私的図書館

本好き人の365日

「家族の肖像」

2003-08-03 01:41:00 | 日々の出来事
犬は好きですか?それとも猫のほうが好き?

近所で散歩している犬を見かけると、ついつい笑いかけてしまいます。
ゴミ置き場のノラ猫にも、しゃがみ込んで指をクイクイ動かしてみたり。
でもたいてい邪魔が入って逃げられてしまうんですよね。
ちなみにうちの家族は、そんな時、勝手に名前を付けて呼びかけます。「クロ」とか「シロ」とか見たまんまのネーミングで。いまだにコリーは『ラッシー』だしね。

昔から、うちには動物がいました。

私が生まれる前からいた犬の「ちび」。
真っ白でたくさん子供を産んで、すごく長生きしました。

その子供の「ジョン」。メス犬です。
とても利口で、他人の家に連れていっても、用事が済むまで大人しく待っていたそうです。いまだにうちの両親は自慢しています。

ジョンの子供の「坊」。
私と妹で、洋風の名前を考えたのに、祖母がいつも「ぼう」「ぼう」と呼んでいたので、そのまま定着してしまったという。祖母は人間の男の子のことも「坊」と呼びます。
体格が良くて、頭がよかったので、よその人に、もらわれていきました。その時の光景はいまだに忘れられません。

四匹目もジョンの子供の「ぼう」(二代目)。
この子は耳が垂れててアホでした。
食欲ばかり旺盛で、毒を二回も食べてしまい、祖母が暴れるその体を押さえつけて、無理矢理くちをこじ開け、牛乳を流し込んで助けました。
子供の私達にも、すぐあお向けになってお腹を触らせてくれたし。本当、アホだけど、一番かわいかった。

この子が亡くなったのは、母が乳がんの手術をすることになっていた当日の朝。犬としては長命でした。両親は、“ぼう”を裏山に埋め、急いで病院へ。
ところが、手術前の触診で、「しこり」がなくなっていることが判り、再検査。手術は取り止めになり、のちに『誤診』だったことがわかりました。母親は

「“ぼう”が身代わりになってくれた」

と言っていましたが、私達は強く否定しませんでした。
家族全員そんな精神状態だったんです。

最近、この手の誤診で、乳房を切除された人の数がかなりにのぼるらしいと、ニュースになっていましたが、その時は怒りよりも、安堵感の方が大きくて、とても病院側の責任について、どうこう言える雰囲気ではありませんでした。

偶然とはいえ、思えば不思議なめぐり合わせの犬でした。
それ以後、誰も犬を飼おうとは言い出しませんでした。

今は柴犬が一匹います。

看護婦になった妹が、マンションでこっそり飼っていた犬が大きくなりすぎて、実家に引き取られてきたんです。
ひどい噛み癖があり、声が枯れるまで鳴き続けるひどい有様でした。
私はその妹の無責任さに腹が立ち、家族と大喧嘩しました。

今は休日のたびに散歩に出かけます。

小学生の時には、うさぎを飼い。増えすぎて友達に配りまくり、最後は食肉業者に引き取ってもらいました。親はそんな現場に必ず私達を連れていき、『別れ』の現実を見せていました。

夜店で買ったひよこが大きくなった時も、祖母がそれを絞めて、血を抜き、羽をむしって調理しました。
子供心に、『いのち』の形を見た気がしました。
さすがにその晩の料理には手を付けませんでしたけどね。

動物達に教えられたことはたくさんあります。
そのあたたかな体温に慰められたことも…
はっきり言えることは、彼等も私の家族だったということ。

それはもう、確実に、言い切れますね。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿