私は「ももクロ」についてグループ名以外何も存じ上げなかったのですが、今回このエントリを書くにあたってちょこっとだけ調べました。
「海老反りジャンプ」も見ましたし、ファンの方の提供しているいろんなもの見たり読んでみたりしました。
その程度なので、本エントリは素人による適当コメントだと思って頂けるとありがたいです。
本エントリを書くきっかけになったのは↓以下の記事を読んだことです。
ももいろクローバーZの経済学(田中秀臣)
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20110825#p3
フォーカルポイントが洗練されていることと、全国区でヒットすることの間には因果関係はなく、むしろそのフォーカルポイントの洗練化が全国区でヒットするための足かせになるとすら思います。
では、全国区アイドルになるために必要なものは何でしょうか。
それを考えていきたいと思います。
その前に、ももクロの人材としての可能性は高いような気はします。
メンバーでいうとスターダスト所属だけにAKB48とは種類が違うような気がします。
(AKB48は人材の入れ替えが基本構造として組み込まれているので、AKB48の場合は固定メンバーという発想が当てはまらないですが)
コンセプトやコンテンツとしての完成度を見ると、非常によく時間かけて考えているなと感じます。
単純な企画モノではなく、金と時間がかかっているなと。
それなりに能力のある人が関わっているプロジェクトだと思います。
(今頃気づいたのかお前はと言われそうですが)
語りたいことはいっぱいあるのですが、いつも発散して読みにくくなるので、焦点を1つか2つに絞りたいと思います。
この間、Fairiesについて述べましたが、私は新しいアイドルがヒットするかどうかについて、AKB48と比べてどうかという問いそのものが無意味だと思っています。
AKB48は他のアイドルとの比較によって受け入れられたアイドルなのでしょうか。
答えは否でしょう。
※参考
『【AKB48】なぜ他のアイドルがAKB48に勝てないのか』
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/eddb3ae9db20c05eb56056055e1529bb
では、AKB48は他のアイドルと何が違ったのでしょうか。
AKB48が本格的に(全国区のアイドルとして)普及したのはいつかを考えるとヒントがあるかもしれません。
ティッピングポイントはいつであったかという問いです。
いろいろと説はあると思いますが、私は第2回総選挙の後に発表された「ヘビーローテーション」だと思っています。
ヘビーローテーションで認知されて、その後に本格的に拡散していったと思います。
CDの販売量もそこを境に変わっていた気がします。
(データで説明できると説得力があるのですがね。その労力はかけません・・)
※
面倒なので全国区アイドルがなにか?という定義は考えません。
これは感覚的な話です。
それまではいわゆるAKBオタと呼ばれるファン層を中心に固められていたと。
あるところまではそれでよいのです。
別にそれ以上を求める必要もないですし。
しかし、それ以上を望むのであれば、その状況がAKB48を全国区に押し上げるのに障害にすらなっていたと思います。
ソーシャルに振れば振るほど、新しい参加者は増えにくくなっていきます。
仲間に入ればワイワイ楽しめるが、敷居が高くて参加者が増えない構図があるからです。
勝手にやってろと。自分は知らんと。
ソーシャルというのはそういうものです。
(例えば、ソーシャルネットワークというのは情報の都市化なのです。)
その状況を打破したのは選抜総選挙だと思います。
もし総選挙の投票権を公演の参加者に限定していたら、AKB48はこれほど全国区のアイドルにはなっていなかったと考えます。
マスメディアと総選挙の力で、AKBエコシステムの外側にいた人々を取り込むことに成功したのです。
その意味でも投票システムとしてCDパッケージを使ったことは、非常に大きな貢献を果たしたと思います。
(TwitterはRTが城壁を越えるのに有効な役割を果たしていると思いますね。)
深堀りする部分、これはももクロは非常によくやってると思います。
でもそれだけじゃ特定の市場しかとれないのです。
この間のWBSでのAKB48の説明も完全に誤解していましたが、AKB48は他のアイドルグループより優れているから受け入れられているわけではないのです。
ヒットはコンテンツの良し悪しで決まるのではないのです。
(そりゃ最低限の品質は必要ですが、モノが良くて売れるなら誰も苦労しないし、AKB48についてルックスをあーだこーだ言う人いるけど全くわかっていない。そんなところを売りにしてるのではない。あくまでパラメータの一つでしかないのだ。)
差別化戦略では足りないのです。
競争優位を構造としてどう作り出すかなのです。
これ非常に重要な考え方です。
どれだけそのアイドルに時間使ってもいいと思うかどうか。
ライバルは全て。
ゲーム、彼女、家族、受験、友達、スポーツ、時間を消費する全てがライバルです。
キッカケが必要です。
アイドルを知る機会、時間を使ってもっと知りたいと思う機会、もっともっと時間を使いたいと思う機会、これをどうやって作り出すかです。
より多くの人に、ももクロを知らない人にどうやってアプローチするかです。
時間についての認識があるからこそ「週末ヒロイン」って言っているんだとは思いますけどね。
自分の置かれている状況を確実に把握したいのであれば、自分が置かれていない状況についても知らなければならないのです。
自分たちがどのような状況下でどのような力でどういったものの変化に作用を与えることができているか、を考えるのと同時に、どういったものの変化に作用することができていないか、外の世界を考えなければならないのです。
世に言うイノベーションですね。
万能な方法論はありません。
正直に言って、ここまでのももクロになら、時間と金を投下すればできるレベルだと思います。
深化することだけを考えればよかったからです。
いわゆる持続的イノベーションだけでやってこれたと。
ここから先は自分たちの外にある世界に踏み込んでいかなければならない。
破壊的イノベーションが求められているのです。
これはこれまでの問題とは別次元の問題になります。
まぁ余計なお世話なのは間違いないのですが、ももクロを調べていたら、なんかもったいないなという気がして少し語りたくなりました。
潜在的成長率は高いと思いますよ。
特に、リーダーの百田夏菜子さんは可能性を感じますね。
市場の期待収益率を超えて成長できる可能性は多いにあると考えます。
経営次第ですが。
最後にきついこと言っておくと、
週末ヒロインじゃ天下はとれないでしょうな。
ここで満足したくないのなら破壊的イノベーションについて考えるべきでしょう。
レコード会社はAKB48と同じキングレコードなのね。。
【追記】
中長期的な計画に基づいて活動していて、今この瞬間の活動だけを見て評価するのは問題かもしれません。
私が知らないだけで、いろんな戦略がある可能性はありますね。
AKB48も4年くらいかかっていますから、ももクロも時間をかける期間なのかもしれません。
個人的な感想を言うと、K-POPアイドルよりJ-POPアイドルの方が新次元のアイドルだとつくづく思います。
それは、コンテンツの質だけにこだわらず、もっと広い活動によって競争優位を作り出そうという意思が見て取れるという意味で。