今日は全国的に高気圧に被われお天気がよさそうだ。考えてみると今回の春山ではまだ一度もアイゼンもピッケルも使っていない。ならば少々難易度の高いところをフル装備で登ってみようと再度上高地から岳沢に入り西穂高沢を詰めてできれば西穂高岳頂上を踏みたいと思う。
朝一番のバスで上高地に向かう。今日は風もなく珍しく大正池に穂高の峰々がきれいに映っている
河童橋からもくっきり
7番の標識の辺りのかわいいケルン
ここから枯れた岳沢に下りてヤブこぎをして西穂高沢の取り付き地点に向かう
取り付き地点でアイゼン、ピッケル、ヘルメットを装着し歩き始める。最初は適当に歩いていくが斜度が出てきてからは先行者のステップをありがたく利用させてもらう。雪崩のデブリもあるが今は雪面も安定していると信じて登っていく。
登るにつれて前穂と高さが近づく
前穂とその先奥穂への吊尾根
下から見た感じではそれほど斜度があるとは思えなかったが、登ってみれば上部はかなりの斜度である。先行者のステップでは足らずさらにアイゼンを蹴り込む場面もあり慎重に登っていく。
稜線まであと少しというところで先行者の動きが止まる。横へ移動してみたりもしているがそれ以上には進めず下り始めてきたので聞いてみると、雪が深くなって腰までもぐってしまい、斜面に亀裂もできているので無理はしないことにしたとのことで下りていってしまう。さてどうしたものか。ルートを変えて別のポイントを試すにはトラバースしなければならないが急斜面でそれほどの度胸もなし、結局私も下りることにする。稜線まで出ればあとは稜線を辿って西穂高の頂上に出られるのだがその稜線が遠かった。
下りるといっても前向きに下りるには斜度がありすぎるので後ろ向きでしか下りられない。後ろ向きは奥明神沢でも小豆沢でもしているが上部の一部だけだった。しかし今回の西穂高沢ではけっこう後ろ向きの下りが長い。もう前向きでも大丈夫と思っていったん向きを変えるのだがまたすぐ後ろ向きにならないと怖くなってしまう。
さらに悪いことには手袋が雪で濡れて指が凍え感覚がなくなる。時折止まって指をほぐしてやらねばならない。防水の効いた手袋もザックには入っているのだがザックを下して取り出せるような斜面ではないのでひたすら我慢。緊張でのどもカラカラだが雪をなめるしかない。
なんとか前向きに下りられるようになったところでゆっくり前穂と明神を眺める。
前向きになるとあとは尻スキーをしながらあっという間に取り付き地点まで戻って改めて上を眺める
下から見たらそれほどの斜度には見えないんだけどね・・・。
取り付き地点から稜線までの高度差は900Mほどだろうか。昨日の乗鞍岳とは全く斜度が違うので上りはそれほどではないが下りはかなり怖かった。もういちどチャレンジするかといわれればとんでもないと今は思うが、最近忘れっぽくなっているので来年になったら忘れてしまってまた来るかもしれないのが怖い。