力がないということはないが、わかりやすく言ってるだけです。
メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ
第1回 岐路に立つ"日の丸家電"
(NHKスペシャル、2012/10/27放送)
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/1027/index.html
昨日のNHKスペシャルは、イマイチな内容だった。
基本的な問題認識が間違っている。
よくジョブズやゲイツがソニーのことを次のように述べるが
「ソニーはソフトウェアが書けない。」
この「ソフトウェア」というのは「コード」のことではなくて、
商品コンセプトを含んだ「ソリューション」の意味に近い。
商品というのは、ソフトや半導体、電気、メカ、デザインなどの要素によって構成されるわけだが、ジョブスらの言う「ソフトウェア」は、この要素でいうところの「ソフト」ではない。
たとえば、ソニーの一世を風靡したカセットテープ式のウォークマンであれば、駆動系のメカトロニクスが商品そのものを規定する重要な要素であったわけだが、この場合ソニーの人間は「マイクロソフトはメカが作れない。」と言うだろうか?
(ソニーの人間なら言うかもしれないが・・ww)
商品そのものが提供する「顧客価値」こそが最重要かつ不可欠なのであって、メカはその顧客価値を実現する手段に過ぎない。
その意味で、ジョブズやゲイツの言葉を言い換えるなら、こうだ。
ソニーには、iPodが提供する「顧客価値」を提案する力も実現する力がない。
iPodがiTunesとともに提供するものがソフトだから、たまたま「ソニーはソフトウェアが書けない」と言ったに過ぎない。
それと、最後のテレビの画質を巡る内容に違和感を持った人は多いだろう。
なぜなら、ソニーにしてもサムスンにしても、テレビは主力事業ではない。
ソニーはデジタルイメージング、ゲーム、モバイルを研究開発投資の7割を集中すると言っているわけだし、サムスンはずっとDRAM事業が主力で、最近ではスマートフォンを主力として位置づけている。
両社ともテレビの事業規模が大きいため赤字を解消することを優先事項としていることには間違いないが、テレビを主役的に扱うところに、大きな違和感を感じるのだ。
(パナソニックは「テレビはもはや家電の王様ではなく、二度と主役になることはない。」とまで言い切っている。)
また、「画質」に関して言うと、今後テレビの役割がどう変わっていくのか、あのインチサイズのディスプレイの役割はどう位置づけられるのかといったことが議論されている中で、画質でビジネスの優劣が決まるかのような捉え方をするのには、少々無理があるだろう。
そんなことをやっていると、またアップルにやられるぞ。
そしてこう言われるのだ。
「ソニーはソフトウェアが書けない。」
と。
とにかく「顧客価値」を「顧客体験価値」とか言ってるうちは大成できない