日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 (講談社プラスアルファ新書) | |
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●飯島内閣官房参与の訪朝は両刃の剣 吉と出るか凶と出るか、米中韓の反応は如何に
政府が、安倍晋三のウルトラ右翼体質を躍起になって封印しようとしている。 しかし、首相のウルトラ右翼発言を好物とする人種が“寝た子を起こそう”とこちらも躍起になって“本音で行きましょう”と火に油を注いでいる。ニュートラルからリベラルに至る人種にとっては、大変面白い見世物である。橋下の政治家として忖度なき発言は、“不都合な真実”を口に出した点は評価できるが、外交防衛問題までをフィールドにする国政レベルの政治家としては、落伍者であり、地方首長が関の山だ、と白状しているようなものである。
まぁ国会議員の中にも、到底国政レベルの政治シーンに出てきてはイケない連中が、ウジャウジャいるので、特に橋下が不適任者と名指しするのも難しい部分はある(笑)。自民党の高市早苗政調会長の“村山談話はちょっとおかしい”発言などは序の口。政府が安倍のウルトラ右翼的言動の火消しに回ろうとも、センチメント右翼の心情は、隠しおおせるものではない。自民党は腹を決めた方が見苦しくない。「我々は戦争に敗れたから、先の戦争を侵略と認めざるを得なかっただけだ。事実が侵略でなくとも、その事実を語る権利を失っただけである」。そう言えば良いのだ。
石原慎太郎が、橋下慰安婦発言に、老成したような口ぶりで答えているが、“後出しジャンケン”が得意の男のお家芸である。そもそも、中韓との揉め事の元凶を作った張本人が、橋下の発言を「問題というかね、それはものの言い回しというかタイミングみたいなものがあるしね、あなた方の捉え方も問題があるわけだ。この問題であまり被虐的に考えない方がいいよ。」等としたり顔で語られる方が余程腹立たしい。
本音で語り合うと方が良いと云う考えはあるが、その理屈が成り立つ前提は、双方が同じ土俵に乗っている場合の話だ。利益が相反している時や国家や文化や宗教が異なる土俵である場合は、現実的対応は“建前論”から始めるものである。充分に時間の経過を吟味した上で、“ところで”と切り出すのが、外交防衛のイロハだろう。藪から棒に、問答無用の袈裟掛けで切り捨てるのは、愚者のとるべき態度と云うことになるのだろう。
殆どの人間が、戦場において慰安婦的存在を必要悪と考えている部分は、歴史的な事実である。しかし、それを敢えて口にするかしないか、そこが外交とか儀礼の肝であり、それを赤裸々に語ってしまっては、世界は年がら年中、戦争に次ぐ戦争になっているに違いない。敗戦国の目印をつけられている我が国としては、心情的に間尺に合わない事を選択させられている事実はあるだろう。しかし、その状況から脱する為に、本音で強がりを言ってもはじまらない。戦後から六十有余年、そのトラウマから抜け出すチャンスは幾度か訪れたはずだ。また、国会意志が同一方向を目指していれば、20年スパンで世界に訴える手立てもあっただろうが、金に目がくらんだ国家や国民は、自分達の意志決定を対米依存で切り抜けようとした。正直、今さらどうなるものか、と云う気分にもなる。
しかし、いつか始めなければ、永遠に自立は入手できない。だからと言って、急激に米国との対等を叫んでも同調者は少ない。それが日本人のDNAと云うか、過激なのは駄目なのだ。故に、美しい言葉に化粧された政策などに、速攻で騙される。半分は、騙されても、必要以上に自分が関わらないでいることで、その難から逃れようとする。それが、基本的な日本人なのである。ところが、この日本人、短絡的な発言や出来事には、痛く敏感なのも特長だ。所謂、感情的に噴き上がるわけだ。この愚民の敏感さを目覚めさせる仕込みを飯島勲と云う胡散臭い男が北朝鮮に飛んだ。
そもそも、かくなる御仁が安倍内閣の内閣官房参与となり、官邸に入った時点から、飯島の行うべきことを行っただけで、特段騒ぎ立てする事でもない。しかし、日本政府と北朝鮮政府が、拉致問題に関して何らかの取引をしたとなると、単に悦ばしい事態だと言えるのは市民レベルの立場でのことであり、米中露韓との6カ国協調とは齟齬を来す可能性も秘めている。7割もの圧倒的国民の支持を得ていると言われている安倍政権が、なにゆえ、このような時期に、このような危険な行動に出たのか、不可思議な面が大いにある。
やはり、アホノミクスの馬脚が現れてきた恐怖に気づいたのかもしれない。マスメディアと“ニギリ”を交わし、捏造支持率は確保したものの、なにせ捏造なのだから、実は夜も眠れない。アホノミクスが期待上の円安株高を演じている。しかし、それがどれ程実体経済に波及するのか、内閣自体が半信半疑の筈である。そんな中で、長期金利が俄然上がり続けている。下がる筈の金利がビビるほど上がっているのだ。浜田に聞いても、竹中に聞いても、“はて?何故でしょう、こんな筈ではないのですが・・・”これでは夜も眠れないの当然である。
こうなると、ヘタレと云うもの、安心できる材料をしこたま抱えたくなるものである。それが飯島の北朝鮮訪問である。勿論、行った以上、何も持たずに行くわけはないし、何も持たずに帰ってくる事もない。おそらく、何だか訳のわからん怪僧が、総連ビルを落札し、期日までに落札残金を支払えず、保証金5億円余りをふいにしてしまった総連ビルの確保が目玉の取引材料にはなるが、拉致問題の進展解決金にしては、45億円は安すぎる。この総連ビル確保くらいなら、在日朝鮮人が奔走すれば作れる額である。仮に、一応尤もらしい取引材料にはなるが、裏金として、遥かに高額な資金が北朝鮮に渡されるのだろう。
拉致被害者家族はそれなりに歓ぶだろう。しかし、おそらく、その進展はまだら模様で、拉致被害者家族の間に亀裂が生まれる原因となるかもしれない。拉致問題では、満点を取ることは不可能に近い問題提起になっている点が悩ましい。勿論、事の成り行きは未だまったく判らないわけだが、外交上は結構波紋を投げかける結果になるかもしれない。米中露韓、特に米国と韓国にとって、あまり愉快な安倍政権の外交とは受け取らないだろう。この問題を事前に米国と協議した形跡はないので、安倍晋三のウルトラ右翼姿勢と、リアリストな外交姿勢に驚きと怒りを感じるに相違ない。
中国が謂わば暗黙の了解で、北朝鮮に或る程度の生命維持装置的な援助をする事は、国際的に一定の理解が得られている。韓国にも同様のことが言えるのだが、開城工業団地の閉鎖に伴い、裏のような表のような経済支援は途絶えている。しかし、日本の拉致問題解決が、どれ程「日米中露韓」の間で共通の認識になっているか、甚だ疑問である。つまり、6カ国協議における共同歩調と拉致問題の解決方法は、その整合性が問われるわけだ。特に、安倍政権が、対中、対韓で、必ずしも親和的でないメッセージを多量に発信した中での、この飯島の訪朝である。
飯島内閣官房参与の手練手管が通用して、成功裡に事が進んでも、手放しで安倍晋三は歓べないかもしれない。ウルトラ右翼が金にモノを言わせて、問題を解決したとなると、それはそれで整合性の齟齬と云う外交上の問題を誘発する。北朝鮮のメディアは、なぜか飯島内閣官房参与の訪朝を写真入りで、これ見よがしに報道している。“米中韓と日本の分断に成功”等と云う見出しがついているかどうかは判らない。表向き、米国政府との事前打ち合わせはなかったようだが、裏側では何らかのOKサインが出たと考えるのが妥当だ。前回の米国抜きの小泉訪朝に不快感を表した米国政府の記憶がないわけではないだろう。
類は類を呼ぶというが、結局安倍晋三は、安倍晋三と云うアイデンティティーに右翼性向を持たざるを得ない人物であり、そのような安倍晋三を慕って集まってきた安倍シンパに、持ち上げもされたのだから、引き摺り降ろされる時も、彼らシンパの力によるのだろう。いずれにしても、飯島内閣官房参与の訪朝は、一連の橋下徹や高市早苗発言より、重大な意味合いがあり、参議院選、安倍内閣の命運を占う意味でポイントになる。そうもう一つの懸案、国債下落・金利上昇もアキレス腱になるだろう。
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