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Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

本 「火の山~山猿記」

2013-11-26 | 

 今年上半期の朝ドラ「あまちゃん」をBSで見ていた。「あまちゃん」は朝7:30から、その前の7:15からは「純情きらり」が再放送されていた。岡崎の八丁味噌の蔵元へ嫁ぐ桜子(宮崎あおい)の物語だ。原作(原案)が、津島佑子の「火の山」と知り、いつか読もうと思っていた。
 と言うのは、桜子の長姉の笛子(寺島しのぶ)の夫、杉東吾(西島秀俊)は天才的な絵描きなのだが、太宰治がモデルだと言うのだ。そして、原作者の津島佑子は太宰治の娘のはず。原作を読めば、太宰の家族のことがわかるのかな~と言うのが一つ目の理由。

 もう一つの理由は、桜子の夫になる松井達彦(福士誠治)が八丁味噌屋の息子なのだが、音楽が好きでピアノが上手く、とても優しい。桜子とは音楽を通して結ばれる、と言う設定だ。実際にはどんな人物だったのだろう?と興味を持ったのである。

 図書館で借りた「火の山」はハードカバーの上・下巻。ちょっと読みにくい本だった。構成がちょっと複雑。登場人物(家族)が多い。富士山の石(鉱石)についての専門的な記事がところどころに出て来る(ほとんど飛ばしたが)。
 だから、上巻を読んで、下巻に取りかかるまでに時間がかかり、下巻を借りて読み終わるまでもかなり日数がかかってしまった。上巻には、有森家(津島佑子さんの母方の家系)の家系図が添付されており、ときどきそれを見ないと人間関係がわからなくなるほど。

 「純情きらり」は脚本家(浅野妙子)により大幅に改変されているが、桜子の生き方そのものは原作のままで感動的。また、戦前・戦中・戦後の日本の家庭の様子が詳細に述べられる。
 本は、桜子の弟の勇太郎(末子ながら有森家の戸主になる)が、我が娘や姪(津島佑子さん)に家族の話を語る形をとっている。メモや、姉たちの手紙なども挟みながら、長い伝記小説のように。舞台は岡崎ではなく、甲府。したがって、「火の山」は「富士山」。副題の「山猿記」は、有森家の子どもたち(2男、5女と養女の8名)が、父親と一緒に山を歩き、鉱物学者の父親から石の話を聞き、木の実を食べて遊んだ想い出の記、との意味だろうか。

 ドラマでは東京大空襲が出るが、実際には甲府の空襲だ。戦争末期の無差別爆撃の頃であり、日本本土が次々空襲を受けた時の人々の様子、家族の生活、お互いの思惑や思いやる気持ちが勇太郎の眼で淡々と語られる。あんな時代があったな~、ほんのこの間のようでもあり、遠い昔のようでもあり…。と、自分の家族も思い浮かべながら読み終わった。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (なは)
2013-11-26 18:24:18
清姫様
とうとう「火の山」を読み終えられたのですね。
貴女から時々聞いていましたので、「純情きらり」も後半、見ました。
笛子や桜子のお父さん・お母さんがとてもいい感じでした。
笛子の夫は、やはり太宰治らしく、「わが道一筋」というふうに描かれていましたね。
東京の戦中も此方とはまた違うのですが、よくできていたと思います。桜子姉妹は私より少し年上の人たちですが、身につまされて見ました。
桜子の旦那さんも良かったですね。きれいな男の子で優しくて魅力的でした。
あのような、思想統制・自由にものの言えない時代が
来そうで・・・オッソロシイです。
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Unknown (清姫)
2013-11-26 22:03:09
なはさん
とうとう読み終えました。桜子の旦那さんは優しく、思いやりのある素敵な青年でしたね。いっぺんに福士誠治のファンになりましたよ。
実際には、お見合いで婚約、音楽とは関係なかったです。7年間戦地へ行き、奇跡的に復員し、桜子を最後まで看病するのは同じです。
戦争に翻弄され必死に生きた人たち、またあんな時代が来るのでしょうか。
笛子の長女が代議士の津島雄二の奥さん、佑子さんはドラマでは生まれていません。
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Unknown ()
2013-11-26 23:41:32
このように考えながら読み進められたのですね。
ドラマも見ていなかったので、読んでも混乱しています
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Unknown (なは)
2013-11-27 16:24:01
清姫様
そうだったのですか!
お見合いで一緒になったのですね。ドラマでは福士誠治さんが桜子をしっかりとらえるというか積極的に近づくのでしたね。やはりドラマ仕立てにしてありました。7年も戦地にいたのですね。帰ったときはドラマながらホッとしました。
アメリカと共に何でもやる、と言う時代になるのでしょうか・・。
知らず知らずに「憲法改正」まで行ってしまうのでしょうか・・。
あの時の不自由・怖さを知らない人ばかりになりました。
佑子さんは「火の山」に登場しないのですね。
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Unknown (清姫)
2013-11-27 20:12:29
姫ちゃん
そう、太宰治はやはり興味がありますから。
昔は子どもが多くて、年も離れて親子みたいと言う家族が多かったね。あなたや私は例外かも。そんな兄弟姉妹の歴史を、いいな~と思いながら読みましたよ。
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Unknown (清姫)
2013-11-27 20:17:10
なはさん
八丁味噌やのおかみさん(松井カネ:戸田恵子)と桜子の叔母(室井滋)の絡みがあったりドラマは面白くなっていました。
秘密保護法案通りましたね。前日の福島の公聴会のやりとりをカーラジオで聞きましたが、まさに強行だったようですね。
佑子さん、本には出て来ますよ。勇太郎の大事な姪として。
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Unknown (なは)
2013-11-28 16:12:05
清姫様
みんな反対しているのに・・・・。
以前に「スパイ法案」として出たときは「自由民主党」だったからか、党内に反対の人が居た、と新聞に有りました。今は自民党だから自由がなくなったなど書いてあります。
知らないうちに世の中が変わっていくのがこわいです。
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Unknown (清姫)
2013-11-28 22:39:34
なはさん
A紙ではとくに、抗議デモの様子や、有識者の反対意見が連日掲載されていますね。
与党だけで衆院を通過するのだからむなしいですね。
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Unknown (風子)
2013-11-29 23:24:43
清姫さん
「純情きらり」面白かったですね。最後は悲しかったですが。
清姫さんはよく本を読まれますね。
私は老眼が少し入ってきて、字を読む根気がなくなってきました。
年々齢を感じるのは歯と目からです。気持ちばかりは若いのですが。
秘密保護法案、与党は何を考えているのかしら?
子や孫がいらっしゃるでしょうに。
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Unknown (清姫)
2013-11-30 22:48:00
風子さん
はい、最後は涙でしたね。朝ドラとしては珍しいかも。でも、未来に夢を託す終わり方で素適でした。桜子さんは津島佑子さんの叔母さんに当たる方で、ドラマの山長のため、と言うのは創作ですが、戦中、戦後を家族のために行き、病気で亡くなる生涯は事実のままのように思いました。
図書館から催促がないのをいいことにずいぶん長くかけて読みましたよ。
私も、眼はまだ眼鏡が完全に合わず、煩わしい思いをしています。
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