1999/7 西穂高-奥穂高-槍ヶ岳縦走①
夏山シ-ズン到来!梅雨も明けて すばらしい景色を期待しながら新穂高バスタ-ミナルに降り立つ。
登山計画書を提出し、新穂高ロ-プウェイ乗り場に急ぐ。
さすが観光地。ずらり行列が並んでいる。20分待ちで第一ロ-プウェイ、15分待ちで第二ロ-プウェイに乗る。 このロ-プウェイ。第一はすごい傾斜、第二はすごいスピ-ドで登っていく。鉄塔通過するたびにユラユラゆれる(乗客大歓声!)
ロ-プウェイの終点は「千石平園地」になっており、すばらしい景色の中散策を楽しめる。
樹林と笹の登山道
展望を一通りカメラに納めたら、 背丈ほどのササ原を登山道へと入る。
何にしろ今日は西穂山荘までの行程だ。
意識しながら、思いきりゆ-っくりと みずみずしい樹林の道を歩く。
賑わう西穂山荘
1時間ほどで山荘が見えてきた。
ちょうど森林限界に立っている為、焼岳、上高地、笠が岳など 景色が良く嬉しい。
早速テン場の受付を済ませ、設営。受付の際に聞いたのだが、このあたりで クマの目撃情報が多いようである。今の所、被害はないが気をつけるよういわれた。
さて、後は気ままに過ごそうか。
賑わう山荘の片隅で本を読んだり、植物の写真を撮ったり、 独標手前のピ-クまで行ってみたり。
一気に高度を上げた影響でちょっと頭痛がしたけれど、日没の頃には治まった。
お花畑から西穂を望む
風がテントをたたいている。
ネボケ眼で外を見る。月明かりが眩しいくらいだ。
時間は2:30。出発予定が 4:00だからもう一眠りだ。
と気がつくともう4:20。慌てて朝食を摂りながらの 撤収。結局55分の遅れ。
しかし山道では慌てないよう言い聞かせながらいつものようにゆ-っくりと 歩き始める。
1時間ほどで独標に到着。
今日も好天かなと思いきや、西穂高岳より北は ガスがかかり始める。
ガスの出始めた西穂山頂
独標から1時間ほどで、西穂高岳に着く。
先ほどのガスは確実に近づいてきている。
山頂ではガスにたたられてしまった。
う-ん残念。ここで一休み。
さてこれから先が難所続きの稜線だ。
ここで帰るパ-ティ、先に進むパ-ティちょうど 3組ずつ。帰る方々に見送られながら、先に進む。
間の岳手前のガレ場を通る
ちょっと進むと向こうから誰かやってくる。 ???。
話を聞くと昨日、間ノ岳手前でビバ-クの末引き返してきたとの事。
元気で何よりだったが、それ以上に自分自身にその出来事を投影してしまう。
ここで更に気を引き締めさらに先へと進む。
間の岳山頂
間ノ岳へは西穂高岳から1時間20分かかった。
話で聞いてはいたが、山頂前後がかなりの悪場。
浮き石が多く、かなり 気を遣いながら一歩一歩どうにかたどり着いた。
さらにル-トが不明瞭な事、またル-トを少しでも外そうものなら 「蟻地獄」ならぬ「浮き石地獄」。
要注意区間である。
間の岳から見た逆層スラブ状岩壁
さあ、ガイドブックに必ず出てくる 「逆層スラブ状岩壁」が目前に迫る。
逆層スラブ状岩壁を見上げる
確かに辛そうな岩壁であるが、クサリもあるので見た目以上に辛くない。
そこを登り切れば天狗岳山頂だ。
天狗岳山頂
天狗岳の前後で奥穂からの登山者と 擦れ違う事となる。
ちょうど中間点になるようだ。
しかし天狗岳を過ぎてから、しばらく岩壁と格闘するもその頂が見えてこない。
この頃から、常に3点確保を意識しながらの急登の為、下半身はともかく、 上半身が疲れてきた。
独標から強くなってきた風の影響もあるのだろう。
ジャンダルムと思っていたロバの耳ようやく空が広くなり、頂に近い事を知ったのは天狗岳から2時間後の事だった。
平らな岩の頂に立つとガスの向こうに峻立する岩峰が・・・・・2つ。
瞬間、ガスが晴れる。この手前のピ-クが、ジャンダルムなのである。
しかし、致命的失敗!!!
「ジャンダルム」を「コブの頭」、「ロバの耳」を「ジャンダルム」と、とり違えて、 ジャンダルムの写真撮らずに来てしまった!!!(我ながら情けない・・・)
ウマノセ上部の稜線そうとも知らず「ジャンダルム」「ロバの耳」を慎重に慎重に通過、 奥穂高岳直下「ウマノセ」にしがみつく。
ほんとに切れそうなナイフエッジ を最後のひと踏ん張りで登るとそこが奥穂高岳山頂。 奥穂高岳山頂はもうそこだ
祠の石垣、「テレビで見るより小さいな」などと思いつつ記念撮影。
しっかりした踏み後の登山道を下ると穂高岳山荘。
西穂高岳で知り合った方が10分ほど後に到着。お互い顔を見合わせ笑みがこぼれる。
帯同したことで、気持ちが通じているのだ。
そして”熱い握手”。嬉しさがこみ上げてくる一瞬だ。
こんな人と人の心の交差点。これがある限り”山”は止められない。
sak