のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

よつばと/あずまきよひこ

2009年10月22日 23時35分46秒 | 読書歴
95.よつばと/あずまきよひこ
■ストーリ
 いつでも、今日がいちばん楽しい日。
 夏休みの前日、とある町に強烈に元気な女の子「よつば」と、
 「とーちゃん」の親子が引っ越してきた。遠い海の向こうの
 島から来たらしい不思議な女の子、よつばがはじめて体験する
 「毎日」に振り回される周囲の人達。

■感想 ☆☆☆☆☆*
 ここ数年、家にある漫画を読み返したり、以前好きだった漫画を
 古本屋で読み返すことはあっても、新規開拓からすっかり
 遠ざかっていましたが、いろんな縁が重なったおかげで、
 久々に集中的に漫画の新規開拓を行えています。

 で、色々と読んだ最近の中でもピカイチだったのがこの作品。
 おもしろくて、おかしくて、かわいらしくて、いとしくて、
 ノスタルジックな気持ちに浸ることもできて、と
 この作品を読むだけで、心の中の様々な部分を刺激されました。

 物語はとてもシンプル。
 ある街に引っ越してきたよつばちゃんが父ちゃんや父ちゃんの友達、
 新しい街のお隣さんたちと一緒に「はじめて」を楽しむ物語。
 無邪気にどんなことでも楽しむよつばちゃんは、好奇心のかたまりで
 「はじめて」が大好き。「はじめて」ではないものも大好き。
 よつばちゃんは、どんなものだって楽しむ。
 それがたとえ、雨や風のような日常生活にあふれているものであっても。
 大雨の中、大喜びで外に出ていくよつばちゃんを心配する
 お隣さんへの父ちゃんの言葉が印象的。

 「大丈夫、大丈夫。
  あいつはなんでも楽しめるからな。よつばは 無敵だ。」

 この漫画を読んでいると、小さい頃の風景を、
 あの頃の空気のにおいを、あの頃の時間の流れを
 鮮明に思い出しているような気持ちにさせられます。

チルドレン/伊坂幸太郎

2009年10月22日 23時33分45秒 | 読書歴
94.チルドレン/伊坂幸太郎
■ストーリ
 こういう奇跡もあるんじゃないか?
 まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。
 信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。
 ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
 短編集のふりをした長編小説です。

■感想 ☆☆☆☆*
 5編のストーリーで、過去と現在を往復しつつ、陣内のぶれない
 人間性や、彼が父親に抱いていたわだかまりからの解放について
 描いた作品。
 各ストーリで、日常の1場面にスポットが当てられる。
 そこには、見過ごそうと思えば見過ごせる程度のちょっとした
 謎が隠されている。そのちょっとした謎に気付いているわけでは
 ないのに、陣内は彼特有の感性で敏感に反応し、いちゃもんを入れ、
 騒ぎ立て、いつのまにか謎を明らかにしていく。その隣で、
 目が見えないにも関わらず、唯一、起こっている出来事を正しく
 見ることのできる永瀬。
 そして、陣内に呆れながらも、彼の感性を認めている友人、鴨居。
 彼らが築いている関係の温かさ、親しさゆえの無遠慮さが大好きで
 気がつけば何度も読み返してしまう作品だ。

 突飛なキャラクターの陣内が周囲の友人たちにきちんと迷惑がられ
 呆れられ、そして結局は愛されている姿がいとおしい。
 突飛に見えて、枠におさまっていない分、実はもっとも真実や真理に
 近い陣内。だから彼の言葉は傍迷惑なのにポジティブだし、
 自分勝手なのに、希望にあふれている。人に元気を与える。
 「奇跡」は狙って起こすものではない。だから、意識して与えられる
 「優しさ」なんかを飛び越えたところにいる陣内の周囲に
 「奇跡」があふれているのかもしれない。

生き方上手~対話編~/日野原重明

2009年10月22日 23時29分53秒 | 読書歴
93.生き方上手~対話編~/日野原重明
■内容
 ミリオンセラー「生き方上手」の読者101人と91歳を越えた
 医師との対話。私たちにできることは、よりよい死を考えながら
 生きる、ただそれだけなのです。
■感想 ☆☆
 図書館へ行く、という私に祖母が「じゃあ、これも読んでみて。」
 と貸してくれた数冊のうちの1冊。祖母が本を読んでいる姿など
 見たことがないため、驚いたものの、だからこそ興味をひかれ、
 読み始めた。
 「生き方上手」の読者から送られた「読者カード」への回答が
 本になっているため、「生き方上手」を読んでいることが前提
 となっている。この本だけを読むことは想定されていないつくりと
 言っていいと思う。また、様々な年代の方に、見やすく読んで
 もらうよう構成されており、そのために文字が大きかったり、
 文字数が少なかったり、と少し物足りなく感じるところもある。

 けれど、そういったところを補って余りある説得力に満ちた
 言葉の数々だった。91歳を超えてなお、医師として現役で
 働き続けているという著者だからこそ、言葉に力を与えている
 のだと思う。それでいて、彼は「医師」という職業だけに
 人生を注いではおらず、「音楽」という楽しみも見つけて、
 今も毎日を生き生きと過ごしている。
 そういった充実した日々が彼に力を与え、そして読者である
 私たちにも元気を与えてくれるのだと思う。
 なにより、彼が持つすべてのものに対する「肯定」の気持ちが
 私を穏やかな気持ちにさせてくれた。

 こういったジャンルのベストセラーには苦手意識があるため、
 なかなか手に取れないでいますが、「生き方上手」は
 読んでみたいかも・・・と思わせられました。