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のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

真実の種、うその種/芝田勝茂

2007年03月20日 22時57分56秒 | 読書歴
■ストーリ
 枯れ果てたと思われていた人の心を凍らせるフユギモソウの
 種が見つかった。踊り子テオ、包帯リン、道大工トーマの3人は、
 種をある場所に捨てるという任務を受け、ドーム郡から長い旅に
 出る。「ドーム郡シリーズ」完結編。

■感想 ☆☆☆
 絶版となっていた「ドーム郡ものがたり」「虹への旅」が
 復刊したのは、20年以上の時を経て、ドーム郡シリーズの
 第三巻が登場したからのようです。
  「ドーム郡ものがたり」の感想はコチラ。
  「虹への旅」の感想はコチラ。

 ドーム郡の時代は更に進み、アイザリアの国々では
 貨幣が流通し、武器も軍艦も近代化を果たしている。
 近代化は町に活気を与え、そして戦争の被害を大きくする。
 良いことがあれば、悪いこともある。
 これがこの作品のテーマ。

 旅の果てにたどりついた神聖な土地で三人は
 世界の始まりを目的する。神が人間に言葉を与え、
 その言葉によって人はお互いに意思を疎通させる。
 思いやりを伝え合い、信頼関係を築けるようになる。
 一方で人間は言葉によって、憎しみを増幅させ、騙しあい
 嘘で人を傷つけることもできるようになる。
 プラスにもマイナスにも働く力が言葉だ。
 ・・・違う。人間の持つ性質ゆえに、言葉はプラスにも
 マイナスにも作用するのだろう。言葉の力ではない。

 人間の持つ危ういバランスは性善説と性悪説のように
 もしくは未来に対する希望と危機感のように
 ほぼ平等に存在し、均衡を保っているのだろう。
 だから人々は今も未来に対しての無邪気な希望と
 現状に対する絶望的な危機感を抱き続けている。

 シリーズ中、最も壮大で最も深遠で難しい物語だった。
 だから、前二作を読んだときのような爽快な読後感は
 あまり味わえていない。色々とずっしりと考えさせられる
 そんな小説だ。しかし、登場人物はそれぞれ魅力的だ。
 頼りがいのある海の男に気障な「ミゴールの真珠泥棒」
 飄々とリーダーシップをとるトーマに、寡黙で存在自体が
 キュートなリン。それぞれが生き生きと魅力的に彩りを
 与える。その中でも特に魅力的なのは、踊り子テオ。
 まるで太陽のような女性で、くるくるとよく踊り、歌い、
 勝気に旅を進める。喜怒哀楽を素直に表すのに、
 本当に大切な人には最後の最後まで強がる。
 テオだからこそ、人の心の本音に近づくことができ、
 人を魅了し、行く先々で人々の戦いへの考え方を
 変えさせることができたのだろう。

 ところどころで前二作の小説の主人公たちの
 「その後」が分かるのはこのシリーズのファンにとって
 嬉しい仕掛けだった。


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