私的図書館

本好き人の365日

一月の本棚 4 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

2009-01-31 23:58:00 | ハリー・ポッター
あなたはどんな時に怒りを感じますか?

自分の考えが無視された時?

誰かが得をして、自分が損をした時?

自分の欲しいものを、誰かが持っていた時?

相手からバカにされ、自分のプライドを傷つけられた時?

感情は、それ自体はとっても大切なものです。
あなたはどんな時に怒りを感じますか?

相手が自分の思い通りにならなかった時?

自分が、自分の思うように行動できなかった時?

困っている時、苦しい時に、誰も助けてくれなかった時?

それとも…自分の愛する人を傷つけられた時?


”…グリフィンドールに行くならば  勇気ある者が住まう寮  勇猛果敢な騎士道で  他とは違うグリフィンドール…”

  ~第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』より~


勇気を試されているのは、何も物語の中の英雄たちばかりではありません。”あなた”が、日々の生活の中で試されているのです。

幼い時、昔話を語ってくれる人はいませんでしたか?
寝物語に聞いたお話の主人公たちは、常に何を持っていましたか?
ただのお話を、何世紀も何世紀もの間、人々が語り伝えて来たのは何のためでしょう。
そこから人々は、何を学んだのでしょう。
大切なのは想像力です。

では、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズ。
その第4巻となる

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

の紹介を始めたいと思います☆

闇の魔法使いの力を奪い、「生き残った男の子」ハリー・ポッター。

自分の両親が魔法使いだったことを知り、魔法使いの学校「ホグワーツ魔法魔術学校」にハリーが入学して3年が経ちました。
ハリーは14歳です。

これまで、物語の舞台として、ハリー達が学び暮らす「ホグワーツ魔法魔術学校」が大きな役割を演じてきましたが、魔法使いの学校は、なにもハリー達が暮らすイギリスにだけあるわけではありません。

今回、外国にある有名な魔法学校から先生と生徒がホグワーツにやって来ます。
「三大魔法学校対抗試合」がホグワーツで開催されることになったのです♪

これは、三大魔法学校と呼ばれるヨーロッパを代表する三つの魔法学校の親善試合のことで、それぞれの学校から、各校ひとりの代表を選び、三つの魔法競技を行い、優勝杯と賞金を争うというもの。

そのあまりに厳しい競技内容に、死者まで出るようになったため、長いこと開催が中止になっていました。

その競技に出場する選手を選ぶのが、今回タイトルにもなっている”炎のゴブレット”。

ゴブレットとは、日本語ではお酒などを飲む時に使う「杯」(さかずき)のことですが、イギリスではビールなどを飲む時の、もう少し大きな物をさすようです。有名なもので、イエス・キリストが最後の晩餐に使ったといわれる「聖杯」がありますね。

炎のゴブレットも、一見見栄えのしない杯ですが、強力な魔力を秘めており、そのふちからはあふれんばかりの青白い炎が踊っています。

その中に選手に立候補したい生徒は、自分の名前と学校名を書いた羊皮紙を入れ、炎のゴブレットがその中からもっともふさわしい三人の選手を選ぶのです。

ただし、危険な試合のため、今回は年齢制限がもうけられます。
出場資格があるのは17歳以上の生徒のみ。

ホグワーツの校長、偉大な魔法使いであるダンブルドアが、炎のゴブレットから舞い上がる羊皮紙に書かれた生徒の名前を読み上げるたびに、生徒の間から歓声が上がる!

次々と選ばれていく三人の選手たち。
しかし、その時、ありえないことに、炎のゴブレットが四人目の選手を選び出します。
そこに書かれていた名前は…

ハリー・ポッター

この「三大魔法学校対抗試合」でハリーが挑戦することになる三つの魔法競技も、もちろん見どころです☆

でも、この巻で一番の読みどころは、これまでずっと協力してやってきた、ハリーと親友のロンがケンカしてしまうところ!!

自分のことを、いつもあの有名な「ハリー・ポッター」の影に隠れ、”おまけ”のような存在だと感じてしまうロンの感情が爆発します。

果たして、二人の関係はどうなってしまうのか!?

もちろん、あの”名前を呼ぶのがはばかられる”「例のあの人」、闇の魔法使いも登場します。

ハリーの名前が炎のゴブレットから出て来た理由とは?
夜空に不気味に浮かぶ”闇の印”の意味することとは?
他の学校の生徒をもてなすために行われるダンス・パーティーで、ハリーとロンはダンスの相手を獲得できるのか!?
頑張れ男の子!!

女心に悩むハリーがカワイイです♪

ロンにも強力なライバルが出現します(笑)

今月は、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズを紹介して来ましたが、なぜこの本が世界中の人に読まれ、愛されるのか、私の個人的な感想は…

それは「勇気」でした。

怪物に立ち向かって行く勇気ではありません。
ハリーは、確かに魔法使いですが、特別に強い力を持つヒーローではなく、逆に思い込みや間違いの方が多い、私たちと変わらない普通の人間として描かれています。大人に反抗したり、宿題を怠けたり、決して誘惑にも強いわけではありません。

しょっちゅう親友のハーマイオニーに怒られ、ロンに励まされ、読者をやきもきさせます。でも、いつも立ち向かっていくのです。

自分の損得を考えたことは一度もありません。
…たぶん(女の子と宿題は例外ですけど☆)

物語はここからどんどんハリーにとって過酷なものとなっていきます。
ハリーだけでなく、ロンにも、ハーマイオニーにも、多くの人々に、選択の時が迫ります。
その時、ハリーがどんな選択をするのか…

どうぞ、ご自身の目でお確かめ下さい。

そこに、この物語の魅力が隠されているような気がします。

昔話の主人公たちが、どうして主人公になれたのか。
魔法の力も闇の力も、ハリー・ポッターでさえも、物語で語られているものはいわゆる比喩です。いつでも、どんな物語でも、それは読者の、あなたの物語なのです。
私はそう思います。
想像力が大切です。


”…グリフィンドールに行くならば  勇気ある者が住まう寮  勇猛果敢な騎士道で  他とは違うグリフィンドール…”


このシリーズの紹介は、もう少し続きます。
よろしかったら、もう少しだけ、お付き合い下さいませ☆


















J・K・ローリング  著
松岡 佑子  訳
静山社


最新の画像もっと見る

コメントを投稿