危機的状況の中の希望(村上龍)
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/2581/
パンドラが箱を開けて様々な邪悪のものが飛び出したあと、たったひとつ箱の中に残ったものがあった。
「希望」だ。
なぜパンドラの箱に「希望」が残っていたのか?
ある哲学者が「希望こそが最大の災いだから」といったが、これは嘘だ。
なぜ嘘か?
希望がなければ何も変わらないからだ。
変わらない世界に意味はない。
この宇宙では全てが変容する、希望は変容を許容する、だからそこに意味が生じる。
希望があって初めて生命に意味が生まれるのだ。
希望がなければ災いもない。
私が10年前に書いた小説には、中学生が国会でスピーチする場面がある。「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」と。
日本に希望がないのは、災いも意味もなかったからだ。
だが、今回の地震が全てを変えた。
地震前と後では、世界が変わったのだ。
だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付けた。だから私は信じていく。
地震は日本に希望の種を植え付けた。
それは、日本が変容を許容し、意味を求めていくということを意味している。
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/2581/
パンドラが箱を開けて様々な邪悪のものが飛び出したあと、たったひとつ箱の中に残ったものがあった。
「希望」だ。
なぜパンドラの箱に「希望」が残っていたのか?
ある哲学者が「希望こそが最大の災いだから」といったが、これは嘘だ。
なぜ嘘か?
希望がなければ何も変わらないからだ。
変わらない世界に意味はない。
この宇宙では全てが変容する、希望は変容を許容する、だからそこに意味が生じる。
希望があって初めて生命に意味が生まれるのだ。
希望がなければ災いもない。
私が10年前に書いた小説には、中学生が国会でスピーチする場面がある。「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」と。
日本に希望がないのは、災いも意味もなかったからだ。
だが、今回の地震が全てを変えた。
地震前と後では、世界が変わったのだ。
だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付けた。だから私は信じていく。
地震は日本に希望の種を植え付けた。
それは、日本が変容を許容し、意味を求めていくということを意味している。