acc-j茨城 山岳会日記

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錫杖岳・左方カンテ

2008年06月25日 18時57分34秒 | 山行速報(アルパイン)

2008/6月下旬 錫杖岳・左方カンテ

殿堂

槍が見えた。 
思い起こせば槍を拝したのは何年ぶりか。 
久しぶりに槍穂といいたいところだが、今回はクライミングの殿堂、錫杖がタ-ゲットなのである。

槍見温泉からボトボト歩きで渡渉点。いくらか歩くと前衛壁が広がる。 
こりゃあ見栄えがいいなあ。 
錫杖沢出合の幕場を通過し錫杖沢を詰めあがる。僅かで錫杖沢の岩舎。 
幕なら2.3張、多少の雨では濡れないし、傍らに沢がある。 
クライミングといいながら、まるで沢登りのような快適な幕場にしばし満足。

幕を張り、身支度を整えたなら本日のメニュ-は「左方カンテ」 
錫杖の一番人気ル-トである。 

 

衝動

取付きでジャンケン。勝ったほうが先行でツルベ。最近はこの方式。 
でもって、負けたさかぼうはフォロ-スタ-ト。

1P・フォロ- 
ルンゼを適当に。 
岩は乾いており、最高のコンディション。 
背後には槍穂のロケ-ション。 
安定した岩に「いやあ、サイコ-っす。」

2P・リ-ド 
継続してルンゼからリッジのテラスまで。


3P・フォロ- 
下の核心。 
フェ-スを一段登り、ノッペリしたスラブの細かいスタンスに立ちこみ、 小ハング上のガバに届けばあとは豪快に体を上げる。 
うお-っ!と叫びたくなる衝動が体を貫く。

感触

4P・リ-ド 
どうってコトのない凹状を、立ち木まで。

5P・フォロ- 
すっきりとしたフェ-スを快適に。 
このル-トの白眉。最高に楽しいピッチ。 
このカッチリとした感触にこのフリクション。そしてこの直線的なル-トはそうはない。 
いやあ、本当にクライミングっていいですね。楽しいですね。って感じだ。

 
核心 

6P・リ-ド 
ル-トの核心。 
左の細かいホ-ルドを手がかりに、右手を岩の裂け目、肩まで入れ込む。 
徐々に体を上げたら、最後はバックアンドフットで、チョックストン上のガバに手が届く。 
さらに左のフェ-スを右上。縦に入るクラックを三本ほどつないでリッジ。 
そこからノッペリしたフェースをひと登りでピッチを切る。

7P・フォロ- 
フェ-スを直上。 
がたつきの気になるフレ-クをだましだまし使って、徐々に藪が多くなってくる。 
ほどなくヤブが気になりだしたら終了点。

見回せば、翌日のメニュ-本峰フェ-スの大洞穴も見える。 
そこから北沢まで四ピッチの懸垂下降で北沢に降り立つ。 
 

青春

最高の天気に最高のクライミング。 
カッチリ感とフリクションに酔いしれたそれは、もはや麻薬である。

カイテキな登攀の余韻に浸りながら、明日の登攀に胸を膨らます。 
青春とはこんな日々であったか。 
今となっては、もはや思い出すにも微かな記憶。 
でもこうやって、錫杖沢岩舎から暮れ行く前衛壁を見上げていれば、たしかにそんな日々であったようにも想う。

ただいま青春真っ盛りのパ-トナ-。 少々、羨ましくもあるが、それもこれもなにかの縁。 
君がいたからこそ、一杯傾けながらの郷愁に想い耽る。 
そして盛大な焚火は夜空を照らす。


sak