忍野八海と柿田川湧水公園

　「富士には月見草がよく似合う」とは、太宰治の文章だそうだ。
そこまでこだわらないとしても、富士の姿が見える見えないで一喜
一憂しながらも、旅の最後の湧き水巡りが一番の楽しみだった。
　
　忍野八海（おしのはっかい）は山梨県忍野村にある湧泉群。富士
山の雪解け水が80年の歳月をかけ濾過し、湧水となって8ヶ所の
泉を作っている。天然記念物で、名水百選に選ばれている。
　駐車場からちょっと歩くと、桃源郷のようにきれいな泉の湧く一画
がある。下は、八つの泉の中の一つ。エメラルドグリーン色の水の
底からふつふつと水がわき上がるように輪をかいている。たぶん
「お釜池」だったと思う。

　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　
　中心にある一番大きな「湧池」。傍に土産店があり、店内を通ら
ないと左の橋の向こうへ行けないようになっている。毎秒2.2ｔの
水が湧き出し、澄み切った池には魚が泳いでいた。
　　　　　　　

　忍野村を出て静岡県清水町へ。車の往来の激しい国道1号線の
すぐ傍に「柿田川公園」があった。昨夜の台風で落ちた公園内の
落ち葉を何人かで掃いておられた。

　富士山の噴火による溶岩流の間を通って、富士山に降った雨や
雪解け水が約40ｋｍ離れた清水町の国道1号線の直下から湧き
水となって現れているのだそうだ。その水が柿田川となり狩野川
に合流している。水量が多く「東洋一の湧水」と呼ばれている。

　下は、左が展望台から見下ろす水源池、右は柿田川。

　　　　

　山容だけを追っていた旅は、地下での自然の営みに驚く旅と
なった。皆、とても満足。
　それでも帰りのバスでは、ガイドさんの「ほら、右に。今度は
左後ろですよ。山頂が見えましたよ。ああ、裾野も見せてくれま
したね。よかったですね。」の案内にカメラを持ってキョロキョロ
していた。

　下は両方とも動く車窓から。なぜこんなに色が違うのかわから
ない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　

　沼津から東名、東海北陸で帰路に着く予定を変更したが、2時間
遅れで無事に帰宅しました。ご心配くださった皆さん、ありがとう
ございました。