下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書) | |
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●老後の不足資金3000万の嘘 漂流老人時代を生き抜く心構え
今夜は軽く、老後の心配をしてみようと思う。巷では言われている“必要老後資金”「3000万円」は無職の年金生活者夫婦を基準にしている。結局、現状の日本の平均的社会保障収入と無職の夫婦世帯の生活支出との差額(不足分)と平均余命年数からはじき出した、平均的予測不足資金が統計的に算出されている。国民年金の家庭と厚生年金の家庭では収入はおのずと違う。厚生年金も、満額の年数働いていたかどうかで異なる。企業年金や共済年金があるかないかでも違う。持ち家なのか、借り家なのかも、大きな違いだ。
老後に金のかかる病気に罹患するかどうか、常に健康的な不安があるかどうかでも違う。贅沢な老後を夢見るか、質素倹約を愉しむ生活をするかどうかでも違う。ヤケクソで、入ってきたなりの生活で生き抜く決意の人もいるので、この平均的夫婦の老後資金云々と云う話は、あまり意味をなさないじゃないかと思う。一番頭が痛いのは、衣食住で考えた場合、住居はかなり固定的な部分がある。雨風寒さを凌ぐことが出来ない事は、速攻で漂流老人への道が待っているので、この点は避けたいものだ。住居費には水道光熱費も含んでおかないと意味がないことも忘れないことである。
衣なんてものは、65歳までに生きてきた間に貯めこんだ服をとっかえひっかえ着ればいいのだから、気分的なことを除けば、何とでもなる。食に関しては、大量に食べないと生きていけない人は、それなりの準備が必要だが、小食で良ければ、高級品を食べない限り、どうにかなる。粗食で健康を害することくらいは、それは覚悟の問題だろう。大食で身体を壊す方が可能性大なので、粗食小食は、老後においては善でさえある(笑)。大食漢な人は、質を落として空腹を満たすしかないが、因果応報だと諦めるしかない。まあ、戦時中に生きていた人々の食生活の資料など見れば判るが、粗食で人が健康を害する可能性は、実は低いと思われる。
相当に乱暴な話だが、実行する気力と知恵の問題で、収入に見合った支出生活は一定範囲、現状では可能と考えるのが妥当だろう。現在の年金生活者夫婦の収入の平均は20万円で、支出が24万円だそうなので、単純に引き算すると、月額4万円不足なのだそうだ。年間で48万円不足、10年で480万、20年くらい生きるとして、1000万円弱が不足となる。計算上は、不足分は20年間85歳まで生きるとして1000万円足りないってことになる。この1000万円にも問題があるが、その前に、1000万不足が、どうして3000万不足になったのかの方が知りたい。
色々と見聞きしてみると、月60万収入の生活をしていた人間が、いきなり月額24万円生活は出来ないという話から、尾ひれ端切れが追加されて、3000万に膨れ上がった。日本の補正予算にそっくりだ(笑)。銭もないのに、贅沢から抜けられない人間の心配など、まったくの無用の長物である。そんなアホのための生活設計など提案する金融機関生保損保等々が異常なのである。ふり込め詐欺に、あれだけの人間が引っかかる罪の一端は、こういう言説を主論と展開させた政府の責任でもある。
人には、使っていない、サバイバルの思考経路が残っている筈だ。その休息中の、生きるための知恵を働かせる機能を呼び戻す訓練の方が、実際は正しいのだと思う。戦前、戦中、日本人は何を食べ、どう工夫して生きてきたのか。いま、日本で自給自足する方法には、どのような生き方が残されているか。そういう学問分野はないようだが、本気で考えても良さそうな気がする。歴史を修正する暇があるなら、サバイバル教育にもっと熱心になった方が利巧な気がする。
個人的なことだが、筆者は事実、自給自足への道は準備段階に入っている。無論、米まで作る気はないが、イモ類から葉物類までは一応作れる。魚の干物くらいは作れる。美味しいか不味いいか、そんな贅沢は言ってられない。食えればイイじゃないか。かりそめにも、腹が一杯になれば、それで良い。不用意に買う金がないからするのではなく、あっても、そういう生活をエンジョイする精神的贅沢の道を探そうと思えば探せる。金の不足を埋める道は、まだまだ忘れているだけで、有る。
東京のど真ん中の家を売って、地方に住む手もある。グラム1000円の肉から絶縁して、大豆で補うことも可能だ。芋料理のカテゴリーを増やす愉しみもある、安い素材を美味しく騙し味で食べる方法もあるだろう。テレビもいらない、新聞なぞもっと要らない。スマホも携帯もいらない。パソコンとネット環境だけは必要かな?(笑)。好き勝手なことを書き殴っているが、日本人の食は、特に間違っている。
貝原益軒も間違っているが、ミシュランガイドやグルメ本も間違いだ。食い残しも間違いだ。寿司の食べ放題も身体に悪いだけなんだよな。バイキングなんてのは最低中の最低だよ。本はブックオフで我慢できる。青空文庫でも、充分。読みきれるものではない。結局、俺たちは、相当数のゴミの中で生きている気もしてくる。すべてを、削ぎ落す感覚が必要なのだろう。最近はやりの断捨離は、あれは逆に金が掛かる。美しく見せようとしている。不潔でない生活の範囲で充分。そして、絶対に余計なものを欲しがらない。欲しい時は、生活収入と別に収入があった時のみ、その欲望を満たせば宜しい。
一つだけ、筆者が気にしているのが、世代間格差に対する、怨嗟の感情と、蔑みの感情のぶつかり合いだ。これは、一種のヘイトな感情の爆発なのだが、日本の国内問題としては、イスラム国のテロの標的リスクよりも可能性が高いのではと云う危惧である。特に、65~75歳に人々の中には、広範囲で、若者世代への蔑み意識があり、日常的に我が物顔で生きる強者の行動原理がある。筆者の知る限りでは、一例だが、20~40代の若い世代の男子に代わり、一時の恋人気取りな振舞いで顰蹙を買っている隠れた怨嗟がある。そのような振舞いをしておきながら、その若い世代の男たちを蔑んでいる傾向がある。
世代間格差による、闘争など思いも浮かばないだろうが、若い世代の中に、世代的な良いとこ取りしている世代層があることは肌で感じている。これは統計上も証明可能だろう。その上にだ、65~75歳世代を中心とする世代層には、そこそこ豊かな年金保障があり、企業年金なども有効に作用している。多くの場合、その親である85~100歳の親から金融資産と不動産の継承が起きている事も多く、相当にリッチな不労所得者層に見える傾向があり、本人たちは元気に振る舞っているだけなのだが、若い世代から見ると、我が物顔で世間を闊歩している暴力世代に見える点だ。この問題は、現時点で明確な社会問題化にはなっていないようだが、いずれ火を噴き、ヘイトな闘争になるリスクは気がかりだ。
金銭的に豊かだとして、悪くはないが、その使い道が、唯我独尊で目立つことは、気をつけたいものである。おそらく、この65~75歳層の人々は、決意次第で、多くの問題は解決する。無論、絶対的基礎条件を満たさない人々も存在するのだろうが、その人たちには、ギリギリ生きていける衣食住を、国は福祉的に考えるべき。現在の福祉体制は利権構造が複雑すぎて、官僚や福祉企業、関連者の食いものになっている。それこそ政治マターに近いのだが、これを直せないのが、民主主義や自由主義や中央集権制の大きな悩みなのだろう。まあ、それでも、工夫一つで生き抜ける余白が残っているだけ、現状の日本には救いがある。50年後は、このような工夫の余白は残っていない。今から、サバイバル研究に力点がある学問分野が出てきてほしいものだ。月額18万で夫婦が暮らす知恵袋学みたいなものが……。今夜は、気分次第で書いたので、異論がかなり出てきそうだ(笑)
≪ アナタが“漂流老人”になる日
田島康史・ベールヘルツ社長に介護現場最前線を聞く
【介護現場での事故・虐待事件が相次いで報告されている。1月12日には、大手飲食チェーンが運営する介護付き有料老人ホームで74歳の入居者が入浴 時に水死していた事故が発覚。昨年12月には広島県の介護施設で介護福祉士が85歳の入居者に火を付け焼死させる衝撃的な事件が発生した。事故・事件が急 増する背景に業界全体を覆う極端な人材不足があるのは間違いないが、大手企業も含め有効な解決策を十分に打ち出せていないのが実情だ。そんな中、独自の方 法で経営の安定化や人手不足の解消、サービス水準の向上を図ろうとしている小さな介護事業者が千葉県松戸市にいる。代表に話を聞いた。 (聞き手は鈴木信行)】
―――介護現場からの事故・事件報告が絶えない。業界で何が起きているのか。
田島:まず老人ホームなど入居型 サービスの現場で事故が増えているのは、明らかに人手不足が一因だ。介護業界の人材確保難は今に始まったことではないが、ここへきて一段と厳しくなってい る。ハローワークや折り込みチラシ、知人の紹介などあらゆる手を尽くして人を集めようとしているが、多くの場合、ほとんど応募はなく、仮に採用してもすぐ に退社してしまうのが実情。やむを得ず、高校を卒業したばかりの子に資格だけ取得させ、いきなり実践投入している施設も多いと聞く。
現場の人材に加え、マネジメントクラスも枯渇している。コンプライアンス上、いずれの施設も形の上では管理体制を整えているが、ベテラン職員が退社してしまい、経験の浅い職員が見様見真似で現場の管理を統括している事例もある。
―――意図せぬ事故だけでなく、虐待事件まで増えているのはどういうことか。
田島:そこにも根本的には人材不 足が影響している。この業界を志す人間は間違いなく思いやりがあって純粋な人たちだと思う。そういう人たちはどんなにストレスが溜まろうが、入居者を虐待 することなど普通はありえない。ただ、残念なことに、あまりに人手不足が進んだ結果、そういう志を持たない人でも目をつぶって採用せざるを得ない事業所が 増えている。例えば、他の業界からあぶれ、職を転々とし、本人も嫌々ながら介護業界に身を置こうとしている人。そういう人の場合、利用者あるいは同僚との 間で問題を起こす可能性がないとは言い切れない。
■多少金を積んでも100%の安全は確保できない
―――高齢になるまでしっかり貯金し高級介護施設に入居すれば、事故や虐待に遭わずに済むのか。
田島:必ずしもそうとは言えない。例えば、パーキンソン病の高齢者を85分間浴槽に放置した事業所にも、利用者は多額の一時金と月々の費用を払って入居しているはずだ。
―――多少金を積んだからと言って、100%安全な施設に入居できる保証はないというわけか。人手不足がそこまで進んだ原因はなにか。
田島:やはり「仕事がきつい割に は給与が低い」という一言に尽きる。准看護師にすら届かない待遇、経験を積んでもさほど上昇しない報酬体系などの結果、志があっても泣く泣く転職を選択するスタッフも多い。男性職員が結婚を機により実入りのよい新しい職に就く“寿退社”現象は年々ひどくなっている。さらに言えば、社会の無理解もある。最近は介護福祉士になりたいと子どもが言うと、止めようとする親や教師もいる。
―――事態を放置すれば、より大きな社会問題になりかねない。
田島:既に様々な影響が出てい る。例えば、医療体制が未整備なため、重度の認知症高齢者を受け入れる介護施設が急速に減少している。経験の浅い職員だけで重度の認知症患者を世話するの は限界がある。徘徊による事故などを防ぐには、いい悪いは別にして時には限定的な拘束措置が必要なこともある。だが、現在は、人権などへの配慮から薬物に よる拘束措置には厳重な規制が敷かれているため、それができず、施設側も認知症患者の入居に及び腰にならざるを得ない。
―――高齢になり認知症が悪化して、家族にも行政にも面倒を見てもらえない人はどうするのか。最悪の場合、ホームレスなどになり“漂流”するしかないのか。
田島:精神病院の老人病棟などがかろうじて最終的な受け入れ施設になるだろう。
―――状況を改善するには何から手を付ければいいのか。
田島:国民全体が安心して老後を 送るためにも、根本的には介護制度を改良し、介護現場で働く人の待遇を可及的速やかに改善することが必要だ。アベノミクスで景気を浮揚させ税収を増やして から手を付けるという方法では手遅れになりかねない。ただ、制度に頼るだけでなく、事業者側も自助努力が欠かせない。
―――ベールヘルツは在宅型サービスが主体だが、独自の方法で経営の安定化や人手不足の解消、サービス水準の向上を図ろうとしていると聞いた。
田島:人手不足を解消しサービス 水準を向上させるには経営の安定化が大前提になる。そのための試みの1つが収入の複線化だ。高齢者向けの訪問介護・デイサービスを展開するのと同時に、障 害者向けの居宅介護も手がけている。現在、月稼働時間の6割は障害者の方の介護。介護保険だけに頼る事業所に比べ、経営は確実に安定する。
―――他の事業所も、同様の戦略を打てばいいのではないか。高齢者向け介護と障害者向け介護は作業内容なども類似していて、人材の多重活用もやりやすいように思うが。
田島:身体障害者の場合はその通りだ。ただし、知的障害者や精神障害者だと事情は変わってくる。日常の世話や移動補助でも高齢者とは異なるノウハウが必要だ。そうした方への居宅介護で は、一般の方が想像できない修羅場に遭遇することも多い。薬物依存がひどく結局亡くなってしまった方、自傷行為で自ら両足を切断してしまった方など様々な 方がいて、介護する上では知識に加え覚悟も要る。当社の場合も最初から順調だったわけではなく、試行錯誤を繰り返しながら、ノウハウを少しずつ蓄積してきたのが実情だ。
■買い物だけ手伝ってあげる
―――ビジネスモデルに加え、サービス内容も独自性が高いと聞く。
田島:例えば、高齢者の方には「買い物支援」を実施している。買い物に付き添うというシンプルなサービスだが、利用者の方には好評を博している。
―――よくスーパーなどで、健康でかくしゃくとしているが、レジで財布からうまくお金を取り出せない高齢者を見かける。買い物支援のように必要な部分だけ手を貸すサービスが増えれば、介護施設に入らなくても済む高齢者は多いのではないか。そうした高齢者が自立すれば、本当に介護が必要な人により多くの介護人材が回るようにもなる。
田島:ささいな工夫でもいいから、あらゆることをして介護の現状を少しでも改善していかねばならない。厳しい状況ではあるが、困難を乗り越え、より安全で持続的な介護システムを構築で きれば、それは日本の新たな“輸出品”になる可能性も高い。先進国はもちろん新興国もいずれは日本の後を追う形で高齢化していく。その際、高齢化先進国で ある日本の知恵は必ず必要とされるはずだ。当社は幸いにもそうした状況にはないが、危機感は持っている。
*田島康史(たじま・やすし)氏 1956年東京生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、中学校教師を経て、特別養護老人ホーム生活相談員に。2003年ベールヘルツ設立。訪問介護事業、居宅介護事業、居宅介護支援事業、通所介護事業を合わせて手がけ、松戸市南部における高齢者介護の一翼を担う。自らもアルツハイマー型認知症の父を介護した経験あり。
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