短歌と短編集が入ったお得な作品です。
短歌集とは別に、小説の中にも短歌が時折入っていて、その場の空気というか心情を表してくれる。珍しいスタイルになってます。古文とかだと話の中で和歌が挟まれたりするよね。
装丁のアイスを食べてる女の子の装丁がキュートです。
青春小説なんだけど、色に例えると少し暗めの色なのかなと思う。きらきらしてるというより切ないの方が勝ってる感じ。もちろん高校生の考え方とかものの感じ方、空気がぎゅっと詰まってて、きらきら感がまったくない訳ではないんだけど。
現役高校生が読んだら共感度100%ではないかしら?すでにこういう感じあったなとか思う私は、共感というより懐かしいと思った。
どの話も面白いというか高校生の恋とか友情とかいろいろ詰まってて面白かった。
『十八歳で夏』が一番好きかな。あえて選べばだけど。歩道橋に登って景色を眺めるシーンがあるんだけど、そこが印象的だった。そして、そこで挟まれる短歌!!
歩道橋に立って遠くを眺めてた 空は近くて遠くは遠い
P47から引用
少ない数の言葉でぐっと人をひきつけてしまう短歌の力ってすごいなと改めて感じました。
歩道橋、小学生の時は毎日登ってて、大人になってから登ってみると、なんか不思議というか、こんなに周りの手すりというか柵?低かったっけとか、電線近いなとか、そこから眺める景色が変な感じで。けっこう自分の生活の中でそういう体験があったから印象に残った。
青春小説、そして短歌も楽しめる素敵な本でした!!!