アメリカ映画といえば大作で派手、というイメージが強いが、そんなイメージとはかけ離れた地味で暗い映画「ウィンターズ・ボーン」を観てきた。
父親はドラッグ密造で捕まり、精神を病んだ母親と2人の弟妹のめんどうを見る17歳の少女リーが主人公。逮捕された父親は家と土地を保釈金の担保にして行方をくらましてしまい、出頭日までに現れない場合は家と土地は取られてしまう。少女は必死に父親の行方を捜そうとするが、父親の絡む隠された出来事もあって、封建的で閉鎖的なミズーリー州の片田舎の人々は協力してくれず、暴力で妨害される。それでも味方になってくれる友人や叔父がいて、なんとか家と土地を守ることができるのだが、そのタイトルが暗示する結末はなかなか非情だ。
以前観た「フローズン・リバー」と似たトーンで、一般的な印象のアメリカ映画とは別のシリアスな一面を見せてくれる。暗い映画にはちがいないが、少女のけなげさと弟妹のくったくなさに救われる思いがした。