ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

F沢さんが天王岩の5.11aをレッドポイント、僕も何本もリードさせてもらいました

2023年07月09日 | 岩登りトレーニング

前日のF沢さんからの急なお誘いに有難く乗って、天王岩に行って来ました。F沢さんの確保役に徹する心づもりはありましたけれど、僕にとってはグレードの高いクライミングにも少しはチャレンジする気持ちが内心ありました。車中で彼女と話すと、天王岩ではとりわけ登ってみたいルートは考えていなくて、一度は行ったことがあるようなんですが、今回は偵察的な意味合いが強いようなんです。それに、天王岩には上の岩場と下の岩場の2つあって、下の岩場には行ったことがないらしく、今回はそこも登ってみたいとのこと。下の岩場には易しいルート(と言っても5.8~5.11ですが)が多くあるので、僕が登る場面も多くなるはずです。

 

国際マス釣り場の駐車場は使用不可なので、十里木に車を停めて30分ほど歩きました。養沢川沿いの岩場ですから、東向きだと思っていましたが、養沢川がくるっと蛇行している場所で、岩自体は北向きなんですね。岩にはまったく陽が当たっていませんでした。

 

2023年1月12日(木) 天王岩

▲9:22。下の岩場の右端にある春雷5.9と言う名前のルートからスタートしました。F沢さんにとっては目をつむっても登れるような易しいルートのはずなんですが、2本目のプロテクションを取ったあたりでフォール! なんとなんと! 岩の冷たさで指が痺れてのフォールだとか。

 

これでしばらくは彼女にとっては易しいルート(僕にとってはまだ難しい)を登ることに決定したみたいですね。下の岩場の右端のルートから順番に登ることになりました。

 

▲9:45。小便小僧5.8+。この後の下の岩場でのルートはF沢さんはすべてオンサイトです。

 

写真はありませんが、鼠小僧5.8もオンサイト。

 

▲10:38。フタリシズカ5.8。

 

これも写真はありませんが、ヒトリシズカ5.8もオンサイト。

 

▲11:28。ちいせみ5.8。

 

▲11:55。つゆしらず5.9。

 

F沢さんは春雷を1フォールした以外は全ルートをオンサイトしていますから、以下、僕の結果だけを記しておきます。詳細に正しくは記憶していませんから間違いがあるかもしれませんけれど、全体像としてはこんな感じです。

・春雷5.9:トップロープでNOフォール

・小便小僧5.8+:トップロープでNOフォール

・鼠小僧5.8:トップロープでNOフォール

トップロープでの僕の登る様子を見て、F沢さんが「リードしてみる?」と言います。勇気を出して、リードしてみました。

・フタリシズカ5.8:NOフォールでリード

・ヒトリシズカ5.8:NOフォールでリード

・ちいせみ5.8:NOフォールでリード

・つゆしらず5.9:1フォールでリード

僕のリードはF沢さんがリードした直後ですから、ヌンチャクがプリセットされた状態でのリードです。リードには違いないのですが、自分でセットするマスターに比べると、精神的にも持久力的にもかなり楽です。

 

僕は天王岩には数回来たことがあります。もちろん、易しい下の岩場ばかりですが。2005年の記録が残っていて5.8のルート3本をオンサイトしたと記しています。2005年はまだ僕はそれなりに登れていた時代ですから、当然かもしれませんね。その記録には5.6くらいに感じたと書いてあります。この日登ってみて、そんなに易しくは感じませんでしたけれど、5.7くらいかな、とは思いましたね。最近の僕の登攀能力はかなり落ちていますから、昔感じた5.6の方が正しいかと思います。

 

▲12:23。下の岩場です。左端や写真には写っていない左側面には5.11台のルートがあったりします。

 

正午過ぎに下の岩場を離れ、上の岩場に移動しました。これからは僕は確保役に徹します。

 

F沢さんは僕にもそれなりに登ってもらいたかったようです。彼女の心配りや優しさを時折り感じさせられました。嬉しくて有難いことです。

幾つか教えてもらうこともありました。僕は安全環付カラビナに確保器を付け、それをビレイループにセットしたままにしているのですが、それを注意されました。そのままにしていると、クライミングで落下した際にそれが途中で引っ掛かったりすることがあって、危険だし器具も傷むと言うのです。確かにそうですね。僕の時代の、しかもそれほど困難な登攀はしませんから、「絶対に落ちるな」が前提の登攀では、落ちることは考えていません。F沢さんにそう言われた以降は、外して後ろにぶら下げることにしました。

そしてもうひとつ。リードの際のザイルのカラビナへのクリップの仕方。僕はよく分からないなりに、注意はしていたのですが、正直よく分かっていませんでした。それを彼女に「自分側のザイルを上に」と言われて明確に分かりました。おそらく、これまでもそのように本で読んだりしたんだとは思いますが、リードの最中に寸時に間違いを指摘され、分かりやすい表現で正しいやり方を教わったのでよく理解できました。他にも小さなことかもしれませんが、注意され教えてくれます。有難いことです。古いクライマーですから、いい加減なやり方が滲みついてしまっていますからね。

 

上の岩場もまったく陽が当たりません。北向きの岩場です。岩もまだ冷たい! 

 

▲12:51。そんな中、彼女が選んだルートはドロボーカササギ5.11aでした。ルート名は理解に苦しむネーミングが多いですけれど、カササギが生息していない関東地方で何故カササギなんでしょうかね? 高さは15mほど、最上部がホールドの細かそうな前傾壁になっています。3分の2くらいいまでは問題なくリード。

 

▲12:56。最上部前傾壁の4ピン目を取るのに少し苦労しましたが、無事に取りました。

 

▲12:57。5ピン目を取る手前でフォール。寒さ冷たさのせいにはしていませんでしたけれど、絶対にその影響だと僕は思いました。その後、5ピン目も取って、終了点まで登って下降。オンサイトならず、でした。

 

「○○(僕の姓)さんも登ってみなよ」と、F沢さんは声を掛けてくれます。「こんなルート、触る機会はないでしょ」とも。「前半は簡単だから大丈夫登れるよ」と言ってくれます。僕は正直悩みましたけれど、彼女の好意に甘えることにしました。全体としては前傾壁ですから、プロテクションにセットされている方のザイルで登って行きます。途中のヌンチャクは回収せずに、ザイルから外すだけです。3ピンまで外し、4ピン目手前のバンド状の両手を離すことのできる場所までは意外と容易に進むことが出来ました。おそらく5.6~5.7くらいだと思います。でも、4ピン目手前から急激に困難になりました。しかも、そこまでだって筋力を使うので、腕の持久力もかなり費やしています。4ピン目のすぐ上にガバホールドがあることは分かるのですが、そこを掴むことが出来ません。数回ぶら下がって、チャレンジし続けましたが、駄目でした。この上がこのルートが5.11aである理由の場所なんでしょうが、そこを触ることは出来ませんでした。

 

▲13:31。十分な休息も取るF沢さん。陽が当たりませんから、ここにいるだけで寒いようです。

 

▲13:41。F沢さんは2度目のリードにチャレンジします。この時も4ピン目の上でフォール。

 

▲13:52。その後、終了点まで登りましたが、下降の途中で止まって、4ピン目の上を何度もトライしていました。

 

ドロボーカササギはしばらく置いて、左端のスラブルート冥土の土産5.10dに行きました。ここは確保場所が地面から3mほど上でセルフビレイも取れない岩の上です。僕は「1ピン目取る前に落ちたら、下まで落ちてもらうからね」と言っておきます。リードする人は当然そうなるのですが、確保する人は引きずり込まれないようにするしかありませんから。その意味では、確保者は地面にいた方が正解なのかもしれませんね。(近くのクラックでNPを取っておくのがベストでしょうね)

 

▲14:17。見るからに、スタンスもホールドも細かそうです。1ピン目を取った直後に写真を撮ると、「ビレイに集中して!」と叱られてしまいました。もちろんビレイには集中しているのですが、彼女も凄く緊張した登攀なんですね。1テンか2テンだったと思います。

 

下降後、「○○(僕の姓)さんも登ったら」のお言葉。登れないに決まっていますし、あまり登りたくないタイプのルートですが、どれほどの細かさか興味もありましたから、登ってみることにしました。実際に登ってみると、ホールドもスタンスも天覧山の鏡岩どころの騒ぎではありません。鏡岩の細か過ぎて使わないホールドやスタンスしかないのです。僕はなんとか3ピンの内の2ピン目まではザイルから外すことが出来ました。でも、そこまで。

 

▲15:06。写真でF沢さんが座っている場所で、僕が確保していました。その眼前の傾斜の緩いスラブがルートです。

 

F沢さんは2回目でレッドポイントできたと思います。(あまり僕の記憶が確かではないのですが)

 

▲15:25。再び、ドロボーカササギに戻って来ました。F沢さんもおそらく最後のトライになりそうなので、気合が入ります。そして見事にレッドポイント! 素晴らしいですね。

 

僕も何本も登らせてもらいました。F沢さんには感謝しかありません。そして、天王岩は真冬向きの岩場ではないことも分かりました。さらに、下の岩場はYYDの少し登れるようになったメンバーにとってはちょうど楽しめるルートが多くあることも確認できました。

帰りの車の中でも、クライミングのこと沢のこと、そして山野井泰史夫妻のこと(とりわけ妙子さんのこと)などを語り合いました。

滝は直登した方が高巻くよりも安全だ、と言う点では意見が合いました。もちろん、ケースバイケースで、直登できる能力の範囲に影響されますけれどね。高巻き自体に危険の要素がたくさんありますから。

そして、クライミングが上達するにはリードしないと絶対に上手くならない、とも言っていました。それも僕と同じ考えです。トップロープではいい加減な登り方をしても登れたりしますが、リードではそうはいきません。落ちたくはないですから、とても丁寧な登り方をします。ですから、上達するんです。YYDメンバーもどんどんリードして欲しいものです。

コメント
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