 それでは、なぜオバマはウクライナと云う国に、そこまで肩入れすることになったのか、と云う疑問だ。結論から言っておけば、グローバル企業群にとっての草刈り場が提供できるからである。間もなく、ウクライナはデフォルトに至るのは決定的であり、IMFの出番は近づいていた。その時、徹底的な市場原理とウクライナの予算削減が視野に入る。その時、ロシアの存在は酷く邪魔なわけで、西側だけでウクライナのIMF介入を実現したかったのだ。ガス・電気料金の大幅値上げ。社会保障の大幅削減。穀倉地帯ウクライナの農地改革、農地の転売の自由化。単にウクライナを市場原理の地にすることが目的であり、EUの為でもなく、ウクライナ国民の為でもない目的で、オバマは動いたことになる。

 TPPで日本市場をこじ開け、日本をグローバル企業の草刈り場にしようとした行為と何ら変わらない。幾分、闇の暴力集団を利用したにすぎない程度の認識なのだろう。米軍を動かすことは絶対に出来ない。米国の国益だと、百パーセント認識できる紛争でない限り、今後米軍はビクともしない、出来ないと白状した状態になっている。今後はNSAではないが、インテリジェンスの機能を徹底的に駆使し、世界の警察を装い、約束のグローバル企業への貢物を提供せざる得なくなったのだ。このような、紳士面をして、平和を希求すると公式に語り、企業の支配に貢献するだけの米国政権の選択は、闇世界の躍動を誘発するだろう。

 このような、米国政府の体質が変わった中で、日本がいかなる道を選択するかは、猛烈に重要な問題となりかけている。安倍が一番気をつけるのは、霞が関官僚組織の罠に嵌らない注意深さだ。日本における、隠れテロ集団UNA-UNSOに代わる組織は官僚組織だ。一部のマスメディアも含まれるだろう。安倍の一連の政治失策が露呈するカウントダウンが近づいているだけに、ここ半年は、悪い状況の連続になるだろう。個人的感情から行けば、それで安倍が失墜することは望むところだが、国家の存亡も視野に入ってくると、そうも言ってはいられない。

 安倍の周りの人間達の脳味噌の具合を考えると、多くを望むべくもないのだが、ここは、ひとつ、“ドデカイ”勘違いに期待したい部分がある(笑)。筆者は、日本がこのまま米国傀儡国家として存続することは、不可能になりつつあると読んでいる。金を失った元親分は、残されたインテリジェンス能力と、直接攻撃でも受けない限り、使えない肥大化した軍隊を支える貢者の地位しか保証されていない事実を強く認識すべき時が来ている。多くの国民が中国アレルギーに冒されているし、ロシアへも疑惑の目を向けているのだが、時代の大きな流れは、彼ら大陸国家に向かっている。

 日中露と云う三国同盟の姿を想像すると、筆者でも眩暈を起こしそうなのだから、多くの人は悲鳴を挙げるかもしれない。しかし、彼らは未だ富を手にしていないハングリー状態なわけで、池袋のチーマーだと思えば良いわけで、半尻のアンちゃんの後継者がメダルをとる時代なのである。彼らが、単に思春期にある存在だと認識した時、彼らと組むことの意味は十分にある。安倍の国家主義的資本主義は、明らかに、ロシアや中国の国家の体制に近いのである。パラダイムシフトのスケールで言うならば、大日本帝国憲法時代に戻るのではなく、21世紀を駆け抜ける、ことなるレジームの構築が出来たら、そりゃあ、死ぬほどの名声を一身に浴びる、名宰相になれるだろう。小さな声で言っておくが、ロシアと組む方が核保有国になる早道でもある(笑)。さあどうする、安倍首相。

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