のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

正直者め。

2009年03月02日 22時00分40秒 | 日常生活
ニュースを見ていても、地元企業の方々のお話を伺っていても
見渡す限り、景気のよくない話がうごめいている中
なぜか今年も入社直後に新人が一泊二日の東京旅行を楽しむことになりました。
先輩社員からはことごとく不評のイベント
グループ入社式なるものが今年も開催されるため
全国各地の新人が東京へ大集合するのです。

というわけで、人数分の飛行機の予約をお願いしていたところ
隣の部署の先輩が申し訳なさそうにワタクシの席へいらっしゃいました。
「グループ入社式のことなんですけど。。。」

あ。すみません。今年も行かなきゃいけないみたいなんです。
手続きとか大変ですよね。よろしくお願いいたします。
と、平身低頭お願いするワタクシ。
なにせ、飛行機なんてめったに乗らないため
手続き関連はこの方の導きなしには行えないのです。
先輩だけが頼みの綱なのです。

「いえいえ、手続きはいいんです。
 いつもどおりですから。
 で、ですね。予約をするには、対象者の氏名と年齢の情報が必要なんです。」

あ!そうですよね!!名前は絶対に必要ですよね。
それに年齢も必要だったんですね。
了解です!今から内定者の情報をかき集めて
データをお送りいたしますね!
と、やることが見つかって、元気に反応するワタクシ。
それぐらいの情報だったら、すぐに送れますからー!

「・・・いえいえ。その情報は人事が把握してるんで大丈夫です。
 もうデータももらえました。
 で、必要なのはのりぞうさんの情報なんですよ。
 もう、本当にすみません!すみません!!
 えっと・・・・ね、年齢は・・・・?」

懸命に謝りながら、
そしてものすごく申し訳なさそうにどもりながら
年齢を尋ねられました。
・・・・その反応が一番傷つくんですケド。
ワタクシ、年齢を隠してなんかいませんケド。
いつだって堂々と公表できますケド。
というか、そんな反応をされるような年齢に自分がなったんだってことが
一番ショックなんですケド。

色々な想いが錯綜する中、それでも笑顔で
「謝らないで下さいよー!隠してませんってば。
 31です。31!」
と、気にしてませんオーラをなんとしてでも分かってもらうべく
不自然に明るいテンションで回答するワタクシ。
・・・あぁ。どう考えてもかえって不自然。。。
本当にまったく気にしていないのに、
自分でもびっくりするぐらいのウソ臭さです。

そのウソ臭さを律儀に嗅ぎ取ってしまったらしき先輩の
更にウソ臭い一言。
「・・・え?31?てっきり25ぐらいかと思っとったよ。」

そして、その言葉を聞いたワタクシの実に素直な反応。
「ウソツキー!!!」

みんな元気。/舞城王太郎

2009年03月02日 21時59分02秒 | 読書歴
10.みんな元気。/舞城王太郎
■ストーリ
 短編集。「みんな元気。」「Dead for Good」「我が家のトトロ」
 他5編。表題作では、ある日突然、ヒロインの姉と妹が
 空を飛べるようになる。すると、空飛ぶ一家が訪れて、家族の交換を
 申し出るのだった。人生を生きるというのは、気付かずに透明魔人を
 たくさん生み出しながら、それと対決してゆくことなのだ。

■感想 ☆☆*
 舞城さんパワー炸裂。
 特に表題作は、物語の筋も時空を軽々と飛び越えて、あちらへ行ったり、
 こちらへ戻ってきたりするために、ついていくのがやっと。
 話の内容を楽しむどころではなかった。

 終盤近くまで物語のパワーをつかみ取ることができずに、
 読了もあきらめかけていたが、最後の最後でようやく色々な主張が
 見えてきてすっきり。手当たり次第に置かれただけのような
 様々な出来事もこのメッセージにたどりつくための伏線だったのか、
 と納得できた。
 そういった意味で、私の手には負えなかった短編集。
 それなのに、ふと出会う言葉の輝きが素敵でついつい読んでしまう
 舞城作品。この作品集では、唯一、「我が家のトトロ」のみ、
 最初から最後まで丁寧な説明で楽しみながら読むことができた。
 ただ、それだけにコアな舞城ファンには、不評のよう。

マルコの夢

2009年03月02日 21時58分31秒 | 読書歴
9.マルコの夢/栗田有起
■ストーリ
 パリ、日本。幻のマルコをめぐる奇妙な冒険譚。
 姉の依頼でフランスへ渡った一馬は三ツ星レストラン
 「ル・コント・ブルー」で働くことになる。オーナーからの依頼で、
 幻のマルコ買いつけのために日本に戻る一馬。
 はたして一馬はマルコにたどりつけるのか。

■感想 ☆☆*
 栗田作品特有の不思議な世界。
 「三ツ星レストラン」という現実世界に「マルコ」とか
 「巨大キノコ」とか「壊れた眼鏡しかかけない職人」とか
 「キノコの番人」といった奇妙な設定を見事にあてはめて
 独特の世界を作り出してくれる。

 栗田作品の登場人物に共通するのが、自分の仕事に対する誇りであり、
 仕事に対峙する姿勢の礼儀正しさだと思う。
 今回の作品でも、仕事に対する「職人」の想い、意気込み、決意が
 存分に語られていてすがすがしい。ただ、他の栗田作品に比べると、
 中編だからこその物足りなさを感じさせられた。

野球の国のアリス

2009年03月02日 21時57分41秒 | 読書歴
8.野球の国のアリス/北村薫
■ストーリ
 少年野球のチームでエースピッチャーとして活躍する小学生の女の子、
 アリスは、ある日大変だ、大変だと走っていく顔見知りの新聞記者
 宇佐木さんの後を追いかけたことから、「鏡の国」に迷い込んでしまう。
 そこではあらゆるものが左右対称で反対。野球の勝負も
 「勝ち抜き戦」ならぬ「負け抜き戦」、つまり負けたチームが
 進んでいき、最後に全国一弱いチームを決める、という催しが
 大人気だったのだ。「こんなのはおかしい!」と憤慨するアリスは、
 最弱チームに入り、試合に勝ってみせようとする。

■感想 ☆☆☆☆
 小中学生を対象としたジュブナイル小説らしいが、
 そういったことを意識することなく、楽しめた。
 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」をモチーフに、
 次々と入り乱れる登場人物たちが繰り広げるファンタジー。
 「現実ではありえない」話をファンタジックに綴ってはいるが、
 その内容は「現実に起こっていること」だと感じた。
 誰もが「おかしい」と思っているのに、全体の流れに逆らえないまま、
 「制度」として認定されてしまうことがあること、とか、
 「制度」として認定されてしまうと、その制度を廃止するのには
 制定する以上に多大な労力を必要とすること、とか、
 それでもあきらめないこと、正々堂々と「おかしい」と
 表明することの重要さ、とか
 少しずつ発信する「おかしい」という声が世の中を変えることも
 あること、など、心に残る言葉がたくさん練りこまれている。

 ところどころに話し言葉も取り入れ、全体的に柔らかい雰囲気、
 読みやすさだった点のみ、「若者対象」を感じさせられるが、
 内容はいつもの北村さん節に満ちたものだった。