私的図書館

本好き人の365日

『森の生活者ソローの叡智』

2012-05-03 20:24:14 | 本と日常

連休後半初日。

私は大手量販店を回って、掃除機の値段をチェックしていました。

ポイントは、2万円以内で、ゴミパックがいらなくて、できるだけ静かな物。

今まではワンルームだったので、掃除機が無くてもなんとかなっていたのですが(雑巾がけはしてました!)、新居に引っ越したら部屋数も増えて、さすがに掃除機が必要になってきたんです。

結局、1万7千円くらいの掃除機を購入。

型落ち品ですが、一人暮らしならこれで充分。だいたい希望通りの掃除機を見つけることができました。

でも、私にとって1万7千円は大金。

文庫本なら10冊以上買えますからね~

お金を使うのって苦手です。

はぁ、緊張した。

 

最近読んだのは、アメリカの自然思想家、ヘンリー・ディビット・ソローの言葉を集めた本。

 

『孤独の愉しみ方―森の生活者ソローの叡智』(イースト・プレス 服部千佳子 訳)

 

ヘンリー・ディヴィッド ソロー
イースト・プレス
発売日:2010-09-01

 

 

 

 

 

 

 

 

 経験から確かに言えるのは、簡素で懸命な暮らしをすれば、この世で生きていくことは苦労でなく楽しみとなる。

 大部分の快適なものや、いわゆる生活を楽にするものの多くは、無くてすむばかりか明らかに人類の進歩の妨げになる。

 ― ヘンリー・ディビッド・ソロー ―

 

森の中に簡素な家を建て、自給自足の生活の中で、思索と読書と畑仕事をして暮らしたソロー。

彼は、自分を見つめるには孤独こそが最良の友だとして、単純に明快に、シンプルに生きる生活を提唱しています。

服を注文するために店に行き、店員に流行の服をすすめられても、「確かに最近まではそういう服が流行っていたが、今はこういう服が流行りなんだよ」と、昔ながらの自分の服を注文する(苦笑)

価値観なんて、そんな絶対的なものじゃなくて、相対的なものにすぎない。

実は人間が生きていくだけなら、驚くほど少ない労働で必要なものは手に入る…とソローは言います。

人は、その人生の大部分を、人生のためにではなく、日々の生活をより便利に快適に暮らすために費やしている、もしくは、便利に快適に暮らす道具を手に入れるための金銭を手に入れるために費やしている。肝心の人生は、それらが手に入ってから始まるとでも思っているかのように。

将来が保障されるだけの収入がないと心配。

といって結婚しない人々。

将来年金をもらうためには税金を払う必要があります。

といって未来を人質に今という時間に労働を強いる政府。

いったい、いつ”今日”を楽しむのだろう…

贅沢な食事も、快楽を追及しているに過ぎないとソローは言いますが、私はそこは共感できませんでした。だって毎日スイートコーンの食事なんて嫌だから(苦笑)

実際、我々の周りにあるもので、本当に必要なものって、実は少ないんですよね。

携帯電話なんて無くても人間は何千年もやってこれたし、車はたかだが2百年たらず、電気だって3、4百年前に発見されたわけですから。

 

一章・孤独が一番の贅沢
二章・簡素に生きる大切さ
三章・心を豊かにする働き方
四章・持たない喜び
五章・自然の教え

 

それぞれのページに、ソローの言葉と、その解説が載っているので、好きなページから読むことができます。

長編小説はちょっと、という時に、手軽に手に取れる本。

いきなり自給自足の生活を始めろ、というのは極端ですが、ソローの主張を、「現実離れしている」と切り捨てるのはもったいない。

現代文明と森での生活は、一見相反するもののように思えますが、それは人間の勝手な区分であって、どちらの世界も現実には違いないわけで、その両方の知恵をどう生かすかは結局いまを生きている人間しだいなんですよね。

教わるところはたくさんあると、この本を読んで思いました。

 

今日は午後から、購入した掃除機をさっそく使ってみました!

キレイになると嬉しくて、ついつい全部の部屋に掃除機をかけたくなって、掃除機をかけるために部屋の整理整頓もやってしまいました。

やっぱり片付いた部屋っていいですね~

それで気が緩んでしまい、一時間ほど昼寝を(苦笑)

1万7千円も払って掃除の手間を少なくしたのに、結局時間ができても何もやらなかった!

う~ん、これはこれで充実した一日だったのかな?