進化する魂

フリートーク
AKB48が中心。
気の赴くままに妄想をフル活用して語ります。

ソニーには顧客価値を作る力がない

2012-10-28 09:32:01 | ビジネス
力がないということはないが、わかりやすく言ってるだけです。


メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ
第1回 岐路に立つ"日の丸家電"
(NHKスペシャル、2012/10/27放送)
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/1027/index.html



昨日のNHKスペシャルは、イマイチな内容だった。

基本的な問題認識が間違っている。


よくジョブズやゲイツがソニーのことを次のように述べるが

「ソニーはソフトウェアが書けない。」


この「ソフトウェア」というのは「コード」のことではなくて、

商品コンセプトを含んだ「ソリューション」の意味に近い。

商品というのは、ソフトや半導体、電気、メカ、デザインなどの要素によって構成されるわけだが、ジョブスらの言う「ソフトウェア」は、この要素でいうところの「ソフト」ではない。

たとえば、ソニーの一世を風靡したカセットテープ式のウォークマンであれば、駆動系のメカトロニクスが商品そのものを規定する重要な要素であったわけだが、この場合ソニーの人間は「マイクロソフトはメカが作れない。」と言うだろうか?

(ソニーの人間なら言うかもしれないが・・ww)

商品そのものが提供する「顧客価値」こそが最重要かつ不可欠なのであって、メカはその顧客価値を実現する手段に過ぎない。

その意味で、ジョブズやゲイツの言葉を言い換えるなら、こうだ。

ソニーには、iPodが提供する「顧客価値」を提案する力も実現する力がない。


iPodがiTunesとともに提供するものがソフトだから、たまたま「ソニーはソフトウェアが書けない」と言ったに過ぎない。



それと、最後のテレビの画質を巡る内容に違和感を持った人は多いだろう。

なぜなら、ソニーにしてもサムスンにしても、テレビは主力事業ではない。

ソニーはデジタルイメージング、ゲーム、モバイルを研究開発投資の7割を集中すると言っているわけだし、サムスンはずっとDRAM事業が主力で、最近ではスマートフォンを主力として位置づけている。

両社ともテレビの事業規模が大きいため赤字を解消することを優先事項としていることには間違いないが、テレビを主役的に扱うところに、大きな違和感を感じるのだ。

(パナソニックは「テレビはもはや家電の王様ではなく、二度と主役になることはない。」とまで言い切っている。)

また、「画質」に関して言うと、今後テレビの役割がどう変わっていくのか、あのインチサイズのディスプレイの役割はどう位置づけられるのかといったことが議論されている中で、画質でビジネスの優劣が決まるかのような捉え方をするのには、少々無理があるだろう。

そんなことをやっていると、またアップルにやられるぞ。

そしてこう言われるのだ。

「ソニーはソフトウェアが書けない。」


と。



とにかく「顧客価値」を「顧客体験価値」とか言ってるうちは大成できない

ソニーの極秘プロジェクトってなに?

2011-10-16 18:14:50 | ビジネス
有料会員でないので、誰か知っている人がいたら教えてください。

ソニー、覇権奪回へ 動き出した極秘プロジェクト
http://www.nikkei.com/biz/focus/article/g=96958A9C93819499E0EBE2E08A8DE1E2E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E3

すごい怪しい・・。
覇権奪回へと考えるのは自由だし、極秘プロジェクトをやるのも自由だから、記事に嘘はないのだろうけれど、いつも通りたいしたことない内容なのだろうな・・はぁ。
ソニースピリッツはもうほとんど死んでいるんじゃないか。
少なくても今の経営幹部にソニースピリッツ語れるような人材がいないようだし。

少し前に読んだ『ストリンガー革命』もひどすぎてがっくりきた。
こんな中身のない本を会社が全面協力して書かせている時点でもう終わってるよ。
井深、盛田の精神はどこへいった・・

ユニクロの世界戦略 二兎を追うユニクロ

2011-10-15 10:33:44 | ビジネス
ユニクロ、世界最大店オープン=賃借料15年で230億円―NY5番街
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111015-00000004-jij-int

15年で230億か~。
やはり単独店舗での利益云々ではなく「広告効果を狙う」と言わないと正当化できない投資だ。
この戦略について批判もあるが、クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』でいうところの「下位市場から上位市場」への移動の構図に重ね合わせてみれば、NY5番街での出店は筋書き通りとも言える。

新興市場を攻めながら、高級ブランドの市場を食う戦略。
で、それがまた新興市場を攻めるのに相乗効果があると。
2兎を追うのだ。
教科書通りだ。

ただし、この戦略が成功するには、「NY5番街で成功すること」ことが重要なピースだ。
そこだけが問題であり、だからユニクロはなんとしてもNY5番街で成功を収めなければならない。

Google+、アクティブユーザーの60%を失う

2011-10-12 22:57:33 | ビジネス
Google+、アクティブユーザーの60%を失う
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111012-00000005-inet-inet

(どこかで語ったのですが)
ここで語ったかどうか覚えていないのですが、
基本的に、ソフトウェアだけで実現されるちょっとした機能の違いなんてものは
すぐ模倣できるものなので、差異化要因にはならないのです。

特許とか、簡単には真似できないブラックボックス化された高度なロジックとか、
そういった参入障壁がないといけませんね。

Google+ vs. FB という構図での競争要因は技術よりも、プラットフォームとしての規模の方が重要で、
そういう意味で、ユーザ数が圧倒的に多いFBが圧倒的に優位な立場にあるわけで、
当初からGoogle+がFBに勝つには、もっと競争力のある戦略が必要だというのは当然の見方でありました。

ある人がGoogle+は、Googleが提供する様々なサービスを統合して"ソーシャルOS"を目指していると評しておりましたが、
今後Google+が飛躍するためには、FB的なソーシャルネットワークとしてではなく、
そちらの方向ということになるのではないかと推察します。

フジコ・ヘミングは新市場型イノベーション

2011-09-29 00:10:44 | ビジネス

「フジ子・ヘミング現象」の何が問題なのか?(冷泉彰彦)
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2011/09/post-346.php

フジコ・ヘミングは新市場型破壊的イノベーションであった。
(破壊的イノベーションというよりブルーオーシャンという方がよいか?)

クラシック音楽業界は市場規模が比較的小さく、既に成熟産業で、のびしろはさほどない。
ロックやポップスなどに比べると流動性は乏しく、競争は決められた枠の中でしか行われない。
規模が小さく成長が期待できい成熟産業で過当競争を繰り広げるよりも、ある種のマナーによって競争を抑制し、確かな利益を享受し合った方がよいと考えることができる。
この手の業界は既得権益を守ることが重要であり、そのための階層構造がしっかりと出来上がっている。
有名コンクール、評論家、etc...。
それが可能なのも、音楽というものは大変に感性的なものであり、定量化できないものだからだ。
同じ人が同じ楽曲を聴いても、その時の気分によって感じるものが変わるように、音楽の評価などというものは定性的に成らざるを得ない。
評価は全て定性的なものになるため、その信頼性が問題になる。
信頼を得るために、定性的なものを、できる限り定量的にみせることが行われる。
ここに既得権益ビジネスの付け入る隙がある。
長年の技術の蓄積による高度化と複雑化で、専門教育を受けた人でなければ、定性的評価を定量的に見せかけるために技術的要素の真贋を判断できない。
あとは、この専門性を権威化することに既得権益層の利害が一致すればよい。
利害の相反関係が崩れない限り、クラシック村は安泰である。
あとは、市場規模が縮小しないように芸術教育に投資するよう公共機関に働きかけたり、たまにスターを輩出したりすることが行われる。

クラシック村からすれば、普段クラシックを聴かないような層に合わせて流行を追うよりも、秩序を守ることの方が重要だ。
それが利益を守ることにつながるからだ。
だから、その秩序を壊すものは嫌われる。

彼女は不運にもクラシック業界でスターになるチャンスを逸したが、
むしろそれがイノベーションにつながったかもしれない。
彼女の音楽は、専門的知識を有しないにわかクラシックファンに受け入れられ、大ヒットした。
クラシックに深くコミットしない層を巻き込んでのセンセーションなので、これは新市場型のイノベーションといえるだろう。


この構図はワインでいうところのイエローテイルと同じだ。
http://www.sapporobeer.jp/wine/yellowtail/index.htmlワインというのはラベルやウンチクが大切で、お高くとまった既得権益層の連中を満足させないと評価されないし、そこで評価されることが重要である。
高級路線はクラシックと同じ既得権益ビジネスで、低級路線は大量生産によるコストダウンの2極化である。
タンニンだなんだといった指標が重要なのであるが、ビールを好む人には適さないかもしれない。
そんな中、オーストラリアのイエローテイルが新市場型のイノベーションを起こした。
飲みやすく親しみやすいワインを開発したのである。
この会社は瞬く間に全米No.1ワインメーカーになった。
ワイン市場は成熟産業で成長の余地はないと思われていたのにだ。
成功の理由は、普段ワインを飲まない層を取り込んだことである。


とまぁ、眠い中つらつらと書いたわけだが、既得権益っていうのはイノベーションにとっては美味しい餌だったりするのだ。
確認もせずに感覚的に書いているので細かい数字を割愛しつつ、ところどころ間違っている可能性は有りでございますのでご注意ください。

秋元康氏がWBSに出演して世界戦略を語る

2011-08-24 23:58:17 | ビジネス
・・・はずだったが、何も語っていなかった。

キャスターとおしゃべりしただけ。

世界戦略を語るには時間が短か過ぎた。

そして浅い。

番組側が調査していないのが明らかだし、パッションがなさすぎる。

もったいない。実に。

ただ、秋元氏の卓見性は相変わらずだった。

それだけは確認できた。

プラットフォーム競争についての特別講義

2011-08-23 18:52:39 | ビジネス
プラットフォーム戦略に勝利する『決め手』 (風観羽 情報空間を羽のように舞い本質を観る)
http://d.hatena.ne.jp/ta26/20110821

なるほどね。
気持ちはわかるけれど、違いますね。
プラットフォーム競争というのは、そういうことではありません。
私は違うことを考えているので、ちょっと説明しましょう。

個別の話題ではなく、プラットフォーム戦略の本質論について語りましょう。

プラットフォーム戦略とは、

如何に自分は競争しないで、皆を競争させるかという戦略。

です。

広い意味では、例えば地球がプラットフォームですよね。
地球というプラットフォームの上で無数の生物達が競争しているわけです。
でも地球と、その上で生きている生物は競争していないですね。

国家も一つのプラットフォームですよね。
国家間の競争や反国家権力で闘う人々はおりますが、基本的に国民は国家と競争するのではなく、国民同士が競争します。
(グローバリズムの中では民間の活動は国家の枠組みを超えて活動しますが)

会社も一つのプラットフォームですよね。
会社間での競争や労働組合などで闘う人々はありますが、基本的に会社員は会社と競争するのではなく、会社員同士が競争します。

学校も、家族も、地域コミュニティもプラットフォームですよね。

技術や、標準化された規格もプラットフォームになり得ます。

通貨、これは代表的なプラットフォームですね。

いろいろと例を挙げてみましたが、プラットフォームの要諦とは何でしょうか。

つまり「如何に自分は競争しないで、皆を競争させるか」のポイントは何か。

それは、「脱意味化」と「意味化」なのです。

脱意味化:競争しない意味を与える(競争する意味をなくす)
意味化:競争する意味を与える

自分は競争しない ⇔ 相手から競争する意味をぬく
皆を競争させる ⇔ 皆に競争する意味を与える

特定の目的のために脱意味化と意味化を行うことがプラットフォーム戦略なのです。
(戦略=政策(目的)を実現する手段)

だから、プラットフォーム戦略の本質というのは理念であり、コンセプトであり、物語なのであります。

時にそれを信用と呼んだり、ブランドと読んだりするのです。

その信用を担保する力を、どう構築するか、それがビジネスモデルです。

人は心で支えあい、 未来は志で支えあう

2011-06-28 17:46:17 | ビジネス

「JIN-仁」は見てなかったけど、たまたまモーラで『いとしき日々よ』が気になってクリックしたら、その紹介文に感動した。


「時代はいつも名曲を求めている。」

日本が世界に誇る稀代の美メロウ・シンガー平井堅の甘美な歌声による、切なさと心に染みるメロディーが印象的な極上の名バラードと空前 のヒットを飛ばすこと間違いなしの最大級のタイアップによるコラボ・シング ル。
音楽チャートの上位を占めるアーティストを見れば一目瞭然、音楽と の付き合い方が劇的に変化し、音楽への欲求までも低くなった印象すらある昨今。
これまで、時代と共に名曲が生まれ、そして今でも人は無意識に歌に感動を求めているはずです。J-POP史を語る上で、平井堅の珠玉のバラ ード「瞳をとじて」は、映画主題歌でありながら"音楽も主役"という結果を残した稀有な作品として紹介されますが、その社会現象にもなった"セカチュー・シンドローム"から早くも7年。平井堅が2011年の代表曲、そして平井堅の新たな代名詞となるであろうこの名曲とTBS開局60周年記念 日曜劇場「JIN-仁-」主題歌というタイアップによって、音楽との関わりが薄くなった人々に再び音楽のキラキラとした存在感を示してくれるでしょう。
平井堅の想いから生まれ、発せられる、切なくも未来への遠大な希望を含んだこの楽曲は、今の時代を取り巻く空気と我々のこころを震わせる、日本の宝物になるに違いありません。


人々は、音楽を求めているんじゃない。

音楽が与えてくれる感動を求めているんだ。

私は、音楽から教えられたものがたくさんある。

学校の授業より、ずっと人生のいろんなことを教えてくれた。

寂しい時や悲しい時、不安に打ちひしがれる時も、そっと傍にいて励まし勇気付けてくれる。

怒り狂っている時も、そっと大事なものに気づかせてくれる。

音楽でしか伝えられない感動がある。

だから音楽屋は音楽をやるんじゃないのか。

人々は音楽を必要としていないんじゃない。

皆が、それだけをモチベーションに音楽について追求したら、皆が自分にやれることに一生懸命になったら、昨今の音楽業界を取り巻く問題も、解決できると私は信じている。

それは、これまでの音楽とは違うかもしれないけれど、音楽がそれ自身の目的を果たすこと、それこそ皆が求めていることだろう。

今学ぶべきソニースピリッツ

2011-06-16 13:30:52 | ビジネス
昨日のエントリ(『AKB48躍進の理由』) でソニーの盛田昭夫氏の言葉を取り上げたのだが、久しぶりに盛田語録を読みたくなった。

若い方はご存知ないかもしれないが、ソニー創業者の一人である盛田昭夫氏は、あのマイクロソフトのビル・ゲイツやAppleのスティーブ・ジョブスが憧れる人物である。
AppleやGoogleの企業理念に惹かれる若者が多いと聞くが、実はほとんどソニーのコピーもしくはその域を出ないものである。
ソニーが輝きを失ったため、もう注目されることもなくなったが、ソニーの設立趣意書は読む価値のある代物である。

私なんかにとってはムネアツである。ジ~ンとくる。
ソニーの設立趣意書に述べられている「基本理念」は書籍『ビジョナリーカンパニー』にも取り上げられるほど気高いものだ。
ソニーの最大の敗因はこの基本理念を見失ってしまったことだ。

東京通信工業株式会社設立趣意書 - 井深 大
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html

(太字強調は当Blogによるもの)

会社設立の目的


一、 真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設

一、 日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発なる活動

一、 戦時中、各方面に非常に進歩したる技術の国民生活内への即事応用

一、 諸大学、研究所等の研究成果のうち、最も国民生活に応用価値を有する優秀なるものの迅速なる製品、商品化

一、 無線通信機類の日常生活への浸透化、並びに家庭電化の促進

一、 戦災通信網の復旧作業に対する積極的参加、並びに必要なる技術の提供

一、 新時代にふさわしき優秀ラヂオセットの製作・普及、並びにラヂオサービスの徹底化

一、 国民科学知識の実際的啓蒙活動


経営方針


一、 不当なる儲け主義を廃し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の大を追わず

一、 経営規模としては、むしろ小なるを望み、大経営企業の大経営なるがために進み得ざる分野に、技術の進路と経営活動を期する

一、 極力製品の選択に努め、技術上の困難はむしろこれを歓迎、量の多少に関せず最も社会的に利用度の高い高級技術製品を対象とす。また、単に電気、機械等の形式的分類は避け、その両者を統合せるがごとき、他社の追随を絶対許さざる境地に独自なる製品化を行う

一、 技術界・業界に多くの知己(ちき)関係と、絶大なる信用を有するわが社の特長を最高度に活用。以(もっ)て大資本に充分匹敵するに足る生産活動、販路の開拓、資材の獲得等を相互扶助的に行う

一、 従来の下請工場を独立自主的経営の方向へ指導・育成し、相互扶助の陣営の拡大強化を図る

一、 従業員は厳選されたる、かなり小員数をもって構成し、形式的職階制を避け、一切の秩序を実力本位、人格主義の上に置き個人の技能を最大限に発揮せしむ

一、 会社の余剰利益は、適切なる方法をもって全従業員に配分、また生活安定の道も実質的面より充分考慮・援助し、会社の仕事すなわち自己の仕事の観念を徹底せしむ。


今学ぶべきソニースピリットとは何か(市川覚峯)
http://www.jmam.co.jp/column/column12/1188275_1513.html

[...]

 「単にユニークな製品を作り出すだけでは、そして特にそれで良しとしてしまっては、本当のインダストリーとしての成功は達成できない。発明発見は大切なものである。しかし忘れてはならないことは、それをどうビジネスに結びつけていくかということだ」
 「われわれのビジネスに対する基本的態度は、何か新しいテクノロジーを開発したら、とにかくすぐに、それで何か作りたいと考えるところにある。発明や発見は、ただ感心したり、それを学問上の成果とだけ考えて終わってしまったら、それは誰にも利益をもたらさない」(『メイドインジャパン』より)

[...]

 盛田氏は研究開発だけで会社が繁栄すると思うのは錯覚以外の何ものでもないと警告している。大事なことは、発明をビジネスに結びつけることなのである。
 「われわれは学者ではない。学者ならば早く発明した人が偉い。早くイノベーションできた人が偉い。しかし、われわれはビジネスマンです。だから発明することを競っているわけではない」
 つまり、発明することが大事なのではなく、発明したものを製品化して売り出すことが大切だと訴えているのである。

[...]

「会社というのは、いちばん簡単にいうと、つぶれる可能性がある組織だということである。」

[...]

会社創立の目的は、第1に「技術者達が技術することに喜びを感じ、その社会的使命を自覚して、思い切り働ける職場をこしらえる」ためだという。第2に「日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発な活動」であり、第3に「非常に進歩したる技術の国民生活内への即時応用」となっている。
 次に経営方針であるが「不当なる儲け主義を排し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の拡大を追わず」「技術上の困難は、むしろ歓迎し、量の多少に関せず、もっとも社会的に利用頻度の高い高級技術製品を対象にする」と述べている。
 さらに「いっさいの秩序を実力本位、人格主義に置き、個人の技能を最大限に発揮せしむ」ことを目的とした。
 日々の資金繰りや会社の運営に追われながら、設立趣意書にこれらの崇高な価値観や目的意識を盛り込んだ井深、盛田両氏は素晴らしいと言わざるをえない。この理念は現在でもなおソニーで受け継がれ、ソニーの人々の心のよりどころとなっている。

[...]

 盛田氏は40年後に、この理念をより洗練させ「ソニースピリット」として全社に揚げた。それは次のようなものである。

 「ソニーは開拓者、その窓はいつも未知の世界に向かって開かれている。人のやらない事、困難であるがために人が避けて通る仕事にソニーは勇敢に取り組み、それを企業化していく。ここでは新しい製品の開発と、この生産販売のすべてにわたって、創造的な活動が要求され、期待され、約束されている。そして開拓者ソニーは、限りなく人を活かし、人を信じ、その能力を絶えず開拓して、前進していくことをただ一つの生命としているのである」


[妄想]デジタル技術の力で人類をエンハンスする「美人に見えるコンタクトレンズ」

2011-05-23 12:45:03 | ビジネス
クリエーションの時代』の続き。

「整形」について。
私自身は「整形」について肯定もしなければ否定もしません。
整形に対する有効な反論に遭遇した試しもありませんし。

芸能人が整形したかどうかで批判されますが、私は別にいいと思っています。
たとえばAKB48の板野友美さんについては整形疑惑が語られていますが、私自身どちらでもよいと思っています。
やってよければやってよし。というレベルの認識です。
外科手術がよくて整形が駄目というのもよくわかりません。
また外見でコンプレックスを抱いて生きている人には、ぜひやってもらいたいと思います。
「コンプレックスから逃げたら駄目だ!」といって精神論的な批判をする人もいるでしょうけれど、私自身、私はかなりスピ系ですが、そこまでマッチョにスピリチュアルを追求する必要はないと思っています。

では「発毛」についてはどうでしょうか?
もし自毛発毛技術が確立されたら、利用するでしょうか。
私は大いに利用するべきだと思います。
ただ、誰でも自由に発毛できることになったら、むしろハゲが個性として認知される社会になるのかなと思ったりもします。

アダルトビデオの写真に詐欺レベルの補正かかっているのは以前からですが、もはやプリクラだって詐欺レベルの画像補正が普通の世の中です。
何が現実かってことすら意味のない問いになってきています。
写真撮る時にライトあててシワを飛ばすのは許せて、目を少し大きくするのは許せないという理屈もよくわかりませんし、実際違いなんかありません。

世の中の女性に聞いてみてください。
「写真で撮った自分の顔が見たいか?」って。
誰も「見たくない。」っていいますよ。
多くの女性が年を取った自分の顔を認めたくないと思っています。

何度も繰り返し書きます。

人間は、見たいものを見、聞きたいものを聞き、考えたいことを考え、信じたいものを信じている

見たいのは現実なんかではなく、見たい自分です。

さて、この発想を逆から捉えた時、私は近い将来ある商品がヒットする予感がしています。

彼女/彼氏や妻/夫が「美人/美男に見えるコンタクトレンズ」です。
コンタクトレンズに画像処理技術を搭載して、特定の人の顔を好みのタイプに補正してくれるのです。
まさに現実版「愛しのローズマリー(20世紀Fox)
(私は当時この映画を見て腹筋がつるほど笑いました。実に素晴らしい映画です。)
人生バラ色になると同時に、愛に溢れた生活をおくれることでしょう。

素晴らしいアイディアだと思っています。
これなら整形する必要すらありません。
形は変えてません。見え方が変わるだけです。
こうなってくると相手を外見ではなく、健康などの生体情報を見て選ぶことになるでしょう。
生物学的に見れば実に人間をエンハンス可能です。

だって、いつもみんな「人間は見た目より中身」と言っているじゃないですか。
だから外見の条件をデジタル技術の力で取り外し、純粋に中身だけで勝負できるようにしてあげるという話なのです。

クリエーションの時代

2011-05-21 02:53:39 | ビジネス
夜中の適当エントリです。

「デジタル革命」なんて言葉は既に古いけれど、第2のデジタル革命はこれから訪れると思う。
クラウドの発展と無関係でない。
要は圧倒的なコンピューティング・パワーがどこに向かうのかという話だ。
むしろ、ようやくコンピューティング・パワーを活かせる時代になってきたという見方がより正しいかもしれない。
パワーとアルゴリズムがあっても、そこに入力する情報が不足していたのでは話にならないわけで、その情報がどこから来るかといえば、ハードが必要だ
ソフトの進化とハードの進化は切っても切れない関係なのだ。

で、私が考えるデジタルの本質は「クリエーション」だと思う。
創造できちゃうところ。
単純に考えると

「記録」→(クリエーション)→「再現」→(クリエーション)→「デコる」

の流れは起きると思う。
もちろん長期的にはもっと大きな変化は起きていくだろうけれど、これは中期的な話だ。

「それってバーチャルじゃないか」って指摘は正しい。
そうバーチャル。
デジタル×インターネットの時代に何が語られていたかというと、「バーチャルとリアルの融合」なんてことだった。
私は全くしっくりこなかったのだが、今になってようやくその意味がわかる。
「融合」の受け取り方を間違えていたのだ。

「融合」の意味は、「バーチャルとリアルの距離が短くなる」とか「(よく聞く無内容なワード)有機的な結合」なんてことではなかった。
「融合」=「バーチャルとリアルの区別の意味がなくなる」という意味だったのだ。

どういうことかちょっと説明する。

世の中的に、ずっとバーチャル・コミュニケーションは結局リアルを指向していると言われてきた。
結局さ、人間ってリアルが欲しいんだよってある種悟った意見が支配的だった。
だけど、今振り返ってみると、全然的外れな意見だと思わざるを得ない。
人が求めているものはバーチャルやリアルという次元では語れないものだったのだ。

韓流は流行るしアダルトサイトは消える予兆もないし、アイドルやゲーム、2次元ファンは腐るほどいる。
一般的な俗説は、そういうものは現実に合わせた妥協的産物なのであって、本当の欲求を誤魔化すためのものにあるとする。
馬鹿げた意見だ。
韓流アイドル追いかけている人が妥協でDVD買っているのか。
違うだろう。
それ自体が目的になっているのであり、リアルかバーチャルかなんて区別はどうでもいい話だ。

それもそのはずで、人間の脳の中で現実と仮想の区別はない。
全てが同じ次元の事象として認識されている。
「私は彼と本当は付き合いたいけれどコンサートで我慢しています。」なんて言う人いないだろう。
(私は妄想族なのですごくよくわかる。妄想族は妄想を現実としてみる。)

つまるところ、リアルもバーチャルもメディアでしかないのだ。
だからプリクラは進化して画像処理するまでになった。
プリクラを使う彼女らにとって写真が100%現実かどうかなんてことはさほど重要でない。
よく考えたらアイドルのグラビアだって画像処理されているのが普通だし、整形も一般的に行われている。
今のプリクラで撮った写真を交換すること考えたら、多分行き着く先はアバターだ。
こうなってくると実名か匿名かみたいな議論なんてあまり本質的でなくなってくる。
どっちでもない都合よく処理された自分を欲するようになるだろう。
そもそも人格すらペルソナ的観点で考えれば仮想なのだから、やはりリアルかバーチャルかなんて道具でしかないのだ。

この議論を突き詰めていくと、もうずっと前から人間って何に動かされて生きているの?っていう話になってくる。
世の中的には、生存欲求だとか種の保存だとか言われているが、そんなこと考えると生物学的な欲求に支配されていると言いたくなってきて、リアル指向にいってしまう。
多分、ここに分水峰があるのだろうと思う。
もし、生物の根源的欲求が生存欲求でも種の保存欲求でもなかったら?と考える。
リアル指向って実は手段でしかないのかもしれないという考え方の選択肢が出てこないだろうか。
私はもう何年も前から生存欲求なんか表面的なものとしか思っていないから、リアル指向的発想はとうに捨てているのだが、まぁ多くの人には受け入れがたいことなのかもしれない。
でもあえて言っておくと「知的好奇心」に勝る欲求はないのだ。
生きるのも子孫を残したいのも「知的好奇心」を充足させたいがためである。
まぁ細かい話はここでは避けるが、そう考えると、リアルもバーチャルもメディアであり手段でしかないという発想を理解できるのではないだろうか。

話を戻す。

人間は結局リアル指向なのさと思うと「リアル指向のバーチャル技術」を考えてしまうけれど、私のようにそうでないと思う人は「リアルとバーチャルの区別をなくしていく技術」を考えるようになると思う。
リアルなんて指向しなくていいんだよ。
都合のよい自分で都合のよいコミュニケーションがとれればそれでいいんだ。

そういう観点からすると、これからはデジタル技術によるクリエーションの時代がくると思うんだ。


拡張現実というのはいい線いってる発想なのだけど、もともと人が認識している事象は拡張された現実で、それを技術の力でエンハンスしようって発想だとより正しい気がする。

技術が社会を規定する。
それは人の潜在的に閉じ込められた感性を技術が解放するからだ。

まぁ夜中の弱った頭で考えたかなり適当な論考なのだけれども。

ソニー無念の情報漏えい ピンチをチャンスに変えれるか

2011-04-28 17:20:08 | ビジネス
ソニー、ハッカーとの暗闘
http://s.nikkei.com/k9dXqq

ソニーの個人情報流出、繰り返される日本企業の稚拙な情報開示 | Reuters
http://t.co/fbx6Yhn

これまでハワード・ストリンガーが無内容に「ネットワーク」と叫び続けても許されたのは、Sonyのネットワーク戦略の中核にあるのがPSN(PlayStation Network)だったからである。PSNは、日本でこそたいしたユーザ数を確保できていないが、世界に目を向ければ世界有数の"成功している"ネットワークサービスである。なんといってもPSNのアドバンテージは、PS(PlayStation)であろう。世界的に普及しているPSをインストール・ベースに持つPSNは、大規模なプロモーションなしに、それだけで潜在顧客を持つことができるのだ。また、PSプラットフォームはAppleのiOsやGoogleのAndroidに対抗し得る数少ないSonyの武器でもある。原因が何であれ、そのPSNが情報漏えいしてしまったとあっては、Sonyのネットワーク戦略が大きく躓いたことを意味する。

今こそリスクマネジメントだ。このピンチを生かして明日の信頼を構築するチャンスだ。原発は現在進行形で失敗中だし、最近ではトヨタもリコール問題で大きな痛手を負った。果たしてSonyは成功するかどうか。

危機管理の教材として使われるのが米国ジョンソン&ジョンソン社の「タイレノール事件」(http://p.tl/M3np)。適切な対応によってJ&Jは逆に事故後に信頼を得た。当時、J&Jにマニュアルは存在していなかったが、やり遂げた。危機管理とは何たるものかを教えてくれる事件だ。

理不尽と感じるかもしれない。J&JだってトヨタだってSonyだって、当事者であると同時に被害者なのだ。福島第一原発だって東電は当事者でもあり同時に被害者の一部だ。

しかし、理性と感情は違う。論理がいくら正しくても、科学的に正しいと証明しても、感情を完全に制御できるとは限らない。だから、危機管理というのは感情に訴えることでもある。理不尽であるが、危機管理とはそういう理不尽を管理することでもあるのだ。その代わり、このピンチはチャンスに変えることが可能だ。理不尽極まりない感情的な問題だが、この対応に成功すれば、感情的に支持を得ることができる。人間がとても感情的な生き物であるからこそ起きるピンチであり、その一方でチャンスでもある。

さて、どう出る。

ハリウッドでテープ買占め騒動

2011-04-05 10:09:33 | ビジネス
仙台にあるSonyの工場が津波でやられたことで、テープの供給がまずいのでは?という話は聞いていたのだが、ハリウッドで影響が出ているそうです。
面白いことに、映像業界がなかなかデジタル化しないのは、デジタルの方がコストがかかるという直感に反した理由があるそうです。
映画スタジオがマスターを保存するのに、テープだと1,050ドルなのに対し、デジタルにすると12,500ドルもかかるそうだ。

日本震災から影響受けてる意外な業界=ハリウッド(Murray Hill Journal)
http://wholekernel.blogspot.com/2011/04/blog-post.html


プロダクション後のサービスでビデオテープを使う、LaserPacific Media Corpのエグゼクティブ、ビル・ミセット氏は「飲み水の買い占めのためにスーパーにあせって買いにゆく、あれと似た状況だ」と言う。(略) 米テレビのリアリティショー番組の多くが日本製のテープに依存している。映画スタジオでも映画の撮影やマスター・コピーの保存のために同様のプロダクトを使っている。(デジタルによる保存方法は年々増加傾向にあるものの、我々の直感とは裏腹に、映画のデジタル・マスター保存にはよりコストがかかる。テープ方式によるマスター保存だと映画一本で年間保存コストは$1,050しか掛からないのに対し、デジタルマスター方式だと年間$12,500もコストがかかるのだ。)

震災でも日米の構想力の違いがよくわかる

2011-03-21 12:53:14 | ビジネス
アメリカ第7艦隊(US7thFlt)のTweetによると


空母ロナルド・レーガンの画像分析者が、艦載機であるF-18が上空から撮影した45,000枚以上の被災地の写真をチェックし、見逃したSOSサインなどがないかの確認作業を行いました。


このITを駆使するあたりが何ともアメリカらしいというか・・
人手でやると人海戦術になり、かつ正確性が落ちる作業を、テクノロジーを使ってどうやって実現するか。
普段から感じていることだが、こういう問題解決力、つまるところ広い意味での構想力の違いが、日米で激しい。

技術力の違いではなく、構想力の違いなのだ。

PASSPO(ぱすぽ) を見て感じた生の重要性

2011-02-28 10:33:41 | ビジネス
ぱすぽ☆オフィシャルサイト
http://passpo.jp/

横浜在住なので、休日は横浜近辺にいることが多いわけですが、ここ2週間はみなとみらいにいました。
(その前は野毛山動物園に10週連続くらいでいました)
最近は日産本社がやってきたり、いろんな商業施設ができてきたのですが、私は古い人間なので「みなとみらい=コスモワールド」という図式が成り立つ人なので、飽きもせずコスモワールドにいたわけです。

すると、2週連続で「PASSPO」という旅をテーマにした10人組のアイドルグループのコンサート&握手会などをやっているじゃありませんか。
失礼ながら私は「PASSPO」なるグループを知らなかったのですが、実際コンサートが始まるとそのパフォーマンスのレベルの高さに驚きました。
歌やダンスの質の高さもさることながら、ステージの上に立つ彼女達が"表現者"としてプロフェッショナルであろうとし、そのために大変な努力をしているのであろうことが、彼女達のことを何も知らない私でもその場にいてすぐにわかりました。
細かい動きや視線、息づかい、場の雰囲気、またファン達ステージを見つめる人達への彼女達からの気づかいなど、TVやネットだけ見ていては気づけない、歌やダンスだけに還元できないそのアーティストの魅力というのが、実感として理解できました。

彼女達がブレイクするかどうかは別として、生で見る彼女達のパフォーマンスの質はプロだと思いました。
プロフィールを見るとまだ20歳以下ということがわかったのですが、自分が20歳の時などのことを考えると恥ずかしくなります。

それにしても、おそらく、TVやネットだけで「PASSPO」を見ていたら、私は彼女達に何の魅力も感じなかったでしょう。
現に、彼女達のオフィシャルサイトやブログを見ても、良さがいまいちわかりません。
他にもアイドルは山ほどいるからで、違いが出にくいのです。
だから、多くの場合は、どの程度プロモーションに投資するかによって大勢が決まってしまうものです。

でも、生で見てみると、わからなかった魅力に気づくものです。
他との違いではなく、そのものの価値や魅力に気づけるのです。
TVやネットでは伝えることのできない魅力がそこにあるからです。
(だから直接行って感じる例えば旅行もなくなりはしない)

逆にTVやネットでは、そのものの価値や魅力に気づけないからこそ、他との差分が非常に重要になってしまいます。

TVやパッケージメディアが凋落し、ネット全盛の時代と言われますが、そういう状況だからこそ、こういう生の情報を伝えていくか、マーケティングでは、これを考えていく必要があるでしょう。
生の感覚を得る機会をどうやって増やしていくか、そういう意味ではAKB48のビジネスモデルは間違っていないと思うわけです。

まぁ結論はありきたりな話になってしまいましたが、人間というのは不思議なもので、こういう人の努力を感じると少し応援したくなるものです。