長年カルテットを組んできたグループ「フーガ」だが、結成25年目にしてリーダー格のチェロのピーターが病気で引退を表明する。そのことが他のメンバーに微妙な影響を与え、結束に軋みが出てくる。第2バイオリンのロバートとビオラのジュリエットは夫婦。その娘が第1バイオリンのダニエルと恋仲になってしまったり、ロバートが長年の第2バイオリンとしての屈折した思いをぶちまけたりして、4人の不協和音は増幅していく。演奏するベートーベンの弦楽四重曲第14番が第7楽章まで休みなしで演奏されることによる微妙なチューニングの狂いがそのことを象徴しているかのようだ。今後このカルテットはどうなるのか、ラストは含みを持った結末で終っている。
最近、感性が鈍っているのか、映画を観ても感激がない。ならば音楽で揺さぶってみるかと思って観てみたが、あまり揺さぶられもしなかったのはベートーベンのせい?