川上未映子さんの書く小説に興味があって、どれから読もうかと迷っていましたが、とりあえず芥川賞受賞作から読んでみました。
川上未映子 著
『乳と卵』 (文藝春秋)
ミュージシャンとしても活躍されている彼女。
詩集、『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞も受賞しています。
まぁ、そういうことは横に置いておいて、小説として単純に面白かった♪
大阪弁ということと、ダラダラと続く文体に、いい意味で内容がマッチしていました。
思春期といってしまえばそれまでですが、母親との関係がうまくいかず、自分の体の変化に母親と同じ女を感じとまどう姪っ子。
離婚し、40代で大阪のスナックで働きながら、女手一つで娘を育て、豊胸手術を受けるという姉。
姪っ子は母親と口をきかず、ノートによる筆談がコミニュケーションの手段。
主人公は東京の自分のアパートに、そんな二人を泊め、食事をしたり銭湯に行ったりします。
乳と卵。
女性という「性」を描きながら、とくに気負ったところもなく、日常の中で誰もが感じるその時々の感情や、ふっと頭をよぎる思いを、言葉にして並べていったような作品。
その抽出の仕方が、とてもセンスがあると感じました。
前半はちょっと読みにくかったですけどね。
酔っ払って、自分に口をきいてくれない娘に本音をぶつけてしまう母親の言葉が、それはもう言葉にもなっていないんだけれど、すごくリアルで、きっと作者にも同じような体験があるんじゃないかと思ってしまいました。
芥川賞を受賞した当時はマスコミにも取り上げられ、作者自身がよくTVでインタビューに答えたりしていて、その受け答えが魅力的だったので、興味がわいたんです。
なかなか読む機会がなくて、こんなに時間がかかってしまいました。
他の作品も読んでみたくなりました☆