ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

天覧山が初めてのM澤さんとS藤さんも参加しました

2023年07月06日 | 岩登りトレーニング

この日は陽気も良く、歩くと汗をかくほどでした。岩も冷たさを感じることなく、気持ちよくトレーニングが出来ました。

いつも通り1時間ほど早く先行トレーニングをしていたN村さんは最下部岩場のトラバース10往復を終了していました。結果は11往復で36分34秒19。どうして11往復なのかと言うと、トラバースを始めた1往復目にフォールしたんだそうです。気を取り直して、改めて1往復目から再開したんですが、10往復目となる実質11往復目に2度目のフォール。どちらの10往復の記録も1フォールになってしまったという次第。1往復平均が3分20秒ですね。10往復なら33分14秒ですね。もうすぐ、30分を切ることが出来ると思います。

 

2023年1月8日(日) 天覧山岩トレ

▲10:39。N村さんの指導のもと、M澤さんとS藤さんに最下部岩場のトラバースをやってもらいます。お二人とも天覧山は初めてなんだそうです。

 

▲11:40。3連休の中日ですから、さすがに他のパーティーも来ていません。僕たちの独占です。M澤さんですね。

 

▲11:45。N村さんもまた頑張っています。ここがスタート地点。

 

▲11:48。ここは左端の核心部の始まり。

 

▲11:50。身長もある二人なので、若干は使うホールドが僕とは違ったりするかもしれません。トラバースの核心部である左端を中心に練習しました。5級-(5.6)くらいかなとは思いますが、すぐには成功するほど易しくはありません。10時半くらいから始めて正午くらいまで頑張りましたが、片道の成功はなりませんでした。でも、核心部は成功しています。M澤さんが黙々とトライしていますね。

 

▲11:51。スタート地点から始めると、核心部ではパワー切れで落ちてしまうんですね。でも、次回には1往復できると思います。お二人にとっては、実際にこのトラバースをやってみて、N村さんやHTさんやW科さんの努力がよく分かったことと思います。この3人にとっては最下部岩場トラバース10往復は完全にウォーミングアップという位置づけになっています。これで腕や指の筋肉がパンプしてしまうことはありません。

 

トラバース練習している間にN村さんが最下部岩場の左と中央の小ハングにトップロープをセットしてくれました。左の3級ルートからトライしてもらいます。

 

▲12:03。N村さんが小ハングルートに取付いたようです。

 

▲12:41。M澤さんも小ハングを登っています。

 

▲12:52。N村さん(右)は小ハング、S藤さんは3級のフェースを登っています。

 

僕はこれまで日和田や懸垂岩でS藤さんとご一緒したことがありますが、沢では滝をリードしているS藤さんが、ゲレンデではどうして上手に登れないんだろう? と不思議に感じていました。もちろん複雑な要素が絡まっているんでしょうが、この日の登る様子を見て、ひとつだけ気付いたことがありました。それは「足で登っていない」ということ。

さっそく下の岩場でチェックしてみました。片足を膝くらいの高さのスタンスに置きます。スタンスの大きさは足裏の3分の1か4分の1くらいがいいかと思います。両手で好きなホールドを使ってもらって、立ち上がってもらうのです。その際、地面にあった足で地面を蹴らないことが大切。スタンスに乗せた足のみで立ち上がるんです。

ガバホ-ルドはなかったので、腕力で引き上げることは出来ません。案の定、S藤さんは立ち上がることが出来ませんでした。僕がやって見せます。両手ならもちろんのこと、片手でも立ち上がることが出来ます。さらに、指2本や指1本だけの支えでも立ち上がることが出来ます。小指1本でも出来ます。

つまり腕の力は不要だということ。手はバランスを保つためにだけ使っているのです(もちろん、垂直だったり前傾壁だったりすると別ですし、極小のスタンスの場合も別ですが)。S藤さんが脚力が弱いはずがありません。強くて若い山屋さんですから、脚力も僕よりはずっとあるはずです。これはちょっとした筋肉の使い方の問題でしょう。クライミングにおいてどうしても腕力に頼ってしまう気持ちが前面に現われてしまうのだと思います。片足立ちの課題もようやくS藤さんにも出来るようになりました。クライミングのあらゆる場面で「足で登る」基本を思い出して欲しいと思っています。

 

▲13:44。N村さんも3級のフェースを登っています。

 

▲14:21。小ハングの核心部にとりかかるN村さん。

 

続いて、S藤さんにも小ハングに取り付いてもらいました。この後、鏡岩も行なうつもりなので、乗っ越すことはしませんでした。筋肉が完全にパンプして、鏡岩どころではなくなるからです。小ハングで右手でのガバを掴むまでにチャレンジしてもらいました。

案の定、ハング直下で足で立てなくなります。ハング直下で足で立つには体全体でバランスを取る必要があります。僕が見本にハング直下まで登って、そこで片手を離しても立っておれることを見せます。両手だって離して立てます。腰を岩に付けるようにし、上体を反らして両足に体重が乗るように、重心が乗るようにするんです。

再度、S藤さんがそこへ行き、片手を離すと、出来ました! 自分の足で立てています! 岩登りの基本は足です。足で立ち、足で登ります。例え岩場がハングしていても、可能な限り足を活躍させて、腕にかかる負担を減らすんです。S藤さんにとって、この日の天覧山での岩トレでそのことが理解してもらえたならば大きな収穫だと思います。簡単に実践に移せるほど容易なことではありませんが、その基本を常に自覚しながら練習して欲しいと思います。

 

S藤さんのことばかり書いてしまいましたが、遠慮深いM澤さんも熱心にトラバースしていました。指や前腕に負担があるレベルのクライミングからは長く遠ざかっていたようで、早々にパンプしてしまったそうです。小ハングも何とか登れたみたいでしたが、かなり頑張っていましたね。

N村さんが鏡岩へトップロープのセットに行ったので、M澤さんはひとりでトラバース練習していました。左端の核心部以外を片手でのトラバースをしていました。片手トラバースは昔僕もよくやっていましたが、この練習は足で立つ良い練習になります。

 

さ~て、いよいよ鏡岩です。時刻はすでに3時近くになっています。1時間半ほど鏡岩にチャレンジし続けました。

 

▲15:02。M澤さんは腕がパンプしていると言いながら、何とかザイルにぶら下がりながらではありますが、上まで抜けました。

 

▲15:10。S藤さんも少しずつ足で立つ感覚を覚えていって、上まで行くことが出来ました。もちろん、まだまだ自力で登っている訳ではありませんけれど、継続すれば必ず登れるようになります。

 

▲15:26。N村さんも完登までもう少しですね。ワンテンです。テンションがかかったとき以外はザイルを強く張ることはありませんでしたから、とても上達していますね。

 

▲15:49。M澤さんは「腕に力が入らない」と言いながらも、何とか登り切っていました。

 

日没が近づいて来たころに、トラバース岩へ行きました。鏡岩のトップロープの回収等はN村さんがやってくれます。僕はとりあえず、1往復。

M澤さんはさすがに上手いですね。左半分、コーナーまでは問題なくこなします。ただ、コーナーの先のパワー系の箇所は腕の筋肉がパンプしているので、続きません。次回は必ず片道のトラバースに成功する雰囲気ですね。S藤さんも予想以上に頑張っていましたが、まだ足で立つ力が弱いですね。

 

▲16:52。ロープの回収を終えたN村さんもトラバースに挑戦。腰をもう少し岩に近づけて欲しいですね。

 

力も尽きて来て、陽も沈み、暗闇の支配が広がって来ました。慌てて荷物を仕舞い、下山開始。

大衆酒場『あきちゃん』での反省会も盛り上がりました。

コメント
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