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村上朝日堂の逆襲/村上春樹

2007年08月19日 22時57分07秒 | 読書歴
■村上朝日堂の逆襲/村上春樹
■内容
 交通ストと床屋と教訓的な話とハワイで食べる冷麦が好き。
 高いところと猫のいない生活とスーツが苦手。時には
 「セーラー服を着た鉛筆」について考察するかと思うと、
 小津安二郎の映画の細部にこだわったりもする。「自由業の
 問題点について」に始まって、「長距離ランナーの麦酒」に終わる
 御存じ、文・村上春樹とイラスト・安西水丸のコンビが読者に贈る
 素敵なワンダーランド。

■感想 ☆☆☆☆
 私はどちらかというと、本を読むと、その世界にどっぷりと
 入り込んでしまうほうだ。私にとって「面白い本」は、その世界に
 すんなりと入っていける本。
 だから「しょせん、人間なんて悪者ばかりさ。」という内容の
 小説も「人間って本当に素敵☆」という内容の小説も、どちらの
 内容も、その世界にすんなりと入ることさえできれば、面白く
 読み進めることができる。

 この村上朝日堂シリーズは「エッセイ」で「小説」ではない。
 「随筆」という言葉も違う気がする。あくまでも「エッセイ」。
 カタカナを使った軽い感じがよく似合う。
 しかし、私は村上さんの世間話の中にものの見事に入り込んでしまった。
 まるで、昼休みに席が後ろの友人と話している感覚。
 「そうそう!分かる、分かる!私の場合はね・・・」
 と、村上さんが綴っている内容について、私の思いや経験も
 語りたくなる。一緒に話し込みたくなる。
 それぐらい村上さんを身近に感じることができる。
 すらすらと読み進めることができる。

 でも「軽すぎる」感じではない。
 しっかりと地に足がついている人、真ん中に芯が一本通っている人が
 あえて軽い感じで書いてくれている。きちんと深く掘り下げた上で
 あえて誰にでも分かる文章で書いている。
 そういうにじみ出る知性が伝わってくる一冊。


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