のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

本好きへの100の質問【Part3】/2007年

2007年08月06日 23時57分42秒 | バトン
のび子さんからいただいた「本好きへの100の質問」の続きの続きです。
【Part1】はコチラ
【Part2】はコチラ

◆041. 本は内容を先に読む方ですか、それともあとがきから読む方ですか?
あとがきです。あとがきと解説を先に読みます。

◆042. 読みたいのに読めない本はありますか? その理由は。
時間が足りなくて読めてない本はたくさん。

◆043. ノンフィクション作品のおすすめを教えてください。
ノンフィクションには疎いのですが、皇室関係の本をよく読みます。
美智子様は憧れの女性です。

◆044. あなたの好きな恋愛小説を教えてください。
北村薫「ターン」
 ものすごく幸せな読後を味わえます。
 こんなふうに殿方に慈しまれてみたい。
オルコット「ローズの幸福」
 私の好みの男性の原点です。メガネ文系男子。そしてヒネクレモノ。
モンゴメリ「アンの幸福」
 ベタですが。

◆045. 泣けてしまった本を教えてください。
北村薫「スキップ」
 何度読んでも、泣けます。
 でも哀しい話ではない。
 熱い想いがこみ上げてきて泣けてきます。
灰谷健次郎「太陽の子」
 子供たちに読んで欲しいです。
 「8月6日」や「8月9日」「8月15日」が
 どんな日だったのか知らない大人たちにも。

◆046. 読んでいるだけで、アドレナリンが分泌されてくるような本は?
灰谷健次郎「天の瞳」
 がんばろう、と思います。
 そして、人の可能性を信じたくなります。

◆047. もう2度と読みたくない本は、ありますか?
ないと思います。あるいは記憶に残っていないだけかも。

◆048. 良くも悪くも「やられた!」と思った本はありますか?
伊坂幸太郎「陽気なギャング」シリーズ
若竹七海「ぼくのミステリの日常」
 連作短編が最後につながる仕掛けが大好きです。
 読み終わった後に思わず読み返したくなるような。

◆049. 読む前と読後感が違っていた(食わず嫌いだった)本は?
太宰治さん
もっとドロドロに暗い人だと思ってました。

◆050. 子供にプレゼントしたい本のタイトルを教えてください。
モモちゃんとアカネちゃんシリーズ。
 小さいうちに出逢って、ぜひオトモダチになって欲しい。
「娘よ、ここが長崎です」
 小学校2年生のときのサンタさんからのクリスマスプレゼントです。
 長崎で被爆された永井博士の娘さんの手記です。
 もらった当初は「クリスマスプレゼント」という言葉に似合わない
 地味な本で、少々不満を持っていたのですが、今は子供時代に
 読むことができてよかったな、と思ってます。
 子供の頃に伝えなければいけないジャンルのひとつだと思う。

◆051. お気に入りの出版社と、その理由を教えてください。
創元社。
 お気に入りの作家さんとの出会いを多く提供してくれているから。
 北村薫さんとも宮部みゆきさんとも加納朋子さんとの出会いも
 この出版社が橋渡しをしてくださいました。

◆052. それでは苦手な出版社は?その理由を教えてください。
特にありません。

◆053. この本で読書感想文を書いた、という記憶に残っている本はありますか?
 あれば、そのタイトルは?
一冊も覚えてません。なんでだろ?
読書感想文の宿題ってあったっけ?と誰かに確認したい。

◆054. 装丁が気に入っている本を教えてください。
栗田有起「お縫い子テルミー」
 とにかくかわいらしい。お洒落です。
山田詠美「放課後の音符ノート」
 美しい。
江國 香織「きらきらひかる」
 色合いがとにかく素敵。

この3冊はすべて文庫本です。飾っておきたいぐらい好きです。

◆055. あなたは漫画が好きですか?
大好きです。少女漫画は特に好きです。

◆056. お気にいりの漫画家ベスト5と、好きな作品について教えてください。
>あだち充「タッチ」
 永遠の名作です。
>深見じゅん「ぽっかぽっか」「むうぶ」
 元気になります。優しい気持ちになります。
>小花美穂「こどものおもちゃ」
 勇気がもらえます。
>矢沢あい「天使なんかじゃない」
 学生時代にタイムスリップできます。
>末次由紀「エデンの花」
 復帰できることを心から祈ってます。

他にも「ときめきトゥナイト」とか「銀曜日のおとぎばなし」とか
「ハンサムな彼女」とか「有閑倶楽部」とか「空色のメロディ」とか
リボンマスコットコミックスには大変お世話になりました。

◆057. サイン本を持っていますか?(タイトルと作家名は?)
持ってます。
平野啓一郎さん「月蝕」
 友人が並んでくださいました。ありがとー。

あ、映画「タカダワタル的」のサイン入り脚本も持ってます。
このドキュメンタリー映画はとにかく傑作です。

◆058. 持っているのを自慢したい。そんな本はありますか?
・・・特にありません。と、思う。

◆059. 東・西・南・北、漢字を選んで、浮かんだ本のタイトルを
    書いてください(実在する書名に限ります)。
東だと、「弥次喜多道中記」 (お江戸→関東→東?)
西だと、谷崎潤一郎「細雪」 (京都→関西→西?)
南だと、あだち充「タッチ」 (国民的アイドル。南といえばこの人。)
北だと、三浦綾子「氷点」  (北海道→北)

◆060. 短編小説集を買ったら、全部読みますか?
    それとも、その中から気に入った作品しか読みませんか?
全部読みます。

ちなみに
【Part4】はコチラ
【Part5】はコチラ

夏の魔法/北國浩二

2007年08月06日 23時41分38秒 | 読書歴
■夏の魔法/北國浩二
■ストーリ
 さよなら、残酷な世界。わたしの人生は、もうすぐ終焉を迎える。
 22歳の老婆は、少女の頃の輝かしい思い出に満ちた南の島で、人生最後の
 夏を静かに過ごすはずだった。しかし彼女はそこで、逞しく聡明な青年に
 成長した初恋の相手と再会する。劇的な容姿の変化のため、中学時代に
 恋した相手が目の前にいることに気づかない彼の隣には、美貌の女性が
 明るい笑顔を浮かべて立っていた。
 「魔法」は、彼女たちに何をもたらしたのか?
 緑濃い真夏の島でゆっくりと進行する、哀しい願いの物語。

■感想 ☆☆*
 ※ネタばれしまくりです。ごめんなさい。
 推理小説としては今ひとつ。というよりも唐突に推理小説っぽくなっていく
 ストーリー展開についていけなかった。けれども、この話の魅力は推理小説
 部分ではなく、その他のところにあったので、読み終えての不満はまったく
 ない。ページ的にも推理小説風になっていくのは残り4分の1を切ってから
 で、それまでは、14歳で発病し、22歳にして老人になってしまった
 主人公の悲しみと、その病気によって、より尊くかけがえのないものに
 なってしまった初恋への想いの描写部分に多くを割いている。
 物語は、この初恋との再会から始まる。大好きだった人との再会に喜びと
 戸惑いを感じ、そして同時に、彼との間にある超えられない壁を実感し、
 絶望するヒロイン。彼は時を経て、より一層魅力的な男性に成長し、
 そして彼女と同じように、今も変わらず、幼い頃の初恋を大切にして
 くれている。気持ちは同じなのに、いや、同じだからこそ、今の老い
 さばらえた自分の姿を決して知られたくないと願う彼女の気持ちに、
 女性として強く共感した。
 そして、だからこそ、この物語がどういったクライマックスを迎え
 どういった着地点に落ち着くのか興味深かった。
 
 彼のバイト仲間として、彼の隣で同じときを過ごし、明るく笑い、
 美しく若い姿でいる魅力的な女性、さや。美しい上に賢く、自分の未来に
 大きな希望を持っている彼女を羨望の眼差しで見続けるヒロイン。
 彼女がもっと嫌な女性だったら、ヒロインは救われたかもしれない。
 けれども、彼女は性格もよく、誰に対しても公平に優しい。かつての
 ヒロインであれば、病気前の自分の姿であれば、彼女と親友になれただろう。
 同じ人を好きになっても、対等に勝負ができただろう。けれども、何を
 どうやっても、時間は戻らない。発病してしまった病気は治らない。
 若くて美しくて魅力的な女性がいるからこそ、今の自分がみじめで
 ヒロインは、自分の病気と本当の年齢や素性を知ってしまった彼女に対して
 殺意を抱く。

 けれども、私はこの部分に大きな違和感を抱いた。彼女は、例え絶望したと
 しても、犯罪に手を染めるようには見えない。運命のいたずらによって、
 外見が変わり、それに伴って快活な性格も変わってしまったかもしれない。
 けれども、根底にある「強さ」は変わっていない。自分の弱さをそのまま
 受け止められる強さを、彼女から感じた。だから、彼女は卑屈な思いや恨み
 ねたみの感情を抱いたとしても、殺意は抱かない気がするのだ。

 しかし、何より我慢ならないのは、最後の最後に分かる事実。
 彼女が「知られたくない」と切望し、そのために殺人まで犯した自分の
 病状と素性に関する秘密は、彼女が初恋の相手に再会する以前に
 自分の父親によって、ひと夏を一緒に過ごした全員に公表されていたこと。
 その事実が他人事ながら、そしてフィクションにも関わらず、私を
 打ちのめした。打ちのめした、というよりは怒りをかきたてられた。
 「みんなが知っている」ということを自分だけが知らない屈辱。
 「仲良くなった」わけではなく、「優しくしてくれていた」だけだった
 という怒り。こんなのは優しさじゃない。偽善以外の何物でもない。
 彼らは思い至らなかったのだろうか。
 「彼ら全員が知っていた」という事実が「だから優しくされていたのだ」
 という感情に結びつくことを。そう思ってしまった彼女にとっては
 この夏の全ての思い出が「作られたもの」で「ホンモノ」ではなくなって
 しまうことを。
 面白かった。けれども、今、思い返しても腹立たしい思いに駆られるのだ。