のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

本好きへの100の質問【Part2】/2007年

2007年08月04日 22時33分53秒 | バトン
のび子さんからいただいた「本好きへの100の質問」の続きです。
【Part1】はコチラ

◆021. 既に持っている本を、誤って買ってしまったことはありますか?
    その本のタイトルは。

あります。 加納朋子さんの「掌の中の小鳥」。
今も仲良く本棚に並んでいます。

◆022. 気に入った本は、自分の手元に置かないと気が済まない?

勿論です。でも、お金が追いついていません。

◆023. 本に関することで、悩んでいることは?

読みたい本が多すぎる。なのに、図書館や本屋でとっさに読みたい本を
思い出せません。自分の記憶力のなさを実感する瞬間。

◆024. 速読派と熟読派、あなたはどちらに該当しますか。

うーん。どちらだろう。早くはない、と思います。
でも、じっくりも読んでない。

◆025. 本を読んでいて分からない言葉があったとき、意味を調べますか?

父親に尋ねます。父親に「辞書をひけ」と言われて、辞書をひきます。

◆026. 本を読む場所で、お気に入りなのは?

お風呂の中。集中して読めます。立ち読みも実は好き。
本に囲まれていると、わくわくします。

◆027. あなたは今、めったに読むことのない分厚い本を前にしています。
    ところでこの本「すごくおもしろい」という、いつもは信頼
    できる情報を得たはずなのに、最初の部分がやたらにつまらない。
    そんなときどうしますか?

挫折してしまうと思います。
「やり遂げる」とか「根気」という言葉と無縁です。

◆028. 本を読むときに、同時になにかすることはありますか?
   (例:お茶を飲む、おやつを食べる、音楽をかける)

お風呂に入っていることが圧倒的に多いです。
後は、人を待っていたり、移動のためにバスに乗っていたり。
基本的に「なにかしているとき」にしか読んでません。

◆029. 読みかけの本にはさむ栞は、何を使っていますか?

電車やバスの切符をよく挟みます。それを見て、哀れに思い
友人や妹がプレゼントしてくれた栞を使います。

◆030. ブックフェアのグッズを新たに誕生させることになりました。
    あなたが「これなら欲しい」と思うグッズを考えてください。

素敵なイラストの入った図書カード。

◆031. 無人島1冊だけ本を持っていけるとしたら、何を選びますか。

なんだろ。「スキップ」?

◆032. 今、最も欲しい本のタイトルをどうぞ。

「ぐうたら王とちょこまか王女」
違う名前で再販されていますが、このタイトルのものが欲しいのです。
美内すずえ「ガラスの仮面」の最終巻。 早く読みたいです・・・。

◆033. 生涯の1冊、そんな存在の本はありますか? その本のタイトルは。

ありません。1冊を選ぶことはできません。
今までに読んだすべての本が今の私に影響していると思う。

◆034. 何度も読み返してしまうような本はありますか? その本のタイトルは。

持っている本は、定期的に部分的に色々と読み返してます。
そのなかでも再読率が高いのは、よしもとばなな「TUGUMI」「キッチン」
宮部みゆき「火車」「魔術がささやく」
北村薫「スキップ」「ターン」「リセット」「秋の花」
オルコット「昔気質の一少女」「ローズの幸福」「小公子」
モンゴメリ「赤毛のアン」「アンの青春」「アンの愛情」
阿川佐和子さんのエッセイ、佐藤愛子さんのエッセイ

◆035. おきにいりの作家ベスト5と、理由をお願いします。

>北村薫さん
優しさと知性を兼ね備えた作家さんだと思います。
読んでいて、泣きたくなる作品多数。

>伊坂幸太郎さん
その賢さに読むたび、ただただ、驚嘆しています。
練りこまれたプロットが読んでいて気持ちがいい。すっきりします。

>向田邦子さん
言葉の美しさと芯の強さにほれぼれしています。
人生の先輩として素敵な方。

>阿川佐和子さん
賢いのにかわいらしくておもしろい。全てが好きです。

>佐藤愛子さん
小説は一冊も読んでいませんが、エッセイはとにかく面白い。
「ムスメと私」シリーズは、何度も声を出して笑いました。
強さと潔さを兼ね備えたかっこいい女性です。

◆036. 好きなシリーズ物はありますか?

松谷みよ子「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズ。
C・S・ルイス「ナルニア国物語」シリーズ。
北村薫「円紫師匠と私」シリーズ「時の三部作」

◆037. 本を選ぶときのポイントを教えてください。

作家、装丁、あらすじ、あとがき、解説。

◆038. 翻訳小説は、訳者にこだわる方ですか。

ノー。でも、読みにくいな、と感じることはあります。

◆039. 信頼できる書評家は誰ですか?

本の趣味が似ている友人たち。

◆040. 絵本は好きですか?
    好きな方は、好きな絵本のタイトルを教えてください。

好きです。ターシャ・テューダーさんの絵本、大好きです。
「たれぱんだ」も。


ちなみに
【Part1】はコチラ
【Part3】はコチラ
【Part4】はコチラ
【Part5】はコチラ

真夜中の五分前(SideA/SideB)/本多孝好

2007年08月04日 22時29分48秒 | 読書歴
真夜中の五分前(SideA/SideB)/本多孝好
■ストーリ
 【SideA】
 小さな広告代理店に勤める主人公は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で
 失って以来、きちんとした恋愛が出来ないでいる。死んだ彼女は、常に
 時計を五分遅らせる癖があり、それに慣れた主人公は、今も五分遅れの
 目覚まし時計を使っている。社会や他人と、少しだけズレて生きている
 主人公はある日、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。
 双子であるが故の悩みと失恋の痛手を抱えているかすみ。ふたりは次第に
 親密になっていく。
 【SideB】
 「砂漠で毛布を売らないか」IT企業の社長・野毛さんに誘われるまま
 会社を移った主人公。仕事は客入りの悪い飲食店を生まれ変わらせること。
 単なる偶然か実力か、仕事はすぐに軌道に乗り、業界では隠れた有名人と
 なる。ある日、かすみの双子の妹「ゆかり」の夫、尾崎さんと再会した
 主人公は、彼から信じられないような話を切りだされる。

■感想 ☆*
 今年の新潮文庫「夏の百冊」に選ばれている作品。つい最近読んだ
 「正義のミカタ」で本多作品に対する苦手意識が払拭されたこと、
 そして帯文句「五分遅れたこの世界で、僕は君に出逢う。」と
 「絶対にSideAから読んでください」という言葉が魅力的だったのとで
 手にとってみた。購入しようか迷ったものの、たまたま図書館で
 発見し、借りてきて読破。・・・・うん、良かった。図書館で見つかって。
 購入しなくて良かった。購入してたらちゃぶ台ひっくり返してた。
 間違いなく。

 仕事を一生懸命しているわけでもないのに、そつなく仕事をこなし
 仕事に対する姿勢は評価されていないのに、能力は上司からも周囲からも
 しっかりと評価されている。恋愛できないでいるのに、それでも
 手近なところで、彼女をころころと変えていて・・・と、とにかく嫌味な
 主人公。ものすごく嫌味なんだけれども、好きだった女性を亡くしたときから
 心に傷を抱えていて、けれども自分の心の傷にさえも気付けないでいる姿は
 なんとなく痛々しいし、そういった影に女性がひかれるのも、同僚が
 どこか鼻につくいやらしさを感じ取るのも分かる気がする。
 そういったところは妙にリアルだったし、心に傷を抱えた主人公が
 ひとりの女性と出会って、自分の内面と向き合うことができるまでに至る
 過程も説得力があった。かすみが双子の片割れだという設定も
 双子の片割れの恋人を好きになってしまったという設定も、かすみと主人公が
 出会うためには必然性のあるもので、わくわくしながらページを読み進めた。
 SideAのラストにあるかすみと主人公の言葉のやりとりも美しく
 面白く読み進めることができたと思う。

 では、何がいけ好かなかったかと言うと、この本の売り方だと思う。
 「必ずSideAから手に取ってください」と注意書きがしてあり、なおかつ
 二冊で一冊にしてもよさそうな薄さにも関わらず、わざわざ二冊に分けている
 ことから、私は勝手にこの本にはものすごい仕掛けがしてあると思ったのだ。
 完結したと思ったSideAの話がSideBでは違う登場人物の視点で語られていて
 その登場人物の視点で語られる物語にはSideAとは異なる結末が語られている
 というような。(あ、書きながら思いましたが、「冷静と情熱の間に」の
 ようなつくりね。)だって、「SideA」に「SideB」なんだもの。Aの側と
 Bの側、なんじゃないの?

 それが読み進めたものの、そんな驚きの仕掛けはまったくなく、SideBは
 SideAから2年経っただけのありきたりの小説だった。期待が大きかった
 だけに、ちゃぶ台をひっくり返したくなったのだ。帯で煽り過ぎるのは
 やめてほしい。含みを持たせすぎる文章もやめてほしい。
 まあ、私が勝手に思い込んでしまっただけで、大変自分勝手な憤りでは
 あるのですが。でも、やはり一冊にまとめてしまってよかったような
 気がしてならないのだ。

正義のミカタ/本多孝好

2007年08月04日 22時28分41秒 | 読書歴
正義のミカタ/本多孝好
■ストーリ
 蓮見亮太は腕っ節も強くないし、ハンサムでもないし、成績も
 よくない。飛鳥大学という三流大学の一年生。いわゆる「負け犬」。
 高校時代はいじめられっ子で、暴力を振るわれ、金を巻き上げられていた。
 しかし、飛鳥大学で正義の味方研究部の部員に出会い、惨めな高校までとは
 別世界の大学生活を送り始める。

■感想 ☆☆☆*
 本多さんの作品は確かデビュー間もない頃に読んで
 「うーん・・・。あまり好きではないかも。」
 と思ったような記憶がある。確か推理小説だったのだけれど、全体的に
 「え?それだけ?」というようなあっさり薄味の小説で、それが私には
 物足りなかったのだ。それ以来、作品に手を出すこともなく過ごしていたが
 書店で表紙を見たときに一目惚れ。なんだかものすごく気になるテイストの
 表紙だったのだ。でも、確か苦手だったはずの本多作品。
 購入する勇気はなく・・・。と迷っていたら、なんと、会社で拾いました!
 落とし主は無事に見つかったのだけれど、見つかるまでの二日間で読破!
 いやー、会議室の管理していて本当によかった!

 で、本作品の感想。やられた。単純明快なすっきりエンターテイメントかと
 思いきや、中盤辺りから、どんどん深く深く思考の迷宮に誘い込まれた。
 一体、誰が正しいのか、何が正しいのか、正義とは何なのか、どこからが
 「悪」なのかが、自分の中でまったく分からなくなってきた。
 そう、中盤から。
 中盤までは単純明快なのだ。主人公はいじめられっ子で弱くてへなちょこ。
 けれど、大学で正義の味方研究会の面々に救われて仲間になる。
 その正義の味方研究会は、かつて大学で不祥事が起こったときに
 各体育会系の部活から有志が集って出来た研究会で「入部する」のではなく
 これ、と見込んだ人を勧誘することによって、維持されている。
 今となっては伝説のようになっている「正義の味方研究会」の創立時の話は
 ページにして約5ページほど(既に曖昧ですが)なのだが、そこだけで
 感動して胸が熱くなる。人の善意と正義に基いた熱い話で、そこに
 惹かれていく主人公の気持ちは痛いほどによく分かる。
 今まで友達も仲間もなく過ごして、将来に希望を抱くこともできず
 自分の存在の意味も分からなかった主人公が仲間と共に「人のため」
 「大学の正義を守るため」に活動を続ける。
 どんどん変わっていく自分。それを嬉しく感じて、更に色んな努力をする
 主人公には素直に共感できたし、良い方向に転がり始めると、それと
 連鎖して、周囲もどんどん良い方向に回っていくんだな、やはり
 人間、努力すればいい方向に変われるんだな、と嬉しくなった。

 そう。中盤までは。
 中盤までは、うかつにも私は「人は努力すれば変われる」成功譚だと
 思っていたのだ。しかし、中盤以降、主人公は怪しく、でも魅力的な
 先輩に出会い、徐々に何が正しいのか、どこに正義があるのかが
 分からなくなっていく。
 どんなに自分の中に信念があっても、結局のところはお金を持って
 いたり、家柄が良かったりする、いわゆる「勝ち組」の人たちには
 どうやったって勝てないのではないか、という主人公の絶望的な思いに
 私自身が反論する言葉を持ってないから、飲み込まれそうになった。
 きっと、この先輩のように周囲の人を説得して、そそのかして
 甘い汁を吸っている人たちって、世の中に実在しているんだろうな
 と思った。それぐらいリアリティのある人物だった。

 ラストは正直、消化不良。
 え?それで終わり?と思う。すっきりとした解答は出ない。
 爽快な気持ちで本を閉じることはできない。
 でも、それが正解なんだと思った。私たちはこの小説が突きつける
 質問に対して、まだ明快な答えを持ってない。だから、同じような
 犯罪が今も現実世界で起こり続けている。
 ただひとつ。はっきりと提示されたこと。そして、私も共感したこと。
 自分で名乗りをあげる「正義」ほど嘘くさく、押し付けがましいものはない。
 まして、国の代表のような顔をして「正義のための戦争」だなんて
 言ってもらっちゃうとね。