acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

西上州・仔犬殺しの滝

2024年03月08日 07時53分46秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/2/17 西上州・仔犬殺しの滝

数日前に春一番の報が届き、氷結状態に不安はあった
最悪、相沢や神津牧場への転戦も視野に林道を詰める

林道終点からは踏み跡程度ながら、30分ほどで氷瀑を目前にできるのだからありがたい
仔犬殺しは下部が薄くて厳しいかと思ったが、左岸から巻いてトップロープを張れば、なんとか登れた

犬殺しは滴りがひどくて氷結も甘い
取付いてみたけど、早々に諦める

あとはアバラコフやスクリュー技術の練習など思い思いに過ごして滝場を後にする
おそらく、このエリアは今シーズンこれで終了だろう

そういえば、帰宅時の出来事
妻に「どこに行ってきたの」と問われて、「”仔犬殺し”に行ってきた」と答えたら、絶句された

正しくは「仔犬殺しの滝」ですからね
くれぐれも注意しましょう


sak


蔵王

2024年02月29日 21時03分39秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/2/10 蔵王

冬の蔵王
勿論、これは自分へのご褒美

 

日常の些事に息切れを起こしてしまうのなら、自分を喜ばせることも必要だ
文明の力に揺られてスノーモンスターに逢いに行く
そして、訪れる癒しの時

さすがに冬のハイシーズン
想像以上の人出に行列
これはもう自分好みの山ではないな、と思ったものの少しだけ視角を変えてみる
自分の志向を縛り付けない、しなやかさ

ライザのゲレンデトップから人の流れに乗る
樹氷は見頃、そしてこの好天
トレースを逸脱して森へと迷い込む

ツボ足でも膝下程度
持参したワカンを出さずに行く
雪との戯れが趣深い

少し森に入っただけでこの静けさ
来てよかった

ここあたりでゆっくりするのも良いが、やっぱりというか習性というべきか、
高い所を目指してしまうのはご愛敬
刈田岳から熊野岳を往復
鉛色の雲が広がり始めたので、早々に高度を下げる

下山途中、県道12号白石上山線を横切ると2つの県境標識
何気ない県境の景色だが、この地には過去の遺恨があった

蔵王県境裁判

世に不条理は溢れている
不条理で、不合理で、不平等で、理不尽で、残酷
日常の些事にしても同様だ

“青い鳥”を求めて放逸に流れる
その振る舞いとどう向き合うのか

日頃の愁いが白い世界に解けていく
そして、訪れる癒しの時

独り
神々の集う森で、カップ麺を食す

「あー、うめぇー」
案外このくらいが、沁みるってものだよ


sak

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松木沢・アイスクライミング

2024年02月23日 22時14分35秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/1/28 松木沢・名無し沢

 

松木沢でアイスクライミング
この日はWCM(ウインタークライマーズミーティング)が足尾で開催されていて、銅親水公園駐車場は満杯
どうにか隙間に駐車して歩き出す

計画ではウメコバ沢だったけど、夏小屋沢あたりが登れそうだということで、途中下車の旅
結局は夏小屋沢よりウメコバ沢寄りの名無しの沢(滝)を2か所ほど登降

最初の滝は傾斜が緩く一旦上まで行って、懸垂で降りて終了

それより少しウメコバ寄りに、結構立派な氷瀑
isiさんは安定のリード
フォローながらスクリューの回収で1テン
悔しー

流石にマイナーな場所らしく終日貸し切り
この先にも滝場があるので、穴場なのかもしれない

で、その後
バーチカル部分をなんとかノーテンで (๑˃̵ᴗ˂̵)و♡

ふふふ
トップロープですけど(笑)


「楽しい」は正義です!

。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。 ゜


sak


八ヶ岳広河原沢左俣

2024年02月19日 18時40分00秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/1/22 八ヶ岳広河原沢左俣

約1年ぶりのアイスクライミング
前日は荒れた天気も、心配したほどの積雪はなかった
それでも沢筋のラッセルは辛い

下の大滝は見た目以上に立ってる
isiさんのリードは安定している

一方、フォローながら1テン
全然乗れてないのが自分でもわかる

上流の滝でトップロープを張って練習
少しは乗れてきたと思う

新たな景色を見るために
この一手は次に繋がっている

sak


南アルプス・仙丈ケ岳

2024年01月13日 17時53分25秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2023/12/27‐28 南アルプス・仙丈ケ岳


人には捨てられないものがある


雪山用のハードシェルを新調した
これまで使っていたのはたしか1999年に型遅れをセールで購入したものだ
シームテープは何度となく張り替えたし、壊れたジッパーのツマミもなんとか開閉できるように細引きで補修した
今となっては重くて嵩張るし、素材の機能性もおそらく何世代も前のものだろう

とかく、登山は装備で快適性が格段に向上する
その快適性を得るためには経済的な裏付けが必要なわけだが、どちらかというとこれは性分

登山道具の修理や補修、カスタマイズはとかく楽しい
継ぎ接ぎだらけのマイザックは使い込まれた様子が実にカッコいいと思っている
接着剤で補修・補強した沢靴に至っては見た人がドン引きするレベルだ

とはいえ、価値を見いだしたなら衝動的に購入してしまうのも人の理
欲望には抗らえない、今回の新調もそれが理由だ
さすれば、さっそく使ってみたいと思うもの

どうせなら行ったことのない山がいいな♪
いつになく心は弾む

呼応してくれたのはazmさん
柏木登山口から地蔵尾根で仙丈ケ岳を目指す
距離は長いが2日あるので、冬季小屋を利用しての快適な雪山泊を楽しむ計画となった

空が少し明るくなってきた頃に登山口を出発
枯葉を踏み、緩やかな道を辿っていく

時に林道を交えながら、明るい落葉松の森を行く
南側斜面は雪が消えているが、そうでないところはうっすらと積雪が残る

次第に登り行程が増えてくると重荷が堪え、息も上がる
そして歩きながらも眠気に襲われる
これは寝不足が理由ではない
軽い高山病の症状だ
高山に入るのは久方ぶりで、身体の反応は正直だった

それはそれで泊付行程だから日暮れまでに小屋につければいい
自分のペースで歩が止まらぬように行くだけだ
とは思えど、後に続くazmさんには心配をかけたと思う

そして森林限界を越えると岩峰の先に仙丈ケ岳
来訪者に驚き、冬毛の雷鳥が這松から飛び立つ
見回せば日本の屋根が一面に見渡せた


人には捨てられないものがある

理屈じゃない
結局、私たちは好きか嫌いかで動いている

辛い時だってある
悔しくて泣きたい時もある
それでも続けているのは、結局「好き」だからだ

敬意を払い、尊重し享受する
そして、価値は自分で決める
それを手放すことはないだろう


雪面に延びる影
未だ思わしくない体調に、千丈の峰へは明日立つことにする

まだまだ元気なazmさん
彼も「明日にします」と言ってはいたが、彼なりの気遣いであることはわかった
だからこそ、厚意に甘えた

仙丈小屋の一夜

オリオンも霞む寒月の輝き
千丈峰の黒き光彩

光と影
山と谷

深窓と向き合えば、澱が舞う
嬉しいのは知らぬ自分に逢えたとき

 

山と共に歩む喜びがここに


sak


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西上州・鍬柄岳南稜

2023年12月22日 19時24分57秒 | 山行速報(アルパイン)

2023/12/2 西上州・鍬柄岳南稜

そこここに突き出る岩峰
一つ登れば、その先に見えるトンガリが気になってくる
岩に触れゆく道にスリルと緊張感
西上州には、そういう楽しさが溢れている

鍬柄岳もその一つ
下仁田の街から北に見える岩峰
マルチピッチの練習も兼ねて南稜からのアプローチ
skmさん、nksさんと

駐車場からは鍬柄岳がよく見える
あの先端へ行くのかと思えば、誰しも高揚することだろう

指道標に従って登山道を行く
30分ほどの登りで基部に到着する

登り始めはいくつかルートが取れるらしい
できるだけクライミングの高さを確保しようと、登山道を大桁山方面に下って西面へ回り込む
あれこれ吟味して西面のコーナークラックを登路に定め、装備を纏う

今日はskmさんがオールリード
先日入会のnksさんはセカンドで、sakがフォローしながらラストというオーダー

1P
バンドを少し登ってコーナークラック
右壁にハーケン
用意したカムはサイズが小さく、クラックで支点が取れないようだった
支点を求めて左壁を行くが苦戦を強いられていた

クラックを抜けた立ち木でピッチを切る
本来、その先のリッジまで伸ばせると思ったが、苦戦に加えて岩の冷たさに指が悴んでしまったようだった

続いてnksさん
やはりクラックの所で逡巡するも、時間をかけて登りきる

立木まで到達したのを確認してからsakもクラックを行く
ここはレイバック気味に行くとホールドスタンス共に得やすい

2P
フェイスを少し登ったらあとは階段状をリッジまで
本来はここまでで1Pだろう

3P
目前の岩を右から巻いてリッジに登る
ここは岩を直登の方が楽しいかもしれない
途中にある枯れ木はぐらつくので要注意
松の木をよけてクライムダウンしたら安定のコル
少し上にリングボルトとハーケンがある

4P
フェイスを20mでテラス
skmさんはその上の松の木まで伸ばす
支点は灌木でとれるものの岩が脆いので注意

5P
容易なフェイスだが、やはり岩は脆い
15mほどで山頂

休憩をとったら、登山道で下山する
この登山道もほぼ岩場の下りで鎖伝いに降りていく
15分ほどだが慎重に

岩場基部でお昼時間
もぐもぐタイムをしながら主に支点構築を中心にレクチャー
本日の課題を復習して山を下りる

駐車場から振り返ると、鍬柄岳のトンガリ
いつだって、登り終えた後の山は少しだけ恰好良く見える

あれが鍬柄岳
街道からこのトンガリを見るたびに、今日を思うことだろう


sak

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足尾・松木沢ジャンダルム中央ルンゼ

2023年12月13日 00時36分59秒 | 山行速報(アルパイン)

2023/11/24 足尾・松木沢ジャンダルム中央ルンゼ

 


砂利道を歩く
小石を踏む音に、この地の道程を思う

松木沢ジャンダルム
朝日に照らされたそれは、岩峰そのものが輝いているように見える

今日は中央壁・中央ルンゼを行く計画
skmさんと

ジャンダルムの基部を左に回り込んでいくと顕著なルンゼを見る
ここが中央ルンゼ
少し上の安定した場所で装備をつける

ジャンケンで勝ったskmさんはフォローをチョイス
sak先行で登り始める

1P(リード)
ルンゼを詰めるが、落葉がたまっており掃除をしながら行く
輝く岩峰にあってルンゼ内には陽が届かず手が悴む
次第にルンゼの両岸が狭まり、斜度も立ってくる
進路が岩で遮られるため、右の岩棚でピッチを切る

2P(フォロー)
岩棚から一段上がるところは右から岩がせり出していて窮屈
ここは左にスタンスを見い出すが、足下は切れ落ちているので少し緊張する
そこからは階段状
ルンゼの行き詰まりを左上する

3P(リード)
ほぼガレ場の歩き
3本クラック基部まで

4P(フォロー)
本来、中央ルンゼは右凹角を行くのだと思うがここは直上ルートに合流して真ん中のクラックを行く
NP経験はないというskmさんだったけどソツなくこなす
クライミングとしてはここが一番楽しかったのではないか

5P(リード)
左のルンゼを行く
両壁に足を突っ張ってジリジリと高度を稼ぐ
コブシ岩の肩まで

6P(フォロー)
コブシ岩の凹角を行く
ホールドスタンスともに豊富で楽しい登り

岩上で一休み
風は強いが、小春日和
今日の登りを振り返りながら、次の計画を語り合う
緊張から解放されたこういう何気ない時間に心満たされる

下降路の右ルンゼは、フィックス頼りでロープを出すことなく下ることができた
取付きまで戻ってデポした荷物をまとめたらあとは往路を戻る


きらめく水面に魚影を見る
それでも、あの頃には戻れない

人も自然も時に翻弄され変っていく
そして、ゆっくりと進む

松木村の今
水面に映る空は青かった


sak


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会越 御神楽岳・水晶尾根

2023年11月21日 22時36分33秒 | 山行速報(薮・岩)

2023/11/9 会越 御神楽岳・水晶尾根


晩秋の善き日に会越・御神楽
思いは通じ、目指すは水晶尾根
azmさんと


-魔法なんて、幻想だと思ってた-

岩壁に咲く彩葉
神が創りし、不溶氷

沢を遡り、藪を漕ぎ、岩を攀じる
そして静かな山旅
それは魔法のようなシチュエーション


前夜、津川で車中泊
4時に起床し、蝉が平先の登山口へ
暗いうちから歩き出すが、スモヒラまでの道は結構スリリング

登山道を右に見送り、直進して広谷川に出る
ここで装備をつけて、遡行開始

季節は晩秋
流石に腰まで流れに浸かりたくはないので、概ねへつる
1か所あるゴルジュは右岸巻き
ラクダの窓沢を仰ぎ見て、しばし進むと本名穴沢

いくつかの滝を越えると視界は開け、岩峰を縫うように走るスラブが見て取れる
そして右岸、トマノ左俣の細やかな流れに入る

途中、azmさんがゴーロの中に水晶を見つける

水晶は日本の国石
身につけることで邪気を払い、災難を防いでくれる効果があるといわれる
「水晶尾根」はその名の通り神の創りし不溶氷を見ることができ、スピリチュアルな魅力にも溢れている

トマノ左俣沢を少し登れば、左岸に濡れたスラブが現れる
過去の記録ではこちらを登ると記憶していたが、なかなか大変な登りになりそう

ここで一考
濡れたスラブの少し上流右岸から小尾根に乗って地形図上の尾根末端を目指してはどうか?
湯沢の頭までの距離は長くなるが尾根には乗りやすそうに見えた

ひとまず、偵察
右岸の草付きをひと登り
突き出たスラブの基部を左から回り込んで、スラブ上
そこから10mくらいの岩登りをすれば、あとは藪がつながり容易に支尾根に乗れそうだった

とはいえ、沢慣れしていないazmさんにはちょっと辛い登りだったみたい
不安は装備で解消しておこう、との考えからロープを出す

尾根に乗ってからはリッジを進む
始めは藪尾根、すぐに岩峰が現れて正面の藪を繋いで行く
次の岩峰は右を巻くように進むとしばらく藪が続き、扇状に広がる岩壁
右には山伏ノドームの威容が見える
そこを左にトラバースしてから右上で尾根に乗る

ここからは細いリッジ
容易だが落ちるとただでは済まないので引き続きロープを出してスタカットで行く

リッジを進み、岩塔を左から巻いて緩いフェイス
さらに細いリッジを進めば核心とされる御神楽槍
これを右から巻き気味に登ると、前方に山伏ノ頭が見える
尾根を目で追うが、結構距離はある

さて、ここで一考
これまで、安全性を重視してスタカットできたために時間は予定を大きく過ぎ、陽は傾き始めていた
日暮れまでには湯沢の頭に到達していないと今日の下山は厳しいだろう

「登山道まで2時間で行きたい。ロープは出さないで行くので、ゆっくりでいいけど休まないで行こう」

azmさんに、そう伝えた
自分にも言い聞かせた

「言葉の力」
それは魔法とも言うのだろうか

幸い、そこからのリッジはこれまでと比べると斜度はなく、藪も濃くない
足元の切れ落ちた場所でのクライムダウンもあるが、足を丁寧においていけば、ロープは要らなかった

尾根を回り込みながら行く辺りは、下を見るとスラブが続き落ちたら止まりそうもない
何か所かでお助けロープを使いながらも、あれほど遠くに見えた山伏ノ頭も目前まで迫っていた

フリクション抜群の岩場を登って、山伏ノ頭
そこから湯沢ノ頭まで藪を漕ぎ、闇に呑まれる前に登山道に出ることができた

目前の危機は脱し安堵
さて、ここからが踏ん張りどころ

あとは登山道をコロコロと、と言いたいところだけどヘッデンで行く栄太郎新道はなかなかスリリング
途中ルーファイで右往左往する場面もあったが、慌てることなく道を見出しながら慎重に下る
GPSアプリ様様

azmさんは弱音を吐くこともなく歩き続けてくれている
「強い山屋になるかもしれない」
そんなことを思わせる歩みだった

スモヒラで空になった水筒を満たして、喉を潤す
最後の休憩で行動食を摂るが、すでに晩飯の時間は過ぎている
それでも心折れないのは、あの日の苦闘があったからといっても過言ではない

あの日の苦闘

それは17年前の八ヶ岳
冬、阿弥陀岳北西稜での出来事だ
あの日も核心を抜けて、稜線の向こうに沈む夕日を見た

氷点下の暗闇を歩きながら頬張った飴が実に旨かった
先を行くsatoさんの背中が頼もしかった
そして、こんなシチュエーションに高揚した
まるで、自分が強くなったような気がして嬉しかったからだ

あの時の記憶が、今日の私を歩かせている

言葉の力
あの日の記憶

魔法なんて、幻想だと思ってた

でも、魔法はある
今ならそう言える

そして、それは繋がっていく

いつかきっと
今日を思い出すときに


sak



※ゴールが御神楽温泉になっているのはGPSアプリの消し忘れです


↓動画も

 


会越・浅草岳~鬼が面山

2023年11月15日 19時50分42秒 | 山行速報(登山・ハイキング)


2023/11/1 会越・浅草岳~鬼が面山


秋を歩く

彩りに満ちた、径を行く
田子倉から浅草岳、鬼が面山を辿って六十里越へ


六十里越の登山口に車をデポして、田子倉の登山口を目指す
歩けば2時間掛る所を、持参の自転車で約20分ダウンヒル

途中でiphoneを車に忘れたことに気付く
しかし「山と高原地図」もあるので、まぁなんとかなるだろうと気にせず自転車で滑走を続けた

田子倉の休憩所から中崎尾根を目指すが、途中で入叶津に至る踏み跡に入り込む
野趣あふれる道だなと思ったもののしばらく進み、浅草岳が背後に鎮座しているのを見てルートミスを確信する
iphoneのGPSアプリがないだけでこれかよ、と暗澹たる思い
手元にある24年前の地図にこの道はなく、詰めの甘さを反省するほかない

とはいっても、まだ時間は十分ある
「人生に寄り道はつきものです」との言い訳に励まされながら往路を戻る
約1時間半のロスだった

浅草岳への登路に復帰し、しばらくはゆったりとした道を樹々の彩りに癒されながら歩く
大久保沢の水場で小休止
ここからは急な登りとなる

次第に冬枯れの様相になっては来るが、南会津と会越、奥只見の景観も広がる
剣が峰では田子倉湖や鬼が面山東面の岩壁が美しい
もちろん、行く手に鎮座する浅草岳は重厚な山容を横たえている

左に草原が見えてくると山頂まで一投足
同定を尽くせないほどの山々が広がる

頂は旅の終着点ではない
皆、その先を信じて前に進む

鬼が面山までの径は小刻みなアップダウンを繰り返す
そして、東面の絶壁

斜きかけた陽に燃ゆる山襞と影
秋を行く心情、そのものだった

北岳を横目に進むと、鬼が面山
眼下に田子倉、只見が見下ろせる
秋色に染まった絨毯に田子倉ダムの水面が青く鮮やかだ

南岳までの道は一部足元注意
尖塔に立てばこれまで歩いてきた道を一望できる

旅路を振り返る
立ち止まり、山の深さを知る
衰えて尚、足元に気づきを得る
それが何事にも代えがたい

秋を行く
私たちは白秋の先に何を見るのか

空はどこまでもついてくる

 

sak

 

↓動画も

 

 


裏妙義・木戸壁右カンテ

2023年11月10日 20時39分46秒 | 山行速報(アルパイン)


2023/10/22 裏妙義・木戸壁右カンテ

 

木戸壁右カンテは、ホ-ルドもフリクションも支点も充実した岩場
リ-ドやツルベを実戦形式で行うことができ、岩峰に囲まれた景観も素晴らしい

skmさん、azmさんとは岩壁での初手合わせ
パートナーとの息合わせに丁度いいルートである
とはいえ、自身も久しぶりの岩壁なので心して臨む

国民宿舎跡から40分ほどで木戸壁の取付き
装備をつけ初クライミングのazmさんにいくつかレクチャ-を行う

先行パーティーを見送ったら、skmさんリードで登攀開始

1ピッチ目は体が硬くなりがちなので、慎重に

セカンドはazmさん
急遽参加の初クライミング
クライミングシューズはなく登山靴での登攀だが、フォローなので度胸で乗り切ってもらう

ラストのsakは岩壁の感触を確かめながら行く
一方で硬くなった股関節に暗澹たる心境ではあったが、総じて楽しい登攀

2ピッチ目は短めで松の木のあるテラスまで

3ピッチ目がハイライト
右のカンテから高度感のある岩壁を直上
azmさんも夢中で登っている


-初めてのクライミング-

私の「初めて」はいつだったか
そして、どんなことを感じていたか
もはや、追憶の彼方ではっきりと覚えてはいない
それでも確かなのは「夢中だった」ということだ


4ピッチ目
手足の豊富な岩場を右上
大きなハングの基部が終了点

この先、左のルンゼを行けば木戸壁の頭だが、あまり登られてはいない
過去の記憶で言えば、支点もリスも少ない
信頼には足らない岩凸で支点を取りながら、慎重に登った記憶がある

ここで、一休み
と言いたいところではあったが、終了点はあまり広くない傾いた岩場
後続もあるため、速やかに下降に移る

いつもは50m1本で小刻みに同ルートを下降するのだが、今回は後続に被らないようロープを繋いで松の木テラスまで下る

懸念はロープの回収だが、悪い予感は的中する
ロープダウン後にどこかでスタックしたらしく全く引けない
仕方がないので回収した50mを結んで登り返すが、途中後続パーティの方にスタックを解いてもらうことができた(多謝)

都合、3ピッチの懸垂下降で取付
トラブルはあったが、それもクライミングの一部
実体験の引き出しは多い方がいい

今日の出来事を振り返りながら、のんびりと下山
総じて皆、満たされた面持ち

それを見て、こちらも嬉しい
「ロープを結び合う」ということは相手に自分の命を預けること
一方的に頼るものではない

「互いに預ける」

登攀にはそういう意味があると、そう思う


sak


↓ 動画も