5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

人気低下の首相二人

2010-05-11 23:19:10 | 政治
鳩山首相がこだわり続けてきた普天間の米軍飛行場移設問題は、結局、各方面からの反対と批判を浴びて頓挫、約束の「5月末決着」を事実上断念せざるを得なくなったと今日のニュースが伝えている。

決着先延ばしで混迷の度合いを深める民主党政権だが、国民の信頼も大きく揺らいで、読売の世論調査での鳩山内閣支持率は24%まで落ち込んだ。昨年9月の内閣発足直後からは50ポイント以上の大きな落差となり、その支持構造は内閣発足1年を経ずして様変わりしていると書かれている。

一方、TBSの調査結果によると、政党支持率は、民主党が19.3%(前回比△7.7)、自民党が15.0%(△1.3)と減少し、支持政党なしとの回答が48.9%(+5.9)と数を増やしているのが見える。日本の「鳩山離れ」は急速に進みつつあるようだ。不思議なのは、連立政権の社民党が1.2%(+0.4)、国民新党が0.6%(+0.3)とわずかながら支持増加を見せていることなのだが。

状況は少し違うが、国民人気の低下に苦しんでいる首相がもうひとりいる。イギリス労働党、ゴードン・ブラウン首相である。

5月6日の総選挙で、労働党は前回より91議席を減らす大敗だった。しかし、その一方、デイビッド・キャメロン率いる保守党は第一党とはなったものの過半数には届かずで、現在の議会は宙吊り状態にある。(ハング・パーラメントという英語があるのは初めて知った) 一時は第三党・自民党との連立交渉を進めて自分の立場を護ろうとしたブラウン首相だが、10日になって事実上の敗北宣言をし労働党党首を辞任すると発表している。

内政貢献があった割りにイラク戦争へのコミットなどで大きく失点したトニー・ブレアの尻拭い役として2007年に首相に就任したブラウンも、当初は安定した仕事が評価されたが、献金疑惑、景気後退による経済状況の悪化、国会議員の不明朗な経費請求問題、閣僚スキャンダルなどから国民の信頼ポイントを稼げずに、選挙では労働党の議席を減らし続けて今に至っている。

「優柔不断」との評が絶えないとは、WIKIによるコメントだが、内外政局への判断の仕方、金にまつわる問題など、わが首相との共通点も見えそうではないか。「ネクタイ」が話題になるのも同じである。

イギリスの三党がどう組むのかはまだ判らないが、連立政権運営の難しさは始まる前から読めてしまいそうだ。社民党や国民新党に振り回される鳩山民主党を見れば判るではないか。

フィリッピンでは大統領選挙が行なわれて、1983年に暗殺されたベニグノ・アキノの息子が、マルコスの不正蓄財追求と汚職の防止をスローガンにし、国民の圧倒的な支持を受けて、エストラーダを破って当選したというニュース。

ドイツからは、西部のノルトライン・ウェストファーレン州議会選で、キリスト教民主同盟が22議席を失う大敗を喫し、連邦上院で与党が過半数割れに追い込まれた。上下院のねじれ状態により、メルケル首相の求心力が失われるだろうというニュース。

タイでは、タクシン派の「反独裁民主戦線」によるバンコク都心部の抗議行動に手を焼くアピシット首相が、今秋の総選挙実施を含む政治的解決策を表明して、相手と妥協してでも抗議終結への方向を探る姿勢を見せているというニュースなど。

日本やイギリスのほかにも、似たようなニュースが同時進行的に報じられるのは偶然なのだろうか。

一昔前までなら、国際ニュースなど新聞のほんの小さい記事でしか知らされなかったものも、いまでは現地とほぼ同時期に状況を知ることができるのだ。情報通信やインターネットの影響は甚大である。

国内の政権支持率についての調査でも、昔はこれほど頻繁に、しかもそれぞれのメディアが(いわば勝手に)繰り返すことなどなかった。いまやTVの視聴率調査と同じではないか。どの調査でも、被験サンプルが毎回固定されているわけではないのだろうから結果の揺れ幅が大きくなるのは当然だろう。マスコミが流した情報に誘導された回答が増えるというわけで、この点でも視聴率調査のごとき人気取りシステムである。

ネットワークに載ったマスコミの(時として不正確な)半煮え情報を、個人のブログやツイターなどが追いかけて個人的見解をしっかりたっぷり追加し、さらにそれをマスコミが再度フォローするなんていうのが、現代の「社会正義」だとすれば、場所がロンドンであれ東京であれ、政治家の選ばれ方や人気の出方が似てきたり、毀誉褒貶のアップダウンが大きくなったりするのは至極当然のことなのかもしれない。

「由らしむ可し知らしむ可からず」も上から目線の為政でいやだが、「見えすぎちゃって」結局困るのもやはりわれわれ国民なのだ。




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