インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

「ゆきのした秘恋」の的確な批評届く

2014-01-29 21:03:33 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
在郷の友人から、14日ー23日まで日刊県民福井に連載されたふくい新進文学賞佳作賞受賞作「ゆきのした秘恋」(李耶シャンカール)についての、忌憚のない感想が送られてきたので紹介したい。

「紙幅の制約のせいか1人称が不在のプロットを読んでいるような感じで、物語として少し物足りない印象が残りました。
お母様がモデルになっている事で心情描写が抑制されてしまった(?)ように思えるのは気のせいでしょうか。
個人的には、以前いただいて読んだ「虹の魔窟のブローカー」の方が好きです。
主人公に寄り添っている作者の存在感があって、ストーリィや情感に生命力(リアリティ)を感じました。
今度は「ゆきのした秘恋」を背景に、百合子が憲治との関係を濃密に物語るラブストーリーを読んでみたいですね。

記述で気になったのは、福井地震を「マグニチュード6(現在の7)と書いていますが、これは正しくは「震度6(現在の7)です。
百合子の台詞の中であればこれ(言い間違い)もありですが、作者自身の言葉として読める箇所なので、機会があれば訂正した方がよさそうです。
マグニチュードは別の単位(地震学で言う破壊規模)で、福井自身では確かM7.2だったと記憶しています」


こういう忌憚のない感想はありがたい。
褒めてもらうのもうれしいんだけど、作品の欠陥を指摘してもらったほうが、次作に活かせるからだ。
震度とマグニチュードの混同もご指摘頂き、ありがたかった。
佳作になった理由は、上記に指摘していただいたことに原因があったのかもしれない。
主人公の気持ちに寄り添っていない、生き生きしていない、説明調……

あと、この賞は五十枚以内のため、中途半端で打ち切らざるをえなかったわけだが、実は百合子と憲治の恋はこれからなのである。
神経を患った百合子の妄想の中に夭逝した憲治は山の精として現われ、週に一度雪山で愛の交歓をするという設定、そして、三ヵ月後触れてはならぬタブーを犯して憲治に触れてしまったため、凍死し、あの世に召される、白い病室のベッドで絶命した百合子の死に顔は凄惨なほどの美に輝き渡っていた。死化粧をする娘も、唇に塗る紅の筆を止めるほど、吸い込まれる……

この後半は完全に私の想像、フィクションとなる。
史実が半分以上混じるのは発表された前半だけ。
現実に私の母親は八十六歳の今も、健在である。

*なお、賞賛派の感想も簡単に付記しておく。
「私の母世代の古めかしくて懐かしい雰囲気が素敵です」
「近年にない本格的な文学らしい文学、技術や構成力がしっかりしている」
「洗練されたスムーズな文体で、まるでベテランのプロの作家さんの新聞連載小説を読んでいるような気にさせられた。花登こばこの台本のドラマみたいな、古風な味わいも素敵です」

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エッセイ賞に送る作品を執筆 | トップ | 私の原点ともいえる私小説 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)」カテゴリの最新記事