のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

下手の横好き

2009年10月17日 21時42分50秒 | 日常生活
カラオケ大好きです。
腹の底から声を出すと、気分すっきり。
大声を出すって、ただそれだけで気持ちがいいなぁ、と思うのです。

ただ、リズム感がまったくもってないため
イマドキの歌はまったく歌えませんが。
音域も狭いので、聞き込んでいる方の曲も
ほとんど歌えませんが。
それでも、カラオケ大好き。

というわけで、金曜日は久々のカラオケでした。
今回こそは!最近の曲にチャレンジしよう!と
自分自身に課題を課して挑んだものの
1曲目の宇多田さんで挫折しました。
1曲目から難易度が高いものを選びすぎました。
オノレの実力をきちんと見つめて曲を選ぼうぜ、と反省し、
2曲目は岡本真代さんへ。
素直な曲調がリズム感のないワタクシにも歌いやすいのです。

でも、残念ながら当初の意気込みとは裏腹に
急速に「最近」と離れていっている点は否めません。
そして。
ものの30分もしないうちに選ぶ曲は
演歌・フォークソングばかりに。
演歌、腹の底から声出せて気持ちいいー。気分爽快ー♪

当初の目標はまったく果たせませんでしたが
心のマッサージで、ものすごくすっきりしました。

しっかし。
最近の曲は、曲名すら分かりませんでした。
というか、歌手名と曲名の区別すらつきませんでした。

昔、母上が同じようなことを言っていたのを聞いて
「なんて大袈裟な。」と思ったものですが
まさか、嘘偽りなく、本当のことだったとは。
そして、まさかワタクシが、
既にあの頃の母上に共感できるようになってしまったとは。
なんとなくぞくっとしました。

補足

2009年10月15日 07時14分15秒 | 日常生活
でも。
鍋は、鍋自体がどんな味だろうと、
話を弾ませてくれるアイテムだな、と改めて思いました。

あの湯気越しに人の顔が見える瞬間とか
鍋を食べながら話したり笑ったりしているうちに
体がぽかぽかしてくる感覚や
いったん休憩していた人たちが具材を追加するたびに
また参戦してくる姿を眺めているだけで、体の芯から暖かくなってきます。

ワタクシ的大冒険

2009年10月14日 23時21分46秒 | 日常生活
夕方、修養会に一緒に参加していた友人から
「夜ご飯についての感想は書かないの?」
という督促メールが届きました。

夜ご飯ね。
ワタクシ、美味しくいただいていたから
まったくもってスルーだったよ。忘れてたよ。
そういえば、参加者の夜ご飯への反応は十人十色でしたね。

修養会の楽しみのひとつでもある夜ご飯。
毎回、買い物などの下準備は役員の方々がしてくださっているものの
それ以外の準備はみんなで行い、準備から後片付けまでを
みんなで楽しむスタイルを貫いています。

今回は役員の方のリクエストでお鍋。
人数が多いため、鍋が3つ用意され、
その鍋の数分だけ、スープも用意されていました。
つまりスープも3種類。
その3種類のスープを見た友人が顔をしかめて言いました。

「ちょっと!このスープ、用意したの、誰ー?!
 信じられんようなスープばっかりなんやけど。
 普通に鍋を楽しむっていう選択肢はなかったと?」

その言葉に傍らにいた友人も袋を覗き込み
同じように顔をしかめました。

「信じられん。何の嫌がらせ?
 でも、これを選んだ人、分かる気がする!」

彼女の視線の先にいた役員さんがにっこり笑って言いました。
「家で鍋をする前に、味見しておこうと思って。
 この味、食べてみたかったけど、勇気がなかったとって。」

・・・順番、おかしくない?
家でやってみて、おいしかったから、
みんなにもお勧めする、とかじゃないの??

という友人たちの声を背中に受けながら
ワタクシも袋の中を覗き込み、ちょっぴりテンションがあがりました。
チーズ!チーズ鍋!!
おいしそうじゃない?
ワタクシ、チーズって聞いただけでテンション上がるよ!
チーズ味に外れなんかないんじゃない?

早速、封を切り、下準備を始めます。
封を切った瞬間に匂いを嗅いでみる友人。
・・・人間にもまだまだ動物の本能は残されているのね。
と、変なところで、「本能」を実感しつつ友人を眺めていると
先ほどまでしかめていた顔のしかめっ面度がさらに高まりました。

「この鍋、必要なとき以外は蓋を空けるの、禁止ね。
 まぢ、ありえん。」
憤慨がヒートアップしていく友人。

一方、ふたつ目の鍋にあたるカレー鍋についても、
色々な意見、批判が飛び交っている模様。
オーソドックスで日本人にこよなく愛されているはずのカレーが
鍋になった途端、集中砲火を浴びています。
あまりの集中砲火ぶりに、ちょっぴり助け舟を出す友人。

「でも、カレー鍋は、今、流行っとるらしいよ。
 結構、人気があるらしいよ。」

「それ、東京の話やないと?ここ、九州やけん。
 九州人は保守的で有名なんやけん。
 流行とか冒険とか必要ないんやけん。」

せっかくの助け舟にもつれない突っ込み。
そもそも、助け舟を出した友人も、
カレーは王子様的甘口しか食べられない人だったため、
本格的スパイシーカレーの匂いがするカレー鍋の匂いに怖気付き、
あっさりとフォローを終了させます。
誰かー!この空気をどうにかしてくださいー。

その後も、
「お鍋に糸こんにゃくなんて入れる?!」とか
「せっかくオーソドックスに楽しめるスープもあるのに
 それにウィンナー入れるなんて、邪道やん!」とか
「マロニー、必要なくない?」とか
鍋の具材についても喧々諤々の議論が続きます。

・・・鍋って。
意外と家庭それぞれの味で、人によって意見が分かれる
料理なのね。と、目からウロコでした。
まさかここまで意見が戦わされるとは。

でも、出来上がった鍋はどれもこれも非常においしかったのです。
チーズ鍋を批判していた友人は一口味見をした後も
しかめた顔を戻すことはありませんでしたが。
しかめた顔の眉間の皺をさらに深くしていましたが。
なおかつ、
「私まで変な鍋、食べたと思われるやん。
 一緒にせんでほしい。」
と文句を言い続けていた友人もいましたが
「おいしいね。おいしいね。」
と言いながら食べあった友人も、勿論、いました。
遅れて合流した友人も
「ばりうま!」
と、がつがつ食べておりました。

遅れて合流した友人に関しては、
おなかが空いていたからこそ、では?という感は否めませんが。
夕食時に「おいしいね。」と言い合った友人も、結局は
「おいしいけど、鍋ではないよね。
 鍋、と思わなければおいしいよね。」
という手放しでの褒め言葉ではありませんでしたが。

でも、とってもとってもおいしかったのです。
ワタクシも刺激物が苦手なため、カレー鍋自体を食すことは
辛さ故に断念しましたが、カレー鍋とチーズ鍋を混ぜて飲むと
非常にまろやかなカレースープになるのです。
そのカレースープが非常にうまかったのです。
おなかがいっぱいに関わらず「苦しい・・・。」と呻きながら
ブレンドスープ鍋を2杯ほど飲みほしてしまいました。

たまには、冒険も悪くないな。
と思ったお鍋大会。




もっとも。
今後、ワタクシが鍋を主催する際は
間違いなく、オーソドックスな鍋を選ぶとオモイマス。
おいしかったんだけどね。

どうやら、ワタクシの舌はまったくもって純日本人仕様の模様。
感性も見事に封建的な九州人のDNAを受け継いでいる模様。

いるもの、いらないもの

2009年10月13日 22時05分20秒 | 日常生活
三連休二日目の夕方から三日目の昼にかけて
教会の福岡連合の修養会へ参加してきました。
現在、北九州の教会に通っているワタクシにとって
福岡連合の修養会は、久々に友人たちと会うことができる嬉しい機会です。
礼拝後、久々の再会に胸をわくわくさせながら
お泊り準備をして、福岡の教会へ出発しました。

博多駅に向かう電車の中で
「そういえば・・・。」と忘れものに気付くワタクシ。
歯ブラシにシャンプー、リンスを忘れました。
ちゃんと準備をしたはずなのに。
いつも歯ブラシやシャンプー、リンスは
宿泊先に常備されているため、すっかり頭から抜け落ちていました。
今回の宿泊先は教会。
勿論、歯ブラシやシャンプー、リンスは常備されていません。
博多駅のコンビニで慌てて購入しました。

気を取り直して、博多駅から教会へ向かいます。
もうさー。いやんなっちゃうよねぇ。
修養会は修養会自体、つまりみんなとのディスカッションも
勿論、楽しいけれど、その後のお風呂や飲み会など、
「お泊り会」的イベントのほうがもっともっと楽しいのに。
そのメインイベント部分の準備を忘れるなんてさー。
と、自分のうっかり具合に思いを馳せていると、
ふとお風呂にはタオルも必要だったことを思い出しました。
ていうか、洗顔道具!洗顔の後の化粧水とか乳液とか!!

むしろ何を持ってきたって言うのさ?!
と胸ぐらつかみたくなるほどの自分の忘れものの多さに
テンションがどんどん下がっていきます。
・・・これってさー。
もしかして、何かの啓示じゃない?
「今日、泊まるの?泊まっちゃうの??帰ったほうがよくない?
 てか、帰っちゃえよ!」
って言われてるんじゃない?
泊まったら悪いことが起こるんじゃない?
と、自分のうっかり具合を棚に上げるダメダメっぷり。

教会に到着したものの、まだ誰も来ておらず、
がらんとした礼拝堂にますます怖気づきます。
帰ったほうがいいのではないかい?という気持ちが強くなり、
受付では、とうとう「宿泊」ではなく、
「部分参加」に丸をしてしまいました。

だって。
まだ誰も来ていないし。
再会を楽しみにしている友人どころか、誰一人として来ていないのです。
なんだかやっぱり幸先悪い気が。悪い予感が。
と怖気づきっぱなしのワタクシは、悪い方向へ想像を巡らせます。

きっと。
参加者自体、少ないんだろうな。
だって、ほら。
しおりには「「常に5分前行動を心がけてください。」って書いてあるのに。
集合時間だって、とっくに過ぎているのに。
いまだに誰もいないのです。
いまだに広い礼拝堂にワタクシひとりがぽつん
ワタクシ、友人どころか知り合いにすら、会えないんじゃないかしら。
知らない人の真ん中でぽつんと過ごすことになるんじゃないかしら。
と、悪い方向への想像はどんどん膨らみます。

そんなワタクシの傍に、運営側の友人が挨拶をしに来てくれました。
ようやく見知った顔に会えた!感激しながら、今回の参加人数を確認。

「何人か、まだわからんとよ。確定しとうのは10名ぐらいかなー。
 あと、来れそうやったら行くけんって言って来とうのが
 まだ何人かおるんよね。でも、まあ、大体がいつものメンバー。
 やけん、新鮮味にはかけると思うよ。」
と友人が答えます。

いつものメンバー!?
本当に?!
じゃあ、ワタクシ、知らない人の真ん中でぽつんじゃないんだ!
あと10名も来るんだ!とさらに感激するワタクシ。
感激ついでに先ほどから抱いていた疑問もぶつけてみました。
甘えてみました。

でも、みんな遅いよね?
ワタクシ、さっきから、
とってもさびしい気持ちに襲われてるんですけど。

「確かにね。さっきの君は、いじめられっ子が
 仲間はずれにあっとうみたいやったもんね。
 休み時間にひとりだけ外に遊びに行けんで、
 教室に残っとう人みたいやったもんね。
 こっちまで哀しい気持ちになったわ。
 でも、大体、のりぞうが早すぎるとって。
 16時半開始やけん、みんなぼちぼち来るんやない?」


・・・え?早すぎる?
え?16時半開始?

確かに。
時計の針が示すのは16時10分。
開始時間はまだまだ先のようです。
でも、ワタクシ16時って聞いたような。
だから、ぎりぎりの到着になってしまった!
と焦りながら5分前に到着したのに。
まさか開始時間までまだ35分もあるとは。
まさか「ひとり張り切り過ぎて早く来ちゃった人」みたいになっていたとは。

ハズカシー!!
とジタバタしていると、受付表を見たらしい友人から
「大体、泊まるって言いよったやん。帰ると?」
と、確認されました。

はずかしついでに、忘れものについても素直に告白。
うん。泊まる気満々やったんやけどね。
パジャマも明日の着替えもちゃんと持ってきたんやけどね。
でも、それ以外、すべて忘れたったい?
あまりの忘れものの多さにテンションが下がってしまったったい?

勿論、呆れられました。

でも、まあ、結局はその後、
今回、一番会いたかったトモダチにも会え、
久々に会う友人たちにテンションもうなぎ登りに上昇し
「なんでも貸すよ!」という優しい言葉にほろりとし、
「ていうか、帰る時間がもったいないって。」
というもっともな指摘に納得し、
あっさりと日帰りから宿泊へ変更したわけですが。

泊まって本当によかった。
楽しい二日間を満喫しました。

ただ、忘れ物を聞いた人たちには
「パジャマってさ、一番いらんくね?
 パジャマなくても泊まれるやん。」
と呆れられもしましたが。(そりゃそーだ。)

そもそも明け方4時半まで話し続けたのです。
本当にパジャマはいらなかったよな。

思い出したこと

2009年10月13日 22時01分55秒 | 日常生活
三連休の二日目、周期的に「たまには何かしてあげなきゃ!」と
使命感に駆られるらしい母上の提案で、妹夫妻とランチを一緒に取ることになりました。

昼食時、教会トモダチから義弟くんへの伝言を頼まれていたことを思い出しましたが
義弟くんの仕事内容に関わること、
すなわちトイレ関係の伝言だったため、昼食終了を待ちました。

教会トモダチの伝言は
「トイレのはねっ返りをぜひなんとかしてほしい!」
という熱烈な要望。
なんでもトイレをするとき(大)に、
ちゃぽんっ!とトイレの水が跳ね返るんだそうです。
その跳ね返った水が自分自身にぶつかると、
ものすごくテンションがだだ下がるんだそうです。

ほお。そんなこともあるんだねぇ。
と、思っていましたが、伝言を伝えたところ、義弟くんの反応は
「そうなんですよ!それは今、ものすごく大きな課題なんです。
 でも、なかなか難しいんですよね。」
といったもので、その要望が
決して特殊なものではないらしいことがわかりました。

それをきっかけに、話の流れは義弟君の仕事内容へ。
今、携わっている業務や実際にしていることを
分かりやすく説明してくれる義弟君。
専門的な業務内容にも関わらず、非常に分かりやすい説明で、
なんだか義弟君がいつもと違う人に見えてきます。

翌日。母上がワタクシにこっそりと呟いた言葉。
「ねぇねぇ。昨日の話、聞きよったら、
 義弟くんち、頭よかったんよねぇって思い出さんかった?
 たまに思うんよね。頭いいなぁっち。」


でも、多分。
と同じ日に同じように同じことを思いだしたワタクシは思うのです。

・・・また、忘れるよね?

秋の夜長のほんのひととき

2009年10月12日 21時49分08秒 | 日常生活
ここ二週間ほど、家族全員で開花のときを待ち望んでいた月下美人。
年に一度、夜に数時間しか咲かないため、
「幻の花」と言われているこの花を、母上が仕事仲間からいただいたのです。

その「幻の花」が本日、ようやくようやくようやくの開花です。
父上、母上と共に夕食そっちのけで撮影会。

上品な色合いの白なのに、大ぶりの花びらによって、
なんとも華やかな印象を与えられる不思議な花です。

この花明日以降はもう咲かないなんて。
本当に不思議。

今夜は、もう少しゆっくりじっくり彼女を眺めて過ごそうと思います。
美しいなあ。

9月の読書

2009年10月11日 09時42分57秒 | 読書歴
82.蟋蟀/栗田有紀
■ストーリ
 生き物をテーマにした10の物語たち。手を握ったひとの未来が
 見える占い師の身に起こったこととは?(サラブレッド)
 優秀でかわいい秘書は、研究室に大きな水槽を持ち込んで?
 (あほろーとる)。夫の出世で住むことになった社宅には不思議な
 サークル活動があって・・・(猫語教室)。
 生き物をテーマやモチーフや題名にしたちょっぴり不思議な短編集。

■感想 ☆☆
 ありえない出来事、奇妙な生き物がふんだんに現れるファンタジー
 である。しかし、読後感に残る感覚は、ファンタジー特有の
 心温まるものではなく人間に対してのうすらさむさ、人特有の孤独と
 そら恐ろしさだ。
 栗田さんの文章は他の作品と同様、とぼけた味わいで、
 ひょうひょうとしたリズムを打ち出しており、さらさらと読みやすい。
 しかし、だからこそ、描かれる人間たちの、孤独が身に迫ってくる。
 人は、誰かと関わったり、誰かに囲まれたりしているときのほうが
 より一層、孤独を感じるのかもしれない。そう思った。

83.夏のくじら/大崎梢
■ストーリ
 都会から高知にやってきた大学生・篤史は、従兄弟から強引に、
 本場のよさこい祭りに誘われる。衣装、振り付け、地方車、鳴子。
 六年ぶりに復活する町内会チームは、どこよりも熱い。
 南国高知、真夏の風は、空から海へと吹き抜ける。
 一途な思いを秘めて、踊る青春群像。

■感想 ☆☆☆☆☆*
 文字を追っているだけで、突き抜けるような青空が目に浮かび、
 掴めるのではないかと思うほどむっとした暑さの空気や
 自分の肌がじりじりと日焼けしていく感覚が肌に迫ってくる。
 なぜ、人は祭りに熱中するのか。
 何がこうも人を祭りに惹きつけるのか。
 その疑問に明快な答えはないが、何かに打ち込む行為は
 理由など必要ないほど、楽しく気持ちの良いことなのだと実感できる。
 物語に引き込まれた私は、クライマックスで、
 祭りに打ち込む主人公たちの感動を、確かに共有することができた。
 彼らの感動をまるで自分の体験のように共有でき、心を震わせられた作品。
 恩田陸さんの「夜のピクニック」を思い出した。

84.ふくろうの叫び/パトリシア・ハイスミス
■ストーリ
 結婚に失敗し、精神的に疲れていたロバート・フォレスターにとって、
 幸せそうに生活する女性ジェニファーの姿をこっそり眺めることが、
 唯一のやすらぎだった。ある夜、ついに見つかってしまった彼を、
 意外にもジェニファーは暖かく迎え入れてくれる。
 その上、彼の孤独感に共鳴し、出会いを運命的なものと感じた彼女は
 恋人グレッグとの婚約を破棄してしまった。嫉妬と復讐にかられた
 グレッグは、ロバートを執拗にねらい始める。

■感想 ☆☆*
 20年前の作品ではあるが、テーマ、人間描写、共にまったく
 古さを感じさせない作品。
 狭い小さな街ゆえの濃密な人間関係が緊迫した状況を生み出していく。
 もがけばもがくほど追い込まれていく主人公のやりきれなさと、
 その末に待ち受ける結末に読み終えた後、茫然とした。
 人間の、そして女性の嫌な面がデフォルメされて表現されているものの
 それは確かに私の中にもある一面で、ぞっとしながら読み終えた。

85.やがて哀しき外国語/村上春樹
■内容
 初めてプリンストンを訪れたのは1984年の夏だった。
 F・スコット・フィッツジェラルドの母校を見ておきたかったからだが、
 その7年後、今度は大学に滞在することになった。
 2編の長編小説を書きあげることになったアメリカでの生活を、
 2年にわたり日本の読者に送り続けた16通のプリンストン便り。
■感想 ☆☆☆☆*
 村上作品のファンは多いけれど、同じぐらいアンチファンも
 多いように感じる。かくいう私も数年前までは、アンチファンと
 まではいかないけれども、彼の文章を読めないでいた。
 彼の文章を何度読んでもまったく記憶できず、読んでも読んでも
 さらさらと流れていく文章や盛り上がりの感じられないストーリ
 展開にてこずっていた。
 しかし、エッセイを読み始めてから、彼に対する印象が一変した。
 彼の文章の美しさ、平易な文章からにじみ出る知性に感嘆し、
 「尊敬する作家」となった。
 つまり、私にとって「エッセイ」が村上春樹の出発点であり
 彼の魅力をあますところなく伝えてくれる形態だ。
 そういった親しみやすさは、この作品でも健在。
 親しみやすさだけではなく、筋の通ったこだわりややわらかく
 あたたかな人柄、どんなに失敗談を書き連ねても伝わってくる
 知性も健在だ。
 どこの国で過ごそうとも、彼の日常は、彼のゆるぎない信条によって
 穏やかに保たれていて、大切なもの、大切でないものがはっきりしている。

 彼のように大きな目で世界を見つめられる人になりたいと憧れる
 のですが、先輩からの「器が違うよ。」という言葉に、改めて深く
 納得したのでした。

86.秋期栗きんとん事件(上)(下)
■ストーリ
 あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活
 は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かった
 クリスマス。お正月には揃って初詣。
 ・・・それなのに、小鳩君は機会があれば、彼女そっちのけで謎解きを
 繰り広げてしまう。そのころ、校区を襲う連続放火事件が少しずつ
 エスカレートし始め、小鳩君はとうとう本格的に推理を巡らし始める。
 シリーズ第三弾。
■感想
 最近の小学生は「目立つ」ことを恐れるそうだ。
 「目立つといじめられる」という図式が出来上がってしまった現代の
 学校社会。小鳩くんと小山内さんも「目立たないように」
 「小市民的に」生きようと努力する。「普通に生きよう」と意識して
 行動するあたりに主人公たちの思春期特有の「有能感」が感じられるし、
 そこがまた、「彼らの普通さ」を表している気がする。
 「目立っても得になることなどない」と思う気持ちと「でも、自分には
 こんな能力がある」と誇示したくなる気持ち。その二点間を小鳩君は
 不安定に揺れ動く。
 一方、小山内さんは、小鳩君ほど揺れ動くことなく、自分自身と
 決着をつけ、自分らしい生き方を模索し始める。
 主軸はあくまでも主要人物ふたりであり、連続放火事件は
 サイドストーリ。しかし、そのサイドストーリにふたりと小山内さんの
 年下の彼が関わり、三人の関係に大きく影響を及ぼし始める。
 クライマックスに私は爽快なきもちを抱いたが、よくよく考えると、
 思春期の男性には非常に酷な展開だと思う。それでも、私はその展開に
 不愉快な気持ちは抱かなかった。
 それが「女性の持つ残酷さ」なのかもしれない。
 前作で袂を分かちあったふたりが再び、共に生きることを選択する
 ラスト。次作ではおそらく高校卒業。いよいよこのふたりともお別れ
 なのかと思うと少しさびしい。

88.無名
■内容
 一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。そんな父が
 ある夏の終わりに脳出血のため入院した。混濁してゆく意識、
 肺炎の併発、抗生物質の投与、そして在宅看護。病床の父を
 見守りながら、息子は無数の記憶を掘り起こし、その無名の人生の
 軌跡を辿る。
■感想
 尊敬している父親が入院をきっかけに弱っていく様子を、作者は
 感情をおさえた文章で静かに書き記す。数奇な運命を経て「有名」
 になり得なかった父親の人生に思いを馳せる作者。ベッド脇で
 父親と過ごす夜、彼は父親が残したいくつかの俳句を丁寧に読み解き、
 彼の「生き方」や「美学」に思いをはせる。
 弱っていく父親の様子が克明に描写され、その姿と私の祖父や
 祖母の姿が重なった。
 私の祖父は倒れて病院に運ばれ、そのまま意識が戻ることなく
 半年間を病院で過ごした。祖父を看取った祖母は今、入院と在宅での
 看護を繰り返している。作品内でも描かれていたが、入院生活による
 行動範囲の狭まりは、確実に意識の混濁を引き起こす。
 高齢者にとって、意識の混濁は、その後に訪れるであろう「痴呆」
 を指し示す。しかし、現代の日本では、在宅介護が家族に及ぼす
 影響は大きく、介護を受ける本人も子供たちとの同居を望まないこと
 が多い。私の祖母も「ひとりぐらし」を望み続けるひとりだ。
 だからこそ、作者の祖父が在宅看護を始めようとした矢先に
 息を引き取ったとき、子供たちが「家族には迷惑をかけない、
 という父親なりの決意なのかもしれない」と受け止めた点に共感できた。
 高齢者にとって、「生きる」こと、「穏やかに死を迎える」こと、
 そして「死が訪れるその瞬間まで生きることへの熱意を持ち続ける」
 ことは非常に難しいのだと思う。
 「無名」のまま、地位にもお金にも権力にも何の執着を見せずに
 生き続け、穏やかに亡くなった作者の父親の人生は、彼なりの
 人生哲学を貫いた、という点でとても幸せな人生だったのだと思う。
 彼の選ぶ言葉には、彼の飾らない人柄がよく表れていると感じた。

連休初日

2009年10月11日 09時17分46秒 | 日常生活
5連休が終わったばかりだと思っていたら
またもや巡ってきた3連休。
今年は本当に素敵な休日事情です。
常に休みに飢えているワタクシでさえ
「今年は休み、多いかも・・・。」
と素直に思える2009年です。

というわけで、「休み」に浮かれていた3連休初日。
母上に付き添って、母上の友人宅へ遊びに行って来ました。



・・・「母上の」友人宅。
楽しかったんですけど!
とってもとっても楽しかったんですけど!
色々と勉強になったんですけど!

でも、せっかくの三連休なのに・・・と思わないでもないわけで。
とは言え、「母上の」友人宅へ行くことになる前は
「せっかくの三連休だし、図書館へ行った後、
 久々に本屋で立ち読みしようかしらー♪」
とうきうきと計画を立てていたワタクシにとって
当初の計画よりは100倍充実した三連休初日となりました。


・・・世の中の素敵女子たちは、
一体、いずこでどのように休日を充実させているのでしょうか。
ひきこもらー(引きこもる場所が家と図書館)のワタクシにとって、
解明できそうもない大きな謎です。

事務所通してください

2009年10月10日 01時36分41秒 | 日常生活
ちょっぴりわくわくしていたインタビューが終わりました。
なんでも、インタビューされたからといって
新聞に必ず載るわけではないそうで、
そう伺ったおかげでまったく緊張することなく、構えすぎることなく
素直に質問を受けることができました。

もっとも、緊張することなく対応できたのはそれだけが理由ではなく、
総務課長が穏やかに見守ってくださったから、というのも大きいのです。
5月に大分から異動してきたばかりなので
ゆっくりとお話したことはほとんどないにも関わらず
穏やかな笑顔を見るたびに、大きな安心感を与えてくれる
素敵な課長なのです。

うん。課長が一緒にいてくださるのなら
ワタクシが何かとち狂った対応をしてしまっても
落ち着いてフォローしてくれるはず。
間違ったことを言ってもきちんと訂正してくれるはず。
と、甘え根性丸出しにできたため
変に気負うことなく、質問に答えることができました。
予想通り、にこにこと穏やかなオーラで
ワタクシと記者さんを見守る課長。
ワタクシが今ひとつ理解できていない制度について聞かれて
ちょっぴりあやふやな答え方をしても動じることなく
「うんうん。あってるよ。大丈夫だよ。
 そのとおりだよ。」
という感じの笑顔で頷いてくれます。
調子に乗って、終盤はかなり口も滑らかになりました。

そんな中、唯一、課長が心配そうにストップをかけた
記者さんの質問。

「のりぞうさんは入社何年目ですか?」

現在の年齢 - 大学卒業の年齢 を一生懸命計算していたため
咄嗟に回答できなかったワタクシ。
あれ?ワタクシってば9年目だっけ?10年目だっけ?
と、暗算をしながら、ふと隣を見ると、
眉間にしわを寄せている課長の姿が目に入りました。

「それはちょっとよくないんじゃないかなぁ・・・・。」

ん?どうしました?

「それ、のりぞうくんの年齢がばれちゃうよ。」

・・・かちょー。
ワタクシ、年齢隠していませんから。
別に年齢がばれると思って、
答えるのを躊躇っていたわけではありませんから。
誤解を解こうと、大慌てで、かつ勢い込んで回答するワタクシ。

「9年目です!」

ワタクシの慌てた回答っぷりが誤解に誤解を重ねたようで
ちょっぴりたじろぐ記者さん。

「えっと。年齢も場合によっては掲載するかもしれませんけど・・・。
 まずいかなぁ・・・。あ!30代とぼかしましょうか?!」

だーかーらー!!
隠してませんってば。
隠してませんから、
そのイイコト思いついたふうな感じで言うのやめてもらえませんか?
31歳って書いてもらっていいですってばー!
と、力んで伝え、インタビューを終えました。

自席に戻り、隣の席のセンパイに憤慨しながら訴えます。

「年齢を載せてもいいですか?って気を使われたんですよ!
 『30代』とぼかしましょうか?って言われたんですよ!
 正々堂々と、31歳って書いてくださいっ
 と、怒ってきました。」

すると、隣の席のセンパイがほっとした面持ちでおっしゃいました。

「そうだよね。それが正解だよ。よく気がついたね。
 30代だと、39歳でも30代だもんね。
 ここは31歳、と書いてもらって
 30歳になったばかりだということをアピールしてもらわないと。
 うん。うん。『30代』と『31歳』はまったく違うよね。」




・・・ちょっと違う。
ちょっと違うけど、センパイがあまりにも嬉しそうに
納得してくださったため、何も言えませんでした。

ワタクシの周りには、
まるでマネージャのように、
ワタクシの個人情報をしっかりと守ってくれる
頼もしいセンパイ方がたくさんいるようです。

本日の肌年齢

2009年10月09日 07時43分29秒 | 日常生活
お化粧を落とさずに寝ると、お肌は一気に年を取るそうです。
年を「重ね」ているわけではなく、「取る」。
若さとかコラーゲンとか水分とか、いろんなものを
まとめて一切合切すべて、取られている状態なんだとか。


本日、ワタクシの肌年齢は41歳です。

9時のニュースで、青山さんの理知的な声を確かに耳にしたはずなのに。
それから、なにをどうやって布団までたどりついたのやら。
それすらあやふやで、むしろ、たどりついていることを誉めてあげたいくらいです。



でも。まあ。
青山さんの声を耳にしてはいるものの
青山さんの姿を目にした記憶はないな。
と、納得し、朝からすっきりした気持ちを味わえました。

三連休は遊びすぎずに、睡眠を多目に取り
失った10歳を取り戻そうと思います。