5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ルソーの見た夢 ルソーに見る夢

2007-02-08 23:20:00 | Weblog

「ルソー、素朴派と日本」と題された展覧会を愛知県美術館で観覧した。ギャラリーが少ないのは展示期間の終わりに近い週日のせいか。



丸い月、明るい雲、前景の黒い人物、それにシダに似た広葉樹の緑がルソー絵の特徴的テーマだとすぐに判った。この4つは初期のものから有名なジャングル絵(残念ながら展示はなし)までずっと繋がって表れる。



素朴派といわれる画家はみな仕事をほかにもった日曜画家ばかりというのも面白い。ルソーは税関吏、ヴィヴァンは郵便配達、ルイは家政婦、ボーシャンは苗木屋、そしてボンボワは日雇いだったそうだ。そう思って絵を見るとそれぞれの生活観が表れているような気がする。



「40作家の競演」ともあるように、藤田嗣司に始まる日本の画家のルソー好みは相当のものだ。洋画の坂東敏雄、上山二郎、海老原喜之助、岡鹿之助、硲伊之助、小出楢重、宮田重雄、俣野第四郎、三岸好太郎、川上澄生、松本竣介、日本画の土田麦僊、小野竹喬、野長瀬晩花、堂本印象、吉岡堅二、加山又造、工藤甲人、稗田一穂、写真の山本牧彦、高山正隆、渡邊淳、植田正治、現代画の有元利夫、小杉小二郎、横尾忠則、靉嘔、矢吹申彦、伊坂義夫、青木世一などなど。こんなにたくさんと思うほどのジャンルの作家が「ルソー風」の表現をみせてくれている。



展示作品の多くが日本在の絵画だというのも日本人のルソー好みを表しているのだろう。松本竣介の作品にはルソーの特徴テーマがちゃんと盛り込まれているし、吉岡堅二の動物画はジャングルテーマを上手に扱っているし、横尾忠則のジャングル絵のパロディは思わずニヤリとさせてくれる。久しぶりの展覧会だったが存外に楽しむことができた2時間だった。




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