世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●拉致問題の安倍晋三を演出 内閣支持率うなぎ上りの怪

2018年06月19日 | 日記
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●拉致問題の安倍晋三を演出 内閣支持率うなぎ上りの怪

不思議なことだが、ここに来て安倍内閣の支持率が不支持率を上回る世論調査が数社から出ている。支持不支持が、逆転までいかないが支持率が下げ止まっている。安倍内閣の支持率と云うもの、安倍晋三が5年半も政権の座にいると、内閣支持率ではなく、安倍晋三個人への評価のバロメータ化しているのが実情のようだ。つまり、最近の内閣支持率調査は、安倍晋三に対する、その時々の時系列な、世間の寸評的要素が強くなったと言えるのだろう。

最近の世論調査の結果を分析する場合、その世論調査の、調査時期と安倍晋三が活動しているように見える“為政活動”がどれだけの時間量、テレビ画面に映っているかが重要なファクターとなり、調査結果に反映するのではないかと考えるようになってきた。そもそも論で言えば、各メディアのお手盛りデータに過ぎないと云う疑念もつきまとうが、それを言ってしまうと、話が続かないので、それはさておこう。

無論日本が、“安倍晋三の主権国家”であることが、自己利益に繋がるコアな支持層と云うものが5~10%あると仮定すると、自国の首相が犯罪者であっても、そのコアな支持率は盤石だ。イタリアのベルルスコーニさんなどは、その典型だったろう。このように考えれば、我が国の神社本庁(日本会議含む)に連なる支持層、警察検察裁判所、右翼新聞・雑誌、ゼネコンなど財政出動で潤う業界、原発関連事業者、軍産複合性の強い企業などからは、安倍主権は絶対的支持が得られていると考えるべきだろう。

おそらく、上述強固な支持層が安倍晋三と云う男が首相でいることが好ましいと、自己利益と合致する点で、確信的に支持に傾き、10%前後の岩盤支持を固定化していると考えられる。しかし、最近の安倍内閣の支持率の平均値を40%前後と仮定すると、残り30%が流動性のある支持率となる。また、この流動性ある支持率の中には、取りあえず「自民党」という支持率10%近く含まれるので、差し引き、流動性のある支持率は20%前後と見ていいだろう。

では、この20%の流動性のある支持率を決定するものは何なのか、と云う問題になる。この政治的無関心層や政治リテラシーの貧弱層においては、メディアからの影響を強く受ける人々と分類することが出来る。これらの人々の多くは、呆然と見ている各局のニュース番組から、安倍晋三を評価しているのが現実だ。夜7時のNHKニュースなどが代表的だ。この番組で、安倍晋三が政治外交を熱心にやっているような印象操作された映像が流れれば、安倍晋三も頑張っているようだと、当面支持する傾向がある。

彼らの多くは、流されたニュースの内容を吟味するだけの、政治リテラシーは乏しいので、安倍晋三が堂々としてさえいれば、その発言内容がデタラメでも、虚言であっても、矛盾だらけでも、その瞬間堂々としているように見える限り、支持と答える。安倍晋三は、実は、これこれ然々の疑惑があり、奥さんも相当のものらしい。安倍さんの外交なんてものは、朝令暮改も甚だしく、自分の考えなどなく、その時の風向きで南でも北でも、東でも西でも見てしまう。そんな話をすれば、半数は、じゃあ不支持だ、と言いそうな人々である。

つまり、風見鶏支持層と云うことだ。ただ、この風見鶏支持層は、米国に飛んで行って、トランプ大統領と会談して、北朝鮮・金委員長に日本人の拉致問題を提起して貰えるよう直談判にした風にニュースが伝えれば、“頑張っているじゃないか”と支持を表明する支持層である。ほんの一カ月前には「北朝鮮に対しては、国際社会は一致して最大限の圧力を加えなければならない。非核化については、全ての計画を検証可能かつ不可逆的な方法で放棄させなければならない」と最後まで強調していたのが安倍晋三だった。拉致被害者の家族たちはヒヤヒヤした気持で聞いていたに違いない。

しかし、南北会談、米朝会談が行われたことで、“蚊帳の外”になることを怖れた安倍晋三は、「日朝会談」というイベントを思いついた。そして、NHKニュースや民放テレビを通じて、八面六臂の働きをしている印象を植えつけた。おそらく、この時期と前述の支持率アップは重なっていると思われるので、それほど不思議な結果ではない。今の一般的日本人は、“拉致被害と北朝鮮”が、日本の外交上、最も重要な懸案事項のように、長期にわたる刷り込みが行われていたので、その解決に、安倍が主動したと錯覚しての支持になっている。

実際問題、安倍晋三が金正恩と会える道筋は見えていない。未確認の情報だが、安倍晋三は、日朝交渉の担当窓口に、なんと北村滋内閣情報官を充てるつもりらしい。元公安で、朝鮮総連などから目の敵にされている、“官邸のアイヒマン北村”を窓口にすると云うのだから吃驚だ。おそらく、北朝鮮との窓口に元CIA長官ポンぺオ氏だったことにヒントを得たようだが、CIAの能力と日本の公安では格が違い過ぎて、話は一歩も進まなくなるだろう。まぁ、はじめから会談がセットされることを望んでいない可能性すらある。

小泉純一郎でさえ、北朝鮮まで行って日朝会談をしたわけだから、“拉致の安倍”である以上、会談がセットされたら訪朝の勇気が必要になる。そして、肝心の拉致問題は、あまり喜ばしい結果を得ることはなく、戦後賠償問題だけが際立つリスクが高いことくらいは、安倍官邸自体は知っているだろうが、安倍晋三は、やる気満々の演技に勤しんでいるのが現実だろう。ただ、トランプ大統領が、日本に早目に北朝鮮復興の資金提供を画策して、金正恩ロケットマンを嗾ける可能性は大いにある。以下は、気になった記事を二つ掲載しておく。


≪ 安倍内閣の退陣求める声明 高村薫さんら「七人委員会」
 作家の高村薫さんや写真家の大石芳野さんら文化人や科学者ら7人でつくる「世界平和アピール七人委員会」は6日、「安倍内閣の退陣を求める」と題する声明を発表した。「国民・国会をあざむいて国政を私物化し、外交においては世界とアジアの緊張緩和に背を向ける安倍政権を許容できない」として、安倍内閣の即時退陣を求めている。
 委員会は1955年、ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士らが結成。現在は国際政治学者の武者小路公秀さんや宇宙物理学者の池内了さんらが委員を務める。内閣の即時退陣を求める声明は発足以来初めてという。
 世界平和アピール七人委員会が6日に「安倍内閣の退陣を求める」の題で発表した声明全文は以下のとおり。委員は武者小路公秀、大石芳野、小沼通二、池内了、池辺晋一郎、高村薫、島薗進の各氏。
 5年半にわたる安倍政権下で、日本人の道義は地に堕(お)ちた。
 私たちは、国内においては国民・国会をあざむいて国政を私物化し、外交においては世界とアジアの緊張緩和になおも背を向けている安倍政権を、これ以上許容できない。
 私たちは、この危機的な政治・社会状況を許してきたことへの反省を込めて、安倍内閣の即時退陣を求める。
 ≫(朝新聞デジタル)



 ≪ 作家・中村文則氏が警鐘 「全体主義に入ったら戻れない」
 ウソとデタラメにまみれた安倍政権のもと、この国はどんどん右傾化し、全体主義へ向かおうとしている――。そんな危機感を抱く芥川賞作家、中村文則氏の発言は正鵠を射るものばかりだ。「国家というものが私物化されていく、めったに見られない歴史的現象を目の当たりにしている」「今の日本の状況は、首相主権の国と思えてならない」。批判勢力への圧力をいとわない政権に対し、声を上げ続ける原動力は何なのか、どこから湧き上がるのか。

 ――国会ではモリカケ問題の追及が1年以上も続いています。

 このところの僕の一日は、目を覚ましてから新聞などで内閣が総辞職したかを見るところから始まるんですよね。安倍首相は昨年7月、加計学園の獣医学部新設計画について「今年1月20日に初めて知った」と国会答弁した。国家戦略特区諮問会議で加計学園が事業者に選ばれた時に知ったと。これはもう、首相を辞めるんだと思いました。知らなかったはずがない。誰がどう考えてもおかしい。ついにこの政権が終わるんだと思ったんですけど、そこから長いですね。

 ――「現憲法の国民主権を、脳内で首相主権に改ざんすれば全て説明がつく」とも指摘されました。

 首相が言うことが絶対で、首相が何かを言えばそれに合わせる。首相答弁や政権の都合に沿って周りが答弁するだけでなく、公文書も改ざんされ、法案の根拠とする立法事実のデータまで捏造してしまうことが分かりました。この国では何かを調べようとすると、公文書や調査データが廃棄されたり、捏造されている可能性がある。何も信用できないですよね。信用できるのはもう、天気予報だけですよ。後から答え合わせができますから。安倍首相の言動とあれば、何でもかんでも肯定する“有識者”といわれる人たちも、いい大人なのにみっともないと思う。

 ――熱烈な支持者ほど、その傾向が強い。

 普通に考えれば、明らかにおかしいことまで擁護する。しかもメチャクチャな論理で。この状況はかなり特殊ですよ。この年まで生きてきて、経験がありません。

■安倍政権が知的エリート集団だったらとっくに全体主義

 ――第2次安倍政権の発足以降、「この数年で日本の未来が決まる」と警鐘を鳴らされていましたね。

 これほどの不条理がまかり通るのであれば、何でも許されてしまう。「ポイント・オブ・ノーリターン」という言葉がありますが、歴史には後戻りができない段階がある。そこを過ぎてしまったら、何が起きても戻れないですよ。今ですら、いろいろ恐れて怖くて政権批判はできないという人がたくさんいるくらいですから、全体主義に入ってしまったら、もう無理です。誰も声を上げられなくなる。だから、始まる手前、予兆の時が大事なんです。

 ――そう考える人は少なくありません。総辞職の山がいくつもあったのに、政権は延命しています。

 安倍政権が知的なエリート集団だったら、とっくに全体主義っぽくなっていたと思うんです。反知性主義だから、ここまで来たともいえますが、さすがにこれ以上の政権継続は無理がある。森友問題にしろ、加計問題にしろ、正直言って、やり方がヘタすぎる。絵を描いた人がヘタクソすぎる。こんなデタラメが通ると思っていたことが稚拙すぎる。根底にはメディアを黙らせればいける、という発想もあったのでしょう。

 ――メディアへの圧力は政権の常套手段です。

 実際、森友問題は木村真豊中市議が問題視しなかったら誰も知らなかったかもしれないし、昨年6月に(社民党の)福島瑞穂参院議員が安倍首相から「構造改革特区で申請されたことについては承知していた」という答弁を引き出さず、朝日新聞が腹をくくって公文書改ざんなどを報じて局面を突き破らなかったら、ここまで大事になっていなかった。一連の疑惑はきっと、メディアを黙らせればいい、という発想とセットの企画のように思う。本当に頭の良い、悪いヤツだったら、もっとうまくやりますよ。頭脳集団だったら、もっと景色が違ったと思う。
 だいたい、メディアに対する圧力は、権力が一番やってはいけないこと。でも、圧力に日和るメディアって何なんですかね。プライドとかないのでしょうか。政治的公平性を理由にした電波停止が議論になっていますが、止められるものなら、止めてみればいいじゃないですか。国際社会からどう見られるか。先進国としてどうなのか。できるわけがない。

■モリカケ問題は犯人が自白しない二流ミステリー
 ――安倍首相は9月の自民党総裁選で3選を狙っています。

 これで3選なんてことになれば、モリカケ問題は永遠に続くでしょうね。安倍首相がウソをつき続けているのだとしたら、国民は犯人が自白しない二流ミステリーを延々と見せられるようなものですね。  

 ――北朝鮮問題で“蚊帳の外”と揶揄される安倍首相は外遊を詰め込み、外交で政権浮揚を狙っているといいます。

 “外交の安倍”って一体なんですか? 誰かが意図的につくった言葉でしょうが、現実と乖離している。安倍首相が生出演したテレビ番組を見てビックリしました。南北首脳会談で日本人拉致問題について北朝鮮の金正恩(朝鮮労働党)委員長が「なぜ日本は直接言ってこないのか」と発言した件をふられると口ごもって、「われわれは北京ルートなどを通じてあらゆる努力をしています」とシドロモドロだった。あれを聞いた時、度肝を抜かれました。この政権には水面下の直接ルートもないのか。国防意識ゼロなんだ、って。

 ――中国と韓国が北朝鮮とトップ会談し、米朝首脳会談が調整される中、日本は在北京の大使館を通じてアプローチしているだけだった。

 ミサイルを向ける隣国に圧力一辺倒で、あれだけ挑発的に非難していたのに、ちゃんとしたルートもなかったことは恐ろしいですよ。それでミサイル避難訓練をあちこちでやって、国民に頭を抱えてうずくまれって指示していたんですから。安倍首相は北朝鮮の軟化をどうも喜んでいない気がする。拉致問題にしても、アピールだけで、本当に解決したいとは思っていないのではないか、と見えてしまう。拉致問題で何か隠していることがあり、そのフタが開くのが怖いのか。北朝鮮情勢が安定してしまうと、憲法改正が遠のくからか。

 ■萎縮して口をつぐむ作家ほどみっともないものはない
 ――内閣支持率はいまだに3割を維持しています。

 要因のひとつは、安倍首相が長く政権の座にいるからだと思います。あまり変えたくない、変えると怖いなという心理が働いたりして、消極的支持が増えてくる。政権に批判めいた話題をするときに、喫茶店とかで声を小さくする人がいるんですよね。森友学園の籠池(泰典)前理事長の置かれた状況なんかを見て、政権に盾突くと悪いことが起こりそうだ、なんだか怖い……という人もいるのではないでしょうか。マスコミの世論調査のやり方もありますよね。電話での聞き取りが主体でしょう。電話番号を知られているから、何となくイヤな感じがして、ハッキリ答えない、あるいは支持すると言ってしまう。ようやく、不支持率が支持率を上回るようになってきましたが、正味の支持率は今はもう、3~5%ぐらいではないでしょうか。

 ――政権批判に躊躇はありませんか。

 政権批判をして得はありません。ハッキリ言って、ロクなことがない。でも社会に対して、これはおかしいと思うことってありますよね。僕の場合、今の状況で言えば、そのひとつが政権なんです。この国はこのままだとかなりマズイことになると思っている。それなのに、萎縮して口をつぐむのは読者への裏切りだし、萎縮した作家ほどみっともないものはない。
 歴史を振り返れば、満足に表現できない時代もあった。今ですら萎縮が蔓延している状況ですが、後の世代には自分の文学を好きなように書いてもらいたい。それには今、全体主義の手前にいる段階で僕らが声を上げる必要がある。これは作家としての責任であって、おかしいことにおかしいと声を上げるのは、人間としてのプライドでしょう? それに、今の情勢に絶望している人たちが「この人も同じように考えているんだ」と思うだけでも、救いになるかなと思うんです。いろんな立場があるでしょうが、僕は「普通のこと」をしているだけです。 (聞き手=本紙・坂本千晶)

▽なかむら・ふみのり 1977年、愛知県東海市生まれ。福島大行政社会学部卒業後、フリーターを経て02年、「銃」でデビュー。05年、「土の中の子供」で芥川賞、10年、「掏摸〈スリ〉」で大江健三郎賞。14年、ノワール小説に貢献したとして米国デイビッド・グーディス賞を日本人で初めて受賞。16年、「私の消滅」でドゥマゴ文学賞。近未来の全体主義国家を生々しく描いた近著「R帝国」が「キノベス!2018」で首位。
 ≫(日刊ゲンダイ:注目の人・直撃インタビュー)


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