世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「トランプ米大統領」と紙面が踊る日 世界の勢力図は?

2016年07月31日 | 日記
戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗
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●「トランプ米大統領」と紙面が踊る日 世界の勢力図は?

 今日は、東京都知事選投票日だ。筆者の予想は、鳥越と小池が逆転した順位で決まりそうなので、少々ガックリしている。7月23日時点での、筆者予測は≪ “小池候補:鳥越候補:増田候補:未定=3.5:3.0:1.5:2.0” ≫となっていたが、昨日選挙活動が終わった時点の下馬評を総合的に見ると、“ 小池候補:鳥越候補:増田候補:その他=3.4:3.1:2.8:0.7 ”となっている。鳥越が小池を破るには、「その他」の気が変わって、鳥越に投票しないことには、辻褄合わない。

 ちなみに、投票率を50%と想定すると、有権者総数が1130万人なので、565万票の取り合いと云うことだ。200万票超える候補者不在と云う状況になっている。鳥越候補の文春新潮ネガキャンは、鳥越支持者に大きく影響している状況はなさそうだ。また、鳥越候補に集まった群衆の多さは、細川・小泉都知事選で学習済みなので、演説に集まってくる人々の熱気と開票結果は別物であること肝に銘じておいた方が良い。しかし、後半の数日は、小池候補の疲労が顔に出て、「鉄火場の女」の勢いが落ちていた。その状況を、有権者がどのように見て、投票行動に結びつけるか、その辺が鳥越候補の最後の望みだ。間違っても、20時選挙速報中継開始時点で、NHKが小池の「当確」を打たないことを祈りたい。増田候補に勢いという情報も多いが、筆者の情報では、まだ弱い。

 ここからが本題だが、米大統領選は、ドナルド・トランプ共和党候補の方が、1~3%、民主党クリントン候補を上回っている調査結果が多く目につく。筆者も、日本人が思考停止から抜け出す為には、「外圧が必須」と云う立場なので、トランプ候補の大統領選勝利は望むところだ。勿論、日本の既得権益と云う“ぬるま湯”に浸かっている人々、その太鼓持ちのような人々にとっては悪夢だろうが、「変りゆく米国」の姿をまざまざと見せられている状況では、過去の経験則に則して、ズルズルと云う政治姿勢は、オリエント東端の島国・三流国家“日本”が現実味を増してくる。

 アメリカと関係なく、日本は独自の道を模索し、選択すれば良いではないかと言っても、それは、口先だけの話で終わるわけで、現実を知らない人間の戯言だろう。日本のエスタブリッシュメント層においては、日米安保条約とTPPによって、日米関係は、更なる深化を成し遂げつつある。そのような思考回路で、概ね国の指導者たちは、認識している。当然、その認識に沿った統治機構は、霞が関官僚組織によって実行されるわけだが、彼らもまた、日本のエスタブリッシュメント層の考えと同調している。謂わば、日米関係は、安倍の個人的趣味を除けば、のっぴきならない新たな日米関係のステージに踏みだしている。

 無論、TPPに関しては、今後、多くの紆余曲折が予想されており、甘利・フロマンの間で交わされた合意はご破算になる可能性の方が高い。それはさて置き、日米韓豪その他連合勢力と、中ロ勢力との関係は、「米中G2時代」を想定している。わが国では、中国が今にも崩壊して、幾つかの国に分裂せざるを得ないなどと、妄想に耽っている連中もいるようだが、それが願望的妄想であり、現実から目を背けているに過ぎない。国際的情勢に関してだけは、自分達の願望や、利害損得で、事実関係を歪めて報道する姿勢は、酷く幼稚だ。まあ、中国を、その実力通りに評価する情報は、マスメディアにとって、諸刃の剣以上に冒険なので、啓蒙的言説と云う選択をしないのが、今の現状だ。

 つまり、中国やロシア包囲網と云う西側諸国の企てを、事実に即して報道することは、今までの言説の流れや、現状の利害損得から、自己矛盾を白状するようなもので、絶対に表には出てこないだろう。現在、エスタブリッシュメントな立場にいる人や、霞が関官僚達にとって、今までの、論理矛盾、自己矛盾を、説明するだけの器量を持ち合わせていない。また、仮に、持っていたとしても、自己利益にそぐわない事実なので、少なくとも、自分が、その立場にいる限り、「立場主義」に徹する。真実を暴露するなら、俺が立場を離れた時にしてくれと云うことだ。この心理が、数珠つなぎなのだから、永遠に、日本は、自己改革は絶対に出来ないようになっている。

 安倍一強政権が永遠に続いても、おそらく、リベラルな人々や左派の人々が危惧するほど、安倍政権は、日本を変えられない。我が国において、自己改革を目指した政権は、すべて潰れている。では、どうして、安倍政権は、色々と好き勝手をしているように見えるが、押さえておくべき「隷米姿勢表明」の部分は、重大なる確信的問題と捉え、隷米的選択をしている。ゆえに、安倍政権は、個人的に酷く相性の悪いオバマ政権であるにも関わらず、安泰なのは、その確信的利益のポイントを外していないと云うことになる。ロシア・プーチン大統領との親密な関係は、あくまで、個人的つき合いの範囲だと、谷内正太郎国家安全保障局長、内閣当別顧問を中心に、佐々江賢一郎駐米特命全権大使や齊木・杉山事務次官ら外務官僚が、我が国首相の個人的遊戯の範囲ですので、お目こぼしの程をと、根回ししているのだろう。

 日米関係の蜜月度は、いまや、真っ盛りと表現しても過言ではない。ペリー来航以来、すったもんだはあったが、概ね、ウィンウィンナ関係が成立している。しかし、中国の経済的抬頭、軍事的プレゼンスへの欲望は、内政上の問題を糊塗する範囲を逸脱し、ヘゲモニー方向に向かっていると解釈した方が妥当な勢いだ。この将来的「米中G2関係」のバランスを崩す関係にあるのがロシアだ。中ロの大接近は、時間をかけて「G2関係」に持ち込みたいアメリカにしては、何が何でも避けなければならない事実であったろう。それが、現在の西側陣営の「ロシア包囲網」に繋がっている。

 現実、中ロ関係は、一気呵成に深化するような勢いで動きだしたが、おそらく、西側陣営としては、イケイケのBRICs勢力を弱めなければ、将来的な設計、安定的「G2世界」に持ち込む計画に齟齬が生まれる。つまり、アメリカ凋落のソフトランディング計画に支障を来すと判断したのが、猛烈な資源中心の暴落である。金融や商品の相場を操っているのは、米英中心とした金融勢力なのだから、仕込みは意外に楽に出来たろう。この西側金融勢力の介入で、ロシア、ブラジル、サウジは徹底的に経済的ダメージを受けた。それが、現状のロシアとブラジルの惨状だ。

 これ以上書くのは疲れてきたので、少々走るが、BRICsの抬頭を抑え、中ロ接近に水を差し、計画は着々と進捗したかに思えたが、アメリカ合衆国のエスタブリッシュメント層の人々は、対外的権謀術策に神経が向かい過ぎて、何と云うことはない足元の土台がグラグラしている事に気づかなかったのだ。あまりにも強大な権力の上に胡坐をかき続けていたものだから、台座の脚が腐っているとは、思いもしなかったわけである。笑い話と言っては失礼だが、世界の王様が、黄金の台座にふんぞり返り、他国を指揮指導している間に、台座の四本の脚のメンテナンスを怠ったツケが回ってきた。四本の脚は、シロアリに半分近く食い荒らされ、今にも、王様は台座から転げ落ちようとしている。北杜夫の『さびしい王様』を思い出す。

 まあ、王様は、何とか台座から転げ落ちる難は避けたのだが、台座が腐っているだけではなく、その台座が置いてある、家の土台も腐り始めていると云う、ブラックユーモア小説もどきの現実を、我々は目撃している。このことを知った、北杜夫や開高健、或いはアンデルセンなら、どのような物語を創ったのだろう。少々文章が遊び過ぎだが、かくして、現在のアメリカ合衆国建国240年有史以来の危機に戸惑っている。それが、現在の米大統領選の事実関係だ。その事実関係は、あらゆるメディアに出ているだろうから、筆者が特に加えるものはない。問題は、今まで通りのクリントン候補が選ばれるか、異端のトランプ候補が選ばれるかと云うことだが、どうもヒラリーの人気のなさは、致命的な気がする。そう云う意味で、マイケル・ムーア氏の、渾身のコラムを見つけたたので、以下に、参考引用する。米大統領選挙の結果は、日本の国政選挙よりも重要な選挙になると、筆者は考えている。


 ≪ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

友へ

悪い知らせを伝えるのは残念なことだが、昨年の夏、ドナルド・トランプが共和党の大統領候補になるだろうと君たちに言った時も、俺ははっきりと伝えていた。そして今や、君たちにとってさらにもっとおぞましい、気の滅入るような知らせがある。それは、ドナルド・トランプが、11月の 大統領選で勝つということだ。この浅ましくて無知で危険な、パートタイムのお笑いタレント兼フルタイムのソシオパス(社会病質者)は、俺たちの次期大統領になるだろう。

トランプ大統領。さあみんな、この言葉を言ってみよう。だってこれから4年間、この言葉を言うことになるんだよ。「トランプ大統領」。

俺の人生で今回ほど、俺は正しくない、俺が間違っている、って誰かに証明してほしいと思ったことはないな。

俺には、君たちが今何をしているかわかる。激しく首を横に振っているだろう。「いや、マイク、そんなことは起こらない!」とか言って。残念ながら、君たちは外界から隔離された狭い範囲の世界で生きている。その世界には、隣にエコー室があり、そこで君たちとその友人たちは、アメリカ人はバカ野郎を大統領に選んだりしないって確かめあっている。

あらゆることがトランプがらみだから、奴のクレージーなコメントとか、こっちが恥ずかしくなるくらい自分に酔っている奴のスタンスのおかげで、君たちは奴に対して、呆れたりあざ笑ったりしている。その頃、ヒラリー・クリントンの話を聴いて、私たちの最初の女性大統領、世界が敬う人、頭が切れて子供たちを大事にし、オバマのレガシーを継承する人に注目している。なぜならこれこそ、アメリカ人が求めているものだからさ! もちろんこれからの4年間もこのままさ!

君たちはすぐさま、この狭い世界から脱出しなきゃいけない。現実を否定しながら生きるのをやめて、限りなく現実だと心の奥底では理解している真実に向き合う必要がある。

「有権者の77%は女性と有色人種と35歳未満の若者だ。トランプは絶対に彼らの過半数の票を獲得できない!」なんてことで安心しようとするとか、「みんなこんなバカ野郎に投票することはないだろうし、自分にとって最善の利益に反して投票することもないだろう!」なんて理屈で安心しようとするのは、脳がトラウマから自分を守ろうとする働きなんだ。通りで大きな音を聞いても、「ああ、タイヤがパンクしただけだ」とか「あれ、誰かが爆竹を鳴らしているんじゃんないか?」と思うだろ。というか、誰かが銃で撃たれた音を聞いた、なんて思いたくないんだよ。

これは、911が起きたときに最初のニュースと目撃者の話が、「小型飛行機が誤って世界貿易センターに突っ込んだ」だったのと、同じ理由だな。俺たちは最善の結果を求め、望むことを必要としている。なんでかっていうと、ぶっちゃけ、生活はもう混乱してるし、給料ぎりぎりの暮らしで何とか生き抜こうとしたって、もう難しいんだよ。俺たちはこれ以上悪いことが起きても、対処できないんだ。だから何か恐ろしいことが実際に起きたって、俺たちの精神状態は変化を受け入れられないんだ。

フランスの ニースでトラックに轢かれた最初の人々が、この世で最後の瞬間にしたことは何かというと、その人は単に運転手がトラックをコントロールできなくなっただけだと思って、運転手に手を振って、歩道の縁石を飛び越えたことを指差して、「気をつけて!」と叫んだんだ。「歩道には人がいるよ!」って。

おい、みんな、これは事故じゃないんだ。事件が発生しているんだ。それでも、クリントンが事実の積み重ねとか、頭の回転の速さ、理屈とかで、トランプを倒せると信じている人は、この1年、56カ所で行われた予備選とか党員集会の結果を見過ごしている。共和党には16人が立候補して、みんな打倒トランプに全力を注いだけど、誰もトランプの勢いを止められなかっただろ。今の情勢だったら、本選でもこれは起きると思う。そしてこの事態に対処するためには、まず君ら みんなにこの事実を知ってもらう必要がある。それから、多分、もしかしたら、俺たちが今いる混乱から抜け出せる方法を見つけられるかもしれない。

勘違いしないでほしい。俺は自分の住んでいる国に大きな希望を持っている。状況は好転している。左派はジェイムズ・D・ハンターが言うところの「文化戦争」 に勝った。ゲイとレズビアンは結婚できるようになった。アメリカ人の大多数が今や、世論調査の質問に、寛大な答えをしている。女性の同一賃金――わかった。中絶は合法であるべき――わかった。環境法の強化――わかった。銃の規制強化――わかった。マリファナの合法化――わかった。大きな変化が起きている。 今年22州で勝利した社会主義者のサンダースにぜひ尋ねてほしい。そしてもしみんなが自宅のカウチからXboxとかプレイステーションで投票できるなら、 ヒラリーが圧勝するのは間違いないと思う。

でもこれは、アメリカで実際にできる方法じゃない。みんな家を出て、投票の列に並ばなければならない。そして仮にそこが貧しい黒人とかヒスパニックの地域だったら、長い列に並ぶだけでなく、うまく投票できないようにつくられている。だから、ほとんどの選挙で、投票率が50%になることだって難しい。そこに11月の大統領選の問題があるんだ。つまり、投票する気のある、投票するように鼓舞された有権者たちを、どうやって投票所に連れていくか?ってことだ。

みんな、この質問に対する答えがわかっているだろう。いちばん過激な支持者がいる候補者は誰なのか? どの熱狂的なファンが午前5時に起きて、朝から晩まで全力を尽くし、はるばる投票所まで行って、それだけじゃなくてトムとかディックとかハリーとか(そしてボブ、ジョー、ビリー・ボブ、ビリー・ジョー、ビリー・ボブ・ジョーとか)全員を投票に行かせるだろうか?その通り。これが俺たちが今最大級の危機に陥っている状況なんだ。そして自分をごまかさないでほしい。どんなに説得力のあるヒラリーのテレビ広告が流れても、討論会でヒラリーが トランプに事実を質しても、共和党主流派の自由主義者たちがトランプから票を吸い上げても、奴の呪術を止めることは出来ないだろう。

 ■トランプが大統領になる5つの理由を教えよう。

1.中西部の票読み。
ラストベルト(錆びついた工業地帯)の奴らは、EU離脱と同じことが起きることを歓迎している。トランプは、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステート(民主党が優位の州)に意識を集中させると俺は思っている。この4つの州は、もともと民主党が強い地域だが、2010年以降それぞれの州で、共和党の知事が選ばれている(最終的にペンシルバニア州だけは、今は民主党知事になっている)。3月のミシガン州予備選で投票に行ったのは、民主党が119万人なのに対して、共和党は132万人だ。

トランプは、ペンシルベニア州の最近の世論調査でヒラリーをリードしていて、オハイオ州では同点だ。同点?トランプがこれだけ無茶苦茶な発言と行動しているのに、どうしてこの大統領選レースは、これほど接戦になっているのか?これは多分、ヒラリーがNAFTA(北米自由貿易協定)を支持したから、製造業中心の中西部の州の壊滅を助長した、とトランプが発言しているからだ。クリントンがTPPを支持したから、この4州の人々をひどく不利な立場に置いた他の貿易政策に関して、トランプはクリントンを攻撃するだろう。

トランプがミシガン州で選挙活動している時、フォード・モーターに働く工場労働者のために、もしフォードが工場を閉鎖してメキシコ へ移転するなら、メキシコで製造してアメリカに入って来る自動車すべてに、35%の関税を掛けると言った。これがミシガン州の賃金労働者たちの耳には、この上なく甘美な音楽のように響いたんだ。そしてこの時、トランプはAppleにも、iPhoneを中国で製造するのをやめて、ミシガンの工場で製造するように強要した。もちろん人々の胸は熱くなるわな。お隣の州知事ジョン・ケーシックが手にするはずだった大勝利を、トランプが持ち逃げしたんだ。

友よ、グリーンベイからピッツバーグまで、このあたりの人は、イングランドの中流階級と同じだ。疲弊して、元気ががなく、苦しんでいる。

この地域では、いわゆる中流階級の残骸と、田園地域に大工場の大きな煙突が散在している。彼らはレーガンのトリクルダウン理論に騙されて、怒り、辛い思いで働いている(もしくは、働き口すらない)人たちだ。いつも耳ざわりのいいことを言っておきながら、いざというときにはゴールドマン・サックスのロビイストに高額の小切手を書いてもらうのを期待して、なんでもかんでも揉み消してしまう民主党の政治家に捨てられた人たちなんだ。

イギリスで起きた ことは、ここでも起きるだろう。ボリス・ジョンソンみたいなエルマー・ガントリー(口がうまいやり手のセールスマン)が現れ、どんなにひどい状態になると わかっていても、今がチャンスなんだ!と確信させるように適当なことを大衆に言うだけだ。アメリカンドリームをぶち壊した奴ら全員に貼り付け! そしてアウトサイダーのドナルド・トランプが、奴らを懲らしめるためにやって来た!トランプに同意する必要はない!好きになる必要だってない!トランプは、 君らが嫌な人間たちに投げつける火炎瓶だ。それでなくても、彼らは君らに火炎瓶を投げつけてくるんだ!メッセージを送れ! トランプは君らのメッセンジャーだ!

そして、ここで数学が役に立つ。2012年、共和党大統領候補だったミット・ロムニーは64人の選挙人の票差で敗北した。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州で投票された選挙人票を足してみれば、合計64だ。トランプの予想通りで、トランプがやればいいことは、アイダホ州からジョージア州まで(決してヒラリーには投票しない州)のレッドステート(共和党が優位の州)を制したら、あとはこの4つのラストベルト州を押さえるだけだ。トランプにはスイングステート(選挙のたびに結果が変わる州)のフロリダ州は必要ない。コロラド州やバージニア州も必要ない。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州だけだ。これで、トランプはトップに躍り出るだろう。これが11月に起こる。

2.怒れる白人、最後の抵抗。

我がアメリカ男性たちが主導してきた240年間の統治は、終わろうとしている。一人の女性が、その座を引き継ごうとしている! なんでこんな事態になったんだ?! 注目! 警告のサインは出ていたが、俺たちはこれを見逃していた。ニクソンは、ジェンダーに冷たかったけど、タイトルIX(男女教育機会均等法)を作った。この法律は、学校で女子生徒も男子生徒と同じスポーツをする権利を持つべきだと言っている。その後女性たちは、民間ジェット機でパイロットにもなれるようになった。気がついたら、ビヨンセが今年のスーパーボウル(俺たちのゲームだ!)で、大勢の黒人女性と一緒にフィールドに雪崩込み、拳を突き上げ、男性の支配はここで終わった! と宣言していた。おお、なんてことだ! 

これは、危機に瀕している白人男性の心の中がかいま見える光景だ。本人の手から権力がすり抜けていき、彼らのやり方は、もはや容認されないという意識が芽生えている。この「フェミナチ」(保守派のフェミニストに対する蔑称)っていう怪物は、トランプが言ったような「目から血を流している、どこであっても血が出ている」(トランプが女性の生理を侮蔑した発言)奴らが、 俺たち男を征服するんだ。そして今や、俺たちに指図してきた黒人の男に8年間耐えなきゃいけなかったのに、今度は大変なことは傍観する、そして威張り散らす女のもとで、8年間を過ごすことになるのか? その後の8年間は、ゲイがホワイトハウスに入るのか!それからトランスジェンダーか! 君たちは、そんなことを目の当たりにする。その時までには、動物にも人権を認められているだろう。そしていまいましいハムスターが、この国を統治していることだろう。これは止めないといけないな!

 3.ヒラリー問題。
ここだけの話だけど、正直に話していいか? そして俺たちが話す前に、これだけは言わせて欲しい。俺はヒラリー・クリントンが好きだった、それもかなりな。ヒラリーは、不当な濡れ衣を着せられてきたと思う。ヒラリーがイラク戦争に賛成したから、俺は二度とヒラリーに投票しないと決めた。今日まで、そのつもりでいた。ファシストもどきが最高司令官になるのを防ぐために、俺はその決心を改めようと思っている。

悲しいことだが、ヒラリーは何かしら軍事行動を起こして、俺たちを従軍させる方法を見つけるだろう。ヒラリーはオバマより右寄りで、タカ派だ。しかしトランプの錯乱した指が、あの核ボタンに掛かったら、それでおしまい。完全に終わりだ。

現実を見てみよう。ここでは、俺たちにとって最大の問題はトランプではなく、ヒラリーだ。ヒラリーはまったく人気がないし、有権者のほぼ70%が、ヒラリーを信用できないと言っているし、不誠実だと考えている。ヒラリーは旧来の政治を象徴している。実際には、君たちの選挙権以外何も信用していない。一時期だけ同性婚反対のために闘い、その後は、同性婚の司祭を務めている。

若い女性が、最大の反ヒラリー派だ。この若い世代が、世界中のバーバラ・ ブッシュ夫人のような人たちに、「黙ってクッキーを焼きなさい」(ヒラリーはかつて「私は家でクッキーを焼くような人間じゃない」と言って反発を受け、専業主婦のブッシュ大統領夫人とクッキーレシピ対決をした)と言われる必要がないように、ヒラリーやその同世代の他の女性たちが耐えた犠牲と闘いを考えたら、若い女性たちは心を痛めないといけないな。でも、その子どもたちも、ヒラリーが嫌いだ。

そしてミレニアル世代が、毎日のようにヒラリーには投票しないと言っている。民主党員でも、無党派でも、オバマが大統領になった日とか、バーニー・サンダースが予備選の投票に臨んだ時みたいに、11月 8日に目覚めて、みんなワクワクしながら急いでヒラリーに投票しに行くなんてことは、有り得ないだろう。そんな熱狂はどこにもない。そしてこの選挙の勝敗を決めるのは、たった一つのことだ。つまり、誰が家にいる人々をより多く引っ張りだして投票させるか、ということだ。トランプはちょうど今、有利な立場にいる。

4.意気消沈したサンダース支持者票。
クリントンに投票しないバーニーの支持者に、やきもきするのはやめよう。俺たちはクリントンに投票するんだ! 世論調査をみたら、今年ヒラリーに投票するサンダース支持者の数は、2008年にオバマに投票したヒラリー支持者の数より多い。ここが問題じゃない。

やばいのは、ちまたのバーニー支持者が、当日ちょっと消極的だけどヒラリーに投票するために投票所に足を運ぶ。これが俺が言うところの「意気消沈した票」だ。つまり、そいつらは、投票所に有権者を5人連れて来ないんだ。それに、月に10時間選挙ボランティアをしない。どうしてヒラリーに投票するつもりなのかを、興奮した口調で話すこともない。

彼らは意気消沈した有権者なんだ。なんでかっていうと、若い人だったら、インチキやたわごとを一切容認しない。彼らにとってクリントン・ブッシュ時代に戻ることは、いきなり音楽を聞くために金を払わないといけなくなり、MySpaceを使って、巨大な携帯電話を持ち運ぶ時代に戻るようなものだ。彼らはトランプに投票しないだろう。そのうち第三の政党に投票する奴もいるだろうが、多くは家の中だ。ヒラリー・クリントンは、自分を支援する理由を彼らに与えるために、何とかしないといけない。

そして穏健派で物腰の柔らかい中道の白人男性の おっさんを副大統領候補にしたのは、ミレニアル世代からすると、ヒラリーが自分たちの票を重視していないように思うから、賢い戦略ではない。正副大統領候補に2人の女性が並ぶ案も浮上したよな。これはワクワクするアイデアだったけど、ヒラリーは逃げを打って、安全策を取った。これはヒラリーが、若者票を逃してしまっているいい例だ。

 5. ジェシー・ベンチュラ効果。
結局、有権者の何かしでかしてやろうというパワーを過小評価してはいけないし、いったん投票ブースのカーテンを閉めて、一人きりになったら、自分が隠れアナーキストだと自認している大衆を見くびってはいけない。投票ブースはセキュリティカメラや盗聴器が付いていないし、配偶者も子どもも上司も警官もいないし、いまいましい制限時間もない、世の中に残された数少ない貴重な場所だ。そこでは、必要なだけいることができるし、誰も何かをするように強制することはできない。ボタンを押してもいいし、党の公認候補にも、そうでなけりゃはミッキーマウスとかドナルド・ダックと書いて投票することだって出来る。規則はないんだ。

そして大勢の人間が疲弊した政治体制に怒っているから、大衆はトランプに同意するわけでもなく、トランプの偏狭な考えとかエゴを気に入っているとかでもなく、ただ、投票できるからっていうだけでトランプに投票する。計画をぶち壊しにして、パパやママをこまらせてやろうっていうくらいの気持ちで、これをやる。

ナイアガラの滝の端に立っている時、一瞬、柵を越えたらどうなるんだろうって心の中で思うのと同じような感覚で、黒幕になったような気分で、どうなっちゃうのか見てみたい一心でトランプにポンと票を入れる奴はいっぱいいるだろう。

90 年代に、ミネソタ州で知事にプロレスラーが選ばれたことを思い出してほしい。ミネソタ州の人たちの頭が悪いからそうなったわけじゃない。彼らが、ジェシー・ベンチュラは優秀な指導者で、政治的見識を持った人物だと思っていたら、彼に投票しなかっただろう。彼らは、ただ単にやってみただけだ。ミネソタ州は、アメリカでも最も賢明な州の一つだ。一方でミネソタ州の人たちはブラックユーモアを好む。そしてベンチュラに投票したのは、病んだ政治体制に対する、彼らなりの辛辣な悪ふざけだった。これがトランプにも再び起こる。

HBOのトーク番組「リアル・タイム・ウィズ・ビル・マー」の共和党全国大会特集に出演した後、ホテルに戻ろうとしたら、ある男が俺を引き止めた。 「マイク、俺たちはトランプに投票しなきゃいけない。俺たちは大改造する必要がある」。そういうことか。それだけで、彼にとっては十分だった。「大改造する」ためなんだ。トランプ大統領誕生は、まさに大改造になるだろうし、投票した人々の大部分は、外野席に座って、そんなリアリティ・ショーを見たいと思っている。 (次回、どのようにしたらトランプを倒せるか、俺の考えを投稿するつもりだ。)

                                           敬具
               
                    マイケル・ムーア ハフポストUS版より翻訳しました。

 ≫(THE HUFFINGTON POST日本語版)

ドナルド・トランプ 勝利への名語録 (PHP文庫)
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4 コメント

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Unknown ( 武尊)
2016-07-31 18:09:53
我々はトランプがボタンだけは押さないように、祈るしかなさそうですね、、。
70,80代の女性ブロガーがヒラリー支持で書き連ねています。そこに反論を書き連ねています(笑)女性というだけで支持してるんだから呆れるんですけど、ムーアの話を読むとそれでもヒラリーの方が、生き延びられる時間は長そうに思えてきた、、(悲)
今の日本の情勢を壊すにはトランプだし、世界の破滅を少しでも遅らせるにはヒラリーかよ!?
最早どっちにしても四面楚歌みたいなことじゃんか!!
返信する
Unknown (通名使っている)
2016-08-01 09:39:25
300万近くとっちゃったよ。どういうこと?
あなたは多少まともだから頑張ってほしいけと、もっと正確な予測してほしい、願望じゃいけないよ。
ちゃんと正確な予測したうえで、リベラルなこと言ったら啓蒙になるよ。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-08-02 14:58:02
なぜ、マイケルムーアは
バーニーサンダースしかいないと、
最初から公言しないの?

消えたとしても、バーニーサンダースしかいないのよ。
ミレニアムは。
トランプかクリントンかで悩むとしても、実現しない
バーニーだと言い続ければいいのよ。

マイケルは見てないの?バーニーをオバマも腹の中ではバーニーでしょ。
返信する
Unknown (トップニュース)
2016-08-08 11:14:38
初めまして。失礼します。
東京都知事選、投開票当日の予想でコレですか? 少しばかり反省の弁が必要ですね……。
返信する

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