この日はN村さんが腰痛のため当日の朝に突然参加できなくなりました。最近はトップロープのセットなどN村さんに全部おんぶに抱っこでしたから、痛い戦力ダウンです。それ以上に、N村さんはムードメーカーで極寒の気候の中、極冷の岩を掴み続ける悲惨な環境を、温かく、朗らかなムードに変えてくれる大切なキャラクターです。しかも、この日はHTさんにトップロープセットの方法を指導してあげることになっていましたから、HTさんも残念でしたね。そればかりでなく、西武池袋線が不通になっていて、運転再開も８時半ではあったのですが、すぐには順調に動かないだろうと予想されました。僕はJR八高線でしたから影響は受けませんでしたが、HTさんは30分遅れてしまいました。
2023年１月29日（日） 天覧山岩トレ
▲10:53。先行した僕は久し振りに最下部岩場のトラバースをやってみました。スタートし始めた時にHTさんが到着。岩は冷たくて、指が痺れて来ますから、５往復だけやってみました。タイムは13分09秒39、１往復平均で２分37秒88です。久し振りにしてはまあまあですね。
▲11:01。その後、HTさんが10往復しました。もう、チャレンジと言った感覚はありませんね。単なるウォーミングアップです。いつ頃からだったか記憶にはありませんけれど、ずいぶん長い間、HTさんが落ちるのを見たことがありません。結果は23分48秒97、１往復平均は２分22秒90。１往復あたり、僕より15秒も速いですね。
▲12:20。正午過ぎにトラバース岩へ移動しました。ここは天国のような暖かさ。岩も冷たくはなく、ほんのりと温か。軽くお昼を食べ、早速トラバースに挑戦。とりあえず、僕は１往復してみます。
▲12:33。続いてHTさんですが、この日の目標は１往復の完成です。前回に往路と復路、それぞれは成功していました。この日も往路にはすぐ成功しましたが、復路で落下してしまいます。
▲12:37。復路のムーブがまだしっかりと身に付いていなかったのですね。しばらくは復路の完成度を上げて行きました。そして、改めて１往復にチャレンジ。でも、そんなに簡単には成功しません。１往復完成するには持久力が必要です。ムーブに無駄が多いと、余計な力を使ってしまって、疲れて落下してしまいます。良いバランスで動かないと駄目なんです。
▲13:27。安定してレスト出来る場所です。HTさんは復路のここで必ずレストします。
▲13:30。結局、１往復の成功まで１時間ちょっとの時間を費やしました。YYDの天覧山仲間ではW科さんに続いて、二人目のトラバース岩１往復成功です。そのまま１往復半にもチャレンジしてもらいます。左端で左足を端っこに乗せて休憩します。
１往復成功喜びの写真を撮らなかったことを後悔しています。笑顔満面のHTさんを撮っておくべきだったなぁ！
しばらくして、再スタート。しかし、コーナーを過ぎたあたりで力尽き落下。１往復半は成りませんでした。
トラバース岩にはチョークの跡が多く付いていました。よく見ると、セカンドルート中心に付いています。このトラバース岩には僕の知る限り４つのルートがあります。いま僕たちがトライしているのは、その４ルートの中でも一番高い場所をトラバースし、一番易しいノーマルルートです。セカンドルートはそれより少し低い位置をトラバースします。さらに低く、ほぼ屈むような姿勢でトラバースするのがサードルート。もはや屈むどころではなく、笑うしかないような変態ムーブなのが、サードスペシャル。
僕も久し振りにセカンドルートにチャレンジしてみました。でも、ムーブと言うか、ルート自体の場所を忘れてしまっています。ノーマルルートの下部を繋げますから、だいたいは分かるのですけれど、どのホールドを使っていたのか探り探りです。30代のころ、僕はセカンドルートを簡単に出来ていました。S子は身長が低いですから、そもそもノーマルルートが出来ません。ですから、セカンドルートにしか取り付けません。S子もセカンドルートを簡単に出来ていました。でも、昨日の僕はまったく出来ませんでした。今後、チャレンジしてみたいと思います。僕にとって楽しい課題になりそうです。
続いては、鏡岩です。鏡岩へのトップロープのセットは少し面倒なので、HTさんには見ておいてもらうだけで僕がしました。
▲14:44。ちなみに、この日のHTさんの鏡岩での目標は「鏡岩を安定的に登れるようになること」。最初のトライでは、ノーテンション（ザイルにぶら下がることなく）で登れたのですが、それが続きません。最初のころは右足の３歩目や左足の３歩目が上手く決まりませんでしたが、まもなくそれは解消。右足の５歩目も解消、左足の４歩目も解消していきました。右足の６歩目もなかなか決まりませんでしたけれど、それも安定していきます。左足を４歩目から５歩目へ20cmほど上げることも出来るようになりました。 そこまで足が上がると、上部のプチガバ（まあまあしっかりとしたホールド）に届きます。このプチガバに届けば、終了したも同然なんですが、HTさんはそこで何度も落下してしまいます。さすがのHTさんも腕の力が残っていないようです。でも、そんな中、２度目のノーテンション登攀成功！
美しい日没までの２時間以上、HTさんは鏡岩を登り続けました。毎回感心し驚かされますが、HTさんのこの持久力はどこから出て来るのでしょうかね？ 鏡岩を登ったことのある人には分かると思いますけれど、これを２時間以上へばり付き続けるなんざ、化け物レベルですよ！（HTさんは可愛らしい女性ですけどね）
僕はと言えば、鏡岩は木陰で、陽も傾いて来ていて寒くなって来ましたし、岩も冷たいですから、登る気は失せています。僕はのんびりと確保だけ。HTさんがずう～っと登り続けるんです。
もう１度、この日３回は成功させたかったのですけれど、それは叶いませんでした。でも、最後の方では安定的にプチガバを掴むところまでは行けていましたね。プチガバの上部には本当のガバがあります（ガバというのは、がばっと掴める大きなホールドのこと）。ガバを掴めば、腕の力だけでも登れてしまいます。（でも、そんな腕の力すら最後のHTさんには残っていなかったかも）
▲16:45。この日の飯能は午後２時くらいからだったでしょうか、曇り空になりました。でも、遠い西の空は雲が無くなったようで、夕陽がとっても綺麗でした。
▲16:48。鏡岩にも木漏れ日のように橙色の夕陽が当たっていました。蛇岩にはもう少し広く当たっていました。モルゲンロートならぬアーベンロートでしょうか。子供のころは街全体、空気全体が橙色に輝く夕方がよくありましたよね！ 大人になってからは見ないな～ぁ！
▲17:06。エベレスト街道の奥地の谷で、谷中が薄紫色に染まったことを思い出しました。皆さんも夕焼けをよく観察してみてください。西空が朱く染まったり、橙色や黄色に染まったりしますが、部分的に紫色に染まることがあります。夕焼雲にも紫色っぽい箇所があったりします。夕空の薄墨色の中にも紫色っぽい箇所があったりします。永い人生の中で紫色の夕景に包まれたのはあのエベレスト街道の瞬間だけでした。そんなことを思い出しました。
帰りはいつもの大衆酒場『あきちゃん』です。一皿ずつ量は少ないですけれど、安い！ 僕はハブ酒と泡盛、HTさんは生ビールとハブ酒、おかずもいろいろで、最後のしめはお茶漬でした。
山のことをたくさん語り合いました。 HTさんの夢は北アルプスの槍ヶ岳から西穂への縦走だそうです。良いリーダーと行けば、今の実力でも十分可能性はありますよね。ただ、自分自身が実力を付け、経験を積んで、対等なパートナー同士で計画・実行した方が達成感も喜びも大きいですよね。
ちなみに僕の夢はヒマラヤ山脈の6000ｍ峰、アイランドピーク（イムジャチェ）でした。今からでは無理ですから、どなたか僕の代わりに実現してくれると嬉しいです。ヨーロッパアルプスにも登りたかったですね。これは資金不足で実現できなかったのかもしれません。あと、夢の夢だったのですが、ニュージーランドのマウント・クックにも登りたかったな～ぁ！ でも、この山はヒマラヤの8000ｍ峰に匹敵する困難さなので、実力的に無理だったと思います。
2013年にボールパスクロッシングでクック山を間近に見ることが出来たので、それだけで十分満足です。
ちなみにブログ『ザイルと焚火と焼酎と』にその記録を残しています。興味関心のある方はご覧になってください。
●１日目
https://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/e/ea91b67ffe420beaf3246957fb2561a4
https://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/e/da2619ea7c0c67eb582d6cf48f524ca2
https://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/e/30b17492253524b1d5cdeae8efe9fa42
●２日目
https://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/e/24b9b51be4b533ce20a08f9122c70115
https://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/e/5c4563fbf003584e83d19e0d96c7f9e8
●３日目
https://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/e/a81794f63714ba92716005863789acb4