赤谷川本谷
「山に行ったらお月様をみてね。きっと笑っているから。」
娘の言葉が耳に残った。
子供ながらに風流なことを言うようになったなぁと歓心。
山行前夜、十五夜お月様はやさしく微笑んでいるように見えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/2d/0af89094a2841a9042cbaab9ed0d7706.jpg)
入渓点
白毛門登山口で東京のARさん夫妻と合流、1台をデポし川古温泉へ。
赤谷川を目指し林道をヘッデンで行く。
入渓点でヒル退治。
スパッツの奥深く、1匹に喰われていた。
いったいどこから入ったんだろうと驚く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/cc/f96f81e6d40862db69cae65900bb6ee0.jpg)
マワット下ノセン
マワット下ノセンは右岸を巻く。
先日来た時に積んだケルンはそのままだったということは、大水が出ていないということだ。
実際、水量は少ない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/25/b6a95948c73ef957cec128d79c57c51a.jpg)
マワットノセン
マワットノセンも右岸を巻く。
前回チョット悪い草つきだったので、ルンゼをもっと登ってから灌木帯に入る。
安定はしていたが、降り口を見失う。しばらく行きすぎ、戻って滝上に出た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/89/e111a84d359ed78d965b31f12e3e22df.jpg)
ARさん
そこから巨石帯を行く。
大きな岩や隙間を縫ってクライミング。アップにはちょうどいいかもしれない。
途中から傾斜は増す。まるで巨石の積み重なった大きな滝にも見える。
おおむね右岸を行けば無駄はない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/71/5403da4afd73b4613bf80f97ae471687.jpg)
遠くに望む重鎮
遠くに裏越ノセンが見える。
水量によってその表情を大きく変えるそれは、赤谷の重鎮。
赤谷川本谷は大滝を4つ重ねる。
序盤のマワット下のセン、マワットノセンが門番となり、裏越のセンは本院。
そうして出てくるドウドウセンは、やはり奥ノ院。赤谷の本質がそこにはあろう。
それを越えれば、開けた美しい楽園のような光景が広がる。
とはいえ、4つの大滝は巻くこともできるから、人気が高い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/63/4e1e288fefc7f493c2865395bb53440c.jpg)
裏越ノセン
さあ、楽しいクライミングの時間だ。
裏越ノセンは左岸下部の草つきを一段上がってテラスへ。
そこでロ-プをつないで、バンドを行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/44/884df203fd948164b7421c17f0854ecd.jpg)
バンドを行く
1P
奥さんリ-ド。草つき岩バンド途中まで。草が茂っていて、岩も湿っているので慎重に。中間支点はキャメと細い灌木。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/3e/de0a101023f6c9f6b9ecb0d347cef9e4.jpg)
F滝上のクライムダウン
2P
sak。岩バンドをトラバ-ス、錆びた残置ハ-ケンを過ぎ、バンド終了点からクライムダウン。
足場は見えるけど、ヌメってそうでちょっと怖い。アングルハ-ケンを打ってスリングを垂らして伝い降りる。(ラストが回収)
降りたところに、つぶれたハ-ケン。3ミリスリングで支点利用。
F滝の落ち口へトラバ-スし水流をジャンプで超える。右岸テラスにハ-ケンを打ってビレイ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c7/a192d224d47c158c74f8e830618c97e2.jpg)
3P正面右からリッジを行く
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/4e/691f0ba1ce3fcbb2311cdf9e6b56e3bf.jpg)
E滝
3P
ARさん。正面リッジを右(滝側)から。
岩は乾いており、快適。途中フェ-スがあり、ここは左側から薮をつかんで、少々強引に登る。
さらに上に4mほどの垂壁。左から巻けばいいのだが、上の灌木にロ-プが掛かって左に振れない。
ここでちょいと苦労し、時間をロス。
垂壁を上がればテラスから右の水流沿いにトラバ-ス。支点構築はキャメ。
4P
sak。D滝落ち口へトラバ-ス。腰から下に飛沫を浴びて水流左、細かいスタンスをつないでいく。
そのうえは右リッジでも、左スラブでも行ける。ハ-ケンと薮支点でビレイ。
5P
一気に開放的な雰囲気。
ロ-プは解いて、スラブをペタペタ行く。
A滝は右のクラックをノ-ロ-プで終了。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/2a/ed3c0e2ece453a2dc756c67c8bd17e85.jpg)
A滝あたりは開放的
その上の滝は腰までつかって右テラスに上がってからトラバ-ス。
落ちるといやなので念のためロ-プを出す。
そこを越えると扇沢出合。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/77/a77cda13ffbabfd31fd5c23a5f111550.jpg)
今宵の幕場はあの岩より上の小さな台地
時間によっては、奥ノ院と意気込んでいたものの、タイムオ-バ-。
ここは冷静に、幕とする。
幕場は扇沢対岸。オニシダの台地を整地する。少し傾斜があるものの、増水しても安心。
少ない薪を集めてささやかな焚火とシンプルな食事。
沢風に身を委ねる心地よさ。
谷底から見上げる夜空の河に、ひときわ明るい不知夜月。
月明かりに照らされながら深い眠りに落ちていく。
明けて翌日は、ドウドウセンの高巻から。
いつか、きっと。この想いを次に繋げるために巻くべし。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/1a/76b80dec7abacdcf5d4c61d4b87c8962.jpg)
ドウドウセン上の河原が見えた
扇沢を登ってわずかで2段チョックストン。
その手前、右の草付に踏み跡。そこは小沢になっていて、いつしか薮頼りの強引な登りとなる。
尾根上に出たら右へと折れてその尾根を詰める。
途中、露岩がでたら左から巻いてから尾根に上がるが、このあたりシャクナゲが多く苦しい。この巻きの核心であろう。
尾根を伝っていくと、ドウドウセン上の河原が見える。
その河原に落ちていく支尾根へとトラバ-スし、河原に向けて草つきと灌木のコンタクトラインを降りていく。
河原に降りたら、ドウドウセン上部の見学が可能。
A滝とB滝は地下でつながっていてA滝の釜から水が流れ出ない。なかなかの造形に見惚れる。
河原から最初の8m滝を高巻けば、あとは癒しの沢旅だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/9e/a44edb482d50129c2585ca3a88ef0693.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/9c/f84419456b92400ff3c93921d7e1afb4.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/5a/9b60dad37d3527c278c14d7a38ed2476.jpg)
開けた光景に舌鼓。
笹原の山姿が美しい。草原の大地が眩しい。流れる水は清麗にして甘露。
ときに腰まで浸かる釜も困難なく楽しめる。
途中、一面の野苺。地球は美しく、かくも豊か也。そう感じる一瞬だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/3a/d3bb05c9bdd7294a6e29dde3118b7510.jpg)
野苺畑
奥の1:1は本流の左へ。途中の小沢を左へ行くと草原へ出た。
「わぁ-っ」と言って次の言葉が出ない。このフィナ-レはナカナカない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/82/aa2ae7e5e270b0287363e9d78cda077c.jpg)
草原に出た
草原の傾斜をスリップに注意しながら慎重に登り、笹薮に入るとものの1分足らずで登山道。
これは凄いねぇ、なんだかねぇ、と皆ニヤニヤしてしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/2e/8d551866e53f0fa9345dd134a4a5127f.jpg)
登山道に出た
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/73/4ce71b58cffc32dfc5cf82d780d7603b.jpg)
俎山稜
下山は谷川岳経由で。
下山後の温泉。立待月が微笑んでいた。
sak
「山に行ったらお月様をみてね。きっと笑っているから。」
娘の言葉が耳に残った。
子供ながらに風流なことを言うようになったなぁと歓心。
山行前夜、十五夜お月様はやさしく微笑んでいるように見えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/2d/0af89094a2841a9042cbaab9ed0d7706.jpg)
入渓点
白毛門登山口で東京のARさん夫妻と合流、1台をデポし川古温泉へ。
赤谷川を目指し林道をヘッデンで行く。
入渓点でヒル退治。
スパッツの奥深く、1匹に喰われていた。
いったいどこから入ったんだろうと驚く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/cc/f96f81e6d40862db69cae65900bb6ee0.jpg)
マワット下ノセン
マワット下ノセンは右岸を巻く。
先日来た時に積んだケルンはそのままだったということは、大水が出ていないということだ。
実際、水量は少ない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/25/b6a95948c73ef957cec128d79c57c51a.jpg)
マワットノセン
マワットノセンも右岸を巻く。
前回チョット悪い草つきだったので、ルンゼをもっと登ってから灌木帯に入る。
安定はしていたが、降り口を見失う。しばらく行きすぎ、戻って滝上に出た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/89/e111a84d359ed78d965b31f12e3e22df.jpg)
ARさん
そこから巨石帯を行く。
大きな岩や隙間を縫ってクライミング。アップにはちょうどいいかもしれない。
途中から傾斜は増す。まるで巨石の積み重なった大きな滝にも見える。
おおむね右岸を行けば無駄はない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/71/5403da4afd73b4613bf80f97ae471687.jpg)
遠くに望む重鎮
遠くに裏越ノセンが見える。
水量によってその表情を大きく変えるそれは、赤谷の重鎮。
赤谷川本谷は大滝を4つ重ねる。
序盤のマワット下のセン、マワットノセンが門番となり、裏越のセンは本院。
そうして出てくるドウドウセンは、やはり奥ノ院。赤谷の本質がそこにはあろう。
それを越えれば、開けた美しい楽園のような光景が広がる。
とはいえ、4つの大滝は巻くこともできるから、人気が高い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/63/4e1e288fefc7f493c2865395bb53440c.jpg)
裏越ノセン
さあ、楽しいクライミングの時間だ。
裏越ノセンは左岸下部の草つきを一段上がってテラスへ。
そこでロ-プをつないで、バンドを行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/44/884df203fd948164b7421c17f0854ecd.jpg)
バンドを行く
1P
奥さんリ-ド。草つき岩バンド途中まで。草が茂っていて、岩も湿っているので慎重に。中間支点はキャメと細い灌木。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/3e/de0a101023f6c9f6b9ecb0d347cef9e4.jpg)
F滝上のクライムダウン
2P
sak。岩バンドをトラバ-ス、錆びた残置ハ-ケンを過ぎ、バンド終了点からクライムダウン。
足場は見えるけど、ヌメってそうでちょっと怖い。アングルハ-ケンを打ってスリングを垂らして伝い降りる。(ラストが回収)
降りたところに、つぶれたハ-ケン。3ミリスリングで支点利用。
F滝の落ち口へトラバ-スし水流をジャンプで超える。右岸テラスにハ-ケンを打ってビレイ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c7/a192d224d47c158c74f8e830618c97e2.jpg)
3P正面右からリッジを行く
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/4e/691f0ba1ce3fcbb2311cdf9e6b56e3bf.jpg)
E滝
3P
ARさん。正面リッジを右(滝側)から。
岩は乾いており、快適。途中フェ-スがあり、ここは左側から薮をつかんで、少々強引に登る。
さらに上に4mほどの垂壁。左から巻けばいいのだが、上の灌木にロ-プが掛かって左に振れない。
ここでちょいと苦労し、時間をロス。
垂壁を上がればテラスから右の水流沿いにトラバ-ス。支点構築はキャメ。
4P
sak。D滝落ち口へトラバ-ス。腰から下に飛沫を浴びて水流左、細かいスタンスをつないでいく。
そのうえは右リッジでも、左スラブでも行ける。ハ-ケンと薮支点でビレイ。
5P
一気に開放的な雰囲気。
ロ-プは解いて、スラブをペタペタ行く。
A滝は右のクラックをノ-ロ-プで終了。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/2a/ed3c0e2ece453a2dc756c67c8bd17e85.jpg)
A滝あたりは開放的
その上の滝は腰までつかって右テラスに上がってからトラバ-ス。
落ちるといやなので念のためロ-プを出す。
そこを越えると扇沢出合。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/77/a77cda13ffbabfd31fd5c23a5f111550.jpg)
今宵の幕場はあの岩より上の小さな台地
時間によっては、奥ノ院と意気込んでいたものの、タイムオ-バ-。
ここは冷静に、幕とする。
幕場は扇沢対岸。オニシダの台地を整地する。少し傾斜があるものの、増水しても安心。
少ない薪を集めてささやかな焚火とシンプルな食事。
沢風に身を委ねる心地よさ。
谷底から見上げる夜空の河に、ひときわ明るい不知夜月。
月明かりに照らされながら深い眠りに落ちていく。
明けて翌日は、ドウドウセンの高巻から。
いつか、きっと。この想いを次に繋げるために巻くべし。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/1a/76b80dec7abacdcf5d4c61d4b87c8962.jpg)
ドウドウセン上の河原が見えた
扇沢を登ってわずかで2段チョックストン。
その手前、右の草付に踏み跡。そこは小沢になっていて、いつしか薮頼りの強引な登りとなる。
尾根上に出たら右へと折れてその尾根を詰める。
途中、露岩がでたら左から巻いてから尾根に上がるが、このあたりシャクナゲが多く苦しい。この巻きの核心であろう。
尾根を伝っていくと、ドウドウセン上の河原が見える。
その河原に落ちていく支尾根へとトラバ-スし、河原に向けて草つきと灌木のコンタクトラインを降りていく。
河原に降りたら、ドウドウセン上部の見学が可能。
A滝とB滝は地下でつながっていてA滝の釜から水が流れ出ない。なかなかの造形に見惚れる。
河原から最初の8m滝を高巻けば、あとは癒しの沢旅だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/9e/a44edb482d50129c2585ca3a88ef0693.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/9c/f84419456b92400ff3c93921d7e1afb4.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/5a/9b60dad37d3527c278c14d7a38ed2476.jpg)
開けた光景に舌鼓。
笹原の山姿が美しい。草原の大地が眩しい。流れる水は清麗にして甘露。
ときに腰まで浸かる釜も困難なく楽しめる。
途中、一面の野苺。地球は美しく、かくも豊か也。そう感じる一瞬だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/3a/d3bb05c9bdd7294a6e29dde3118b7510.jpg)
野苺畑
奥の1:1は本流の左へ。途中の小沢を左へ行くと草原へ出た。
「わぁ-っ」と言って次の言葉が出ない。このフィナ-レはナカナカない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/82/aa2ae7e5e270b0287363e9d78cda077c.jpg)
草原に出た
草原の傾斜をスリップに注意しながら慎重に登り、笹薮に入るとものの1分足らずで登山道。
これは凄いねぇ、なんだかねぇ、と皆ニヤニヤしてしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/2e/8d551866e53f0fa9345dd134a4a5127f.jpg)
登山道に出た
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/73/4ce71b58cffc32dfc5cf82d780d7603b.jpg)
俎山稜
下山は谷川岳経由で。
下山後の温泉。立待月が微笑んでいた。
sak