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交響詩篇 エウレカセブン 第30話「チェンジ・オブ・ライフ」感想

2005-11-14 06:00:19 | エウレカセブン
今週はタイトルにもある通りやっぱり「変化」というキーワードに収斂されていました。
成長物語を描くにおいて最も重要でかつ、視聴者としても期待してしまうポイントが主人公達の「変化」の過程。
エウレカセブンの特徴としてはそこにプラスして周囲のサブキャラにもしっかりと「変化」を描くことで全体が動いていく感じを演出してところにあって、その辺もこの作品を好きな理由のひとつですね。

起承転結で言えば第3クールは「転」。
徐々に明かされる過去とともに、新しく事態は進行しているというパラレルな感じで進む本編。
新たな展開へ転がっていく、今回はそのつなぎのお話、一気に話が転がる直前のタメという感じでしたが、登場人物たちが過去から「変化」していく過程は観ていてやっぱりいいもんですね。

■レントン
何気に主人公レントンの心的成長が著しいです。
やっぱりチャールズとレイと出会ったことが彼を大きくしてるんだなと実感できて、ビームス夫妻ファンとしては嬉しい限り。

俺の知らない何もかもを知った上で
それでもなお、俺は貫こうと思うんだ

君を守るっていうこと
それが俺とチャールズさんたちと交わした約束なんだよ
エウレカ


今回良くぞ言った、という台詞の一つ。
エウレカセブンって基本的にはレントンとエウレカの成長物語だと思うので、どんなに伏線が貼られようとも、どんなに謎が残っていようとも、この二人の気持ちを軸にして観ていれば本編を見失うことは無いと思うんですよね。
第2クールの重い展開っていうのは、こういうのに説得力を持たせて来てるんで、今後の展開もきちんと対比構造を考えて展開されると思っていて、明暗をきちんと把握していくとこの作品、より楽しめるかなと。

またダイアンのくだりも素晴らしい。
これまではアドロックと比較されたり、いろいろあったレントンですが、それが「俺は俺です」といえるようになったのがまた良いって感じです。
#ここは先週エウレカに言った「君は君だよ」の対比表現かな?
この辺はホランドときちんと話をするあたりまで取っておきたいですね。

■エウレカとタルホさん
今回色んな人(LFOも含めて)の「変化」が描かれましたが、今回の「変化」を集約するにあたっては、エウレカとタルホさんの会話に全てが収斂されていたって感じでしたね。


どうしたの?

変わった
タルホ、変わったね


違う
戻ったのよ

なんかね、全部ほっぽらかしちゃおうかなって思ったんだ
ちょっといろいろと辛かったしね
だけどこうしてみて思った
やっぱり全然変わってなかった
昔の想い、昔の気持ち
昔に戻っただけなのよ
変よね、ほんと変


いいんじゃないかな
だって、私にはタルホが変わったって思えるもの
私も気が付かないうちに変わっていたもん
タルホだって変わった
でも、それって怖いことじゃないよ


まったく
あんたには敵わないな
ほんと羨ましい



ここからラストカットでエウレカが自分の帽子を花とともに捨てるシーンへのつながりが美しくて、タルホさんが自分の今までの服を捨てたシーンとの対比もあって、表現上手すぎです。
確か第17話の「スカイ・ロック・ゲート」あたりから第19話の「アクペリエンス・2」あたりにかけて、変化することに戸惑うエウレカが描かれているんですよね。
変わっちゃったからニルバーシュが動いてくれない、変わっちゃったのかな?変わってないよね、みたいな台詞があるんですよね。

そんなエウレカがタルホさんに「それって怖いことじゃないよ」と告げるシーンはもうかなりこちらとしても敵いませんって感じです。
#やっぱりそれを思うと第2クールの演出は随所で利いてるなぁ。
#またそのエウレカの変化を引き出したのがレントンで、エウレカとレントンの関係性が着実に描かれているというのが視聴者としては非常に嬉しいところ。

タルホさんにしても、本人は戻ったと言ってるけれども、戻ったんじゃなくて、戻ることも含めて変化なんだよ、みたいな表現をエウレカを通じて表現してるあたりほんと上手いなぁ。
初心に戻る、じゃないけど、自分の気持ちに素直になって、そういう部分を受け入れて、そうやって変化して成長していくんでしょ、みたいな。
やっぱり、この物語はサブキャラ含めて成長してる、そういうところが好きなんですよね。

またここでかかるBGM「記憶の中の海」が秀逸で、音楽だけでもしみじみこのシーンの良さを感じさせてくれるんですよね。
#サントラはお勧めです。

変化への肯定、受け入れ、ここがやっぱり今回のテーマであり、そしてそこに全てが集約されていましたね。
#だから最後のカットでタルホさんとホランドの会話の中で「おじさん、おばさんになって」のところが生きるんですよね。
#変化を受け入れるってことの意味ですもんね、これ。

■モーリス
タルホさんとエウレカのシーンの直前に入っていたのは、モーリスとストナーのツーショットでした。
モーリスは一応3人の中では最年長、ゆえにそろそろ自立心が芽生えてきたというところでしょうか。
それともレントンとエウレカの関係性を感じ取って距離を置こうとしているのか。
そのどちらもそうなのかもしれないし、この辺は後の放送を楽しみにしたいところ。
つか、こういう子供キャラにもきちんと配慮されていたり、エウレカがレントンを差し置いてモーリスを探しに駆け出すあたり、サブキャラを大事にしてるのがこういうところにも表れてるんですよね。

■ニルバーシュ
Spec2への伏線は十分だ(笑)。
今回ちらっと出てきたアゲハ隊の依頼で開発していたミサイルですが、これってスカブコーラルの深部に打ち込むってことはそろそろ大掛かりな展開が間近だということですが、このミサイルを搭載するのは無人の戦闘機みたいなことをちらっと言ってましたね。
そういえば、今まで戦艦はあったけど、戦闘機はなかったんですよね。
・・・Spec2への伏線かよ!!
むふふー、楽しみですね。

■複座の意味
今回アーキタイプを見せることで前々から疑問に思っていたニルバーシュの複座型について言及がありましたね。
個人的な予想としては第13話「ザ・ビギニング」の感想で書いたとおりなんですが、やっぱり意味としては2つかなと。
1つは金枝篇から金枝の意味あい。
もう1つはやっぱり、僕はこの物語、エウレカとレントンが手をつなぐまでのプロセスが重要で、そしてこれからも手をつなぐことが一番重要だとずーと書いて来ていることもあって、二人が手をつなぐためなんだろうなということを『rayline=guide』を読んで確信しましたよ。

■エウレカ=発見
この言葉のつながりがここで出てくるとは思わなかったのですが、むしろここで出てくるのが正しかったか、と思わせた今回。
エウレカ=発見とは、アルキメデスがアルキメデスの法則を「発見」したときに叫んだ言葉、ゆえに発見されたからエウレカはエウレカなわけですね。
人類に新しい法則を「発見」させた、とかそういう使われ方なのかもしれないですね。

つか、時間軸がいまいち掴めなかったんですが、LFOってそんなに最近発掘されたもんなんですか?
って、エウレカっていったいいくつなのよ?とか、色々考えてしまいましたよ(年取らないんじゃないか?とか)。
うーん、まあでも周りのメンバーの年の取り方考えても、そんなに時間は経過していないようにも見えますけどね。

■アクセル・サーストン
おお、これで第1話の謎が解明されましたね。
何でじっちゃんがニルバーシュのことを知っているか、と言う部分ですね。
それにしてもじっちゃんがニルバーシュのリフボードを作っていたとは!!
第1話でレントンにリフボードのことを「あんな板切れ」と言っていたのは、アドロックのこともあったとは思うんですが、将来自分の孫がリフライダーからLFOライダーになって欲しくなかった、軍人になって欲しくなかった、そういう意味合いもあったんだなと、改めてじっちゃんが好きになりましたよ。

あと、今回の研究所の研究者たちのことを「じっちゃんと同じ匂いがする」という一言だけで視聴者としても「ああなら大丈夫」と思えてしまうのは、そういう意味で先週アクセル・サーストンを登場させて、ドミニクのバイクを修理していたりするところにもあって、構成の妙味を感じるとともに、じっちゃんの人徳だなと思いました(笑)。


さて、きっちりとタメを作ってくれたお話しも終わり、次回からは一気に物語が動いてきそうな気配がしてきましたね。
コーラリアンの覚醒=物語の肝でもあるんで、どんな展開になっていくのか楽しみですね。


交響詩篇エウレカセブン
DVD第5巻
2005/11/25発売
第15話~第18話を収録




サントラもお勧めなのです。