acc-j茨城 山岳会日記

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奥利根・楢俣川先ノ沢

2019年09月05日 00時31分18秒 | 山行速報(沢)
2019/8/30 奥利根・楢俣川先ノ沢

沢登りにはどこかしら、遊びゴコロが必要なもの。
美味しい沢登のプランに様々な素材を求めてしまうのは、癒し系沢登にありがちなこと。

しかしながら、午後から天候は下り坂。
本当はノンビリ遡行といきたいところだけど、午前中の好天を捕まえて山頂まで抜ける計画。

癒し系とは言え、流程も遡行高度もそこそこあるので、同行のakiさんに覚悟のほどを聞いてみる。
akiさんは水根沢に次いで、今回が2度目の沢登。

答えは”GO”
肚は決まっていたようだ。

癒し系なのに、心持ちは臨戦態勢。
さあ、これが本当の沢登り。
akiさん、楽しんでいきましょう。
 
 
朝焼けの奥利根

予定を前倒しして、4:30の出発。
ゲ-ト前に駐車して、舗装路を歩く。
「せんのさわはし」まで来てから、装備を付ける。
 
せんのさわはし

しばらくはゴ-ロ帯。
とはいえ、流れの煌きはさすが奥利根だ。
 
最初の滝場

最初の大きな釜を抱いた滝を過ぎると滝場が続く。
ロ-プを出すこともなく、水線を絡めて上ることができるので楽しい。

中流部は断続的にナメが続く。
これがつながっていたならば、まさに名谷となったことだろう。
 
中流部のナメ

容易ではあるものの、次から次に滝が現れる。
一説には”千ノ沢”ともいわれるとかなんとか。
崩壊地を左に見ると、しばらくで大滝。
高さでは先ノ沢最大の滝であろう。
小さく左岸から巻いて、滝上で小休止。
 
 
大滝

四ノ沢を合わせると、水量も減って源流の様相となる。
しかし、目指す笠ヶ岳はまだ見えない。
 
源流域

沢沿いのヤブがうるさくなってくると、岩稜帯が望める。
でも、まだまだ遠い。
こちらは大きく割れている方の大岩
 
こちらが正解

1830m付近の大きく割れてない方の大岩(それらしいのが2つあるので注意)から踏み後を追って尾根に向かう。
途中踏み後を見失うが、上へ上へ目指していくとすぐにヤブ丈は低くなる。
そこから左に見える草付きへトラバ-ス。
草付きはそこそこ傾斜もあるけど、スタンスを拾いながら行けば問題はない。
このあたりから、周りはガスで覆われる。
 
草付きの登り

左に見える灌木の尾根へは岩を登る。
この灌木の尾根は、時に空中戦を交えて苦戦するが、先に見える岩稜基部まで距離は幾らもない。
岩稜基部にたどり着くと、ここで風と小雨。
雨具を着込んで、岩稜帯を行く。
 
岩稜帯

この岩稜帯は岩と藪とお花畑で構成されいて、とても楽しい。
好天なら、尾瀬の山々、谷川の山々も一望できることだろう。
 
山頂が見えた

噛みしめるように尾根を詰めれば、笠ヶ岳の山頂標識が見えてくる。
ダイレクトに山頂へと詰めあがるのは、沢登の醍醐味。
何も見えない山頂だけど、akiさんと二人で記念撮影。
お互いの健闘を称え合う。

ここからは、登山道を行く。
この笠ヶ岳周辺は何度来ても素晴らしい。
人気のなさ、野趣あふれる草原と池塘。
 
蛍池

片藤沼や蛍池など、思わず一泊したくなるようなシチュエ-ションだが、ここは湯ノ小屋方面へと長い下山を覚悟しなければならない。
しかし、人気のなさとは裏腹に整備が行き届いており(時に倒木はあるものの)登山道は平和だ。

下山途中、土砂降りになっても平和なのだ。
大体、土砂降りの中で温かいス-プが飲める幸せったらない。(akiさん、ごちそうさまでした。)
二人して濡れネズミの下山も、充実感と満足感でいっぱいなのである。
 

山行の終わり方だけで、その山は語れない。

あの流れのきらめきとしなやかさ。
快適に登れる岩稜の片隅に可憐な梅鉢草。
あとは少しの藪漕ぎ。
仲間の覚悟と頑張りにも感謝。

このくらいが丁度いい。
湯ノ小屋の出湯につかりながら、今日という日を思う。
 
sak