大阪弁護士会主催の集団的自衛権関連のパネルディスカッションを聴きにいく。弁護士会としては今回の首相の憲法解釈の変更だけで実施したいという表明に対しては反対であくまで憲法改正の手順を踏むべきだとの立場だが、弁護士ひとりひとりの立場は当然違っていて今回は賛成派、反対派双方の意見が聴けるということで参加した。
こういう集会は一方だけが身内で盛り上がっていては聴く方としてはおもしろくない。そういう意味で双方の意見を聴けたのはよかったが、双方とも確固たる信念に基づいての見解なので歩み寄りはなかなか難しそうだ。
憲法9条は言葉通りに読めばいかなる戦争への参加も許されないとの理想を語っている。そのことは終戦後の吉田首相の見解で、自衛のための戦争さえ否定していることからもわかる。第2次大戦で戦勝国も敗戦国も多大な犠牲を払った直後なので「もう戦争はまっぴら」という空気のなか、将来の世界情勢など誰も予想できなかった時代の産物かもしれない。
その後様々な解釈変更がなされ、自衛隊ができ、個別自衛権も認められ、今回、集団的自衛権の行使までなされようとしている。そうなると憲法って意味があるのかとも思えるが、もし戦争放棄を謳ってなければもっと早くにアメリカに付き合ってきな臭いことになっていたことは間違いなさそうだ。
少子化が進み自衛隊員の数を確保するのが難しくなっていくなかで集団的自衛権が行使されればさらに難しくなる気がする。本人がなりたいといっても家族が許さない状況になるのではなかろうか。そうなったとき当事者の政治家たちは自分の子、孫を入れるぐらいの覚悟はあるのだろうか。徴兵制復活も絵空事とは思えない。平和憲法を一番守りたいのは現在の自衛隊員とその家族だというのは意外に真実かもしれない。
今回の集団的自衛権論議の後も憲法解釈の拡大でさらにことが進んでいきそうで怖い。この辺りで憲法改正を掛けた論議があってもいい気がする。護憲派も一字一句変えないというばかりでなく平和維持をさらに強固にするための条文を考えてもいいんじゃないの。
なんてことを考えて会場をあとにしたのだった。